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松井 二郎
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ふつうの食事に挑戦してみた [2014年06月09日(Mon)]

  ◆続・クローン病中ひざくりげ(82)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 「そうだ、エレンタールやめてみよう」

 “エレンタール”は、栄養剤。食べたものが下痢でぜんぶ出ていく私のために、死にかけの人間でも吸収できる、まったく消化の必要がない栄養剤を病院は与えてくれている。
 このまえ断食をして体調がよくなったばかりだが、こんどはこの栄養剤、エレンタールを断ってみようかと思い立った。断食ならぬ、「断エレ」である。
 というのも――このエレンタールを飲むと、どうも、な〜んか、イマイチ、イマニ、イマサン、おなかの調子がよくない。
 おなかの調子がよくないのはいつものことだが、ふだんは下痢といっても形はなんとかとどめているのに、この栄養剤エレンタールを飲んだとたん、水みたいなピーピー下痢になってしまう。
 そうなると体調も悪くなる。体調が悪いのはいつものことだが、ふだんは寝そべってパソコン作業くらいはできるのに、それすらできなくなる。
「これ、ほんとに吸収できてるんかいな?」
 かねがね疑問に思っていたのだ。
 もし、これもろくに吸収できていないのなら、わざわざこんな、おいしいわけでもないものを人さまの税金で処方してもらわずとも、松本先生から「なに食べてもええで〜」と言われているのだし、ふつうに1日2食(あ、コレふつうじゃねぇのか)、人と同じ食事をとったらいいんじゃないか――と思い立ったのである。

 そこで。ふつうの食事だけでとりあえず1週間、生きられるかどうか、実験♪ するのだ。
 まあ、生きていられるのはまちがいないが、着目すべきは体重である。1週間、ふつうの食事をして、もし、体重が減らなかったら? 生きるのに必要なぶんは、食事から吸収できるってことだ。下痢でほとんどは出ていっちゃってるんだが、最低限の栄養はとれているってことになる。それが証明できるわけだ。
 そうなれば、エレンタールはもう飲まなくてもよい、いや、飲まないほうがよい、ってことじゃないですか奥さん!
 さあ、それじゃ決まりだ。 断エレ、開始〜♪

          ◇

 1日目。
 まず体重を計っておこう。えーと、43.6キロか。うん、よく死なないでいる。エライぞ。
 そして一日、まったく甲田式1日2食の基本どおりに過ごす。すなわち、朝は水分のみ、昼と夜に腹8分目の食事をとる。以上。
 といっても、いま私はずいぶんと食が細くなっていて、いまの私の感覚で腹8分だとふつうの人なら腹6分か5分といったところであろう。
 夜までは、じつに体調がよかった。しかし、食べたぶんだけ、やっぱりトイレに行く。栄養剤のときよりも、これはデメリットである。夜中2時くらいまでひんぱんにトイレに行って、そのあとも便意で2〜3回目が覚めたが、まあ、わりと熟睡できたかんじ。
 1日目、終了〜♪

 2日目。
 がぜん体調よし。食べたぶんだけトイレが増えるのはあいかわらずだが。

 3日目。
 がぜん体調……わるし。
 前日までから一転、朝から何もする気が起きない。
 下痢がひどい。栄養剤を飲んでいるときと変わらない。んー、なんでだ。
「そうだ、体重はどうなった?」
 このひどい体調からするに、おそらくは減っているのではないか。だとしたら今回の実験は、失敗と認め、中止しなければならない。
 いざ計測。
 あれェ? うっそォ? 44.0キロ。
 おほっ♪ 増えてんじゃん! 400グラムだが。
 誤差の範囲といえるが、それでも、減ってはいない。すごいじゃないか! ふつうの食べ物で、もう、生きていけるのかな?
 これで1週間後も、少なくとも現状維持ができていれば、栄養剤は飲みたくなければ卒業していい、ってことだ。
 この栄養剤エレンタールは1包(300キロカロリー)で450円もするが、難病だと公費でもらえてしまう。もらわずにすむのならもらわないほうが、お国のため、税金の節約になるのだ。もらったほうが家計にはいいのだが(笑)
 実験、続行〜♪

