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第五回「国境離島政策研究会」開催される(後編) [2009年02月21日(Sat)]


後半は、参加各位のコメントや提言を中心に、意見交換も合わせた展開となりました。

年度内最終の会議でもあり、お一人お一人から、さまざまな角度からの貴重な意見や提言を頂戴しました。

詳しくご紹介はできませんが、各位コメントの一部を抜粋致します。
(文責:財団法人都市経済研究所)

◇石塚英樹委員 (内閣参事官)

「国境の離島ゆえか、与那国島には古代から今日に至るまで、ほとんど中央の統制を受けていない‘古層の文化’が残っている。美しい自然、独自の文化など島の多種多様な資源と魅力は国際交流のための資本でもある。この資本を生かし、どう資産を創出し、島の平和と発展への事業を展開していけるか。」

「2007年7月、台湾と中国大陸の間を結ぶチャーター便が飛んだが、その同じ日、台湾・花蓮市と与那国を直航する史上初のチャーター機が飛んだ。まさに歴史的なこと。」

「中台間の緊張緩和の動きを含む変化する国際情勢に照らして、また、国境離島に関わる昨今の諸動向から見ても、本事業の取組みには大きな意味がある。」


◇雉鼻章郎オブザーバー (沖縄県東京事務所主幹)

「国内最大手の化粧品会社が与那国の特産・長命草を原料とした新商品の製造・販売・PRを開始している。与那国の島おこしの後ろ側に自分たちを置き、息の長い、新しいビジネスを立ち上げていこうとしているように見える。」

「沖縄への企業誘致の現場では、国内外の新しい課題やニーズに着目し、今までと目先を変えた誘致も検討している。例えば、感染症対策の研究センターなど。国境の離島という与那国の立地を考えた場合、沖縄全体にも関わる新しい切り口や具体策が考えられるかも知れない。」


◇山田吉彦委員 (東海大学准教授/経済学博士)

「今、離島では、国境・海洋との関わりを含め、様々な動きや新たな課題も出てきている。北方領土、対馬、そして尖閣など。戦略的なアクションの必要性が高まっているところもある。」

「与那国は、無理に背伸びをするのではなく、現状を見据えた着実な取組みを進めていくことが大事。特に観光面では取りこぼしのないように、また、自ら付加価値を創っていくこと。」

「島の振興には新しい世代、新しいメンバーの参加が重要。限られたメンバーだけで物事を取組んでいても自ずと限界があるし、問題を放置・先送りしている面もある。他方、国境交流については、パートナーである台湾側のニーズ・本音の把握が肝要だ。」



◇田中健治オブザーバー (国土交通省離島振興課)

「国土交通省離島振興課では、沖縄・奄美・小笠原を除く国内の有人離島を対象に仕事をしている。いろいろお話を拝聴し、与那国のような国境離島を含む沖縄の離島の活力や熱心さを感じた。」

「実際、多くの島々がかなり厳しい現実の中におかれている。地域によって適用される法令の違い等もあるが、相互に学び、連携を深めていければと思っている。本日、オブザーバーとして参加させていただいたことを感謝している。」


◇小那覇安剛オブザーバー (琉球新報東京報道部長)

「与那国:‘最西端’から‘最先端’へ。この言葉に惹かれる。事実、かつて与那国は最先端にあった。当時を知る人たちから生の声も聞いた。今の取組みは、新しい形で、この時代に応じた‘最先端’を再び目指すチャレンジと理解している。」

「沖縄問題の半分は<離島>の問題。決して<基地>ばかりではない。報道としての役割を再認識しつつ、特に‘端っこ’‘辺境’とも呼ばれる地域に着目していきたい。」

「地元の問題だが、例えば、八重山の連帯を掲げても、そこには温度差があったりする。より丁寧で、細かい議論の積み重ねが必要と感じる。」



◇盛和春委員 (電通・プロジェクト・プロデュース局シニアプロデューサー)

「‘国境’ということ。そこには、入ってきてはいけないものは入れない、防ぐというバリアのような役割やイメージもあるだろう。しかし、活性化のためには‘交流’を考えなければ話が前に進まない。」

「青森の事例だが、台風で大きな被害を蒙ったリンゴ農家が‘落ちなかったリンゴ’=‘落ちない’を売りにPRをして評判になった。一般的に不利と思われていることを逆手にとってPRする。不運を逆に売りにする。そんな発想の転換も大事ではないか。」

