洗剤CMの呪い [2018年06月08日(Fri)]
◆クローン病中ひざくりげ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「クローン病の原因は牛結核菌という説があるんです。アレルギーになるような物質を排泄しにくい腸にしてしまう」 な、なにー! たしかに……母親は牛乳信者で、「じろくんはね、」じろくんとは私のことだが「水を飲ませるかわりに牛乳を飲ませて育てたのよ」と、数少ない自慢をしていた。 「クローン病は、原因物質は不明だけれど、原因物質があるのはまちがいなくて、クローン病のひとというのはその原因物質を剥(は)がして出す力が極端に弱くなっている。ふつうのひとはできていることがクローン病のひとはできていないんです。ですから、剥がす力、出す力、これを合わせれば、クローン病は理論上は良くなるんです」 白川先生は机に小さな箱を置いた。 こう書いてある。 “ヒマラヤ仙草エキス”※ (※現在は「安夢治(アムチ)」に名称変更) 「このヒマラヤ仙草というのは、何種類かの漢方薬をまぜてるんですが、チベットの高山に生えていて、標高が高いものだから紫外線が強い。自分で紫外線に対抗して身を守らないといけないから強くなるんだ。そういうのを何種類か、がんだったらこれとこれの組み合わせ、アレルギーならこれとこれの組み合わせというのがあって、それがチベット医学の奥義なんです。ところが漢民族が攻めこんでみんな持ってっちゃったもんだから、なくなっちゃってる。なので、高いんですよ。2万円です。ごめんね。やりますか?」 ぎょっ……このちっちゃい箱が、2万円……。 「やります」 このときは知らなかったが定価は3万7000円なのである (;゜Д゜) 「でも原因物質がちがうなら、効きませんよ。でも試す価値はあります。いいですか?」 「やります」 「もしこれが効かないときは、これより強いのもありますから。空腹時に飲むと胃に穴があきます。じゃ、まずはこれを飲みましょう」 と言うと先生は立ちあがり、看護師さんのところへ指示をしにいかれた。まもなくティーカップとポットが運ばれてきた。 い、いま飲ませてくださるんですかあ!? 「ポイントがありましてね。必ず熱湯で溶かしてください。草なんで、細胞を壊してやらないと成分が出てこないんです。じゃあ袋をあけて、カップにいれて」 箱から1包をとりだした。大きめのティーバッグくらいだが、これが2000円、と。 やべ。手がふるえる(((;;゜Д゜))) おそるおそるカップにあけた。ん? 粉薬? ……に見えるが、ツムラの漢方みたいなインスタントコーヒーふうではない。煎じ薬を微細に砕いた、レギュラーコーヒーの極細挽きといったふうである。 「そこにちょっとずつお湯を注いで溶かしてください。で、味見してみて。甘いか苦いかで、効くかどうかわかります。甘く感じる人は効きません。苦ければ効く」 味、かあ……。これ漢方ですよね。カップのなかは泥水がだぶだぶしているようにしかみえない。いままでの経験からして、すごい味が予想できる。覚悟をきめよ。 ズズッ。 ん? 甘いんですけど。 「甘い……です」 「これから苦くなってくるとおもいますよ」 そうなんだあ。でもやっぱり甘…… 「あ、苦い!」 甘みもあるが、そこに苦みが入りこんできた。ひと口ごとに、その苦みが増してくる。甘くて苦い。甘苦い。 と思うとこんどは、だんだん甘さはなくなってきて……ただひたすら苦い! うお〜! 超ニガ〜! するとである。体がポカポカ、いや、カッカッしてきた。 「顔が真っ赤だよ」家内がいう。 「熱いものを飲めばとうぜん体は熱くなるけど、どうです、それ以上に熱くないですか」 「はい、そう感じます」 「うん、効きそうですね。そしたら、これは原因物質が出ていくまでは毎日飲みます。で、ようすをみながら2日に1回、4日に1回と減らしていきます。たまっていたものが出れば症状はなくなりますが、出たあとも食事で入ってきますから、あとは入ってきたぶんだけ出せればいい。