 4日目。
 うーん、依然として体調わるし。ふと、おなかを見てみたら、
「うえっ? なんだこれ」
 パンパンじゃん!
 ガスで張っているのか、と思ったが、べつにオナラが出るでもない。てことは……しゅ、宿便だああっ!
 この4日で、じわじわたまっていたのか? ふつーに、いやかなり少なめに1日2食をしてるだけなのに! いまの私のおなかでは、これでも食べ過ぎなのか。もっと食事を減らそう。しくしく。

 5日目。
 体調……激しく、わるし。
 サイアクだ。おなかが痛くてたまらない。朝から、昼になっても、夕方になっても痛い。ずーっと、ひっきりなしに痛い。こんなことは、ここ数年、なかったことだ。
 そして、ひっきりなしにトイレに行く。
 あ、そっか。便がひっきりなしだから、腸の痛いところを便が通過するたびに痛んで、ひっきりなしの腹痛になるのか。
 さらにいっそう減食し、夜になるとだいぶおなかがへこんできて、それでようやく痛みがおさまった。じゃなかった、ふだんの痛さにおさまった。うーん、いかんな。だめだこりゃ。
 実験、中止〜♪

          ◇

 残念である。「断エレ」1週間チャレンジは、またいつか、もっとクローン病がよくなってからやることにしよう。あせるなっちゅーことですな。
 そうそう、かんじんの体重は、どうなった?
 予定では1週間やって計測するつもりだったが、まあ5日もやればじゅうぶんだろう。いつも朝に計っているので、翌朝、計ることにする。

          ◇

 翌朝。
「がーん!」
 よ、43.4キロ……。またやつれたぁ。6日前よりも、200グラム減。これまた誤差の範囲であるが、少なくとも、太れなかった。あ、3日目に計ったときに44キロに増えていたのも、太ったのではなくて、食べたものが宿便になっておなかにたまっていただけだったんだ!

 どうやら、食事はほとんど吸収できていないらしい。いまの私は栄養剤で生かされていることが、これで判明した。もっと、ありがたく、いただかねば。
 でも、なあ。あれを飲むと、下痢がひどくなるんだよなあ。それが困るのだよ。さて、どうしたものか。

 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 一日ニ栄養剤四包ト
 少シノ漢方薬ヲノミ
 イツモシヅカニワラッテヰル
 サウイフモノニ
 ワタシハナリタイ(ウソ)





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こりゃひでぇ! 介護食の実態 [2014年06月19日(Thu)]

  ◆続・クローン病中ひざくりげ(83)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 「断エレ」1週間チャレンジの失敗により、いまの私は栄養剤で生かされていることが判明。文句をいわず、もっとありがたくいただかなければ。
 でもなあ。あれを飲むと、下痢がひどくなる。それが困るのだよ。さて、どうしたものか。

「そうだ。おいしい流動食って、どうよ?」
 なにも、病院でもらえる栄養剤にこだわらなくたって、市販されている商品のなかから、いまの私の体に合うものを探してみたらどうであろう。
 たとえば“ウイダーinゼリー”だ。ためしにクローン病の人たちのブログを見てみると、「出張中はこれで乗り切ります!」と書いている人がいる。やっぱ、考えることいっしょだ(笑)
 さっそく試してみよう。じつはこれが人生初ウイダーinゼリーである(大げさ)。添加物がすさまじいので、病気になる前からあまり食べたいとは思わなかったのだ。それが病気になってから食べてみたくなるとは、皮肉。
「へぇ、こんなに種類があるんだ」
 興味がないので知らなかったが、用途別にラインナップが充実していて、カロリー摂取が目的のものから、カロリーは控えめでビタミンを強化したもの、ミネラル豊富なもの、はてはローヤルゼリーが入ったものまで、コンビニの狭い棚にひしめき合っている。
 ま、こういう機能性をうたったものは、たいていろくなものでは……ゴホン、失礼、私には興味がないのでパスして、目的どおり、カロリーが最も多いオーソドックスな“ウイダーinゼリー エネルギーイン”を選んだ。180キロカロリー、マスカット味。どれどれ……。
「へえ? おいしいじゃん!」
 おいしいといっても、この手の食品のわりにということだが、期待よりもずっとイケている。こりゃ、食事をこれですませちゃう人もいるわけだ。
 ちなみに、原材料名はこう。
「マルトデキストリン、果糖ぶどう糖液糖、マスカット果汁、ゲル化剤(増粘多糖類)、乳酸Ca、クエン酸、V.C、クエン酸Na、香料、塩化K、乳化剤、パントテン酸Ca、ナイアシン、V.E、V.B1、V.B2、V.B6、V.A、葉酸、V.D、V.B12」
 添加物がすさまじいというより、添加物でできていますな。これは見なかったことにしておこう。

