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ICTを活用した地域コミュニティの活性化(第二分科会) 提出資料 [2009年11月17日(Tue)]

10月30日に都内で行われた地域情報化アドバイザーの会合で、提出した資料です。要望があったのでブログに書いておきます。

_______________________________
1,分科会テーマ:ICTを活用した地域コミュニティの活性化(第二分科会)

2,ICT利活用の現状

◆成功した事例(成功の要因を具体的に記述)

1)横浜開港150周年発「市民参加」の理念を引き継ぐ3つの地域情報プラットフォーム

 横浜開港150周年を祝う「開国博Y150」が9月27日に閉幕した。この博覧会を契機に始まった、ICTを活用した価値ある市民参加の仕組みを紹介したい。

 私は、「市民主体のイベント」を推進する「Y150市民参加プラットホーム推進委員会」という組織の委員として、この「開国博Y150」にかかわった。同委員会では、Y150が目指した「市民参加」という理念を実現するため、横浜の「市民力と創造力」を発揮する"場づくり"を支援する3つの住民参加型WEBサイトを運営してきた。

 2007年春に設置した地域SNS「ハマっち!」、イベント情報サイト「市民でつくるY150イベントナビ」、市民の写真を共有する「みんなでつくる横濱写真アルバム」の3つがその仕組みだ。

 「ハマっち!」は10月現在で、約3,000人が登録し、ブログや660件以上あるコミュニティで情報発信をしている。市民や行政職員有志らによる運営委員会がユーザーと協力し、オフ会も行ってきた。参加者のSNS内の呼びかけからインターネット放送局が始まったり、横浜発祥の料理「ナポリタン」をテーマにしたイベントが開催されたりするなど、さまざまな出会いの機会を提供し、市民企画によるプロジェクト推進や情報発信に貢献している。

 「市民でつくるY150イベントナビ」は、Y150にかかわる情報発信を目的に今年4月に開設された。団体・個人発のイベントやブログ記事がカテゴリーごとに登録・検索可能になっているほか、予定を携帯電話に情報を送れるなど、閲覧者の参加を促す便利な仕組みが装備されている。これまでにY150関連イベントのほか、地域のきめ細かい情報が、1,800件余り登録されている。

 「みんなでつくる横濱写真アルバム」は、家庭や会社に眠る、横浜の古い写真を、地域の文化遺産として電子化・保存しようと、今年3月に商工会議所や横浜市などによる実行委員会が立ち上げた。簡単なユーザー登録で、誰でも写真をネット上に公開でき、家族のスナップから震災や戦災の写真まで、5,000枚以上の写真が集まっている。写真のデジタル化や投稿支援のほか、市内各地でフォーラムイベントなどを行ってきた。

 この「ハマっち!」「イベントナビ」は、今年度で市からの補助金が打ち切られるため、自立した運営・経営が求められている。現在、志ある民間に引き継ぎ、継続・運営していこうと継承団体を公募している。また、「横濱写真アルバム」も市民と横浜市の協働で運営していく方法を模索している。

 Y150を契機に動き始めた地域住民参加型の情報基盤が地域を活性化する、という手応えは感じている。しかし一方で、公的な役割を担いながらも、独立した運営を展開していくための資金調達や行政との連携方法などの課題も少なくない。

 市民が地域にかかわり、主体的に参加していくためには、行政と市民の間の情報流通だけでなく、市民間の新たな絆を構築する仕組みが欠かせない。地域に役立つ仕組みとして発展させていくために、今後、横浜市の担当者との意見交換や、地域貢献に関心がある企業・団体の参加の仕組みづくりなど、多くのセクターを巻き込んでいく動きを作っていきたい。

2)みんなの経済新聞・ヨコハマ経済新聞

 「みんなの経済新聞」は地域型のインターネット新聞のネットワーク。現在、国内では北は「札幌経済新聞」から、南は「那覇経済新聞」「石垣経済新聞」まで、49エリア、海外3エリアで地域密着型のニュースを配信している。

 2000年にシブヤで始まり、2004年にヨコハマが創刊。運営母体の形態はさまざまで、横浜や町田、調布などのようにまちづくりのNPOが運営している地域や、地元のIT会社やPR会社など。

 共通しているのは「小さな、ローコストの編集部」を置いていること。地元に住み暮らす記者(本業は別に持っている)が、店の開店情報やイベント情報のほか、街のストリートから生まれるニュースを、地域目線で取材して記事にしている。記事は、新聞社のWEBサイトのように、数週間程度でWEBから消えてしまうということもない。

 コンテンツを蓄積するサーバーと収益構造をつくる広告情報を扱うアドサーバーを各地で共有しているのはもちろん、WEBの技術者や広告の営業担当者の人件費も、「組合型」で各地が負担して、全体を成り立たせている。

 収益は、直接的には広告やアフィリエートのほか、通信社のように記事コンテンツの転載権を他のWEBやデジタルサイネージなどに販売することでも利益を上げている。

 横浜の「ヨコハマ経済新聞」では2004年の創刊から既に、約4,500本のヘッドラインニュースと200本近い特集記事が掲載されている。狭いエリアでこれだけの数の取材をこなしていくことで形成された関係は、地域の企業・商店・市民活動団体・イベント主催者・大学・行政と幅広い。

 また、これまでに自分の地域のコトを書いて伝えたいというライター・編集者200人以上が、地域の情報発信にかかわりたいと編集部を訪れている。価値ある情報を産み出すヒトと、情報をデジタル化して発信していきたいという意思と能力を持ったヒトの所在情報が蓄積され、その中でさまざまなマッチングを行っている。


3,ICTの導入・全国展開に当たっての課題

・常に進化するICTを活用した仕組みを構築して継続的に運営するためには、WEBのシステムの構築や保守管理など、サーバを軸とした「システム」基盤自体を維持・進化させていく技術系チームと、地域住民と日々向かい合い、オンとオフの両面で魅力的な場をつくっていこうとする、まちづくりの目線を持った「運営」チームが一緒になって取り組んでいくことが重要。

・ICTを活用したWEBの情報系を常に魅力的な状態で動かしていくためには、この「システム面」と「運営面」の両輪を成り立たせていくための経営資源の差配、つまりICTのしくみを全体的に「経営」していくための合意形成、意志決定のしくみをダイナミックに動かしていく必要がある。

・横浜市の場合、庁内に地域情報化の推進を担当するセクションが存在しない。
(昨年度庁内に「IT化推進本部」設置したが、地域情報化領域では具体的な動きが見られない)


4,課題解決に向けた提言

・地域で地域情報化に取り組んでいくための体制や運営方法を政策提言していくために、既存の地域のさまざまな中間支援組織などが連携して、将来のビジョンや、次の一歩についての認識を共有することが必要と思われる。

・ICT利活用を推進するリーダー人材をエンパワーメントするための、支援の仕組みのモデル事例をつくること。市民活動団体、企業や大学などとの連携による住民参加型のICT利活用の仕組みの成功事例をつくり、そのモデルを全国各地にスケールアウトしていくことが望まれる。
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