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松井 二郎
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まぼろしにつつまれて攻撃しても、ミス! ダメージをあたえられない! [2021年03月02日(Tue)]




 こんにちは! 松井です。

 コロナ社会が2年目に突入していますが、
いちばんよいのは「何もしない」ことです。

 人類はずっと風邪とつきあってきました。
風邪という病気を撲滅しようなんて
しなかった。
「できるわけねーじゃん」
と誰もが思っていたから。
で、
有史以来
ずーっと風邪のウイルスなんて
ほっといた。
それでよかった。

 ところが今回の風邪(コロナ)に対しては
どう血迷ったのか、
「何もしないのはいけない!」
と社会全体で「対策」してます。

 だからこんなに長引いてるんですよ。

 いつまでやるんでしょうね。
この「長引かせ」対策。


      ◇


 仮面ライダーをはじめとする
ヒーローものは、
正しい人間が悪いヤツをやっつけます。
話としてはわかりやすいし、面白い。
 でも学校でおこなわれる仮面ライダーごっこは、
クラスのボスがライダーで、
クラスの弱い者がやられ役をにないます。
これをいじめという。

 わたしが病気になるなんて、
どこかに悪いヤツがいるはずだ。
だって、
こんないい人であるわたしが、
自業自得でこんな不幸になるはずがない。
じゃあ、わたしを
おとしいれようとしている
ヤツがいるな?
誰だ!?

 ドラゴンクエストというゲームで
「マヌーサの呪文」
というのがあります。
この呪文をかけられた戦士は
まぼろしにつつまれて、
いもしない敵に向かってえんえん攻撃を
くりだすようになります。
 人類はマヌーサの呪文にかかってるんじゃないか。
いや、
みずからかけて、勝手に自滅しているのでは。

 「がん」になったら、
何かしなきゃいけないでしょ!?
いや……
あのぅ……。

 では、近藤誠医師の『がん治療総決算』、
続きを読みますよ。


       ◇


 「まとめてみると、以下のように
なるでしょう。

 ●転移がんはゆっくり成長する
 ●初期がんは成長する場合にも、ゆっくり成長する
 ●初期がんの中には、大きくならないもの、消えてしまうものもある

圧倒的多数の読者は、こういうことを
知らなかったはずです。
それどころか、
がんは放っておくと、
あっという間に増大して、
すぐに死んでしまう、
と思っていたことでしょう。


 問題は、なぜ知らずにいたのか、です。
本章に掲げたデータは、
みな論文になって医学雑誌や専門書に
発表されているのです。
子宮頸がんのデータなど、
1960年代に当時最高レベルと評価されていた
がん専門雑誌に掲載されています。
それなのに、
ゼロ期のがんが
なかなか大きくならず、
消えてしまうものまであることが、
世の人びとに知られることなく
今日に至っています。

ここには、情報の隠蔽(いんぺい)があります。
医者たちは、がんを無治療・様子見をした場合の
本当のところを、
一般の人びとに知られることがないよう、
情報規制をしてしまうのです。
(中略)

上述した成長速度に関するデータは、
すべて医者だけが読む雑誌や本に載っています。
医者のあいだでは、
ほとんどの早期がんが大きくならない
という情報を共有してきたわけです。
しかし、
一般人が読む雑誌や本には載せることがないので、
人びとは知らないできた。
これを情報隠蔽と言わずに、何と言うのでしょうか。


 なぜ情報を隠すのか、一般人に知らしめないのか。
知られると、医者たちにとって都合が悪いからでしょう。

今日、がん治療のかなりの部分は、
一般人に
がんに対する恐怖や不安があることで
成り立っています。
患者が治療を受ける理由の一半は、
恐怖や不安を和らげたいからであるはずです。

しかし、
がんの成長速度が
これまで思っていたようなものではないことを
知れば、
恐怖や不安はそれだけで和らぎます。
その結果
これまでなら間違いなく治療を受けていた人も、
考えを変えるかもしれない。

それを懸念して、
一般人に知られることがないよう、
無意識かもしれませんが、情報規制をしてきたのです」

(近藤誠『がん治療総決算』
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4167620073/jironosyosai-22/


       ◇


 ――「何もしなくていい」とさえ知らせなければ、
あとは不安と恐怖が行動となる。
 さて、「敵」はどこかな?


