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後退? 絵に描いたモチ?/民主党社会保障改革案骨子 [2011年05月27日(Fri)]
火曜日の衆参全議員 連続討論会「税・社会保障制度の抜本改革を考える」第6回)は元総理補佐官で社会保障国民会議を担当された伊藤達也さんと現場の知見から医療制度改革を主張する松山幸弘さんにお越しいただきました。

開始時には与党議員がまったくおらず、不安なスタートでしたが、途中から参加された議員も加わり、活発な議論となりました。

とくに伊藤さんからお話いただいた福田・麻生政権時の社会保障国民会議の進め方のポイントについては、いまの政府の集中検討会議に対する示唆は大いにあったと思いますし、松山さんからお話しいただいた急性期医療を縮減し大規模グループで地域密着の医療・介護サービスができれば経営も安定化し、持続性も担保できるというお話は印象に残りました。
(レポートはこちらをください。)

さて、民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」(会長・仙谷由人代表代行)では、連日の議員による議論を経て、社会保障改革案の骨子を、昨日(26日)とりまとめました。
党内での最終調整(役員会)を経て、来週にも政府に提出する予定とのことです。

肝心の中身ですが・・・。

民主党社会保障改革案骨子

【医療・介護】
 1.後期高齢者医療制度の廃止と、高齢者に関する公費負担の見直し
 1.国民健康保険と協会けんぽの財政基盤強化
 1.認知症対策の強化
 1.介護保険料を支払う年齢を現行の40歳から引き下げ
【新年金制度】
 1.所得を把握する番号制度導入を前提にすべての公的年金制度を一元化
 1.保険料で賄う「所得比例年金」と、税を財源とした月額7万円の「最低保障年金」の創設
【現行年金制度の改善】
 1.非正規労働者も厚生年金に加入できるよう要件緩和
 1.物価スライドの見直し
 1.在職老齢年金制度の見直し
 1.基礎年金国庫負担2分の1の安定的な財源確保
【子育て支援】
 1.幼保一体化をはじめとする「子ども・子育て新システム」の実現
 1.夜間や休日の保育サービスを拡充
【就労促進】
 1.求職者支援制度や住宅手当、ジョブカードを活用

時事通信(2011/05/26-19:44)より

来週の第7回討論会で国会議員の皆さんにご議論いただく予定ですので、あんまり申し上げたくはないのですが、率直に申し上げて"抜本改革"をする気はないということですね。

政権交代前の自公政権の政策をベースに民主党のマニフェストの一部を乗っけているといった印象です。おまけに肝心のところの具体策は見えませんから、これですと政権交代前のマニフェストに書いていた時点と同じレベルの"絵に描いたモチ"です。

今後、民主党から具体的なペーパーが出てくると思いますし、政府の集中検討会議からのペーパーも含めて、ぜひ、皆さんにしていただきたいのが、火曜日の討論会でも話題になった社会保障国民会議(火曜日の討論会での資料:社会保障国民会議最終報告 付属資料)との比較です。
社会保障国民会議は、現在と前提条件が異なるところもありますし、十分に検討できていない分野もありますが、それぞれの論点に対して、民主党案よりも、それなりに真正面から向き合っていることがわかります。
民主党案があまりに目の前のことだけを取り上げ、世代間格差の解消やセーフティネットの確立、制度の継続性など、本当に取り組むべき論点から逃げてしまっているのです。

来週の討論会では、「なぜ税と社会保障制度の抜本改革に取り組まねばならないのか」といったそもそも論から、具体的に「どの分野から着手し、どの分野ならば超党派論議が進められるのか」等、議員の考えをしっかり国民が聞くことができるものとする予定です。
というのも、「なぜやるのか」という"そもそも"論をきちんと考えていないために目の前のフワフワした話ばかりを追いかけてしまっているように思うのです。
(これは与野党関係なく)

すでにU-Streamのページ(↓をクリック!!)では、論点としたいポイントも見えるようにしてあります。

ぜひ、ご覧いただき、税と社会保障制度改革の"そもそも"をみんなで考えることを通じて、あるべき姿に一歩でも近づくようにしていきたいと思うのです。

Posted by 亀井善太郎 at 01:15 | この記事のURL
どさくさ紛れ・・・/電力需給問題へのスタンスの問題 [2011年05月24日(Tue)]
地域の話から少し離れて、今日は久方ぶりの衆参全議員討論会「『税・社会保障制度の抜本改革』を考える」です。

