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独龍江で学校を待つ子供たち31 [2007年11月16日(Fri)]

瑠璃色をした孤高の河”幻の独龍江”

道路が凍りつく極めて危険な場所を通り抜けると、車は一気に下っていった。怒江と独龍江の海抜は、ほぼ同じなので、登った分だけ下ることになり、その高低差は二○○○メートルある。しかし、下りの方が、かなり勾配が急なようで、ぐんぐん下っていくのがわかる。道幅は、車一台がやっと通れるほどしかない。
 対向車が来たらどうするのか心配していたら、遂に一台、中国特有のあの青いトラックが現れた。互いにかなり離れた地点で車を停車させ、どこかすれ違いの出来る場所はないか探している。咄嗟の判断で姚さんが選んだのは、斜面に車が乗り上げられそうな場所であった。姚さんは、そこへ車体を乗り上げた。車は、ほとんど横倒しの状態である。トラックはそこをゆっくりと通り抜けていった。
 中国の都市部では、決して車と車が互いに譲りあうという光景を目にすることはないが、ここでは、車同士が互いに譲り合い、「安全」を最優先していた。この道では、事故だけは絶対に許されない、という厳しい現実を目にした。


独龍江/人の手が加えられることなく自由奔放に深山を流れる

 その後、車は一気に谷まで下りた。そして、私たちはついに「幻の独龍江」を目にしたのである。
 誰が命名したか知れないが、この「独龍江」という名前も素晴らしい。深山を猛々しく流れる孤高の響きがある。独龍江は、人間の手によって堰き止められたり、曲げられたりされることもなく、生まれたままの姿で自由奔放に流れていた。昨日まで見てきた怒江の水の色が、乳白色であるのに比べ、この独龍江の水は、毒気を含んだ青白い色、強いて言えば「瑠璃色」に近い青である。明らかに、水の中に溶け出している成分の違いがわかる。この青インクを零した色こそ、深山を流れる急流に相応しい生まれたての水の色である。
 貢山を出発してから六時間、やっと独龍江郷の中心地、孔当に到着した。
 今、我々が通ってきた自動車道路が完成するまでは、独龍江の郷政府は、巴坡にあったが、この自動車道路の完成によって、二○○一年に、郷政府をはじめ招待所や雑貨店まで、この孔当に移転した。雲南省怒江州貢山県独龍江郷孔当というのが、正式所在地名である。ここに孔当に置かれた郷政府では、郷長が行政の責任者として郷全域の運営にあたっている。


孔当の子供たち
集落へ入る手前の道で孔当小学校の生徒たちが拍手で迎えてくれた。


 孔当の集落へ入る手前まで来ると、道の両側では、近くにある孔当小学校の生徒たちが並び、拍手と歓声で出迎えてくれた。いつ到着するか分からない来客を授業の途中、先生に引率され、一時間以上待っていてくれたそうである。うれしい反面、申し訳ない気持ちで生徒たちの歓迎を受けながら、孔当の集落へ入っていった。すでに正午を大きく回っていた。
 昼食は集落の中にある簡易食堂でとった。看板もなければ、メニューもない、集落の人だけが知る食事処である。大きなテーブルが二つあり、そのテーブルの下には、何匹もの犬が待機して、上から落ちてくる食べ残しを狙っている。食べかけの魚の骨や頭、尻尾など、口から直接土間に落とすと、あっという間に犬が掃除をしてしまい、土間は実にきれいなものであった。食べ物を落としてやらないと、股の間から犬が顔を突き出し催促するので、まだ、食べている最中のものでも、落とさざるを得なかった。冷えたビールも出てくるし、簡易食堂としては上出来であった。


孔当の子供たち/子供たちの服装からもその貧しさがうかがえる

 食事が終わったら、これから行く巴坡小学校の生徒のために買い物をしなくてはならなかった。今回訪問予定の三つの小学校の子供たちへのお土産は、六庫の町で買い揃えた。すべて、文房具と子供たちが校庭で遊ぶためのボールや縄跳びであった。
 しかし、現地を知っている教育関係者から、
「独龍江の子供たちへは、是非、菓子類も持っていってほしい」
という強い要望があった。滅多に菓子類を口にすることが出来ないので、ということだった。終戦直後に日本の地を踏んだ進駐軍兵士が、日本の子供たちに甘いチョコレートを配っている光景が脳裏をかすめる。
 簡単な菓子類なら、ここ孔当でも入手できると聞いていたので、ここで買い込むことにしていた。どんな菓子類が喜ばれるのか、また、数が揃うのかわからぬままに、間口一間の薄暗い雑貨屋に入り、店番のお婆さんが目を丸くするほど大量のお菓子を買い求めた。品種に選択の余地はなく、子供たちが本当に喜んでくれるかどうか、自信は持てぬまま、大きな袋に詰め込んだ。

(つづく)

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