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  がんはゆっくり成長するし、成長しなかったり
  消えてしまうものある。
  医者はみんな知っていることなのに、一般人
  には知られないようにされている。
  知らなければ間違いなく治療を受けていた人も、
  知れば考えを変えるかもしれないから。

 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 うつになるときも、まぼろしに苦しめられています。だれもあなたを苦しめようなんてしていないよ。





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なぜ医者の余命宣告はいつも「3か月」なのか? [2021年03月10日(Wed)]




 こんにちは! 松井です。
 メールをいただいてます♪

> 松井さん、初めまして。
> いつもメルマガを拝見させていただいてます。
> さっそくですがお伺いします。
> ひざくりげはもう書かないのでしょうか?
 (Oさん)


 ありがとうございます!
 最近から読まれている方は
「ひざくりげって何のこっちゃ」
でしょうが、
クローン病中ひざくりげ、
という
ふざけたタイトルで
わたしの難病生活を連載してました。

 闘病生活、ではありません。

はじめは闘病と言ったり書いたり
してたんですが、
なんかちがうなぁと。

闘うってのは、
自分を苦しめる悪いヤツが
どっかにいるって発想だ。
病気であるなら
自分の中に悪いヤツが入りこんで、
そいつをブッ倒さなきゃ終わらないんじゃないか、
それが治すってことなんじゃないか
って発想だ。

どうも
マンガや映画のストーリーに
影響をうけているとおもわれる。


 病気を治すことは免疫を高めること。
免疫を高めることは
自分を高めるってことではないのか。
それがめんどうくさいもんだから、
病気を悪いヤツにして攻撃してりゃ、
そりゃラクだよね。

宮崎駿監督は
「だいじなことはだいたいめんどうくさい」
と言っていた。

 というわけで闘病生活ではなく
難病生活してるなう^^


 で、おたずねの件ですが、
クローン病を治す生活は続いていますが
『クローン病中ひざくりげ』という作品は
完結しました。

理由は、電子書籍の最終巻に書きましたが、
簡潔にいうと、

もう知識は手に入れたので
あとは知識を腑に落とす生活をすればよい。
それには
いったんクローン病であることすら忘れたほうがいいのです。
それには
もう書かないほうがよいからです。

 作品を完結させてから
いっそう好転してきているので、
おっ、作戦、当たったかな? 
とおもってます。

 ただ、それに伴って
書きたいことはたまってきてるので、
また、忘れたころに報告しますからねー。
楽しみにしててください。
何も書かないうちは、
あ、松井さん調子いいんだな、
と思っておいてね。


 で、
きょうは
このあとの話の流れで
これを書くのですが、

クローン病でいちばん困ったのが……

医者から受けるストレスでした。


「すぐに薬物治療を始めないと腸が破裂しますよ」
「がんになりますよ」
「どうするの? いつするの?」
「気は変わりました?」
「まだしないんですか?」
「いつまでそうしてるんですか?」

 あぁーッ! もうッ!

 どーせ私はあなたよりも頭が悪いですよ。
 このように状況を回避できない場合
その人を回避するしかないので、
担当医を変えてもらって、
いまは心おだやかな通院生活をしています。
ま、それでも薬物は勧められるけどね。
まえのひとほどグイグイこない。
松井の人格も尊重してくださってます。

 くれぐれも申しあげておきますが、
医師は百人いれば百人ちがいます。
人格も治療法もすばらしい医師も探せばいます。
ただしそのような医師に出会うための努力と縁が必要です。
その点では「何もしない」のはダメです。
腹が減ったからって最初に目に入った店に決めないほうがいいってことです。


 さて、
難病の宣告をされる人はめったにいませんが、
がんの宣告は2人に1人がされます。

そして
そのとき医師から言われることは
いま挙げたようなものになります。

 そのときあなたはどうしますか?