          ◇

「おっ、いまこんなのもあるの?」
 さらに“カロリーメイトゼリー”なるものを発見した。こちらはコンビニには並んでおらず、薬局でゲット(のちにスーパーでも発見)。どれ、お味のほうは……。
「へえ! これもおいしい」
 さわやかなリンゴ味で、これ、ウイダーinゼリーよりもイケてるんでない? 後発商品の強みか。味を研究してあるのだろう。それでいて、こっちは完全栄養食品をうたうだけあって、れいによって微量栄養素をバランスよく含んでいる。カロリーも200キロカロリーと、ちょい多め。
 原材料名は。
「砂糖、ホエイタンパク、デキストリン、植物油、リンゴ果汁、還元デキストリン、脱脂粉乳、ゼラチン、寒天、酸味料、塩化マグネシウム、増粘剤(グアーガム)、乳化剤、香料」
 カロリーメイトおまえもか。これは見なかったことにしておこう。

          ◇

 ついでに、今回の調査目的からはまったく外れるのであるが、“野菜生活100ジュレ ヘルシートマト”なるものを発見。コンビニでウイダーinゼリーを買うとき、隣にこの子がいたのだ。
 で、シャレのつもりで試してみたら……これ、め、めっちゃウマいですがな! なんてさわやか♪ &フルーティ♪
 ウイダーinゼリーの180キロカロリーに対しこちらは100キロカロリーで、食事としてはまったくエネルギー不足であるが、これは野菜ジュースの代用商品ゆえ、これでいいのだ。
 トマトを2個使っているのだそうで、どうやらそれを主な原料としてゼリーにしてあるらしい。すべての原材料名を並べてみても、「野菜(トマト、キャベツ、なす、アスパラガス、セロリ、はくさい、だいこん、ケール、レタス、クレソン、ほうれん草、パセリ、ビート、かぼちゃ)、果実(りんご、ぶどう、レモン、いちご、もも)、ゲル化剤(増粘多糖類)、香料」と、添加物は増粘剤と香料だけ。さすがカゴメ野菜ジュースシリーズ!
 朝の青汁を野菜ジュースで代用している人で、かつ「これじゃ物足りないぜ。なんか、ちょっとでも食事したって満足感を得られるものが欲しい」という人に超オススメである。

 (この「トマト」は生産中止になりましたが、同じシリーズの「30品目の野菜と果実」があります。こっちもめちゃ美味し〜)
 https://goo.gl/kUXJ6Q

          ◇

 ウイダーinゼリー、カロリーメイトゼリー、野菜生活100ジュレ、みんな、おいしかった。おいしかったけど、う〜ん、やっぱりこれって、健常者のためのものなのである。
 どうも、いまいち、吸収できている感じがしない。同じカロリーをとっても、栄養剤のときよりもおなかが減るのだ。やっぱし、栄養剤はエラいんだな〜。
 そこでだ。市販のものでも、栄養剤みたいな、病人を意識して作ってあるものって、ないかな? “エレンタール”ほど完全な「消化済み」にはなっていなくて、いくらかは自分で消化しなくちゃいけない介護食にしてみるっていうのは、どーだろ。
 さっそくネットで探してみる。
「お! あるじゃーん!」
 こんなん、出ました。

 “テルミール
 http://www.e-terumo.jp/Page/terumeal.aspx?advc=1113001L&utm_source=AdWords&utm_medium=cpc&utm_campaign=terumeal

