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松井 二郎
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いざ死と向き合ったとき問われるもの [2020年12月28日(Mon)]




 こんにちは。松井です。
 いざ、がんを宣告された。そのとき、
肉体的苦痛を取り去って考えていいのなら、
向き合うべきがんの苦痛は、
死ぬことそのものの苦痛、
だけ、
となります。

 しかしこれは、大問題だ。
学校のテストでさえ一夜漬けでは落第する。
こんな人生最大のテスト、
いざ宣告されたときじゃ、間に合わない。

いかに、平生(へいぜい)の、
元気な、
いまのうちに、
死への心がまえをバッチリ決めておくかが
問われます。

それをしていないから対処も誤る。


 中村医師はこのことを力説していて、
本の後半に書いてあることはほとんど
死への心の持ち方についてです。

ご自身の死生観を持つうえで
重要だった体験をいろいろ挙げ、
最後にこう結んでいます。


       ◇


 「最後が仏教とのご縁です。
昭和59年、
心臓が2秒半も怠けたかと思うと、
一転して早鐘のように打つという、
かなり強烈な不整脈に見舞われ、
のど元が詰まって
夜中に飛び起きるという発作に、
再三見舞われました。

24時間記録する心電図をとっただけで、
薬という異物を使って
何とかしようとは思わなかったので、
循環器科へ行こうとは思いませんでした。

しかし、生きていくためには、
何か拠り所が必要なのです。
医学がダメなら宗教かということで、
聖書を斜め読みしましたが、
自分の力で生きてきたと信じ込んでいる人間が、
絶対神などおいそれと信じられるわけがありません。


キリスト教がダメなら
仏教かとなったわけですが、
供養だ儀式だといっているシロモノが、
本当に生身の人間の
拠り所になるんかいなと、
ずいぶん懐疑的だったのです。

でも、必死でしたから、
入門書を読み散らかしているうちに、
大変な誤解をしていたことに
気づいたのです。
仏教は、生きるための指針を説いていたんです。
それがわかってからは、のめり込んでいきました」


(中村仁一『大往生したけりゃ医療とかかわるな』
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4344982487/jironosyosai-22/


       ◇


 そうなると、ちょっと気になることが。
中村医師は、意図的に、書かなかったことが
あるんじゃないか。

 この本を読んでいると、あたかも
「安らかな死に方」ができれば
それが「大往生」である、
ように思わせるふしが見受けられるのですが、

仏教で教えるところは必ずしも
そうではないからです。


 シャカは
三位(さんみ)の臨終】というものを
説いています。
死には、3つの段階があるのだと。
つぎの順番で
ひとは死んでいくとのことです。

(1段階)
 【心明了位(しんみょうりょうい)の臨終
  ……目、耳、鼻、舌、体を
    動かしている心が死ぬ

(2段階)
 【身体愛法位(しんたいあいほうい)の臨終
  ……意識が死ぬ

(3段階)
 【心不明了位(しんふみょうりょうい)の臨終
  ……意識を動かしている心が
    次の世界に転生する


 この3つが順番に起きていくといいます。
臨終の表情が穏やかだからといって、
それが
心のなかを映しているとは限らない。

もはや表情筋を動かす力がないから、
安らかな顔のままで固まっているだけのことで、
内心は、
迫りくる死への恐怖に阿鼻叫喚(あびきょうかん)
しているかもしれない。

もし、そうであれば、
大往生とはいえないでしょう。


 シャカが「往生」ということばを
使うときは、
「極楽浄土に往って生まれる」
という意味です。
もし死んで怖いところに行っているなら
往生ではありません。


 じゃあ、死んで極楽浄土へ往くのか、
阿鼻地獄におちるのか、判断できるか。

そもそも浄土や地獄が、あるのか。

あるなら、自分はどっちへ行くの。

それはいつ決まるの。今なの。
臨終なの。

今なら、何か変わらないといけないの。
このままでいいの。


 少なくともこれらの問題に答案を
提出できるようになっていないと、
試験当日に
とても大往生とはならないでしょう。

 「大往生」
をタイトルにかかげるなら、
そこまで書いてほしかったなあ、
と思うのです。


  ◆まとめ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  平生(へいぜい)のとき、
  いつがんの宣告を受けても安心な
  心になっておけるかどうか。
  いざというとき、そこが問われる。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 まして一夜漬けの勉強さえすることなく死に突っこめば、
神だのみよろしく医療ビジネスに命ごいをするほかはない。





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