 引用の続き。


       ◇


 「恐怖や不安に苛(さいな)まれているときに、担当医の
説明を正確に理解することは不可能でしょう。
そのうえ、説明する態度ないし内容に問題がある医者が
少なくない。
担当医が、がんと告げるだけでなく、余命まで告げて
しまうのです。しかも、断定的に。

ある人が相談に来て、担当医から
『膵(すい)がんです。転移はなさそうなので手術が可能
です。手術しないと、余命3か月』
と告げられたとのこと。

ところが奇(く)しくも翌日、別の人から相談があって、
担当医に『膵がんで肝臓に転移がある。抗がん剤治療を
しないと、あと3か月』と言われましたと。

転移がなくても3か月、
転移があっても3か月。
少なくとも一方が間違っていることになりますし、
両方が間違っている可能性もあります。

どうやら医者たちの間では、『余命3か月』と告げる
ことが流行っているようです。


 告知がタブーの時代にも、家族に余命を告げることが
ありました。
しかし、手術が可能な場合に、余命3か月とは言わな
かった。
その頃は、余命6か月が主流だったように記憶しています。
『あと6か月でしょう』
『半年もちませんよ』
などと告げるのです。
そう聞いた家族は大慌てで、手術を受けるよう患者本人を
説得したものです。
その時代、別の医者にかかる患者は希(まれ)でした。

ところが、曲がりなりにもインフォームド・コンセント

(※筆者注:患者自身に説明してから治療すること)
が行われるようになってみると、
別の医者にかかるからと言って、自分のもとを去る患者が
増えてきました。
それで医者たちは危機感を強め、
『余命6か月』と言っていたのを『3か月』に変更したのだ
と見ています。


 これでは、告知ならぬ『酷知』です。
家族への告知が、本人への告知に変ったことの負の側面
でしょう。

 私は1980年代前半から、がん告知やインフォームド・
コンセントの普及に努めてきました。
それもこれも、患者のためになると考えたからですが、
告知が普及した先に、酷知が待ちうけていようとは思いも
よらなかった。

担当医に手術をしたい、抗がん剤を打ちたいという下心が
あっても、患者は酷知を真に受けます。
そして恐怖や不安が一層つのり、思考力が萎(な)え、
一刻も早く治療を受けたいと焦ります。
それでは、担当医の意のままに治療を受けることになり、
あとで後悔する可能性が高くなります。

酷知に対抗するには、がんに関する正しい認識が必要です」

(近藤誠『がん治療総決算』
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4167620073/jironosyosai-22/


       ◇


 医者の言われるままに治療をして
人生が変わるのは私であって、
医者ではない。
そして医者は業務上その責任をとる必要がない。
医者はやりたいようにやっているにすぎないのだ。

 敵はいない。闘う必要はない。
だが
「酷知に対抗するには、がんに関する正しい認識が必要です」
と近藤医師は書いている。
敵はいないが、敵をなすものはあるので、知識という盾がいるのだ。
またこの盾が武器ともなる。


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  「余命3か月」と言わないと、患者は医者の
  もとを去ってしまう。
  だがこれでは告知ならぬ「酷知」。

 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 薬物治療をしないとこうなるよとさんざん言われましたが、実際にしなかったケースは言われませんでした。
 じゃ、わたし実験しますんで。
 おかげさまでいまめちゃ元気。





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なぜ死なないがんと死ぬがんがある? [2021年03月14日(Sun)]