今日の議論はすでにお知らせしたとおり、伊藤達也さんと松山幸弘さんの発表をベースに議論を進めます。

昨日の政府の集中検討会議では「安心3本柱」と称して、総理の指示が出ました。
○社会保障改革における「安心3本柱」について― 総理指示 ―

政治主導を演出しながら、実のところ、根本からは目を逸らすといういつものやり方ですし、自公政権時代とほとんど変わっていないところにいろいろ思うところがあります。
今日の討論会では、これもぜひ議論したいと思います。

さて、今日の本題です。
ちょっと前のペーパーなのですが、なんだか変なペーパーが手元に届きました。

民主党の電力需給問題対策プロジェクトチーム(PT)が業界団体にヒアリングしたもののとりまとめです。



いろいろな団体が要望を寄せていますが、中でも気になるのが日本経団連です。
様々な規制緩和や減税・免税に加えて、再生可能エネルギーの全量買い取り制度と地球温暖化対策税の先送りまで要請しています。
これがホントに経済界の声だとすると問題です。
金儲けも結構ですが、持続可能性というのは考えていないのでしょうか。
地球環境といった大きな話をするつもりはありません。
あまりに近視眼的なので驚いているのです。
結果として、コストアップや国際的に環境負荷の高い製品として認知されてしまうために、自分たちのビジネスモデルが壊れてしまう可能性を認識していないのでしょうか。

今夏の電力需給の問題は被災地のみならずすべての日本人が関わる問題です。
手痛いしっぺ返しがあることも考えておきたいものです。
Posted by 亀井善太郎 at 12:05 | この記事のURL
やっぱり地方にこそ可能性がある/週末学校初回を終えて [2011年05月22日(Sun)]
すでにお知らせしたとおり、この土日は週末学校の初回でした。
全国の基礎自治体から集まった29名の研修生の皆さんとお会いすることもできました。

プログラムは盛りだくさん。
朝から晩までみっちりといろいろなことを考える時間となりました。

プログラムの詳細→2011年度週末学校第1回プログラム

公とは何か。
それはだれが担うのか。
私益、共益、公益とは、それぞれ何か。
住民とは誰か。住民との関係はどんなものか。
国の仕組みと自治体の仕組み、何がどう違うのか。
地方"自治"とは何か。
地方分権とはどんなことか、それは実現しているのか。
公務員とは何か。公務員がする仕事とは何か。
日々の仕事の目的は何か。
そして、あなたは正しい問いに答えているのか。
よい仕事をしているか。
・・・。

そんな問いかけばかり、もっといえば、その問いかけの前に"そもそも"がつくことばかりでした。

とはいえ、この二日間、研修生に何度も申し上げたことですが、○×でもないし、三択でもない、さらには、何かひとつの正解を誰かが決める話でもありません。
大切なのは、講師の皆さんの話を反芻しながら、自分自身が自分のこととして、その問い替えに対する答えを考え続けていくことです。

理想論ばかりではないでしょう。日々の仕事(作業?)もあります。
ある研修生が言っていましたが、考えながら、そして、少しづつ、自分の考えることとすり合わせていくのかもしれません。

そして、この二日間を通じて実感したのは、やっぱり、現場のある地方(もっといえば、基礎自治体)にこそ、多くの可能性が眠っているということです。
まだまだやるべきことはたくさんあります。その可能性に気付いた首長の皆さんたちがチャレンジを続けていること、そして、そのチャレンジを楽しそうに語る姿に大いに感銘を受けました。

住民の日々の暮らしや幸せを守ること、それこそ、基礎自治体のもっとも重要な役割をひたすら愚直に考え取り組むことの意義についても、多くを考えさせられました。

このプログラムは研修生だけのものではありません。
すでに特別公開プログラムはWeb上で生中継し、多くの方々にご覧いただきました。いまも録画としてご覧いただくことができますが、加えて、今週中には、これ以外の講義も、動画やレポートのかたちでできるだけ公開させていただく予定です。
ぜひ、地方のこと、公のこと、自治のこと、いろいろなことを考えるきっかけがほしい人はぜひご覧いただければと思います。

僕も研修生の皆さんといっしょに考えながら、そして、日々の仕事に実践させていきながら、がんばっていきたいと思います。

さいごに二つ。

まずは研修生の皆さんに。
いろんなことを申し上げましたが、くれぐれも、明日からの仕事、考えすぎてボーとしたり、混乱したりすることは決してないように・・・。
次回は6月4日。復習も予習もたくさんありますが、めげずにがんばりましょう!!

