◆続・クローン病中ひざくりげ(83)
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「断エレ」1週間チャレンジの失敗により、いまの私は栄養剤で生かされていることが判明。文句をいわず、もっとありがたくいただかなければ。
でもなあ。あれを飲むと、下痢がひどくなる。それが困るのだよ。さて、どうしたものか。
「そうだ。おいしい流動食って、どうよ?」
なにも、病院でもらえる栄養剤にこだわらなくたって、市販されている商品のなかから、いまの私の体に合うものを探してみたらどうであろう。
たとえば“
ウイダーinゼリー”だ。ためしにクローン病の人たちのブログを見てみると、「出張中はこれで乗り切ります!」と書いている人がいる。やっぱ、考えることいっしょだ(笑)
さっそく試してみよう。じつはこれが人生初ウイダーinゼリーである(大げさ)。添加物がすさまじいので、病気になる前からあまり食べたいとは思わなかったのだ。それが病気になってから食べてみたくなるとは、皮肉。
「へぇ、こんなに種類があるんだ」
興味がないので知らなかったが、用途別にラインナップが充実していて、カロリー摂取が目的のものから、カロリーは控えめでビタミンを強化したもの、ミネラル豊富なもの、はてはローヤルゼリーが入ったものまで、コンビニの狭い棚にひしめき合っている。
ま、こういう機能性をうたったものは、たいていろくなものでは……ゴホン、失礼、私には興味がないのでパスして、目的どおり、カロリーが最も多いオーソドックスな“ウイダーinゼリー エネルギーイン”を選んだ。180キロカロリー、マスカット味。どれどれ……。
「へえ? おいしいじゃん!」
おいしいといっても、この手の食品のわりにということだが、期待よりもずっとイケている。こりゃ、食事をこれですませちゃう人もいるわけだ。
ちなみに、原材料名はこう。
「マルトデキストリン、果糖ぶどう糖液糖、マスカット果汁、ゲル化剤(増粘多糖類)、乳酸Ca、クエン酸、V.C、クエン酸Na、香料、塩化K、乳化剤、パントテン酸Ca、ナイアシン、V.E、V.B1、V.B2、V.B6、V.A、葉酸、V.D、V.B12」
添加物がすさまじいというより、添加物でできていますな。これは見なかったことにしておこう。
◇
「おっ、いまこんなのもあるの?」
さらに“
カロリーメイトゼリー”なるものを発見した。こちらはコンビニには並んでおらず、薬局でゲット(のちにスーパーでも発見)。どれ、お味のほうは……。
「へえ! これもおいしい」
さわやかなリンゴ味で、これ、ウイダーinゼリーよりもイケてるんでない? 後発商品の強みか。味を研究してあるのだろう。それでいて、こっちは完全栄養食品をうたうだけあって、れいによって微量栄養素をバランスよく含んでいる。カロリーも200キロカロリーと、ちょい多め。
原材料名は。
「砂糖、ホエイタンパク、デキストリン、植物油、リンゴ果汁、還元デキストリン、脱脂粉乳、ゼラチン、寒天、酸味料、塩化マグネシウム、増粘剤(グアーガム)、乳化剤、香料」
カロリーメイトおまえもか。これは見なかったことにしておこう。
◇
ついでに、今回の調査目的からはまったく外れるのであるが、“
野菜生活100ジュレ ヘルシートマト”なるものを発見。コンビニでウイダーinゼリーを買うとき、隣にこの子がいたのだ。
で、シャレのつもりで試してみたら……これ、め、めっちゃウマいですがな! なんてさわやか♪ &フルーティ♪
ウイダーinゼリーの180キロカロリーに対しこちらは100キロカロリーで、食事としてはまったくエネルギー不足であるが、これは野菜ジュースの代用商品ゆえ、これでいいのだ。
トマトを2個使っているのだそうで、どうやらそれを主な原料としてゼリーにしてあるらしい。すべての原材料名を並べてみても、「野菜(トマト、キャベツ、なす、アスパラガス、セロリ、はくさい、だいこん、ケール、レタス、クレソン、ほうれん草、パセリ、ビート、かぼちゃ)、果実(りんご、ぶどう、レモン、いちご、もも)、ゲル化剤(増粘多糖類)、香料」と、添加物は増粘剤と香料だけ。さすがカゴメ野菜ジュースシリーズ!
