昨晩、さくらWORKS<関内>で、横浜最古の倉庫「旧三井物産横浜支店倉庫」の保存に向け「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫の保存を考える緊急シンポジウム 第2弾」が開催された。
横浜赤レンガ倉庫(1911〜13年)よりも前の1910年(明治43年)に完成し、日本国内では最初期の鉄筋コンクリート工法を採用した横浜最古の倉庫建築「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫」(旧日東倉庫)の保存を訴える「横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)」が主催した。
ヨコハマヘリテイジは横浜コミュニティデザイン・ラボの団体会員でもあり、これまでにも連携していくつか学びの場づくりなどを行ってきた。
8月に行われた前回のシンポジウム以降、市民団体や専門家らによる保存要望書の提出や、倉庫を中心としたまち歩きなどが行われているが、保存活用に向けた具体的な道筋は立っていない。
地上3階地下1階建てで、柱と屋根に鉄筋コンクリート、壁はレンガ、床には木を用いた同倉庫と、隣接する「KN日本大通りビル」(旧三井物産横浜ビル)を昨年購入して所有する不動産会社ケン・コーポレーション(東京都港区)が、建物の新たな活用方法を検討しており、倉庫については、取り壊す計画だという。
「旧三井物産横浜ビル」は、国内初の全鉄筋コンクリート造の建造物。2つの建物は関東大震災、横浜大空襲を免れて明治期当時の姿を残しており、日本建築学会関東支部では「建築史的、技術史的に極めて価値が高い。横浜開港の歴史を象徴する日本大通りの都市景観を構成し、広く市民に親しまれてきた」と価値を評価している。
今回のシンポジウムでは、コメンテーターに、神奈川大学名誉教授の西和夫さんを迎え、登壇者に吉田鋼市さん(横浜国立大学名誉教授)、堀勇良さん(建築史家)、水沼淑子さん(関東学院大学教授)、鈴木伸治さん(横浜市立大学教授)、大野敏さん(横浜国立大学大学院教授)という顔ぶれで、横浜歴史資産調査会 常務理事の米山淳一さんがコーディネーターを務めた。
倉庫の「現状と保存」「建築構法の特徴」「歴史的価値」「まちづくり」「世界のコンクリート史」という多様な視点を踏まえて、倉庫の活用・保存の具体的な手法が提案された。
今後また、さくらWORKS<関内>で、対話の場と倉庫の写真展などとあわせて実施する予定。