そして、事務局のメンバーに(事務局ブログ)。
ここまでがんばってきた甲斐もあって、よいスタートを切ることができました。
引き続き、しっかりがんばりましょう!!!
Posted by 亀井善太郎 at 22:51 | この記事のURL
自分も当事者であること/いよいよ週末学校始まる [2011年05月20日(Fri)]
2011年度の週末学校が明日から始まります。
全国、北から南まで、地域に対する思いをもった基礎自治体の職員さんたちが集まります。

明日からの開始に向けて、事務局の思いを冨澤さんが語ってくれています。
ぜひご覧ください。→週末学校ブログ

"日本のこと"と考えると何だか抽象的ですが、我が町のこと、我がふるさとのことと考えると、具体的な課題が見えてくるはずです。

皆さんも、国のこと、とくに政治を考えると自分とは関係ない立場で評論したり、批判したりしていませんか。
実は自分も関係あることなのに、国というのがあまりに遠い存在であるが故に、自分も当事者であることを忘れてしまうのです。

その点、地域は違います。
地域の政策は自分の生活につながります。
(とはいえ、東京などの都市地域では、国と同様、地域の政策が自分とはまったく関係ないことになってしまっている現状もありますが・・・)
当事者であることを意識しながら、それぞれの政策を考えていくとどうなるのか。
そして、その政策を担っている自治体職員はどう考え、行動していくべきなのか。
週末学校では職員の皆さんを対象に講義や実習を進めますが、同じことは、職員でない私たち自身にも問われていることなのだと思います。

明日の研修の一部は特別プログラムとして一般に公開されます。
特別公開プログラム:「地方にこそ可能性がある」
地域でがんばる首長さんたちに地域とは何か、その地域で何が動き始めているのか、地域で住民と共に進めていること等、いろいろと語っていただきます。

U-Streamでも公開しますので、ぜひご覧いただき、自分自身の町のことを当事者として考えるきっかけにしてみてください。
Posted by 亀井善太郎 at 14:55 | この記事のURL
弥縫策・・・/集中検討会議で厚労省案公表 [2011年05月13日(Fri)]
弥縫策。
"びほうさく"と読みます。
一時逃れに取り繕って間に合わせるための方策のことです。

昨日の社会保障改革に関する集中検討会議で公表された厚生労働省案(概要本文)を読んで、頭に浮かんだのはこの言葉でした。

厚労省案を読むと、きれいな言葉は並んでいますが、いずれも具体的な政策に落ちていません。
具体的な政策に落ちているところがあるとすれば、それは以前、どこかで出していた政策です。自公政権時代の見直し案とかそういうところですね。

集中検討会議を再開したものの、本質的な議論はされているようには見えませんし、政治家からは何としてもやり遂げるといった気迫も感じられません。
これでは、竜頭蛇尾どころか、何も出てこないかもしれません。

批判してばかりではいけませんので、統一地方選、GWが終わり、ようやく議員さんたちが出席しやすくなった今月から、2月から3月にかけて実施していた公開討論会を再開します。

5月24日18時〜20時は震災の影響で延期した第6回を実施します。
PHP総合研究所の伊藤達也コンサルティングフェローとキヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘研究主幹をお招きします。
伊藤氏には総理大臣補佐官として担当された社会保障国民会議でのご経験を、松山氏には医療や介護の現場を踏まえ、それぞれから「税と社会保障制度改革」についてご説明いただき、その後、国会議員を交えた討論を行います。

5月31日には当面の総括として第7回を実施します。
これまで出席してきた国会議員による議論を中心にします。併せて、フロアからもご質問やご意見を賜りながら、議論を深めていきたいとも考えています。

3・11の震災は、我が国の様々な問題を明らかにしましたが、税と社会保障制度も例外ではありません。
震災復旧復興と同様、我が国が直面する重要な課題である本件について、しっかりとした議論を展開し、政治は元より社会全体への問題提起をしていきたいと思います。

是非、皆さんもご参加ください。
(間もなく東京財団ホームページに5月24日の概要がアップされます)

Posted by 亀井善太郎 at 15:15 | この記事のURL
"公"を担うのは? [2011年05月12日(Thu)]
昨日は愛知県高浜市に行ってきました。
三州瓦でも有名ですが、官民連携や地域福祉に熱心に取り組む、我が国でも有数の地方自治の先進地域です。
昨年に引き続き、今年も事業仕分けに取り組むこととなりました。
昨年の事業仕分けを受けて、今年は「事業の括り直し」や「サービス水準の見直し」等の事業の再構築を目的として、仕分けを実施します。
昨日は第1回の事業仕分け委員会です。僕は委員長として、6月19日の本番に向けて、市が取り組むすべての事業を対象に、どの事業を、どういう観点で取り上げるのか、公開の場で議論してきました。
委員の皆さんからも活発な質問や意見、また、役所の担当部局の説明や意見も交え、仕分け当日の議論で取り上げるべき課題について、明らかにすることができました。
仕分けで取り上げる事業については改めて市から発表があると思いますが、何れも、本質的な議論ができるのではないかと期待しています。

