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松井 二郎
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異物侵入時の切り札「免疫」! さあここからが本番だ [2020年06月02日(Tue)]




   ★前回のキモ
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  病気の原因は、異物。
  大きな異物は、食べても体に入れないから
  問題ではないが、
  粘膜やキズから入ってくることができる
  小さな異物が問題。
  これを消化液が水際でくいとめている
  (第2次防御といえよう)。


      ◇


 前回、食事中に水をガブガブ飲んでしまった松井くん。
 生きたバイ菌が腸まで届くぅー!

 生きた乳酸菌ならありがたいですけどこれはだめなやつですね。
 やばいですね。

 どうなる? 松井くん!

 (この記事は過去に配信したメルマガを書き直したものです)




  ◆シリーズ 〈病気〉とは?
   〜 ミクロの世界で何が起きているのか
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 さあ大変! 
松井くんの体に、
バイ菌さんが侵入したぞぉー。

 ここから先は
すべて【免疫】におまかせです。

 でました、免疫。
 この免疫による防御こそ、
異物対策の「第3段階」にして
防衛システムの真骨頂なのであーる。


 免疫、免疫って、よく聞きますけれど、
そもそも免疫っていったい何なんでしょう?

 答え。

 【免疫とは白血球のはたらきである】。

 どういうことかというと……。


 あっ! 説明しているヒマもなく、
バイ菌が暴れだしたよ! 
ちょうどいいですね。
この先は、実際に白血球たちに働いて
見せてもらいましょう。

 では、カメラを松井くんの体内に切りかえます。


 ゴボゴボ……。
 というわけで、ここは血管のなかだよー。
血液がすごい速さで流れていますよー。
あ! 血液にのって、なにかやってきますね。

 顆粒球「♪ボ、ボ、ボクらは、顆粒球(かりゅうきゅう)。
白血球軍団の先兵さ」

 おお、顆粒球です!
 ひとくちに白血球といっても
いろいろあるんです。
大きくわけると3種類いるんですが、
この子はその1つめですね。

 顆粒球「毎日、毎日、パトロール。
異物がいないか、パトロール。異物がいたら、
食べちゃうよ」

 分かりやすい実況をしながらの見回りごくろうさまです。

 顆粒球「むむっ!」

 おや? 顆粒球の顔つきが変わりました。
というか、顔なのか体なのか分かりませんが、
とにかくマジになったみたい。
なにか見つけたようです。


 細菌「うへへ。オレは細菌、悪いヤツ。
この体を病気にしてやるぜ」

 バイ菌を正確な医学用語でいうと細菌になります。

 顆粒球「そうはさせるか!」

 細菌「なんだ、てめェは」

 顆粒球「白血球の1つ、顆粒球だ! 
おまえみたいのが入ってきたら、
ボクらが食べてしまうんだ」

 細菌「てことは、なに? オレは登場早々、
おまえに食べられてしまうのか」

 顆粒球「そうだ! 正義は勝つ。おもいしれ!」

 細菌「ぐわあぁぁ」


 おおっ! ごらんください。
いままさに目の前で、
白血球が細菌を食べています。
細菌は、すっぽり、顆粒球のなかに
閉じこめられてしまいました。

 顆粒球「よォし。とどめだ。顆粒アターック!」

 おおーッとぉ! でたァ! 
これが顆粒球の必殺技ッ。
体内の顆粒をつかって、細菌を消化しはじめたァ! 
ちなみにこの顆粒は、消化酵素です。
細菌がみるみるうちに消化されていくぞ。

 顆粒球「ごちそうさまっと」

 キレイすっかり、細菌は食べ尽くされて
しまいました。
こうして、今日も体内の平和は守られたのだ。
すごいぞ! エライぞ! 顆粒球。
 ああっ! しかし!


 顆粒球「むむっ。また来たか。休むまもないなあ」

 新しい細菌「ふへへへへ。さっきは、
よくも仲間をやってくれたな。
こんどは大勢、連れてきたぜ」

 顆粒球「おまえたちわかりやすい悪役っぷりだなあ。
よおし、そっちがその気なら、こっちだって。
ボス! ボス! お願いします」


 顆粒球はたすけをよんだ!
 マクロファージがあらわれた!