朝の青汁を野菜ジュースで代用している人で、かつ「これじゃ物足りないぜ。なんか、ちょっとでも食事したって満足感を得られるものが欲しい」という人に超オススメである。
(この「トマト」は生産中止になりましたが、同じシリーズの「30品目の野菜と果実」があります。こっちもめちゃ美味し〜)
https://goo.gl/kUXJ6Q ◇
ウイダーinゼリー、カロリーメイトゼリー、野菜生活100ジュレ、みんな、おいしかった。おいしかったけど、う〜ん、やっぱりこれって、健常者のためのものなのである。
どうも、いまいち、吸収できている感じがしない。同じカロリーをとっても、栄養剤のときよりもおなかが減るのだ。やっぱし、栄養剤はエラいんだな〜。
そこでだ。市販のものでも、栄養剤みたいな、病人を意識して作ってあるものって、ないかな? “エレンタール”ほど完全な「消化済み」にはなっていなくて、いくらかは自分で消化しなくちゃいけない介護食にしてみるっていうのは、どーだろ。
さっそくネットで探してみる。
「お! あるじゃーん!」
こんなん、出ました。
“
テルミール”
http://www.e-terumo.jp/Page/terumeal.aspx?advc=1113001L&utm_source=AdWords&utm_medium=cpc&utm_campaign=terumeal “
メイバランス”
http://meiji-wellness.jp/SearchItem?BUY_KB=0&LINK_NO=2&LAYER=2&CID=109®ULAR_KB=0 “
メイバランスソフトJelly”
http://meiji-wellness.jp/SearchItem?PROP_ID_8=-1&FREE_WORD_SUB=%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%BC%E3%83%AA%E3%83%BC&x=8&y=11&BUY_KB=0&LAYER=2&CID=109&LINK_NO=2®ULAR_KB=0 (これらのリンクは、画像を確認したい方のために張りました。さっきの野菜生活とちがっておすすめリンクではありません。理由は後述。)
それぞれ味のバリエーションがいっぱいあって、楽しそう♪ ん〜、でもバラ売りがないな。ネットだからしょうがないけど、12パックとか買ってマズくて飲めなかったらシャレにならんぞ。
あっ、テルミールにお試しセットがある。6種類すべての味が1個ずつ。じゃ、これにしましょう。ポチッとな。
翌々日、“テルミール”到着♪ さっそく飲んでみましょう。まずは私の好きなコーヒーから。いやこれはコーヒーじゃないのだ。“コーヒー味”から。
「むう……」
ま、まあ、味は、こんなもんだよねえ。はじめから期待していません。吸収できるかどうか、そこが問題なのだ。
その吸収であるが、うーん、だめ。
栄養剤エレンタールと、あまり変わらない。ピーピー下痢になってしまう。しょうがない。残りはエレンタールのかわりに、エレンタールよりはおいしい栄養剤として飲むことにしよう。
で、飲んでいくと、“バナナ味”がけっこう健闘しているではないか。このとろみのある流動食の食感(のどごし?)が、バナナの風味とじつに好相性。ほかのコーヒー味とかカフェオレ味とかがなんだかとってつけたような味なのに対し、これはちゃんとドリンクとして成立している。
さらに意外な伏兵だったのが、“コーンスープ味”。送られてきたお試しセットの中でこれだけが明らかに異彩を放っており、はじめはゲテモノかと思ったが、なかなかどうして、飲んでみたら「あ、おいしい。」ふつーに、コーンスープです。
ところでこの“テルミール”、つくっているのは体温計で有名なテルモ。テルモの介護用食品だからテルミールである。……ネーミング会議は5秒で打ち切られたのだろうか。まあいいけど。
◇
後日、薬局で、バラ売りされている“メイバランス”および“メイバランスソフトJelly”を発見、ゲットした。
こっちは明治がつくっているバランス栄養食だからメイバランスである。……この業界はネーミングにこだわってはいけない何か慣習でもあるのだろうか。まあいいけど。
味はいろいろあるが、買ったのはメイバランスがコーヒー味、メイバランスソフトJellyがヨーグルト味だ。
まずメイバランスからトライ。うん。テルミールと、まんまいっしょですな。
お次。メイバランスソフトJelly。ゼリー飲料は、いままでの例では味がずいぶんよかった。いやがうえにも期待が高まるってもんである。さ、飲んでみよ♪ ちゅるり。
「ぐはあっ!」
な、なんじゃああこりゃああ!
くそ不味い!!