 “メイバランス
 http://meiji-wellness.jp/SearchItem?BUY_KB=0&LINK_NO=2&LAYER=2&CID=109®ULAR_KB=0

 “メイバランスソフトJelly
 http://meiji-wellness.jp/SearchItem?PROP_ID_8=-1&FREE_WORD_SUB=%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%BC%E3%83%AA%E3%83%BC&x=8&y=11&BUY_KB=0&LAYER=2&CID=109&LINK_NO=2®ULAR_KB=0

 (これらのリンクは、画像を確認したい方のために張りました。さっきの野菜生活とちがっておすすめリンクではありません。理由は後述。)

 それぞれ味のバリエーションがいっぱいあって、楽しそう♪ ん〜、でもバラ売りがないな。ネットだからしょうがないけど、12パックとか買ってマズくて飲めなかったらシャレにならんぞ。
 あっ、テルミールにお試しセットがある。6種類すべての味が1個ずつ。じゃ、これにしましょう。ポチッとな。
 翌々日、“テルミール”到着♪ さっそく飲んでみましょう。まずは私の好きなコーヒーから。いやこれはコーヒーじゃないのだ。“コーヒー味”から。
「むう……」
 ま、まあ、味は、こんなもんだよねえ。はじめから期待していません。吸収できるかどうか、そこが問題なのだ。
 その吸収であるが、うーん、だめ。
 栄養剤エレンタールと、あまり変わらない。ピーピー下痢になってしまう。しょうがない。残りはエレンタールのかわりに、エレンタールよりはおいしい栄養剤として飲むことにしよう。
 で、飲んでいくと、“バナナ味”がけっこう健闘しているではないか。このとろみのある流動食の食感(のどごし?)が、バナナの風味とじつに好相性。ほかのコーヒー味とかカフェオレ味とかがなんだかとってつけたような味なのに対し、これはちゃんとドリンクとして成立している。
 さらに意外な伏兵だったのが、“コーンスープ味”。送られてきたお試しセットの中でこれだけが明らかに異彩を放っており、はじめはゲテモノかと思ったが、なかなかどうして、飲んでみたら「あ、おいしい。」ふつーに、コーンスープです。
 ところでこの“テルミール”、つくっているのは体温計で有名なテルモ。テルモの介護用食品だからテルミールである。……ネーミング会議は5秒で打ち切られたのだろうか。まあいいけど。

          ◇

 後日、薬局で、バラ売りされている“メイバランス”および“メイバランスソフトJelly”を発見、ゲットした。
 こっちは明治がつくっているバランス栄養食だからメイバランスである。……この業界はネーミングにこだわってはいけない何か慣習でもあるのだろうか。まあいいけど。
 味はいろいろあるが、買ったのはメイバランスがコーヒー味、メイバランスソフトJellyがヨーグルト味だ。

 まずメイバランスからトライ。うん。テルミールと、まんまいっしょですな。

 お次。メイバランスソフトJelly。ゼリー飲料は、いままでの例では味がずいぶんよかった。いやがうえにも期待が高まるってもんである。さ、飲んでみよ♪ ちゅるり。
「ぐはあっ!」
 な、なんじゃああこりゃああ!
 くそ不味い!!
 私は、めったに、食べ物に対して、たとえそれがいかほど不味くとも、そんな失礼なことを言わないようつとめているつもりだが、これは不味い! いや、美味いとか不味いとか議論を始められるレベルではない。これは食品でない。吸いこんだ瞬間、かわきかけた紙粘土を口の中に突っこまれたのかと思った。あるいは風呂のタイルの目地をうめるパテか。どっちも食べたことはないが、きっとこんな味だ。驚愕だ。驚きの不味さだ。
 それでも、吐き出しそうなのをガマンして、ふた口、み口、飲みこんだが、もう限界。アンビリーバボー。ギブアップ。もったいないけど、しょうがない。繰り返すが、これは食べ物ではない。
 メイバランスの飲料のほうは、それなりにイケるのに、どうしてゼリーにしたとたん、こんなざまになるのか? これは介護食であるから、老人の施設では食事として与えられているケースもあるだろう。こんなものを、毎食、食わされたら、生きていくのもイヤになる。そんな状況下にあるおじいちゃんおばあちゃんは、まことに気の毒である。製作スタッフには猛省を求めたい。
 そしてテルミールにせよ、メイバランスにせよ、さらにいただけないのは添加物だ。