その状態を維持していければもうそれでいいわけです」 (つづく) ◇ では次のコーナーへ。 白川先生のもう1つのオススメ「NS乳酸菌」ですが、本題に入るまえに人間にとっていかに菌がだいじかという話でした。 ◆NS乳酸菌とは 1章 菌と人間(3)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 洗剤CMの呪い ![]() なるほど菌がだいじなのはわかりました。でも、菌って、ようするに「バイ菌」でしょ。キモチ悪いよ。 とくに、よくCMで、「まな板にはこんなにバイ菌がうようよ!」とかいって、バイ菌が蛍光色で浮かびあがって、うねうねうごめいている姿、あんなのを見ると、かなりキモチ悪いんですけど。 あと、「その食器洗いスポンジ、ほら、よく見て!」といって、スポンジに一面、菌がへばりついている、あれもヤバいですよね。 あと、「その布巾でテーブルを拭くの、ちょっと待った!」といって、拭いたテーブルの色が反転し、拭いたあとが、なんということでしょう、まな板やスポンジ同様、やはり蛍光色のバイ菌がうにょうにょしてる。やっぱりああいうのは、ブッ殺さないといけないでしょ? ――まったく必要ありません。 目に見えない菌を見えるようにする目的は、商品を売るためである。それ以上でも以下でもない。あんなもの、昔からいたのだ。そして人間は、昔から何の問題もなく、彼らといっしょに暮らしてきたのである。むしろ彼らを駆逐しようと躍起になっている現代人が、いろんな意味で病気である。たんに洗剤メーカーの戦略にすぎないことに気づくべきだ。 菌がいやだなんていってたら、チューもできない。 菌なんてそこらじゅうにいる。それなのに、ことさらに食器やテーブルの菌だけを浮かびあがらせ、怪しく光って気色悪くうごめいている、あんなスプラッターを見せられたら、なんとかしなきゃと思うのは当たりまえだ。しかし。 ああいうCMを見せられたときの正しい反応は、「だからなに?」である。 あれをわたしは“洗剤CMの呪い”と呼んでいる。 ちなみに余談だが、ダニもそうで、掃除機や布団クリーナーで吸い取って「ほら! こんなにいました」というあれも呪い。 生きているダニは人間に悪さをしない。死んだ上皮細胞しか食べないのだ。あとは、床に落ちているフケや仲間の死骸を食べているだけである。「でも、布団のなかにダニがいるってのは、キモチ悪くない?」 いえ、べつに。それが何か。 布団のなかにいるダニは決して表面に出てこようとしない。じゅうたんも同様。奥深くで彼らはひっそりと、人間の迷惑にならないよう、つつましく住んでいる。それをわざわざ「この掃除機は秒間●回で叩き出します!」とやるから人間の生息エリアに出てくる。そっとしておけばいいのに。人間の迷惑にならないどころか、逆に、彼らがいなくなって困るのは人間のほうだ。ミクロの掃除屋がいなくなってしまうのである。 害があるとすれば死んだダニで、アレルギーの原因になるが、これも悪いのは免疫力を落としすぎた人間のほうであって、ダニーさんではない。 布団やじゅうたんは、ときどきは掃除すべきだが、それは汚れを落とすためであって、ダニなんか殺す必要は皆無である。 (つづく) ◆ 編集後記  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ![]() 呪いをかけられた人は次々と不幸が訪れ最後には非業の死を遂げます。 「呪いにかかってしまった」と思い込んでいるので、それまでかわいいと思っていた黒ネコを見ても悪いことが起きる前兆だと恐怖します。するといつもの郵便配達員が家にやってきても青ざめます。旅先の夫からの優しい手紙を読んでも浮気を隠すために優しくしているんだと絶望します。 脳が全ての情報を悪く受け取るように自分でセットしているので全てがストレスになり免疫力が落ち病気になって死にます。 |