◆NS乳酸菌とは
4章 NS乳酸菌のすごさ(5)
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ピロリ菌と認知症の意外な関係
NS乳酸菌が豚にいい、のはわかった。人間にはどうなの?
豚への効果もすごかったが、人間にもすごいぞ。
まず、認知症対策になるという。
硫化水素とアンモニアが認知症の引き金をひく、という話をまえにした。じゃ、硫化水素とアンモニアを腸のなかで吐き出している奴は誰だったか?
そう、ウェルシュ菌だ。
ウェルシュ菌は、腐敗した便のなかで爆発的に増える。1匹が分裂して2倍に、2匹がまた分裂して4倍に、これが8倍に、16倍に、32倍にと増えていくのだが、その分裂は約10分に1回というすさまじいスピード。3時間後には、2の18乗で、26万2千倍になる。
しかしウェルシュ菌は悪玉菌であるから、善玉菌が優勢なところでは繁殖できない。腸に乳酸菌がたくさんいれば、多少 食事が乱れていても硫化水素とアンモニアが出なくなる。
なるほど〜! それでNS乳酸菌が認知症対策になるのね!
と、思いきや。
それもあるのだが……体内でアンモニアをつくっている奴が、もうひとりいるのだ。そいつの活動を、NS乳酸菌は封じることができるというのだ。
そいつとは?
ピロリ菌である。――
(以下は引用)
◇
ピロリ菌をもっている人すべてが病気になるわけではありません。それなのにピロリ菌が危険だといわれるのは、腸内で尿素を分解してアンモニアと二酸化炭素を生成するからです。
ピロリ菌は胃酸では死なないため、尿素の分解酵素である「ウレアーゼ」をつくります。ウレアーゼはアルカリ性のタンパク質です。これをピロリ菌は自分のまわりにパックして胃酸からの防御服を着るわけです。つまり、防酸状態になります。
ウレアーゼが胃のなかにいるときはまだよいのですが、これが小腸の前部に入ると、小腸内の尿素を分解して、アンモニアと二酸化炭素を生成します。二酸化炭素は呼吸で体外に排出されますが、アンモニアは体液に溶けやすく、血中に入ります。アンモニアが血中にたくさん溜まると、肝臓の機能および血液脳関門(BBB)を破壊します。これが破壊されると、脳に入ってはいけない物質(ケミカルや金属など)が入ってきて、認知症など多くの病気の原因になります。
ピロリ菌に感染している人と感染していない人とでは、血中アンモニアの量が前者は3〜4倍高くなります。それぐらい高くなると、精神不安やイライラの原因になると考えられます。
ピロリ菌はどこで感染するのか――菌ですから、空気感染なのか経口感染なのか、だれもルーツはわかりません。予防もできません。この菌が人間の腸内に入ってきた歴史は、25万年以上前にさかのぼります。太古のむかしから、ホモサピエンスと共生している菌である可能性が高いのです。また、もともと天然の食べ物についている可能性もあります。
ピロリ菌を身体のなかにもつ可能性は、だれでもあります。でも、胃袋が健全で腸内菌が多ければ、ピロリ菌が胃にいても、そんなに心配しなくてよいのです。むしろ除菌するほうが危険になると私は思います。
中国でも日本でも、ピロリ菌の除菌は抗生物質を使います。しかも、短期間に続けて抗生物質を飲まなければなりません。中国では2週間続けて飲みます。当然、副作用が出てきます。下痢や吐き気などのほか、精神が不安定になります。中国では「イライラなど副作用がありますが、途中でやめないでください」と最初にいわれます。
日本の医療機関による除菌は1週間ですが、やはり薬を連続して飲みます。抗生物質の治療で、ピロリ菌を全部殺せればよいのですが、生き残るとかえって蔓延させてしまいます。
ピロリ菌そのものの退治には除菌が有効なのですが、副作用のほうが大きいので、最近は食品による菌の抑制ということも提唱されています。
たとえばブロッコリーの新芽(スプラウト)を2ヵ月間継続して食べたら、胃のなかのピロリ菌が減少したといった報告があります。どんな成分が有効だったかまで、詳しく調べられています。あと緑茶、ココア、わさび、ショウガ、ニンニク、コーヒー、ヨーグルト、キムチなどが「効果あり」といわれています。これらは動物実験によって研究されていますが、最終的な科学的結論は難しいと思います。
また、これらを大量に摂取すれば、別の問題が懸念されます。全体の栄養バランスを崩してしまうことや、ピロリ菌を殺すか抑制することで、ほかの共生菌にどういう影響をおよぼすかも研究しなければなりません。無理に殺したり抑制するのではなく、ピロリ菌と共生させながら、感染させないことが一番望ましいと思います。
ではNS乳酸菌はどうなのか。
(金鋒[ジン・フェン]著『「NS乳酸菌」が病気を防ぐ』)
◇