 こんにちは! 松井です。
 きょうは
メルマガとしてあんまし面白い回ではないかも、
なのですけど、
次回のだいじな話に続くので
がんばって読んでみてくださいね。

 前回、
「酷知」(こくち)
という言葉が出てきました。
近藤誠医師による造語ですが、

医者が「余命3か月」と患者に言うのは、
そう言えば患者はびっくりして
医者にすべてを任せるから
(商売になるから)。
でもそれでは告知でなく「酷知」だ、
とのことでしたね。

 がんは
放っておいても
意外とゆっくり成長する。
あるいは成長すらしない。
それどころか消えることがあるのに、
それも意図的に患者に知らせないように
しているというし……。

 ここまでの話をひとことでまとめるなら、
とにかく
「あなたはがんです」と言われてもあわてなくていい。

 そしてこの先の話を知れば
いっそうあわてなくなるでしょう。


       ◇


 「がんの中には、なかなか大きく
ならないものや、
消えてしまうものがあります。
しかし他方には、
がんで亡くなる人がいる。
これは矛盾でしょうか。

否。
がんと診断されている病変は、
元々、
人を死に至らしめるものと、
放置しても大過ない『がんもどき』の
2種類に分かれる、
と考えれば整合します。

 がんに対する理解を深めるため、
がんは、どのようにして人を死に導くか
を見てみます。

まず初発病巣(しょはつびょうそう)ですが、
発生した臓器によって死因が異なります。
しこりを作る固形がんの
直接死因となりうるものを、
以下に挙げます。


 ●脳腫瘍
   脳圧が高くなって脳機能不全

 ●肺がん
   呼吸機能が低下して呼吸不全

 ●食道がん
   食道が詰まって飢餓

 ●胃がん
   食物が通らなくなって飢餓
   がんから出血して貧血

 ●大腸がん
   腸閉塞になって飢餓

 ●肝がん
   肝機能が落ちて肝不全

 ●膵がん
   胆道を閉塞して黄疸(肝不全)
   十二指腸が閉塞して飢餓

 ●胆道がん
   黄疸

 ●膀胱がん
   尿が出なくなり腎不全(いわゆる尿毒症)

 ●前立腺がん
   尿路を閉塞して腎不全

 ●子宮頸がん
   尿路を閉塞して腎不全
   がんから出血して貧血

 ●乳がん
   初発病巣を原因としては99%死なない


 固形がんでは、初発病巣が原因となって
亡くなるわけです。

しかし、乳がんだけは例外で、
肺や肝臓への転移で亡くなります。
これは乳房が、生命維持にとっては重要でないからです。
乳がん初発病巣が
直径15センチほどの大きさにまで育った
患者を何人か診てきましたが、
そこまで大きくなっても、
それだけでは死なないのです。

しかし、生命維持にとって重要な臓器にがんができれば、
小さくても死ぬ可能性があります。
たとえば胆道は狭いので、
がんの直径が1センチ〜2センチ程度でも、
胆道を閉塞(へいそく)すれば死の危険が迫ります。

これに対し、
大腸は内腔(ないくう)が広いので、
がんの直径が3センチ〜4センチ程度になっても、
原則として閉塞しません。

胃袋は中がさらに広いので、
がんが直径10センチになっても
閉塞症状を引き起こさないことが多々あります。

肝がんはどうか。
肝臓は余力が大きな臓器です。
全体の1割〜2割が残れば、
機能を果たすことができるのです。
ところが肝臓に初発する肝細胞がんは、
肝硬変を伴っていることが多く、
その場合、肝機能が落ちています。
それで、
肝細胞がんがわずかに大きくなっただけで、
肝不全になることがあります。

がんが発生した臓器が生命維持に無関係でも、
その臓器が存在する場所によっては、
死に結びつきます。
子宮頸がんや前立腺がんがそうで、
これらは生命維持には無関係ですが、
子宮頸部は尿路のそばにあり、
前立腺は中を尿道が貫通しているため、
がんが発生すると尿路を塞いで腎不全を起こすのです。


 ところで
一般の方々は、
がんで死ぬのは苦しいと思っているはずです。
しかし、
初発がんで死ぬ場合には、
苦痛を感じないケースが多いのです」

(近藤誠『がん治療総決算』
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4167620073/jironosyosai-22/