「そこにしかない‘独自のストーリー’を作ること。その意味では、沖縄は伝説や物語を作りやすい土壌だと思うし、国境の島・与那国も資源・資産に溢れていると思う。」

「法令や制度の問題も重要かも知れない。が、事実=ファクトの積み重ねがより現実的・実効的だ。」


◇佐道明広委員 (中京大学教授/政治学博士)

「与那国の取組みは、他の国境地域・離島に比べ、あらゆる策を具体的に講じているという面でもかなり先行しているように思う。」

「ミクロとマクロの問題。マクロは、まさに本研究会のテーマの国境離島政策。今般の地方分権改革を背景に見据える必要がある。」

「利尻・礼文では、離島航路の国道化の問題、また、海洋基本法に関する質問も出た。地域(島)の生き残りがかかる中、地元も懸命だ。海洋基本法が自分たちにどう関係し、役に立つものかどうかを知りたいという切実なニーズを感じた。」

「混迷する政治を含め、日本全体、各地域にとっても今の環境は決して良いとは言えない。しかし、与那国自身、先を見据えつつ、国境離島の自立プロジェクトを着実に推進していくことがさらに重要な状況になってきている。」



◇角谷浩一委員 (政治ジャーナリスト)

「沖縄の離島振興の一環である『美ら島ブランド会議』も立ち上げから4年。県内38の島々を対象に‘一島一物語’=島独自の特産品づくりとブランド化に取組んでいる。観光資源が豊富、比較的資本を投下しやすいなど、沖縄の離島にはアドバンテージがあるかも知れない。他方、離島同士の連帯・ネットワークの難しさもある。」

「人材の育成が重要かつ難しいというのは、ニュージーランドなど国外でも共通の問題。特定の人、例えば観光や交通関係者だけが儲かるような形に陥らない。住民全体に裨益し、島全体が振興していく。そういう公平で共益的な形をどう確保できるか。」

「与那国島は‘沖縄38の離島’の一つであるとともに、国境離島というカテゴリーにも入る。敢えて‘特別な場所’と言ってもいいだろう。‘国境の島’の生き方を論議し、島民全体の思いとして共有することができるか。今、改めて大事な問題ではないか。」



◇外間守吉顧問 (与那国町長)

「東京において、国境の島・与那国のことをここまで集中的に論議してくださる場も機会も他にはない。まず初めに心より御礼を申し上げたい。」

「沖縄問題=沖縄本島を中心に見る。そういう傾向と現実、そして中央の見方も否定できない。」

「来年失効する過疎対策法の全国大会で上京した。これが切れ、失効したままでは大変なことになるという全国各地の町村が集結した。これから地域が存続していけるのかどうか、与那国を含め、地方はまさに危機のさなかにある。」

「与那国=国境。このことは‘大変’という側面と‘恵まれている’という側面の両面があると思っている。今後とも一層のご指導ご支援をお願いしたい。」


◇長光正純顧問 (日本財団常務理事)

「<国境離島>=大変難しいテーマ。この取組みは、この難しいテーマの提言と実践ということ。きれいにまとめようと思えばできるかも知れないが、問題は‘実際に動くか・動かせるか’というところ。」

「与那国自身、どういう島であろうとしているのか?〜この点がまだまだはっきり見えない感もある。島民自身どうなのか、八重山全体での立ち位置など。」

「継続・積み重ねの中から実行前提の戦術を見出せるか。一つでも二つでも、島のためになる具体的な成果を見出してほしい。国や県の支援から漏れてしまうところであっても、意欲のある離島は日本財団が支援する。そういう先駆け・核になってほしいと考えている。」


以上のような活発な議論が続く中、終了予定時刻の17:30をオーバーし、会議は閉会となりました。

本年度助成事業での「国境離島政策研究会」は、今回が最後となりますが、本ブログでは、この取組みに関わる情報や新しい動き、その他を適宜お伝えしていきたいと思っています。

おかげさまで、たいへん有意義な議論と共に、大事な節目となる本会議も無事終了しました。

ご多忙の中、研究会にご参加の上、貴重なご教示をくださった委員・顧問・オブザーバーの皆さま、本助成事業の機会をご提供いただき、プロジェクト推進を支えてくださった日本財団の皆さま、そして、このブログをご覧くださいました皆さまとすべての関係者の方々に、心より御礼申し上げます。



Posted by 都市経済研究所 at 02:16 | 研究会 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
第五回「国境離島政策研究会」開催される(前編) [2009年02月21日(Sat)]

2月19日(木)15:00より、第五回「国境離島政策研究会」が開催されました。
(会場:日本財団8F会議室)

