• もっと見る
«なぜ恐怖体験は現実感がなくなるのか | Main | 信じたい、信じられない»
ブログ内検索
 
検索語句
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
このブログの著者

松井 二郎さんの画像
松井 二郎
プロフィール
ブログ
著者のホームページ
「私は性格が悪い」と思っている人に朗報 [2014年12月28日(Sun)]

 こんにちは。松井二郎です。
 みなさんから多くのご好意をいただいた「まぐまぐ大賞」ですが、入賞は なりませんでした……。
 あ゛あ゛〜、 残念っ!
 せっかく、熱いメッセージもたくさんいただいたのに、わたしの不徳のいたすところでございます。
 また来年から気持ちも新たにして、いっそうのメルマガ道に精進する決意です(そんな道あるんか)。

 というわけで、じつは今回が、今年最後のメルマガです。
 では、どうぞ。




  ◆続・クローン病中ひざくりげ(102)
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 よもや脳内麻薬を出していたとはつゆ知らず、私は小学校6年間、いじめに耐えてしまった。
 「体はどのように私たちがトラウマを生き延びるかには関心がありません。生き延びることだけが、体の関心事なのです。生き延びるためにできる唯一の方法が、虐待を受け入れることであれば、体はあきらめてそれを受け入れます。」
 そうだ。この通りことを、私はあのとき、やっていた。
 いや、ちょっと待てよ。待て、待て。そういえば……もっと幼いころから、私は、これをやっていたぞ!

          ◇

 私には3つ上の兄がいて、よくケンカをした。ケンカといっても、いつも私が叩かれて泣かされる役なのだが、それだけでもイヤだったのだが、父に発見されたが最後、
 「ケンカ両成敗だ!
 ふたりとも頭もってこい」
 しずしず、並んで頭を差し出すと、頭が裂けるんじゃないかと思うほどのゲンコツが降った。指の骨の出っぱりのところでゲンコツするのである。
 「頭もってこい」
 これを言われたら、もう、観念するしかない。黙って頭を差し出すほかないのだ。あの鋭い痛みは、よくわかっている。下を向き、目を閉じ、それからゲンコツが降ってくるまでの時間の、あの恐怖といったら!

          ◇

 「生き延びるためにできる唯一の方法が、虐待を受け入れることであれば、体はあきらめてそれを受け入れます。」
 学校に行く前に、すでに、やっていたのだ。あれを虐待といったら、父がかわいそうかもしれない。しかし、あれでクセになってしまったのではないか?暴力に対して、されるがままになることが。
 本には、このあとの影響がさらに詳しく述べられている。――

          ◇

 トラウマに遭った人々によく見られるもう一つの一般的な体験は、分離、またはうつの状態からハイテンションの状態へと、行ったりきたりすることです。
 誰かがほんのちょっと批判的な言葉を口にして彼をカッとさせるまでは、彼の人生はうまくいっています。でも批判されたとたん、彼は怒って「いつも意地悪をされる」とわめきます。しかし、その後で、いくら褒められても、落ち込んで元気をなくしてしまいます。
 化学物質の変化の影響のもとでは、人は朝は社交的で元気なのに、お昼になると一人になりたがることもあります。その人のトラウマの歴史を知らないと、この人は気分に障害があるのではないかと思いがちです。(中略)しかし、原因はその人の性格にはありません。これはホルモンのアンバランスから起こる、トラウマ後の症状なのです。

デイヴィッド・バーセリ『人生を変えるトラウマ解放エクササイズ』

          ◇

 「批判されたとたん、彼は怒って『いつも意地悪をされる』とわめきます」。あぁー、もぉー、まったくそのとーり。「しかし、その後で、いくら褒められても、落ち込んで元気をなくしてしまいます」。はい、ごもっとも……。
 おれって、なんて性格悪いんだ、人でなしだ、ろくでなしだと思っていた。
 しかも、そのたびにいくら反省しても、また同じことをやってしまう。どれだけ欠陥人間なんだ。ホトホト、いやになっていた。
 けれども、私の人格がショボいのではなくたんにホルモンバランスの乱れと知って、だいぶ救われた。そして、これから治せるという希望が湧いた。
 それと、もう一つ、まえから困っていた性格があるのだが……。いや、てっきり性格と思いこんでいたものがあるのだが、それも、どうやら、たんにトラウマの影響らしいのだ。――

          ◇

 トラウマ体験をした子供の少なくとも半数は、青年期や大人になってから深刻な症状を呈します。(中略)脳がまだ発達中のころに子供たちがトラウマに遭遇すると、トラウマを抜け出すために役に立つ方策を自分で作り出します。大人も同じようにします。誰もが直面している問題を何とか処理する方策を編み出すのです。幻想の世界へと逃げ込む、友人から離れる、一人になるのを避けるために過剰に社交的になるなどです。
 成熟して健全な精神状態にある大人と発達途上の子供の違いは、大人の場合は一度その方策が目的を果たすと、それを捨てることができることです。大人の脳にとって、この方策は絆創膏(ばんそうこう)の役目を果たしています。しかし、発達途上の子供の脳は一時的な目的のための方策と、永久的な性格として脳に刻み込まれる行動パターンの区別がつきません。
 もし子供がトラウマに満ちた環境で成長すると、トラウマと付き合うための思考パターンを使わざるを得ません。また、こうしたパターンは彼らの思考プロセスに織り込まれ、一生彼らに付きまとう可能性があります。
 すると、トラウマを受けた子供は初めての出来事やびっくりするような出来事を、いつもトラウマをもたらす危険性があるものとして処理し始めます。そして普通の事柄に対しても過剰に反応するようになって、過剰な興奮やいわゆる「解離的行動」を取るようになります。
(同)

          ◇

 困った“性格”と思い込んでいたものとは、これ。家内に指摘されてはじめて自覚したのだが、私は、ホンのちょっとしたことで、えらく大声を出すのである。
 食事中に汁物をこぼしてしまうと「わぁーっ!」と叫び(病気でへんな姿勢をしてるからよくこぼすのよ)、家具や柱にすこし体が当たると「ぎゃーっ!」と悲鳴をあげる(病気でフラフラしてるからよく当たるのよ)。
 家内は、何があったかとえらく驚き、理由を知ると、あまりのささいなことに溜め息をつくのである。
 私は、事実、びっくりしているし、ものすごく痛いと感じているし、大げさに声をあげているつもりはまったくないのだが……。
 自分が異常な行動をしていると知り、困っていたのだ。またこの本に助けられた。
 私は「びっくりするような出来事を、いつもトラウマをもたらす危険性があるものとして処理し」「普通の事柄に対しても過剰に反応」していたのだ。

 (つづく)




  - PR -




 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 まぐまぐ大賞には入賞できませんでしたが、投票していただいたこと、あなたがこうして読んでくださっていることが、わたしにとっての、栄誉です。
 いつも応援ありがとう。ことし一年ご愛読ありがとう。
 よいお年をっ!





 ◆このブログはメールマガジンの記事をアップしたものです。
 最新の記事は、メールでお送りしています。

 無料購読するには今すぐここをクリック