       ◇


 ここからがだいじなところ、
なのですけど、
長くなるので次回に続くー。


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  がんで死ぬといっても、がんが命を奪うの
  ではなく、
  がんが原因でごくありふれた病気になって
  死ぬ(がんで苦しむのではない)。

 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 久しぶりにテレビのニュースを見ましたが、いまだにコロナのことを報じてるんですね。
これこそ何かワクチンはないものか。





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がんや難病だから死ぬのではない [2021年03月20日(Sat)]




 「わたしが苦しいめに
あっているということは
苦しめているヤツがいるな! 
ブッ殺す!」

 いや、あの……。

 健康のことを調べれば調べるほど
わかってくるのは、
「わたしを苦しめようとする敵なんて
どこにもいないんだ」
ってこと。

すべてが自分が生みだすことだし、
仮に苦しめられても
報復する必要ってないんだよね。

 でも一般的におこなわれている医療は、
「殺す! ブッ殺ぉーす!」

 いやいや、その考え方で苦しんでるんですってば。


 がん、というと、
わたしの中に突然、
正体不明の「敵」があらわれ、
猛毒ウイルスよろしく、なにか毒でもまき散らし、
それでテレビドラマでよくみる
臨終まぎわの地獄の苦しみに襲われる、
そんなイメージを昔のわたしは持っていました。

 ところが近藤医師の話では全然ちがう。
がんで死ぬのは、
がんが成長して
重要な臓器なり管(くだ)なりを圧迫し、
その臓器や管が使えなくなって、
衰弱死する。

そうか、だから中村仁一医師は、
がんで死ぬのは苦しくないと言っていたのか。

 近藤医師も、条件つきで、がんで死ぬのは
苦しくないと述べています。

(以下は引用)


       ◇


 「ところで一般の方々は、がんで死ぬのは苦しいと
思っているはずです。
しかし、初発がんで死ぬ場合には、苦痛を感じない
ケースが多いのです。

黄疸(おうだん)では体内に胆汁の成分が増えていき
ますが、重度の黄疸になっても苦痛は感じません。

肝不全や腎不全は、いずれも老廃物が体内にたまって
いき、意識がだんだん薄れていくだけで、やはり苦痛は
ありません。

貧血は、急に生じると心臓がドキドキしますが、じわじわ
出血して慢性貧血状態であれば、そう辛さは感じません。

飢餓は、食べたいのに食べられないという精神的な苦痛は
ありえます。
しかしこれまで、食道がんや胃がんでガリガリに痩せた
患者を何人も診てきましたが、格別肉体的苦痛があるよう
には見えませんでした。

脳腫瘍でも、それまで元気に働いていた人が急死して、
解剖したら脳腫瘍だったケースが散見されます。


 初発がんのために苦痛が生じるとしたら、肺がん、
大腸がん、乳がんの場合でしょう。

肺がんで急に気道が塞がり呼吸ができなくなったり、
大腸がんで腸閉塞になってお腹がパンパンに張ると、
相当苦しいはずです。

乳がんは、亡くなる原因は転移であることは前述
しましたが、肺転移の場合には呼吸苦が生じます。
乳がん肝転移では、肝硬変が合併していないのが
ふつうです。
それで転移病巣がかなり大きくなっても肝不全が生ぜず、
肝臓が腫れてお腹が張り苦しくなることがあります。
そして転移病巣が肝臓の8割〜9割を占めると、肝不全
になって亡くなります。
また乳がん骨転移は、それ自体が死因になることは
まずありませんが、痛みが生じるのが難点です。
痛みのために寝たきりになってしまうこともあります。

他の固形がんも、転移で亡くなる場合には、乳がんと
同じことが言えます。


 以上を整理すると、次のようになります。

 ●初発病巣を原因として亡くなる場合には、苦痛が
 生じないことが多い
 ●肺がん、大腸がんは、初発病巣由来の苦痛が生じやすい
 ●転移で亡くなる間際は、苦痛があることが多い