 新しい細菌「なんだ、てめェは」

 マクロファージ「ふぁふぁふぁ。ワシは、マクロファージ。
白血球軍団のボスじゃ。
ワシの食欲はすごいぞ。ひとたびワシのおなかがすけば、
あとには細菌の死骸が残るのみ。
そしてワシは、おなかがすいた。覚悟するがよかろう」

 バクバクバクぅ!

 新しい細菌「ぎぃやぁぁぁ」

 新しい細菌「あんぎゃぁぁ」

 す、すごい! 
細菌をつぎつぎと食べています。
まるで昔の松井くんのように、すごい食欲。
止まりません。
 細菌たちをやっつけた!


 こうして今日も体内の平和は守られたのであった。
しかし白血球たちの戦いはまだ終わらない。
細菌よりも手強い〈ウイルス〉が侵入しようとしていたのだ。
われらが白血球軍団は、この脅威とどう戦うのか?

 つづく!




   ★ポイント!
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  体内に侵入できる小さな異物がやっかい。
  侵入されたあとは〈免疫〉がこれを処理する
  (第3次防御といえよう)。
  まずは〈顆粒球〉と〈マクロファージ〉
  という白血球が
  体内の異物を食べて殺そうとする。




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ウイルスと細菌は、ちがいます。一般にウイルスのほうが細菌よりも毒性が強く、大きさは100分の1から1000分の1ほどです。
 からだの構造もちがうんですが、そのへんはYouTubeきいてー^^





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すごいぞ免疫! えらいぞリンパ球! [2020年06月06日(Sat)]




   ★前回のキモ
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  体に侵入した異物は〈免疫〉が処理する。
  免疫とは白血球のはたらき。
  まずは〈顆粒球〉と〈マクロファージ〉という白血球が
  異物を食べて殺そうとする。


      ◇


 では前回に引き続き、白血球たちの戦いをみていこうー ^^/

 (この記事は過去に配信したメルマガを書き直したものです。)




  ◆シリーズ 〈病気〉とは?
   〜 ミクロの世界で何が起きているのか
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 細菌「ぐわぁぁぁ! やら、れ……た。げふっ」

 顆粒球「ボス、おみごと。
いつもながら
まことに豪快な食べっぷりでした」

 マクロファージ「ふぁふぁふぁ。ワシにかかれば、
こんなものよ。
ちょっとやそっと細菌が入ったくらいでは、
病気になる前にワシが食べ尽くしてしまうわい。
ふぁふぁ、ふぁ〜ジ。マクロふぁ〜ジ」

 顆粒球「あ!」

 マクロファージ「ふむ。おでましのようじゃの」


 おやおや? 
さっきとようすのちがうのが
入ってきましたよ。


 ウイルス「ケケケ。オレたちゃウイルス。
ずるいぞ強いぞ賢いぞ」


 でたァー! 
ウイルスです!! 
いま世界を大混乱におとしいれている、
イヤそうじゃなかった、
正確にいうと
こいつの正体をみんな知らないもんだから
人間が勝手に大混乱して
勝手に自滅してるんですけど、
とにかくウイルスです。


 ウイルス「細菌のバカどもを倒したくらいで
大よろこびたぁ、
おめでたいヤツらめ。これならどうだァ!」

 顆粒球「あ! 松井くんの細胞のなかに、
あいつ、もぐってったよ!」

 マクロファージ「ふむ。これではさすがのワシも、
手だしできんわい」

 ウイルス「ケケケ。キサマらの攻撃方法は
知っているぞ。
そのスっトロい動きで相手をつかまえて食べるんだろ? 
つかまらなけりゃ、コワくねぇ。
このまま、この松井とかいうヤツのからだを
乗っ取ってやる。ケッケッケー」

 マクロファージ「ふぁふぁふぁ。おめでたいのは
おまえたちよ。
ワシの必殺技、とくと見るがよい。
ブツブツブツ……」

 顆粒球「ボ、ボスは、やる気だ。あれを
召喚(しょうかん)するおつもりだ」

 マクロファージ「いでよ! リンパ球! 
そして白血球軍団の真の姿をしめせ!」


 ピカピカピカー!


