ガマンできないのは、痛みではない [2012年10月30日(Tue)]
韓国語版の松井の本、みなさんにも表紙を見てもらいましたが、 「書いた本人、なに書いてあるかわかりませ〜ん」 と嘆いたら、タイトルを教えてくれた方がありました。 ↓ > 表紙は > 「朝ごはんは絶対に食べるな」です。 > 強い語調になっています。 > (S) おー! ってことは、やっぱり、あのちっちゃい英語表記は、ハングルのタイトルの訳文だったんですね。 と思ったら、こんなメールも。 > いつも松井様のメルマガを楽しく拝見しております。 > 韓国版のサブタイトルですが、 > NEVERじゃなくてNAVERになっています。 > もしかしてこの誤字のまま出版されてしまうんでしょうか? > それとも、韓国で出版されるだけに、 > 韓国の有名なポータルサイトのNAVERと引っ掛けている > だけなんでしょうか? > おそらく私以外にも同様の指摘がありそうなので、 > ぜひ来週のメルマガにそのことについてコメントして > 頂けたらと思います。 > それでは、失礼します。 > (A) えっ、マジで? どれどれ……。 「NAVER EAT BRAEKFAST」 がっぴょーん! ほんとだ。気づかんかった……。 この本、もう日本語版スタッフの手からは離れちゃってるんですが、さっそく編集者さんにお知らせしたところ、すぐに確認してくださいました。(いつもお手間かけます、Kさん!) 案の定、誤植だったそうで……。 でも、いまは直されていて、ネット書店でも 「NEVER EAT BRAEKFAST」 になったものが売られているとのこと。 おおっ、ほんとだ! http://www.yes24.com/24/Goods/7264566?Acode=101 このサイト、いよいよ私にはまったく読めんが(笑) 私が入手したのは、古い版のものだったようです。いやあ、よかった、よかった。 それにしても、目立ちすぎる場所って、かえって気づかないもんですね〜。ご心配をおかけしちゃってスミマセン。 ご指摘、ありがとうございました! ◇ それでは前回の続きです。 ◆続・クローン病中ひざくりげ(24)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ おしりのキズは、治ってこない。 治るどころか、新たなしこりが、こんどは肛門の右側にできた。 前回、これが左側にできたときは、2週間ほどでミカンのL玉くらいに腫(は)れあがり、激痛となったのだ。 「これから、またあの地獄がくるのか」 心配でならず、その日はなかなか寝つけなかった。 ◇ 一夜あけ、指でさわってみると……。 大きくなっている。 歩いてみた。 「うっ」 これまでは、歩くと肛門の左側のキズが股(また)にすれて痛いものだから、かばって右足に力をいれて歩いていたが、こんどは、そうやって歩くと、肛門の右側がすれて痛い。 ふつうに歩くしかない。 「うっ!」 肛門の両側とも、痛い。 なんてこった……。 ◇ しこりは日に日に大きくなり、日に日に痛みを増した。 ついに夏ミカンくらいの大きさに腫れあがった。 私は再びフトンの上で、ああ、うう、と悶絶していた。抗生物質を飲んでも38度の熱がでる。 またも "肛門周囲膿瘍(こうもんしゅうい のうよう)" となった。 「さて、肝っ玉ってやつをすえてかからにゃならんようだな……」 おそらく、この腫れが限界まで膨(ふく)れるのを待ち、さらにしばらく放置すれば、このまえと同じように、やがて皮膚が破れ、ウミがどっさり出るだろう。そうすれば、とりあえず激痛はひく。 すると "肛門周囲膿瘍" ではなくなり、"痔瘻(じろう)" と病名が変わる。 このまえ少し説明したが、"痔瘻" は、痔という名はついているがふつうの痔とはまったくちがう。直腸にできたキズが腸を食い破っておしりの皮膚まで穴をつくったもので、その穴からウミがたえず出続けるというものである。 