ーーーYouthVisionCafe第27回開催概要ーーー
【日時】2012年12月6日(木)19:00-21:00
【場所】ユースビジョン事務所(京都市中京区)
【ゲスト】NPO法人テラ・ルネッサンス 栗田佳典さん
【当日参加者数】23名(うち、スタッフ3名、ゲスト含む)
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12月6日(木)にユースビジョン事務所にて
「YouthVisionCafe第27回」を開催しました。
当日参加の方もいらっしゃり、
スタッフ含め23名の方にご参加いただきました。
ゲストは、NPO法人テラ・ルネッサンスの栗田佳典さん。
栗田さんご自身の体験をもとにライフストーリーについてお話をいただきました。
19:00-19:15はじめにYouthVisionCafeについて、
ユースビジョン山本より説明を行いました。
そして、今回のカフェの場にどんな人が参加されているのか
@お名前 Aご所属 B栗田さんの話に期待していることを
の3つを含めて、参加者同士で簡単な自己紹介を行いました。
19:20-20:05いよいよ、ゲスト栗田さんのお話がスタート。
はじめに「何歳に見えますか?」という質問から。
「25」や、「28」という声があがる中。
一番近かった方に、栗田さんから「じゃがいも」のプレゼントが。
「なぜじゃがいも?」と参加者全員が首をかしげていましたが、
「その真相は最後にお話します」と、次のお話へ。
国際協力に携わり始めたのは20歳の頃。
テラ・ルネッサンスでは、小学校や中学校での講演を通して
平和教育や啓発活動に取り組まれています。
テラ・ルネッサンスの活動テーマは地雷、子ども兵、小型武器の3つ。
そして、これらを解決するために
カンボジア、ラオス、ウガンダ、コンゴ、日本の5つの地域で
活動されています。
その中でも栗田さんと縁が深いのは、ウガンダ。
栗田さんは1986年生まれ、静岡県静岡市出身。
静岡人は「し“ず“おか」ではなく、「し“ぞ”おか」と発音するとか。
また、静岡の「静」の語源は、争いが終わった後の青い空をイメージしている言葉なんですと栗田さんより解説。
まずは、ご兄妹の紹介や「静岡県なんでもランキング」をもとに、
出身地の静岡県の紹介からはじまりました。
本当に豊かな土地で育ったと栗田さんは故郷をふりかえります。
昔から運動が大好きな栗田さんは、
周囲がサッカーをしている中、兄の影響で野球を始めました。
ほかにも、公式ドッジボールの全国大会に出場したりという小学校時代でした。
そんな運動好きな栗田さんですが、
中学2年のときに心臓の手術を受けます。
左心室、右心室の間に穴があいている病気、『先天性心室中隔欠損症』。
生まれてすぐに手術するケースが多い中、
様子を見ながら中学2年の時に手術が決定。物心がついてからの手術。
手術の前日まではへっちゃらですが、手術室に入るときには
とても怖くなった、とふりかえります。
そして術後、目が覚め痛みを感じる一方「生きている」ことを感じます。
この手術を通して、「いのちの大切さ」と「支えられることのありがたさ」を本当に実感したと、力強く話されました。
また「いろんな人たちに支えられているんだ」と思ういくつかの出来事があり、
そして、「今後は誰かを支える人生を歩んでいきたい」と思うように。
術後は何事もなく成長し、高校へ進学。
高校で再び野球をするか悩んだと言います。
しかし、手術のときに出会ったある男の子を思い出して入部を決断。
再び運動をはじめた高校時代でした。
また、高校時代は世界史と英語を好きになり、
「もっと世界のことを知ってみたい」と思うように。
そして、高校3年生のとき、担任の先生から薦められたのが
『立命館大学産業社会学部人間福祉学科国際福祉コース』
手術後から思いを抱いてきた「誰かを支える仕事(福祉)」と
勉強を通して関心を持った「世界のこと(国際)」について
学べるこのコースは、栗田さんにとって、正にここ!というコースでした。
そうして、指定校の推薦で立命館大学へ入学。
大学生時代はとにかくやりたいことをやっていたと栗田さん。
ピークの時は、アルバイト2つと上回生が下回生の生活や学業のサポートをする「エンター」と呼ばれる活動に奮闘しました。
勉学に関しても福祉先進国や貧困国のことなど、たくさんのことを学びました。
福祉や国際をいろいろ学んでいた大学3回生に進む春休み、
たまたま読んだある新聞記事に衝撃を受けます。それは、テラ・ルネッサンスの記事。子ども兵についての記事です。
