腸にウェルシュ菌がいる人いない人 [2014年05月09日(Fri)]
◆続・クローン病中ひざくりげ(79)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ クローン病って、なじみがうすい。私も自分がなるまでは名前すら知らなかった。 しかも症状がひとつではない。腹痛、下痢、発熱といろいろあるので、どういう病気なのかいまいちわかりにくい。 そこで、どんな病気かを人に説明するとき、しかも一言で説明するときに、どうしているかというと――「なにを食べても食中毒になる病気です」。これでだいたいは納得してもらえるのである。 そしてこのたび、実際、私は食中毒になっていたことがわかった。ウェルシュ菌を殺す“フラジール”を飲んだら症状が激減したからだ。 ◇ 「宿便はウェルシュ菌などの悪玉菌をつくり腸の粘膜に炎症やただれを起こします」 そう本に書いた。 宿便の何が悪いといって、このウェルシュ菌が生みだされるから悪いのだ。 私は2行ですませてしまったが、甲田光雄先生の本には詳しくこう書かれている。 ◇ 宿便をためないようにするということが大事です。つまり、食べ過ぎをいつも注意するという(食べ過ぎない)ことが、とても大事です。 それから特に、よくないことは、肉類をたべるということです。肉がどういうふうに悪いかということを説明しますと、一番肉で影響を与えるのは、腸の中の細菌です。腸内細菌がいっぺんに悪くなります。肉を食べるとウェルシュ菌のような、悪い菌が増えてきます。そうすると、腸の中がアルカリになります。腸の中がアルカリになってくると、善玉菌が育ちません。ですから、悪玉菌がどんどん増えてきます。すると、病気になってしまいます。善玉菌を増やすためには、腸の中をいつも酸性にするということが大事です。酸性にするには、肉をあまり食べてはいけません。 (中略) 便1gの中に、1兆の細菌がいます。みなさんの便は乾燥した重さで1500gぐらいあります。ということは、1500兆の菌がいるという、まさに天文学的な数になります。その菌と人間の体は、非常に密接な関係があります。ですから、腸の中をいつもキレイにしておくということが、健康法の一番大事なことといえるのです。 (中略) 少食で、肉食をあまりしないことです。特にウェルシュ菌が一番悪玉です。肉を食べるとこれがワーッと増えます。パプアニューギニアの原住民の食事は、タロイモやサツマイモが主で、肉はほとんど食べません。かれらは非常に健康です。ウェルシュ菌を調べると、1gの便の中に10万のウェルシュ菌がいます。一般の方の10分の1です。ところが、1年に1回だけ、豚をお腹いっぱい食べる祭りがあります。すると、お腹が痛くなり下痢をします。一晩でウェルシュ菌は、100億に増えてしまいます」 (『あなたも今日から健康になれる方法』) ◇ 2日目のカレーもヤバいが、腸の中はそれ以上にヤバい。体内の温度は37度である。もしこれを気温だと思ったら、季節はいつだろうか。真夏にカレーのナベをほったらかしにしているのと同じだ。 では、どうすればこの腸の中を、ウェルシュ菌が育たない環境に変えられるのか? さきほどの甲田先生の文章から答えを抜き出すと―― 「腸の中をいつもキレイにしておくということが、健康法の一番大事なことといえるのです。(中略)少食で、肉食をあまりしないことです。特にウェルシュ菌が一番悪玉です。肉を食べるとこれがワーッと増えます」。 さらに甲田先生はこう続けている。 ◇ ウェルシュ菌が多いと、便が非常にクサイです。みなさんも、クサイ便やクサイおならが出るということではダメです。(中略)便がアルカリになってきたら、もうダメです。酸性でないといけません。ですから便の色が、黒褐色、茶褐色になってきたらこれは、アルカリになっているということです。 ある娘さんの便を調べてみたら、アルカリ8.3になっていました。非常に高い数値です。その娘さんに、普段何を食べているのか聞くと、毎日お菓子ばっかり食べていると言います。ケーキや、クッキーなどばかり食べていたら、腸の中は悪玉菌ばかりになります。ウェルシュ菌が増えて、便がアルカリになります。そんな人の便は、鼻もちならないです。 (中略) 穀物菜食を続ければ、半年すれば便のニオイは本当になくなります。みなさんも、ご自分の便とおならをよぉーく観察して、ニオわないようにしていかないといけません。 (中略) 一つにはストレスが関係しています。ストレスがたまると、腸内細菌がグッと変わります。ストレスをためる人は、ウェルシュ菌が増えてきます。 (同) ◇ ウェルシュ菌を減らすには、一、少食にして宿便をなくすことでその発生源をたち、二、かつストレスをためないことで腸の免疫機能を高め悪玉菌を殺せるようにしておきなさいというわけだ。 