 ウイルス「な、なにィ?」


 リンパ球があらわれた!


 リンパ球「わたしはリンパ球。
フッ。
そこのウイルスくん。
これでキミも終わったね」

 ウイルス「なんだと? てめェだって、これじゃ
手も足もでねえだろーが。ケケッ」

 リンパ球「やれやれだぜ。なにもわかって
いないようだね。
わたしは白血球軍団のエリート。
顆粒球やマクロファージのような原始的な
戦いかたは好まない。
直接つかまえて食べるなんて野蛮なことは
しないのだよ」

 顆粒球「あ、あいかわらずタカビーなやつ」

 マクロファージ「ふむ。じっさい強いんだから、
しょうがない」

 リンパ球「くらってみるかい? 
これがわたしの必殺技。
抗体(こうたい)ミサイルだッ」


 説明しよう! 
“抗体”とは、
ウイルスなどの異物を“抗原”として認識、
その抗原めがけてブチこまれる
追尾弾(ホーミングミサイル)である。


 リンパ球「抗体ミサイル、発射ッ!」


 そしてリンパ球はウイルスを抗原として
ターゲッティング。
今まさに
抗体が放たれた。
 ドシュー!!
 バシュー!! 
おお、ウイルスめがけて飛んでいきますよ。


 ウイルス「ふん、なんだこんなもん、
オレのすばやい動きで……
な、なにィ! 
こいつ、動いた先に追ってきやがる」

 リンパ球「はーっはっは。
このミサイルはどこまでも追っていくぞ。
逃げ切れるかな?」

 ウイルス「うわぁぁぁ」

 リンパ球「あはははは。ほら、逃げろ逃げろ。
逃げないと死んじゃうよ。逃げても死ぬけど。
あははは」

 顆粒球「あいつ、いいヤツなのか悪いヤツなのか
よくわかんない」

 マクロファージ「ふむ。仕事熱心、ということじゃろう。
そういうことにしておこう」


 ウイルス「はッ。
そうだ。
オレは松井ってやつの細胞のなかにいるんだった。
へ、へへっ。
驚かせやがって。
オレを殺したらこの松井の細胞まで死ぬぞ。
できるのか? あ? あ?」

 リンパ球「ふーん。べつに。知らねぇし」

 ウイルス「う、うわぁぁぁ」


 ドカーン!!
 ボカーン!!


 ウイルス「げふっ! まさか、てめェの細胞ごと
破壊する、と、は……ギャボォー」


 ウイルスをやっつけた!


 顆粒球「すごい! すごい!」

 マクロファージ「ふむ。まだ終わっとらんぞい。
ここからがリンパ球たちの真骨頂よ。
あれが始まるぞい」

 顆粒球「そうでした。あれがあるんでしたね!」

 リンパ球「カシャ、カシャ。
ウイルス情報、入手。
ラーニング開始」

 マクロファージ「はじまったようじゃの」

 顆粒球「ゴクリ……」

 リンパ球「解析、終了」


 リンパ球は新しいウイルスを覚えた!


 顆粒球「やった」


 説明しよう! 
今回は倒すのに時間がかかったが、
今後このウイルスが入りこんだときは
リンパ球が即座に抗体を放って殲滅(せんめつ)する。
松井くんのからだは、
このウイルスによる病気には
かからないようになったのだ。

 ちなみに、
行き当たりばったりに異物を殺す
顆粒球やマクロファージのはたらきを
“先天免疫”といい、
リンパ球が異物のリストをつくって
リスト上の異物を殺すのを
“後天免疫”という。

 免疫の話をするときにだいじなのは、
このリンパ球たちのはたらき、後天免疫である。


 マクロファージ「ふむ。しかしリンパ球のやつ
ハデにやったのう。
いまの攻撃のあおりで松井くんはいくらかダメージを
受けたようじゃ。痛がっておるわい」

 リンパ球「任務完了。退却」

 顆粒球「あっ。リンパ球が、リンパ節に帰っていったよ!」

 マクロファージ「ふむ。ワシの仕事も、
これで終わりじゃ。
ひきあげるとするかの。
ふぁふぁ、ふぁ〜ジ。マクロふぁ〜ジ」

 顆粒球「ボクは引き続き、血液にのって
パトロール、パトロールっと♪」


 こうして、今日も体内の平和は守られたのだ。
すごいぞ免疫! エライぞ! 白血球軍団!