 昔は、胃がんや子宮頸がんで亡くなる人が多かったの
ですが、その人たちは楽に死ねたはずです。
その頃は『老衰』で亡くなる人がたくさんいましたが、
その多くは、胃がんや子宮頸がんであったのでしょう。
ところが医療が発達すると、胃がんや子宮頸がんを治療
できるようになりました。
そして、初発病巣を曲がりなりにも押さえ込むことに成功
したケースでは、
転移が生じると患者は苦しまなければならなくなったのです」

(近藤誠『がん治療総決算』
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4167620073/jironosyosai-22/


       ◇


 わたしも難病でいちばんひどいときは
39.6キロまでやせて、
ガリガリになって、
ふとんから立ち上がることすら
全身全霊をかたむけなければ
できなかったのですが、
そのことで痛いとか苦しいというのは
ありませんでした。

アルブミンという血中の数値が2.5に
なって、
これは飢餓状態を意味し、
とてもじゃないが厚生労働省の推奨する
カロリーも栄養素もとれていなかったのですが、
生きてた(笑)

じょじょにそうなっていくので
体が適応するんですね。


 あばら骨が浮き出たガリガリの胸をみると
われながら苦笑するのですが、
「まあ、こんな状態も
いつまでも続くもんじゃないだろ。
いまの自分は、こうなんだ」
って思うだけでよかった。

「あんまし体がやろうとしていることに
逆らわないほうがいいなあ」
とも。

そこに何か外から手を加えて
無理を生じさせようとするから話がこじれてくるんだ。


 わたしがまだ若くて生きる力があるのなら、
こんな体になりながらでも寿命までは生きるだろう。

もしすでに寿命がきているのなら、
年齢が低くても死ぬだろう。

がん、になるのは、ふつうは寿命が近くなったとき。
であれば、
がんだろうが健康だろうが死ぬときは死ぬし、
生きるときは生きるのです。


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  がん死は、転移を除いて、苦しくないのが
  ほとんど。
  しかも、転移するのは初発がんを抑えるからで、
  ということは抑えなければ転移もないわけで、
  結局がん死は苦しくない。

 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 天変地異は悪魔や怨霊のしわざといってお祓いしてたころから人類あんまし進歩してないのかね。
(てかいまでもやってるか)





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焼肉の煙に放水をしてはいけない [2021年03月25日(Thu)]




 「あなたはがんです」と言われたら、
家に火がついたように、
すぐにでも何かしなきゃ! となります。
火事なら、そりゃそうだ。

 でも、火事でないとしたら?

 ただ焼肉を焼いていて、楽しく食べているさなか、
いきなり消防隊員がドカドカ駆け込んできて
放水されたらどうでしょう。
「ちょっと待てぇぇぇ!」
「でも煙がでています」
「でるわ!」

 そのがんは、本当に
ただちに対応しないといけないがんなのか?
放水されて家がだいなしになる前に、
そこを見極めたほうがよさそうです。

「でも、見極めてるヒマあるの? 
がんになったらすぐ死んじゃうでしょ?」

 これが思い込みの恐ろしさ。
 近藤医師によると、


      ◇


 「がんは放っておくと、あっという間に増大して、すぐに
死んでしまう、というのが社会通念であるようです。
がん(の直径)が数日のうちにも倍になり、また数日で
倍になる、と思っている人が少なくないでしょう。

また、すべてのがんが増大する、
早期がんも必ず進行して、いずれ末期がんになる、
というイメージも抱いているはずです。

がんと告げられたときに一刻も早く治療を受けたい、と
焦る理由もそこにあります。

しかしこれは誤解です。
がんの成長速度は意外とゆっくりなのです。
また、がんが増大して亡くなる人はいますが、すべての
がんが増大していくのではありません。
大きくならないがんや、消えてしまうがんもあるのです」

(近藤誠『がん治療総決算』
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4167620073/jironosyosai-22/


      ◇


 思い込みはもう1つ、

「がんってムチャクチャ痛くて
地獄の苦しみで死ぬんでしょ?」

 テレビドラマやドキュメンタリーを見ていると、
抗がん剤の後、
患者はベッドの上でのたうち回る。
末期がんになるとモルヒネを打たれる。
麻薬を使わなきゃいけない痛みってどんだけ!?