さて、ここで一つ、気をつけねばならないことがある。この甲田先生の言葉を読まれて、「動物性食品はいけない」という印象が強く残ったのではないだろうか? しかし、先生は「まず少食ありき」の話をされていることに留意すべきだ。 まず先生は少食にしなさいと説き起こされているのだが、このような話をきくと、肉やお菓子のくだりだけが頭に残って「じゃあ肉もお菓子もやめよう」と極論に走りがちである。それでもいいのだが、こういう暴走はあまり長く続かない。やはり、まずは少食にするところがスタートでなければならぬ。 少食を忘れ、肉やお菓子をガマンして「ほかのものならだいじょうぶ」と腹いっぱい食べていたら、宿便はいっそう溜まり、けれども食欲は満ちていないのでストレスも溜まって、相乗効果でウェルシュ菌が増えるばかりだ。 悪いのはあくまでも、宿便なのである。宿便はよくない、なかでも肉や洋菓子の宿便がよくない、という順序で説かれていることにご注意いただきたい。 ◇ この健康法は、禁欲をする健康法だとよく間違われる。 まったく肉をやめる、いっさいお菓子をつままないとなると、一部の人しか実践できない特殊な健康法の領域に入ってくる。精神的にもきついし、人づきあいに支障がでることもあろう。実践できるのはよほどの動物愛護者か仙人に限られてしまう。 そもそも人間には犬歯(糸切り歯)がある。これは肉食のための歯だ。肉も多少は食べていいように人間の体はできているということであろう。 甲田先生は、難病の人にこそ肉をまったく食べないよう指導されたが、ふつうに健康のために少食をしようという人に対して、肉を一切やめろとは言われなかった。 ただし、 「肉を食べるのは殺生(せっしょう)をしているのですよ」 と、そこは忘れてはならないと釘を刺しておられた。 これは、肉を食べることで健康がどうこうという議論以前の問題だ。肉をどのていど食べるか、あるいは食べないかは、思想であり生き方である。私たちは生き方を選択しなければならない。 肉を食べるとウェルシュ菌が増えるのは、殺生罪(せっしょうざい)の報いであろう。生き方を選択するためのヒントが、示されていると思う。 ◇ ちょっと話は変わるが――。 甲田先生の言葉にこうあった。 「肉を食べるとウェルシュ菌のような、悪い菌が増えてきます。そうすると、腸の中がアルカリになります。腸の中がアルカリになってくると、善玉菌が育ちません」 これは、「善玉菌を増やすために」とヨーグルトを食べても意味がないということである。 ヨーグルトのテレビCMをみていると 「生きた乳酸菌が腸まで届く!」 と元気がいいが、乳酸菌が生きて腸まで届いたところで、住みつくことはできないのだ。 腸の中は、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)といって、腸内細菌同士のナワバリができている。 「こんにちは。新参者です」 とビフィズス菌やらカゼイシロタ株がやってきても、 「ワレぁ、だれに許可もろて商売しとんねん。ここはウェルシュ菌のシマじゃあ」 と追い出されてしまう。ここが試験管の中と腸の中との違うところである。 ヨーグルトが好きだからデザートとして食べるというのであれば、洋菓子などよりはずっとよいが、ヨーグルトで腸の善玉菌を増やしてやろうと思ってもそれは失敗である。 「穀物菜食を続ければ、半年すれば便のニオイはなくなる」とのこと。こんな腸であれば乳酸菌は勝手に増える。そしてこんどは乳酸菌がナワバリをつくってウェルシュ菌を駆逐してくれる。 ところが、そうしてつくりあげた美しい腸も、パプアニューギニア人の話にあったように、腹いっぱい肉を食べた一夜にして変わってしまう。優等生になるには時間がかかるが、ワルには一晩でなれるようなものだ。 ローマは一日にしてならず。病気にならない腸もまた一朝一夕にはいかないのである。 ◇ クローン病の松井のばあい、毎日おなかを下しているから、育てるのに時間がかかる善玉菌がどうしても育たない。かわりに、ウェルシュ菌のような悪玉菌は、10分あれば2倍に増えるワルなのでいつもおなかの中にいる。これにずっとやられてきたのだ。 そして、これほど私を苦しめている、同じ菌が、宿便のある人のおなかには常にいるのである。「なんとなく不調」なのはウェルシュ菌を疑ったほうがよい。 こんな菌を腸に飼わないために1日2食の少食にするのである。 (つづく) ◆ 編集後記  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ おっ? きょうは1日2食のメルマガじゃん。 ◆このブログはメールマガジンの記事をアップしたものです。 最新の記事は、メールでお送りしています。 無料購読するには今すぐここをクリック |