   ★ポイント!
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  〈リンパ球〉は、迎撃ミサイル〈抗体〉で
  異物を駆逐する。
  そしていちど戦った相手に対しては即座に
  抗体を放つようになる。




 つづく☆




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 じっさいは、白血球はしゃべりません。
 サイトカインという情報伝達物質をつかってやりとりするの。





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ものはついでだ、難病まで完全理解しちゃおう [2020年06月12日(Fri)]




 ウイルスなんて、怖くない。
 なぜなら私たちには【免疫】があるからだァー!


   ★前回のキモ
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  白血球は連携しあい、体に入ってきた
  異物を殺す。
  このシステムを免疫という。


      ◇


 いまこの瞬間、
あなたの体もわたしの体も、
知らないうちにウイルスと白血球との戦いが
おこなわれています。

 いまさら騒ぐまでもなく、
ウイルスなんて
いつでもプカプカ浮いているのが
この世界ですが、
人間は平気で生きていられるんですね。
白血球のおかげで。
えらいぞ、白血球。つよいぞ、人間。


 だったら……

 病気って何?


 はい。私たちが「病気」と言っているのは、
前回みたように免疫が異物と戦っているとき、
その「あおり」で、痛い、かゆい、熱が出る、
というものなんです。
 つまり、正しい反応。

 こうして異物と戦うたび、
白血球はその異物を学習し、
体はどんどん病気に強くなっていく。
言葉をかえると、
病気になるほど
その病気を利用してどんどん
健康になっていく。

 この、人間に備わった無敵のシステムが【免疫】なのだ!


 ところが……。
 無敵の免疫システムに対し、
無敵の「あるもの」が登場したことで
問題が複雑になりました。
 人類は【難病】と遭遇するのです。

 ってことで。
せっかく免疫のことをやってますんで、
このさい
免疫と難病の関係も知ってしまおう!

これがわかるとねー。
ウイルスどころか、
難病だって怖くないってわかっちゃうんですよ。
 では、いってみよー! ^^ /

 (この記事は過去に配信したメルマガを書き直したものです。)




  ◆シリーズ 〈病気〉とは?
   〜 ミクロの世界で何が起きているのか
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ギュギュギューン。
 タ〜イムスリップ!


 おやおや? ここはどこ?
あ! 
松井くんが、まだ子供ですよ。
 ということは……
ここは過去の世界。
まだ松井くんが病気ではなかったころですね。

 子供の松井くん、何か食べています。
どうも加工食品のようです。
あーあ。だからアンタ病気になったのよ。


 さて、この加工食品、
ウラ側の表示をみると

「……、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、酸味料、酸化防止剤、
着色料(カラメル色素、パプリカ色素)、香料」

 と書いてあります。

 ちなみに「香料」というのは一括表示といって、
最低でも4種類、
たいてい10種類以上の化学物質がつかわれています。
 こんなもん、体に入れていいのでしょうか? 
 って、松井くんおいしそうに食べてるよ。あーあ。