子ども兵のことを知ったのはこの時がはじめて。
そして何より衝撃を受けたのは、「1986年」にウガンダで始まった内戦による子ども兵だったことです。「1986年」は栗田さんが生まれた年。
生きてきた20年間、戦争は過去のものと思っていた栗田さんは、そんな自分が恥ずかしい、このことをもっと多くの人に知ってもらいたいと感じました。
そしてまずは自分がもっと勉強しなければと、大学3回生の夏にテラ・ルネッサンスのインターンを申込みました。
インターンをはじめて1か月後の9月、運良くウガンダに行くチャンスを得ました。
その1年前までは、戦争があった地域。
6歳から10歳の時に子ども兵だった人たちに会いに行く、
どんな表情で接すれば…とドキドキでした。
しかし、現地に着いたとき、「よく来てくれた」と温かく出迎えてくれ、
「怖い」というイメージは一瞬にして吹き飛びました。
そこで、現地で出会った一人の女性について紹介がありました。
彼女は幼い頃、誘拐され子ども兵として戦わされ、結婚も無理やりさせられた方でした。14歳と16歳に生んだ子ども2人を抱えながら、16歳の時に脱走。身寄りもない中、16歳で2人の子どもを育てていた彼女は、
自立して生活をしたいと思い、テラ・ルネッサンスに出会います。
来る日も来る日も遅くまで残って勉強や訓練に取り組む彼女にある日栗田さんは尋ねました。「なぜそんなに頑張るのですか?」
彼女は、HIV感染者であり自分の命は長くないと考え、子どものために、少しでも多く稼いで財産を残さないと、と思っていたのです。
栗田さんは、彼女との出会いの中で教わることがたくさんあったと言います。
どんな人でも命さえあればやり直すことができる、チャレンジすることができる、一人ひとりに未来をかえる力がある、ということを。
その後帰国した栗田さんは、自立のために、未来のために、平和のために何ができるのか?と自問自答する日々。そして行き着いた答えは「伝える」ことでした。
多くの人に伝えたい、そんな思いからはじめはマスコミへの就職活動をしていました。が、自分の伝えたいことは、テラ・ルネッサンスでしかできないと思い、大学4回生の6月のときにテラ・ルネッサンスへの就職を決断します。
就職が決まった同年8月に、再びウガンダへ。
赤ちゃんを抱えていたあるお母さんと出会います。栗田さんが訪れた前日に生まれた赤ちゃん。心から愛する人とできた新しい命だと。
そして、この子の名付け親になってとお願いされます。
この時、テラ・ルネッサンスの活動は、
間接的ながら、新しい命を育む活動であり、新しい命をつなぐ活動だと感じ、
「自信」が「確信」に変わった瞬間だったと言います。
この出会いを通じて「二度と子どもたちが誘拐されない、戦わされない、
安心して家族と一緒に成長していける、そんな社会にしていきたい。
今私たちが動かないと、ずっと残っていく。今動いていこう」と固く決心しました。
就職して4年目を迎える栗田さんの夢は「仕事を失うこと」。
仕事を失うということは、元子ども兵がいなくなる社会、地雷がなくなる社会になるということ。そんな社会を作りたいとおっしゃいました。
最後の最後にじゃがいもの真相が。
じゃがいもとストローが1本取り出されました。
「じゃがいもにストローを指すとどうなりますか?」と質問がありました。
全員が「折れる」と予想。
栗田さんの合言葉「思いを突き通す」と言いながら、ストローをじゃがいもに指すと突き通りました。
「できないと思ったらできない、思いをもって突き進むことで、突き抜けることができる。思いを持ち続けながら突き進みたいと思う」と言葉をいただき、前半のトーク時間を終了しました。
20:10-20:50 休憩をはさんだ後は、4人グループにわかれ、栗田さんの話を聞いて共感したことや、感想、栗田さんへもっと聞いてみたい質問を、ポストイットに書き出しわかちあいました。栗田さんへの質問の中には、「しんどいことや不安なことは?」という質問がありました。しんどいと感じたことは、ないと言う栗田さん。同期と呼ばれる人は団体内にいませんがが、同世代の人が同期のような存在だと。
21:00カフェ終了後の交流会では、
参加者同士の交流も見られ、新しいつながりをつくる
きっかけとなる会となりました。
ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
次回のYouthVisionCafeは2013年2月22日(金)に開催します。
ゲストはNPO法人Salutの津田みづきさんです。
ぜひ今からご予定ください。