 ところが近藤医師によると、
がんで死ぬのは、苦しい場合もあるけれど、
それでもがん自体が痛みを起こすのでなく、
がんがごくありふれた病気を引き起こして、それが苦しい
(骨に転移した場合を除く)。

 「あなたはがんです」と言われて、
いきなり消防隊に放水してもらう必要はなく、
じっくり考えて行動する余裕はいくらでも
ありそうだ。


 さて、近藤医師の本を読んできましたが、
そろそろ終盤にきていますよー。
ここからは、
いざ、「あなたはがんです」と言われたら
どうするか、
という話に移ります。

 がんになるのは、たいてい、人生の最期。
最期の最期を、医者の言うままにして、
それでうまくいくならいいけれど、
そのためにしくじって、後悔につつまれて
幕を閉じるのだけは、避けたい。

 自覚としては健康そのものなのに、
いきなり、
胃がんなり子宮がんなりを宣告されてしまった。
そんなときどうすればいいの? 

近藤医師はきわめて具体的に書いてくれています。

 ここは、この本のなかでも特に重要なところだと私は思いました。
なので、
ちょっと長くなるんですが、何回かにわけて引用させてください。
きょうはチラッとだけ。
では、どうぞ。


       ◇


 「まず、告知されたショックから一刻も早く立ち直る
べきです。
(略)
そうでないと、考えがまとまらず、対処法の最終判断を
誤ります。
(略)
ところが、世の中には、余命が短いと告げる医者が
少なくない。
そう言われてしまったときにどうするか。


第一に、
患者のほうから尋ねてもいないのに、病名とともに余命を
告げられたら、患者を逃がしたくないがための『酷知』では
ないか、と疑いましょう。

人の余命は測りにくいもので、寝たきりになった人の余命
でさえ断定することは困難です。
まして、元気に歩いて病院に来られる人の余命は断定不能です。

したがって、患者が元気なのに余命を断定されたら、その
一事をもって虚偽である、酷知である、と、これは断じる
ことができます。


第二には、
がんの成長速度が意外とゆっくりであることを思い出し
ましょう。
自分の体内にがん細胞が誕生したのが5年〜10年、
あるいはそれ以上前であることに気づけば、少しは
冷静さを取り戻せるはずです」

(同)


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  突然がんを宣告されたら?
  冷静になるために、
  第一に、もし余命まで告げられたら「酷知」
  である(余命はウソ)と断定。
  第二に、がんの成長速度はゆっくりである
  ことを思い出す。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ドラマの脚本家は脚本のプロであってがんのことは知らない。





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シミュレーション! いざ、がんを宣告されたら? [2021年03月30日(Tue)]




 もし、がんの宣告をされてしまったら、どうするか。
ふつう
「わたし死ぬの?」
と恐怖にとりつかれます。

 しかしここが正念場だ! 
混乱したままでは、対処を誤って、
人生の最期が後悔の幕引きになってしまう。

終わり良ければすべて良し、
終わり残念なら
それまでの人生がどんなにハッピーでも
オセロゲームで最後にひっくり返されて負けた以上に
すべて残念、
最期の最期でそんなの絶対イヤです。

 落ち着け。落ち着くんだ。

 そこで、冷静になるために、
まず第一に、
もしがんの宣告といっしょに余命まで宣告されたら
告知ではなく「酷知」と断ずる。

つまり
「この人は私を病院から逃がしたく
ないのだ。客としてな」
そう理解する。

 第二に、
がんの成長速度がゆっくりなのを思い出す。

きのう今日にできたがんじゃないんだ、
もう5年も10年も、
ひょっとしたらもっと以前からとっくに
共生していた「自分の一部」が見つかった、
だけのこと。

あわてる乞食はもらいが少ない。
べつに緊急入院だ、緊急手術だ、と
あわてる必要はない。


 ここまでが前回の内容です。

さあ、冷静になったら、
次はどうする?