 では、ここでカメラを体内に切り替えましょう。


      ◇


 おっと! あそこに何かいます。
あれはこのまえ大活躍した〈白血球〉ですね。
 白血球たち、なにやら相談をはじめていますよ。
きいてみましょう。


 「オイ、あの物体はなんだ? あやしいヤツだ」

 「どうも、異物らしいぜ」


 「でもオイ、見ろよ。何もする様子がないぞ。
あいつ、敵なのう?」

 「さあな。とにかく、疑わしきは殺せ、だ。
それがオレたちの仕事だぜ」


 「やるか」

 「やるぜ」


 「オラオラオラァッ!」

 「ドラドラドラァッ!」


 「ハァ、ハァ。なんだこいつら。死なねえ!? 
てか、最初から死んでね? これ」

 「油断はできん。死んでるように見せかけて、
何をしでかすか分かったもんじゃねえぜ」


 「そうだな。でも、どうする。死んでるヤツは
殺せねぇだろ」

 「おまえ、必殺技の酵素パワーがあったろ。
あれで溶かしちまえよ」


 「そっか。そうだな。じゃあおまえはミサイル攻撃な」

 「りょ」


 「なんだそれ」

 「りょうかい」


 「ああ、若者ことばか。むりするな」

 「り」


 「略すにもほどがあると思うけど、とにかく、いくぞ!」

 「り」


 「オラオラオラァッ!」

 「ドラドラドラァッ!」


 「ハァ、ハァ。やっぱ、こいつらヘンだ。溶けねぇ」

 「壊れもしねぇぜ。おかしいな。さっきから
増殖する様子もねぇし、
細胞を乗っとろうとする気配もねぇぜ。
こいつら、
ほっといても松井くんは危なくねぇんじゃね?」


 「念には念を入れとけよ。何かあったらどうすんだ」

 「でも、最初から死んでるヤツを、どうやって倒す?」


 「おまえ、アレがあったろ」

 「おっ、そうか。アレか。じゃ、アレをやるか」




   ★ポイント!
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  化学物質も敵だとおもって
  白血球は戦ってしまう。
  このときある条件が揃うと、難病になる。




 つづく☆




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ちなみに文中の添加物表示は市販のカレールーのものです。





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白血球にとって謎の異物でアトピーに [2020年06月16日(Tue)]




   ★前回のキモ
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  化学物質も敵だとおもって
  白血球は戦ってしまう。
  このときある条件が揃うと、難病になる。


 (この記事は過去に配信したメルマガを書き直したものです。)




  ◆シリーズ 〈病気〉とは?
   〜 ミクロの世界で何が起きているのか
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 「こいつら、おかしいぜ。死なないぜ」

 「もしかして始めから生きてないとか」


 「そんな敵いるのう?」

 「時代が変わったからね。いるかもしれん」


 「だったらどーする。死なないヤツをどーやって倒す」

 「倒す? おまえ、アレがあるじゃん」


 「そっか! じゃ、アレをやるか」

 「おう、やっちまえ」


 「ムムムムム……」


 ジャキィーン!

 白血球は武器を変更した!
 抗体ミサイルをクラスGからクラスEにチェンジ!

 【抗体のクラススイッチ】をおこなった!


 「おっ、IgG〈アイジージー〉抗体から
IgE〈アイジーイー〉抗体に切り替えたな。
それだよそれ。
いままで使ってたIgG抗体は
殺戮(さつりく)専用。
だが、そのIgE抗体には殺傷能力がまったくない。
そのかわり……」

 「ああ。こーんなことができるぜ。
IgE抗体、発射ァ! かゆみ成分、
発動ォー」


 なんだか白血球たちの性格がこのまえと違いますが
気にしないようにしましょう。

 あっ! 外の松井くんを見てください。
じゃなかった、子供のころの松井くんだった。
松井ちゃんにしておこうか。

 松井ちゃんの体に、
赤いポツポツがいっぱい出てきたよ! 
おーっとォ! 
松井ちゃん、「かゆい、かゆい」と
叫びはじめました。

これはいったい?


 「これで松井ちゃんは、
からだじゅうを引っ掻(か)きはじめるはずだ。
皮膚を突き破って
あのヘンな敵を出してもらおうぜ」




 なるほど! 
かゆいのはたまりませんが、
これは白血球の頭脳プレーです!

 でも、この湿疹、いつまで続くんでしょう? 
一時的なことならいいのですが、
こんな食品添加物、
永久に体内に入り続けるわけです。
毎度まいどこんなことをしていたら、
来る日も来る日も
このIgE抗体による湿疹が出てしまいます。

 つまり【アトピー性皮膚炎】になってしまうのです!

 どうする、白血球? どうなる、松井ちゃん?