愛知県高浜市
平成23年度事業仕分け
↑高浜市の取り組みはいろいろな面で勉強になります。

委員会の前後に、吉岡市長ともお話させていただきました。
そもそも、"公"=パブリックを誰が、どんなことを担うべきなのか。
住民自身が担うべきこと、これまでは役所の職員がやってきたが必ずしも役所の職員でなくてもよいこと、そして、本当に役所こそが担うべきこと・・・。
会話の端々に、本来の行政のあり方についての考えを垣間見ることができました。

高浜市の事業仕分けは、単なる"パフォーマンス(仕分けをやりました!!!といった)"ではなく、行政の意思決定の一つのプロセスとして活かしていこうという意欲に溢れたものです。
これまでの経過を見ていても、その意欲が実際に現実のものになる可能性が大いにあるとも感じます。

吉岡市長の考えと行動力によるところも大きいことがうかがえ、ぜひとも、じっくりと改めてお話させていただきたいと感じました。

ここからは僕自身の考えでもありますが、行政改革は役所の職員の意識改革であることはもちろんですが、実は住民自身の意識改革が不可欠です。
これまでのように、あれをつくってほしい、うちの地域には何をしてくれるのか、あれが足りないという要求ばかりしている住民では、いくらお金があっても足りません。
限れられた財源は、すべての住民自身のものであり、打ち出の小槌はどこにもありません。
地域全体のことを、首長や議員、役所の職員にばかり任せるのではなく、資源に限りがあることを踏まえ、自分自身が共に考え、そして、担うべきは自分たちが担うことが必要です。

いま、地方自治体で行われている事業仕分けにおいて、「住民判定人」や「住民仕分け人」が登場しています。
彼らのスタンスは、いつのまにか、自分自身が当事者として、自分たちのコミュニティのことを考えるようになっており、そういう意味での効果はきわめて大きいと感じています。

また、震災に対する様々なサポートを見ているといろいろな形のパブリックの担い方が表れてきており、これも世の中の変化の一つだと感じています。

冒頭にも書いたとおり、高浜市は官民連携に積極的に取り組み、行政の仕事そのものを見直しました。これ自体は決して完璧なものではなく課題もありますが、高浜市の取り組みで感銘を受けるのは、常に見直しながら、よりよいものに改めていこうとする姿勢です。

"公"=パブリックは誰が担っていくべきか。
僕自身にとっても大きなテーマです。
議員時代に体を壊したことも一つの原因ですが、よくよく考え、必ずしも議員でなくても、さらに申し上げれば、いまの時代、議員でないほうが、"公"を担うことができると考え、いまの自分がいます。

私ごとで恐縮ですが、今日は父の命日でした。
それぞれの立場で"公"を担おうと頑張ってきた父や祖父たちの前で、改めて、この思いをかみしめた5月12日でした。
Posted by 亀井善太郎 at 23:59 | この記事のURL
大切なのは社会の"前提条件" [2011年05月07日(Sat)]
昨日は清川村に行ってきました。
神奈川県唯一の村で、神奈川の水がめ"宮ケ瀬湖"を抱えるところです。
文字通り"山笑ふ"。山のどこに生えているのかよくわかる山の緑がいちばん美しい季節の村でした。
大矢村長はじめ、いろいろな方々と、村の9割を占める森林のいまと未来について、お話を伺いました。
県の政策が都市のエゴを押しつける側面が大きいのも課題ですが、水源林をどうしていくのか、そのビジョンがなかなか見えてこないのも深刻な課題だと感じました。

さて、昨日、菅総理が「浜岡原発の休止」を発表しました。
それ自体はいつ来るかわからない東南海地震のことを考えれば、それは評価されるものですが、その一方で底の浅さというか、根本的なところを考えていない、そんな感じがしました。今日はそのことを書いておきたいと思います。
「なぜいまなのか」とか「姑息な支持率回復策だ」といった批判はありますが、そうした政局的なことではありません。
総理の発言を聞いていて、原発をどうするのかもそうですが、これからの日本をどうしていくのか、そのビジョンのようなもの、加えて、もし、いま、それが無いのであれば、それをきちんと考えていこうという姿勢がまったく見えてこないのです。