 続きをどうぞ。


       ◇


 「次のステップは情報集めです。
その手始めは、目の前にいる医者の話をよく聞くことです。
何をするにも、それが出発点になります。
その後に集めた情報も、最初の医者からの説明内容と比較して、
どちらが妥当かを考えていくのです。

話を聞くのは、がんと告げた医者でもいいでしょうし、
すでに紹介を受けた病院へ行っているなら、そこの医者でも
いいでしょう。

ただ、どの医療機関も外来が混んでいて、十分な説明時間を
とりにくいのがふつうです。
そこで担当医に、『別の日にでも、あらためて説明してください』
と頼みましょう。

それを断るようなら、誠意がないわけで、あとが思いやられます。
病院を替えることを考えましょう。


 避けるべきは、入院してからの説明です。
外来で『説明してください』と頼むと、『入院してから詳しく
説明します』と言われることが多いのですが、それに乗っては
いけません。

入院してからだと、『あれも切るのか、これも取るのか』
『そんなに後遺症が多いのか』とショックを受けても、
入院していることが足枷(あしかせ)になって、ズルズル
手術に突入してしまうからです。
そして術後、患者も家族も後悔する、というお定まりの
パターンがあります」

(近藤誠『がん治療総決算』
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       ◇


 そう! そう! それよ! 
私、これ、よくわかるぅ〜。

 クローン病がいちばんひどかったとき、
体重が39.6キロに落ちて
起き上がるのもつらくなった
ことは前に述べましたが、
そのとき

「入院しませんか。
闘病するにも体力が必要です。
することは、栄養剤を飲んで
過ごしてもらうだけです」

と担当医がすすめるので、
断るほうがつらいほど強くすすめるので、
そっかぁ〜、
それだけならいっかぁ〜、
と入院してみたら、

 とんでもない!

 やれ心電図だ、
CTスキャンだ、
と検査のオンパレード。
最後は胃カメラまで飲まされました。

く、クローン病と胃カメラ、なんの関係があるんだぁ!


 いま考えたら検査を断わりゃよかったんですが、
医者と患者という関係は
上下関係であって、
ふだんから医者の言うことには反対しにくい。

それが入院して
病衣に着替えると
ここに「制服効果」が加わり、
先生の言うことはきかなきゃだめでしょ? 
との暗黙の了解が発生する。

患者の立場はいっそう弱まり、

「なんとなく逆らえない」。

この空気が怖い! のです。


 では続きを。


       ◇

 「もし入院してから説明を受けて、手術の過激さや
合併症・後遺症の話に驚いたら、
再考する時間を確保するために、手術の延期を申し入れ
ましょう。
もし聞き入れられなかったら、納得できないまま手術を
受けてはいけないので、退院すべきです。

しかし退院を申し出ると、医者やナースが周りを取り囲み、
説得にかかります。
そこで夜逃げを考えましょう。

夜逃げを決めたら、見咎められぬよう、荷物はそのまま
にして貴重品だけ持ち、
入院着にガウンを羽織っただけの恰好で、タクシーに
飛び乗って帰るのです」

(同)

       ◇


 そんな手があったのかあぁぁ!! (゜Д゜)


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  がんを宣告され、冷静になったあとは、
  次は情報集め。
  まずは目の前の医者から話を聞く。ただし
  入院してからの説明は避ける。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 柔道の古賀さんが亡くなりましたね……。
 憶測ですが、本当に手術をしなければいけないがんではなかったのでは……。





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