私は、めったに、食べ物に対して、たとえそれがいかほど不味くとも、そんな失礼なことを言わないようつとめているつもりだが、これは不味い! いや、美味いとか不味いとか議論を始められるレベルではない。これは食品でない。吸いこんだ瞬間、かわきかけた紙粘土を口の中に突っこまれたのかと思った。あるいは風呂のタイルの目地をうめるパテか。どっちも食べたことはないが、きっとこんな味だ。驚愕だ。驚きの不味さだ。
それでも、吐き出しそうなのをガマンして、ふた口、み口、飲みこんだが、もう限界。アンビリーバボー。ギブアップ。もったいないけど、しょうがない。繰り返すが、これは食べ物ではない。
メイバランスの飲料のほうは、それなりにイケるのに、どうしてゼリーにしたとたん、こんなざまになるのか? これは介護食であるから、老人の施設では食事として与えられているケースもあるだろう。こんなものを、毎食、食わされたら、生きていくのもイヤになる。そんな状況下にあるおじいちゃんおばあちゃんは、まことに気の毒である。製作スタッフには猛省を求めたい。
そしてテルミールにせよ、メイバランスにせよ、さらにいただけないのは添加物だ。
<テルミールコーヒー味 の原材料名>
「デキストリン、植物油、乳たんぱく、砂糖、カフェインレスコーヒー、食塩、酵母、昆布抽出物、V.K2含有食用油脂、カゼインNa、乳化剤、セルロース、香料、塩化K、V.C、カラメル色素、pH調整剤、安定剤(カラギナン)、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄、V.E、パントテン酸Ca、ナイアシン、グルコン酸銅、V.A、V.B6、V.B1、V.D、V.B2、葉酸、ビオチン、V.B12、(乳を原材料の一部に含む)」
<メイバランスコーヒー味 の原材料名>
「デキストリン、食用油脂(なたね油、パーム分別油)、乳たんぱく質、難消化性デキストリン、ショ糖、コーヒーエキス、食塩、食用酵母、カゼインNa、香料、乳化剤、リン酸K、クエン酸Na、ビタミン、水酸化K、炭酸Mg、硫酸鉄、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、pH調整剤、(原材料の一部に大豆を含む)」
おいおい! これって、介護食じゃないの? 年寄りは、もう老いさき短し、食品添加物ごときの化学物質は食べさせても支障あるめえ、ってことでもあるまい。
そしてこれはウイダーinなどのゼリー飲料もそうであるが、主成分がほとんど遺伝子組み換え原料である。“デキストリン”なんて書いてあるから何のことだかわからないが、これは遺伝子組み換えトウモロコシのデンプンを分解した糖のことである。“果糖ブドウ糖液糖”もそうだし、ほかに“植物油”も特に記述がなければ遺伝子組み換えの大豆かナタネが原料だ。
まあ、加工食品に文句をいってもしょうがないんだが、もう少しなんとかできるはず。“
野菜生活100ジュレ”はあんなにまともなのだ。やろうと思えばできる。
◇
ちなみに、介護食の悲惨さといったら、これらにとどまらない。
私は、松本先生から「なに食べてもええで〜」と言われるまで、こんなおなかでも吸収できるものはないものかと、低脂質のレトルト食品や流動食を探し回り、ニチレイの糖尿病食やらキユーピーの介護食シリーズやら、この手の市販品はおよそ食べ尽くしたが、「うまい」と思ったものが一つもない。それどころか、いちど食べたら二度と口にしたくないと心底イヤになるものばかりであった。
理由は、レトルトゆえに素材の味が死んでおり、調味料の味しかしないからだ。さらにその味つけが残念である。甘い。くそ甘い。塩をなるべく使わないので、味が決まらず、それでは食べられたものではないから、砂糖をたらふくブチ込んでなんとか料理として成立させようとしているのだ。
とにかくこれが介護食の実態で、もしこんなものしか食べられないとしたら
絶望の日々である。
◇
おっと、これは味の品評会ではなかった。吸収はどうだったか? というと……。
う〜ん、どれもこれも、栄養剤とかわりばえしないねえ。やっぱりピーピーになる。いや、むしろ若干、悪化するかんじだ。
――ということで、結論。
・ゼリー系は下痢の悪化はなし。でも吸収できている感じもなし。
・介護食のトロトロ飲料はエレンタールよりも下痢が悪化。
→ よって、すべて却下。
加工食品のろくでもなさを再確認するだけの結果となった。さて、どうしたものか。
(つづく)
◆ 編集後記
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二度と買わねー。
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