 <テルミールコーヒー味 の原材料名>
「デキストリン、植物油、乳たんぱく、砂糖、カフェインレスコーヒー、食塩、酵母、昆布抽出物、V.K2含有食用油脂、カゼインNa、乳化剤、セルロース、香料、塩化K、V.C、カラメル色素、pH調整剤、安定剤(カラギナン)、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄、V.E、パントテン酸Ca、ナイアシン、グルコン酸銅、V.A、V.B6、V.B1、V.D、V.B2、葉酸、ビオチン、V.B12、(乳を原材料の一部に含む)」

 <メイバランスコーヒー味 の原材料名>
「デキストリン、食用油脂(なたね油、パーム分別油)、乳たんぱく質、難消化性デキストリン、ショ糖、コーヒーエキス、食塩、食用酵母、カゼインNa、香料、乳化剤、リン酸K、クエン酸Na、ビタミン、水酸化K、炭酸Mg、硫酸鉄、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、pH調整剤、(原材料の一部に大豆を含む)」

 おいおい! これって、介護食じゃないの? 年寄りは、もう老いさき短し、食品添加物ごときの化学物質は食べさせても支障あるめえ、ってことでもあるまい。
 そしてこれはウイダーinなどのゼリー飲料もそうであるが、主成分がほとんど遺伝子組み換え原料である。“デキストリン”なんて書いてあるから何のことだかわからないが、これは遺伝子組み換えトウモロコシのデンプンを分解した糖のことである。“果糖ブドウ糖液糖”もそうだし、ほかに“植物油”も特に記述がなければ遺伝子組み換えの大豆かナタネが原料だ。
 まあ、加工食品に文句をいってもしょうがないんだが、もう少しなんとかできるはず。“野菜生活100ジュレ”はあんなにまともなのだ。やろうと思えばできる。

          ◇

 ちなみに、介護食の悲惨さといったら、これらにとどまらない。
 私は、松本先生から「なに食べてもええで〜」と言われるまで、こんなおなかでも吸収できるものはないものかと、低脂質のレトルト食品や流動食を探し回り、ニチレイの糖尿病食やらキユーピーの介護食シリーズやら、この手の市販品はおよそ食べ尽くしたが、「うまい」と思ったものが一つもない。それどころか、いちど食べたら二度と口にしたくないと心底イヤになるものばかりであった。
 理由は、レトルトゆえに素材の味が死んでおり、調味料の味しかしないからだ。さらにその味つけが残念である。甘い。くそ甘い。塩をなるべく使わないので、味が決まらず、それでは食べられたものではないから、砂糖をたらふくブチ込んでなんとか料理として成立させようとしているのだ。
 とにかくこれが介護食の実態で、もしこんなものしか食べられないとしたら
絶望の日々である。

          ◇

 おっと、これは味の品評会ではなかった。吸収はどうだったか? というと……。
 う〜ん、どれもこれも、栄養剤とかわりばえしないねえ。やっぱりピーピーになる。いや、むしろ若干、悪化するかんじだ。
 ――ということで、結論。

 ・ゼリー系は下痢の悪化はなし。でも吸収できている感じもなし。
 ・介護食のトロトロ飲料はエレンタールよりも下痢が悪化。

 → よって、すべて却下。

 加工食品のろくでもなさを再確認するだけの結果となった。さて、どうしたものか。

 (つづく)










 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 二度と買わねー。





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JIRO’Sキッチン・リターンズ [2014年06月28日(Sat)]