原子力発電が、震災による事故に関わらず、「国のかたち」や「地域のかたち」に大きな影響を与えてきたことは、これまでの議論等を見れば明らかです。
その原発をどうしていくのか、これは日本全体が考えていかねばならないことです。
ややもすると立地地域ばかりの問題に陥りがちですが、それはまったくの議論のすり替えです。
原発は、首都圏で便利な生活をする、そして、大量の電気エネルギーがなければ成立しない経済・産業で養われている私たち自身の問題です。

当面は火力で凌げばいいじゃないかという人がいますが、その背景には原子力がやがて元に戻るという前提がありますが、一度止めた原子力を戻すことについて、それがどれだけ現実的なのか、その人は考えたことがあるのでしょうか。

原子力はダメだが、日本の経済や産業を考えれば、火力で賄うしかないという人もいます。
しかし、燃料を輸入する我が国が燃料高によるコストアップにどこまで耐えられる、生活面でも、経済・産業面でも影響は大きく、甚だ疑問です。

一方、自然エネルギーを主力にするのも、現状はきわめてハードルが高いものがあります。
技術やコストから見て、本当に現実的なのか、英知を尽くした議論はまだ始まっていません。

そう考えると、すでに公表した論考「復興か創造か−これからの文明−」に書いたとおり、構成要素である都市(都市間の関係性も含めた)、そして、駆動力たるエネルギーのあり方について考えねばなりません。
例えば、都市機能の集中をやめ、分散させることができれば、エネルギーから見れば、ピーク時の消費が全体では小さくなるので、供給能力を低めることができます。
そして、エネルギーのあり方については、上に挙げたようなメリット・デメリットがありますが、どのエネルギーを選択していくのか、そして需給の水準をどの程度とするのか、まだ、何が正解かはわかりませんが、社会全体として、どうしていくべきなのか、きちんと議論していく必要がありましょう。

僕自身、この論考の最後にも書いたとおり、引き続き、政策シンクタンクとしてやるべきことをきちんと担っていきたいと思います(率直に申し上げて、いろいろ模索しているのですが、そこがなかなか難しいのです・・・)。
加えて、何よりも、社会全体の議論、とくに、原発賛成vs反対という構図に陥らない、社会の"前提条件"として考えていくことが必要だと思うのです。
Posted by 亀井善太郎 at 12:30 | この記事のURL
主権とは何か/4月28日は主権を回復した日 [2011年05月02日(Mon)]
ちょっと遅くなりましたが、今日は4月28日の話です。

先週のその日は東北地方の被災地支援の取り組みに参加していました。
場所はお台場、東京ビッグサイトです。
お米づくり応援プロジェクト」と題して、今年作るお米をいま消費者が購入することを通じて、稲作農家を応援する事業を実施しています。
いわばお米の先物にもなりますが、何よりも、今年もがんばろう、今年もよいお米を作ろうと立ち上がろうとしている農家を消費者がサポートする気持ちが大事なのだと思います。
結城登美雄さんが"消費が生産を支える"ことが大切だとおっしゃっています。結局は消費者の気持ち次第なのだと思うのです。
生産地から稲作の進み具合をお知らせするハガキが届くのもうれしいことです。
実際に申し込みをされた方からも、義捐金もよいけれども、自分の気持ちが直接に伝わるのがよりよいという声もいただきました。
まずはビッグサイトから始まりましたが、今後も続けていこうとしているところです。

さて、今日の本題です。
4月28日はサンフランシスコ講和条約が発効された日です。
サンフランシスコ講和条約は1951年9月8日に締結署名され、1952年4月28日に発効されましたが、この日が日本にとって、どんな意味があるのかをきちんと答えられる日本人は決して多くないかもしれません。
(実は僕もこの日付を数カ月前までは知りませんでした。)

逆に言えば、1952年4月28日の前までの日本はどんなだったのかを考えれば、その日の意味はわかります。

1952年4月28日は、サンフランシスコ講和条約の発効に伴い、日本が主権を回復した日、つまり独立を回復した日です。

主権を喪失することの意味を考えたことがあるでしょうか。
そもそも、主権とはどういうことなのか、その意味を考えてみたことがあるでしょうか。

来年は、その日からちょうど60年目になります。
これを機に、この日を祝日にしようという運動もあるようです。

そういうやり方もあると思いますが、それよりも、そもそも、私たちが"主権"をどう考えるのか、そして、国そのものをどう考えるのかが問われていると思うのです。
震災は「見たいものばかりを見ていてはいけない」ことを突きつけました。
明日は5月3日、憲法記念日です。
Posted by 亀井善太郎 at 15:35 | この記事のURL