――スプラウトすげぇな! って、食いつくとこはそこじゃなかった。
ピロリ菌の除菌なんてアホらしい、意味ないじゃんと思ってたけど、意味がないどころか、善玉・悪玉をハッキリ分けることのできない共生菌を殺すと何が起きるかわからないのみならず、抗生物質はピロリ菌だけを狙って殺せるわけでなく他の菌も巻き添えにするから腸内細菌のバランスを崩す、すると精神のバランスも崩すわけである。
◆NS乳酸菌とは
4章 NS乳酸菌のすごさ(6)
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ピロリ菌と認知症の意外な関係<つづき>
ピロリ菌といえば、胃かいようと胃がんの原因である。
というのはウソである。
なぜこのウソが広まったかというと、胃かいようや胃がんになった人を検査すると7割にピロリ菌がみつかるから。
だったら、その理屈でいったら、火事場に人だかりができていたらその人たちはみんな放火犯ってことになる。
たしかに、まえに仰天ニュースか何かで、自分が火をつけた家を野次馬に混じってボーッと眺めていた犯人がいたと報じられていたが、可能性は低いだろう。
火事になったから人が集まったのだ。人が集まったから火事になったのではない。火事場に居合わせただけのピロリ菌を犯人にして死刑なんて、おかしくないか。
そっかぁ。じゃあピロリ菌は無罪だったんですね! と思ったら、それもちがって、ピロリ菌はまったく別の悪さをしていた。アンモニアを吐き出して血液脳関門(BBB)を破り、認知症の原因をつくっていたのだ!
そっかぁ。じゃあピロリ菌は有罪ですね! じゃ、やっぱり死刑ですか? 除菌ですか?
金博士は、それではだめだという。――
(以下は引用)
◇
(ピロリ菌を)無理に殺したり抑制するのではなく、ピロリ菌と共生させながら、感染させないことが一番望ましいと思います。
ではNS乳酸菌はどうなのか。NS乳酸菌は、ピロリ菌を抑える力をもっています。その抑制する原理は、簡単に解明できます。
乳酸菌は、胃酸にはなんとか耐えて(かなり死滅するけれども)生き残ります。乳酸菌が胃に入ったら、生きるために適当なものをさがして食べます。ピロリ菌のつくり出した酵素ウレアーゼが乳酸菌のエサになると、ピロリ菌の防酸コートを外すことになり、ピロリ菌は胃酸で抑制されます。それは「以毒攻毒」(毒をもって毒を攻める)、「以菌制菌」(菌をもって菌を制す)の賢い方法です。抗生物質のように殺しはしませんが、その活動を抑える力があります。共生性乳酸菌を飲めば、胃袋のウレアーゼの量を抑制し、ピロリ菌の棲息環境を変えていきます。したがって、ピロリ菌による感染症の抑制および治療には、一番安心安全な方法です。
ヨーグルトやキムチが効果的といわれるのは、乳酸菌の効力があるからですが、これらの食品に含まれる乳酸菌は、すごく酸っぱくなるまで培養(発酵)されたもので、共生菌ではなく抗生菌に近い。すると、ほかのよい細菌も抑制することになり、あまりよい効果が出ないことがわかりました。
以前、JR山手線の電車のなかで見た広告に「乳酸菌でピロリ菌を殺す」とありましたが、それは誤りです。乳酸菌はピロリ菌を殺しません。乳酸菌でピロリ菌の数を制限し、増殖や動きを止めて悪い働きをさせないだけです。または、その数で表面分布を優勢にすれば、ピロリ菌の数は自然に少なくなるのです。
最近の研究では、ピロリ菌を除菌した人は、十二指腸潰瘍や胃がんのリスクは減りますが、食道炎や食道がんの発生率が高い、という報告があります。この事実から次のような推測がなされています。
「ピロリ菌は胃に悪影響をおよぼすが、食道に対しては病気を防いでいるのではないか」
こんな見方もあるのです。もしこれがほんとうなら、抗生物質の除菌でピロリ菌を殺してしまうのはよくありません。乳酸菌で抑えたほうがはるかに効果的です。共生の考え方のほうがよいということです。
ピロリ菌に感染して何回も治療を受けた人が、精神的にイライラしたり、うつ病や、怒りやすい性格になることが多い、という報告もあるのです。
(同)
◇
――ピロリ菌を殺すことはこの意味でも愚の骨頂なわけだ。
「とにかく菌がいたら殺してしまえ」
まえに書いた、洗剤CMの呪いであるが、台所だけでは気がすまず人体まで除菌する。
菌は、ひとの性格まで決定しているのに、そんなことをすれば性格が一部死んでしまうことを知るべきだ。
(つづく)
◆ 編集後記
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ミミズだってオケラだってピロリだって友だちなんだ。
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