  ◆ お知らせ            [PR]
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 最近、すごい本が出ました。
 安部司著『食品の裏側2 実態編』です。
 「え? それってもしかして」と思ったあなたはスルドイ。そう、この本、60万部のベストセラーとなった『食品の裏側』の待望の続編なのだ。
 前作は、食品業界を内部告発する先駆けとなった名著で、“しょうゆ風調味料”や“プリンハム”など、消費者をバカにした業界のとんでもない常態を暴露しました(いま読んでもゾッとする)。
 今回の『食品の裏側2』も、スーパーで買い物ができなくなるような情報を開示してくれています。本文はもちろんのこと、巻末の付録である添加物ひとつひとつの詳しい製法は特に背筋が凍ります。
 わたしが思わずニヤリとしてしまったのが、アマゾンでむきになって酷評しているレビューがあること。いかにこういう本が出回ると都合のわるい人たちがいるかということでしょう。
 一読して損はない、今回も名著です。

 安部司『食品の裏側2 実態編』


 ※この情報に興味のある人は、こちらも激オススメ。
 阿部さんと同じく添加物業界に40年 身を置いた体験から書かれたおそろしい告発本です。

 小薮浩二郎『食品業界は今日も、やりたい放題』




 では前回の続きをどうぞ。




  ◆続・クローン病中ひざくりげ(84)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 えー、ゴホン、さいしょにお断りしておかねばならないのだが、今回の記事はクローン病でないひとが読んでも、まったくクソおもしろくも何ともないおそれがあるのである。読んで損したといわれても筆者は責任をおえない。
 では、ここから先を読もうとされているあなたは、そのことを了解したということでよろしいであろうか。よろしいですね。では――

          ◇

 「やっぱ、エレンタール飲むしかないか」
 この、病院からもらえる栄養剤を飲むのが、結局いちばん良いことがわかった。う〜ん、いろいろやった挙げ句、ふりだしに戻ってしまったぞ。
 だが……。ふっふ。
 私にはひとつ考えがあった。新兵器を、用意してあるのだ。栄養剤を、おいしいゼリーに変える新兵器っ!
 いや、おいしいかどうかは、やってみないとわからないのだが、あまり期待しないほうがいいのは、やる前からだいたい察しがつくのであるが、液体の栄養剤を固形のゼリーに変える魔法の粉があるのだ。その名も! “ゼリーミックス”。そのまんまですな。

 目的は、味の改善にあらず。液体ではなく固形のゼリーにして食べたなら、下痢もちょっとはおさまるんじゃないかとの考えである。
 製造元は、栄養剤をつくっているのと同じメーカー、味の素。毎日まいにち液体の栄養剤ばかり飲んでいたら食事をする楽しみがないので、そんなクローン病患者の淋しい気持ちを察してか、栄養剤を噛んで食べられるようにとのメーカーの優しい配慮と思われる。うっ、うっ、ありがとう、味の素。いつも添加物のことで文句ばっか言ってごめんね。
 さあ、この“ゼリーミックス”、病院の担当医さんにお願いして、さっそく処方してもらったぞ。いちおう、薬という扱いなのだ。どーみてもただの製菓材料なのだが。
 まずは原材料名をみてみよう。

「グラニュー糖、マルトデキストリン、粉末寒天、香料、増粘安定剤(キサンタンガム)」

 くぉらァァァ味の素ォォォッ!

 ……失礼。うん。わかってます。はじめから、わかっていますよ。
 じつは、この魔法の粉があることは以前から知っていたのだが、ただでさえ栄養剤の味つけのために添加物だらけの粉を入れているのに、さらに添加物だらけのゼリーミックスを加えるのがいやで、いままで敬遠してきたのである。しかし、どのみち化学物質には免疫寛容を起こさねばならないのだ。下痢が少しでも改善するなら、しかたのないトレードオフといったところか。
 で、原材料名のなかに「粉末寒天」ってのがある。ふんふん、主に寒天で固めるわけね。