この "痔瘻" も痛いが、"肛門周囲膿瘍" の気も狂わんばかりの痛みよりはマシだ。 したがって、かくなるうえは、早々にこれを "痔瘻" に変えるべきである。 問題は……いつまで耐えれば、穴があいてくれるか。 これがまったく読めない。 このまえはたしか3週間くらいで開通したが、今回もそうとはかぎらない。ともすると1ヵ月、2ヵ月と悲鳴をあげねばならないかもしれない。 その覚悟をきめねばならんのだ。 「それならば、さっさと外科で切ってもらったほうがいいのか……」 ふつう、この肛門周囲膿瘍になったら、さっさと病院の外科にかけこみ、腫れた部分を切開してウミをだしてもらうのが常道。そうすれば早く痔瘻にすることが可能である。 しかし私は、イヤだった。 麻酔注射をされるから。 あれも免疫をおさえる薬だ。できることなら避けたい。 だが、その代償に、いつまでフトンの上で悶えねばならないのか? 「ぁぎぃゃあー!」 痛みは、瞬時も休まらない。 どうする。どうする。 ◇ どうする、と私が考える以前に、担当医がこれを見逃してくれるはずがない。 月に一度の診察の日になった。 とりあえず、この新しい腫れのことは黙っていよう……。 血液検査をしたところ、炎症の度合いをしめす値が異常に高かった(CRP: 11)。やばい。バレるか。 しかし医師は、古いほうのキズが膿(う)んでいるものと思ってくれたらしい。 「熱はでてます?」 「はい。38度」 「ああ〜、そりゃ入院しないと」 え? にゅ、入院はもう、とうぶんイヤです。 「外科で切ったほうがいいと思うなあ。いま抗生物質飲んでるんですね。抗生物質も、ウミがたまった状態だと効きが悪いですよ。血流が届かないもんですから。抗生物質は、中途ハンパに飲んでいるとだんだん耐性菌もできてきます。そうすると抗生物質が効かなくなって、治療がすごく大変になる。そうなる前に、ガッ! と一気に治しちゃったほうがいいんですよ。いちばんいいのは、いつも言ってますけど、レミケード」 ですから、レミケードは冗談じゃありません。 だが、たしかに、外科で切るのは検討すべきだ。 「切るのは、ウミが皮膚付近まできていればちょっと切ればいいから、ほとんど痛くもないくらいだし。外科の先生におしり見せて、はいどうぞ、ってお任せするのがいちばんいいと思うけどなあ。なにがイヤなの?」 麻酔がです。 とはいえ。 おしりが自分で穴をあけるのを待つといっても、いつまで待てばいいのか見当もつかない。いつとも知れないエックスデーを待って、来る日も、来る日も、つねに痛みに耐え続け、叫び声をあげ続けるのは、これはどうみても、その強いストレスに対抗するため、自らステロイドホルモンをバラまきまくっている。こっちのほうが、むしろ免疫を抑えてしまわないか? 痛いのはガマンする。しかし免疫を抑える行為はガマンできない。 どうする。どうする。 ◇ どうする、も何も、独断はいけない。 さっそく松本仁幸先生にお電話した。 「外科でウミをだすのは、やってもいいんでしょうか」 「うん、それはええよ」 おおっ! そうですか! それはありがたい。 「麻酔注射は、必要悪、なのでしょうか」 「ああ、そう思ったらええ」 よし! そうと決まれば、早いほうがいい。 そのまま、同じ病院内の外科をたずねた。 (つづく) ※松本医院での診療を希望される方は 松本医院ホームページ http://www.matsumotoclinic.com を 熟読のうえにも熟読されてからになさいますよう、 お願いいたします。 ◆ 編集後記  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 子供のころ、おしりに注射されただけで泣き叫んだのを思いだします。 ◆このブログはメールマガジンの記事をアップしたものです。 最新の記事は、メールでお送りしています。 無料購読するには今すぐここをクリック |