 おーっとォ、
松井ちゃん、
「かゆい、かゆい」と言いながら、
それでも食事は続けているゥー。
根性ありますね。
賤(いや)しいだけか。

 では再びカメラを体内に切りかえましょう。




 「うおっ! なんだ? あとからあとから
死なない異物が入ってきやがる」

 「出せ! とにかくIgE抗体で外に出すんだ」


 「いや、だめだ、キリがねえ。
このままIgE抗体を撃ち続けたら、
敵を出しきるまえに
松井ちゃんがやられちまう」

 「う〜ん、困ったなあ……。
じゃあ、どう? 
こいつら何の悪さもしないようだし、
もう、戦わなくていいんじゃね?」


 「マジ? それでいい? 
んじゃ、今後コイツらが入ってきたときは、
無視。
戦わない、ってことで」

 「ラジャー、ブラジャー、炊飯ジャー」


 おーっとォ! 白血球は戦いをやめてしまったァー!

 あ! すると、どうでしょう。
松井ちゃんの皮膚に出ていた赤いプツプツが
みるみる消えていきます。 

どうやら、アトピーにならずにすんだようです!


     ◇


 さて。これは松井ちゃんの体に何が起きていたのでしょうか。


 まず
異物が侵入してくると、
免疫、つまり白血球たちは
これを殲滅(せんめつ)するべく
IgG抗体
というミサイルをぶっぱなします。

このIgG抗体は、対生物兵器。
細菌やウイルスを殺すためのミサイルです。

 ところが、いま戦っていた相手は、化学物質。
最初から死んでいます。


 そこで免疫(白血球たち)は、
いくらIgG抗体を撃ちこんでも敵が死なないので、
殺すことは不可能と判断、
武器を
IgE抗体
に切りかえました。

 このIgE抗体には敵を殺す能力はありません。
そのかわり、体からヒスタミンなどのかゆみ成分を引きだし、
本人に皮膚を掻(か)きやぶらせ、敵を体外に追放させます。

 これが湿疹の正体です。


 しかし、こんな戦いが有効なのは
一時的に
少量の異物が入ってきたときだけ。

食品添加物のような、
永久かつ大量に入りこみ続ける化学物質を相手に
こんなことをやっていたら、
慢性の湿疹「アトピー性皮膚炎」になってしまうのです。

こんな戦いを続ければ、
かえって自分自身が危ない。


 そこで作戦は最終段階へ移行します。
攻撃しなくていい相手だな、
と判断した時点で
白血球は戦いをやめました。

このように、
攻撃しても無意味な異物に対しては攻撃をやめてしまうことを
免疫寛容】(めんえきかんよう)
といいいます。


 こうして松井ちゃんは病気にならずにすみました。
よかった、よかった!

 ところが……
大人になった松井くんは、こうはならず、
難病になりました。

 いったい、なぜ?




   ★ポイント!
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  体内に異物が侵入すると、
  免疫はまず対生物兵器IgG抗体で殺そうとする。

  殺せない異物だとわかると、
  抗体のクラススイッチをおこなって
  武器をIgE抗体に変え
  体外に追放しようとする。
  このIgEの戦いが永久に終わらないものを
  アレルギーといい、
  その代表がアトピー性皮膚炎である。

  その後、
  戦わなくてよい異物だと分かると
  戦うのをやめる。
  するとアレルギーが治る。
  これを免疫寛容という。




 つづく☆




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 いただいたメールを紹介します☆


> 松井二郎さん
>
> きゃーちょっとお、、
> もう
> せっかちなわたしは、
> 次々に読みたい衝動に駆られ、、力が入ってしまいました!!
> あーっ、はよ読みたいです!
>
> 松井さん、、
> 文章だけで、こんなに想像がふくらみお腹の中の様子を
> さも見たかのように頭に浮かべています。。
> 凄いですね〜。
> さすがです。。。
> 私もこんなに上手くブログを書いてみたいです。
>
> 時間も楽しみにしていますーーーーーっ。。
> でわ
(Yさま)


 Yさん、ありがとうございます^^
こんなに褒めてもらっちゃっておそれいります。

褒めてもらったそばから
ラジャー ブラジャーとか言っておりますが、
どうぞ呆れられず、

いえ、あれを言ったのは白血球ですので、
わたしはそのような趣味は、
ホンの少ししか、
多少、ひと並みていどしか、
んー、ひとよりちょっと強いかな、
まーえーじゃないのんくらいにしか持ち合わせておりません。

なんだかよくわからなくなったところで、
次回も楽しみにお待ちいただければとおもいます。
ブログがんばってください。
 敬具





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