          ◇

 ではさっそく調理していきましょう。
 まずナベでお湯をわかします。わいたら、そこへ添加物のかたまり、失礼、ゼリーミックスを投入。よく攪拌(かくはん)します。う〜ん、ダマになりやすいなあ。よく混ぜないと。
 混ざったら、ちょっと水を加えて温度を下げます。ナベからシェーカーボトルに移し、栄養剤“エレンタール”も投入。
 続けて、味つけのための添加物のかたまり、失礼、フレーバーを投入。フレーバーは10種類ありますが、今回は“コーヒー味”をセレクトしました。「こうするとコーヒーゼリーになってウマし」とネットに書いてあるのを見たんで。
 さ、あとはフタをして、シェイクっ! よーく混ざったところで食器に移します。食器は何にしようか。マグカップでいっか。マグカップに注いで、と。さあこれを冷蔵庫にいれて、待つこと30分。
 30分たったのがこれです。どうなっているかな……。おおーっ! どうです。みごとに固まっていますよ! 寒天なので、ガッチリと固まっています。ゼラチンのようにふるふるにはなりません。揺らしても、ふるふるの「ふ」の字もいいませんね。
 では、食べてみましょう。パクリ。

 わははっ♪

 これはこれは。まず、味は、あれです、安物のコーヒーゼリー。このインチキくさい味がたまりません。食感のほうは、うん、噛み砕くかんじで、そうとう野暮ったいゼリーです。
 というわけで味も食感もダサいけれど、うん、こりゃ、楽しいわあ。
 栄養剤を飲むときはそのぶん食事を抜くわけで、食事がわりにこれを飲んでいると、食事じゃないので切なさがつのってくるのです。しかしこれなら、食事だ。いや、そこまでいったらお世辞になるが、おやつ感覚にはなる。悲壮感が、だいぶ薄れます。うん。そう思えば、イケる。
 でもこれを「ゼリー」と呼ぶには、う〜ん、ちょっと、かなり、そうとうムリがあるような。「味のついた寒天」ですな。それも、ややアミノ酸くさい……。
 って、目的は味の改善にあらず、下痢がどうなるかであった。どうかな?

 数時間後――。

 下痢にならなァい♪
 液体の栄養剤を飲んだときのように悪化しない、どころか、ふつうの食事をとったときよりも便の状態がよい。こ、これは、なにげにすごいアイテムだぞ。期待以上の成果ですッ!
 なんだぁ〜。こんなんだったら、もっと早くからこうしておくんだった。

          ◇

 と、ここで終了じゃありません。ここからがこのコーナーの本領。味の改善をはかるの巻。

 アイデアは2つある。
 まず1つめ。ゼリーをつくる際、インスタントコーヒーを足してみよう♪
 さっそく作ってみました。どうかな?
 うん。お手軽に、だいぶコーヒー感が増しています。これはいいかも。

 それよりも、どうだいアニキ? ゼリーをつくるお湯を、本物のレギュラーコーヒーにしちまうってえのは?
 やあダニエル、そいつぁイカすアイデアだ!
 というわけで、これが2つめ。さあダニエル、成果を報告してくれ!
 おおっ……これは! アニキ、栄養剤くささは、どうしても残っちゃいるが、それでも、レギュラーコーヒーを入れたことでかなり本格的なコーヒーゼリーに近づいている。インスタントコーヒーのときよりも洗練されてるってカンジだ! 最初の試作品からはかなりグレードアップしている。格段の相違だ。味オンチなやつなら「コーヒーゼリーです」って出せばふつうに食べてくれそうだぜ!

 と、いうわけで、だいぶ「コーヒーゼリーもどき」になりました(笑)
 うん、これからは、これで決まり♪

          ◇

 あ。そうだ、忘れるところだった。“グレープフルーツ味”も、試してみよう。
 まあこれは、ついでです。栄養剤をコーヒーゼリーにできれば満足だったので。

 この“グレープフルーツ味”も完全に粉ジュースの味なので、品質向上のためにレモン汁を加えます。
 そして、ついでにちょっと実験。ゼリーにする粉を減らしてみます。少しは、ふるふるになるかも。
 さあ、できました。どうかな……。
 あれっ?
 こ、これは!

 イケてる!

 期待どおりふるふるに仕上がっていて、なかなか果肉感があります。粉ジュースのインチキくさい味もかえってゼリーというお菓子の特性とマッチして、インチキくさい、だがそれがいい、という見事なパラドックスを成立させています。
 うん、これは、今度こそゼリーといえる代物になりました。
 これからは、これで決まり♪ よかったらみなさんも作ってみてください(材料がねぇよ)。

 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 でも……やっぱりこれは「食事」ではないぃぃ!





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