平成20年度日本財団助成事業「国境離島に関する海洋政策の提言と実践の推進」の一環で開催を重ねてきた本研究会も、今回が年度内最終の会議となりました。

出席者は顧問2名、委員7名、オブザーバー3名、日本財団職員1名、学生さん(山田吉彦先生教え子)1名、事務局1名の計15名。
与那国からは外間守吉町長(研究会顧問)が本会議に合わせて上京・出席されました。




報告(1):「与那国および国境離島関連報告」


開会挨拶の後、座長を務める上妻毅委員より、「与那国および国境離島関連報告」がありました。

1.『与那国島・海洋タウンミーティング2008』 (昨年11月9日開催)

2.『国境のまち再生/与那国島の国境交流推進事業』の状況 (平成20年度内閣官房選定事業)

3.その他 (「小笠原返還40周年記念シンポジウム」...etc.)

『海洋タウンミーティング』については、すでに本ブログでも御報告したとおりですが、現地沖縄での報道状況や地元での反響も併せての事後報告となりました。

その中で、当日、会場に足を運んでくださった元沖縄県副知事の吉元政矩さん(与那国出身)の評価、
「今回のタウンミーティングは、与那国にとって、そして海洋島嶼圏の八重山にとって、歴史に残る価値ある会議になった。」
という嬉しいコメントも紹介されました。




『国境のまち再生/与那国島の国境交流推進事業』(平成20年度「地方の元気再生事業」選定事業)については、プロジェクトの概況や地元紙・全国紙等の報道記事を紹介。

教育,物価高,医療・福祉,流通などさまざまな面の「離島苦」に直面し、また、止まらない島民の流出と人口減少等々、危機的な状況に置かれている与那国島が、地域の存続と島の再生に新しい活路を拓くべく、国境交流に真摯に取組んでいるリアルタイムの状況が報告されました。

特に、本事業の目玉とも言える、台湾・花蓮市との「国境地域間直航事業」については、以下の論点や経緯・現状が説明されました。

◇過去、生活圏を共有した台湾との新たな交流圏の形成には、‘国境を結ぶ交通手段’の確保が不可欠。

◇‘隔てる海から結び合う海へ’という思いから、「海路」での直航実現に全力でチャレンジ。

◇@国際航路航行の国際基準,A島に入港可能なサイズ(トン数),B運航可能時期,C実行予算,その他諸々の条件を全て充足する船の調達と実施態勢の構築に尽力。

◇さまざまな経緯を経て、ようやく「傭船契約」締結+「航行・入港許可」を獲得。

◇しかし、当初の航海予定日(1/9)と延期日(1/12)の両日とも、傭船「オーシャンララ号」の安全航行能力を超える波高(3m超)等の厳しい天候に直面。安全を最優先し、海路での航行を断念。

◇台湾海峡の気象・海象を前提とする安全な交通手段の確保が重要課題に。

◇大きな成果は、「不開港」寄港の特別許可、「臨時出入港」指定など、国境間航路往来の制度的要件を含む環境整備ができたこと。

◇本年度は、「海路」に代え、「空路」=チャーター航空機(使用機種:ATR72型/70名乗り)による国境間直航事業を実施する。(2月最後の週末から3週にわたって/合計6往復)




その他、「国境離島」に関しては、昨年、返還40周年を迎えた小笠原(父島)で開催されたシンポジウム『国境としての小笠原を考える』(2008年10月17日/日本島嶼学会・北大スラブ研究センター共催)についても紹介されました。
このシンポジウムには、本研究会の山田吉彦委員(東海大学准教授)と田里千代基委員(与那国町・国境交流推進特命事務局長)の両氏もパネリストとして参加をされました。



報告(2):「本プロジェクトの今後の推進について」


報告の後半は、本プロジェクトの今後の推進、その方向と計画等について、現在申請中の次年度事業計画(「国境離島に関する海洋政策の提言と実践の推進2009」)を中心に、出席者各位に説明が行われました。

詳細は割愛致しますが、その主旨は、
・本年度培われた活動フィールドや人的ネットワーク等を十二分に生かし、次年度は、さらに国内各地の国境離島・地域の実地調査を進める、
・国境離島の現場(与那国島)での海洋政策の新たな担い手づくりを目指し、ワークショップなど実践的活動を行う、
・それらの成果をシンポジウムや提言書等を通じて発信していきたい、
というものでした。




Posted by 都市経済研究所 at 02:01 | 研究会 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)