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早川理恵子博士
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海を守る2つの庁 [2014年03月30日(Sun)]
白嶺丸_02.jpg

水産庁の取締船「白嶺丸」


日本の対太平洋政策と言えば次の三本柱
1.漁業政策
2.原子力政策(昔は核廃棄、今はプルトニウム輸送)
3.国連等での支持票獲得

最近はこの3本柱に気候変動が加わった。

この中で漁業問題は何が何でも、絶対関わりたくなかった。(理由は最後に書きました。)
しかし、ミクロネシアの海洋安全保障事業が開始して、ナウル条約とニウエ協定とか、勉強せざるえない状況に追い込まれた。さらにここ数週間、水産庁の臨時職員になったような気分でオンザジョブラーニングをさせていただいています。
日本の水産行政がボワッと見えてきたように思うと同時に、魚を見る度に水産行政を巡る国際関係、感情的環境NGO等々が頭に浮かんできて、素直に食べられない。


<違法操業監視は日本が主導>
きっかけは水産庁の宮原さんなのであるが、具体的にはまだ書けない。晴れてこのブログでご報告できる日が来る事を祈っている。
日本の水産庁は取締船を6隻もっていて、他に民間から30隻位チャーター。加えて飛行機もあるそうで、これは世界的にユニークな、いや水産庁の存在自体が世界的にユニークなんだそうである。
例えば豪州海軍が展開する太平洋のPPBP。30年近くやって、燃料や人員がなくて機能していないとやっと気づいた。餅は餅屋ではないが漁業を知らない海軍は違法操業を取り締まれない。豪州海軍は「魚を追いかけるのは我々の仕事ではない」とまで言っていた。
ところが、2008年頃PPBPの中止を思いとどまらせる事件が。笹川平和財団がミクロネシアの海洋安全保障事業を開始すると聞きつけ、慌てて(発展的)継続を決めたのだ。
しかしながら、もし燃料も人員も完備されたとしても160トンクラスのPPBは追跡型なので、違法操業対策に完璧ではない。
水産庁の取締船は500〜2000トンの大型船で、プカプカとアヒルのように海に浮いて、監視、取り締まっているのだそうである。その代わり追跡や銃撃戦はできない。
だから両方必要。

水産庁の取締船。これをやっているのは世界でも日本だけ。韓国、中国が真似をした、とのこと。
世界中、違法操業監視なんてどこもやっていないらしい。。

<船も色々、値段も色々>
水産庁の職員の皆様には素っ頓狂な質問をさせていただいているように思います。
例えば船の値段の事だ。
豪州のパトロールボート、一隻30億円位するそうである。今豪州政府お金がない。継続を決めてもお金をどうするかが頭痛の種。水産庁の取締船は二千トンクラスのもある。
「160トンクラスで30億円なら、2千トンクラスだと300、400億円ですか?」
回答、20億円もあればできるのだそうだ。なんで船が大きくなるのに値段は安くなるの?(私の誤解かもしれません)要はベニヤで済むところをチーク材にするか、最新機材を入れるか入れないか、等々で船の値段はいくらでも変わってくるのだそうです。
魚の事も船の事もわからない事ばかりである。


<2つの庁が守る世界の海>

shikishima_l.jpg

海上保安庁の「しきしま」


海上保安庁と水産庁。海上自衛隊が手足を縛られている状態の中、日本の海、いや世界の海を守って来たのはこの2つの庁である。戦後安全保障レジームが産んだ、日本固有の海洋安全保障秩序。米豪も自分たちで縛っておいて、日本の状況がまるっきりわかっていない。
ミクロネシア海上保安事業が開始した当初は右も左わからず、「なんで民間団体が海洋安全保障やるの?」と米豪の軍事関係者に怪訝な顔で聞かれても答えられなかった。米国沿岸警備隊はさすがに海保の存在を理解しているが、民間団体の存在は特殊なようだ。
最近は「それはあなた方の戦後政策の結果です。」と戦後から説明している。
水産庁は、国際枠組みで漁業資源が管理される中、日本の国益だけでなく、漁業資源に頼る多くの途上国の利益も守りながら国際的漁業政策を主導しているようである。それを宮原さんがやっていらしたのだ理解している。
(参照「国際交渉官が語る 世界の中の日本の役割」http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1001/spe1_05.html


<ステテコおじさん>
ここから先、どうでも良い話です。
何がなんでも魚の事はやらない、やりたくない、と誓った事件がある。
太平洋、広いようで狭い。援助関係者によく会う。
キリバスで会ったOFCFの叔父さん達。同じ飛行機に乗った。彼らはビジネスクラス。
エコノミークラスの私が搭乗した時、ちょうどその時、その叔父さん達が服を脱ぎだしてステテコ姿になったのである。
スチュワーデスさんは凍り付いていた。本当に硬直していた。
周りの空気も凍っていた。私は当分ショックで、後々まで一言いうべきだっただろうか、と悩んだ。
気持ちはわかる。私も靴を脱ぎますからね。
人生は思い通りに行かない。今は水産行政の核心にどっぷり漬かっているような気がする。
パラオのEEZ商業漁業禁止案に関するガーディアンの記事 [2014年03月28日(Fri)]
またまたパラオですみません。
が、ガーディアンがパラオのEEZ商業漁業禁止案に関してバランスのいい記事を書いているので簡単に紹介しておきたい。

Palau's plans to ban commercial fishing could set precedent for tuna industry
The Pacific nation wants to conserve fish for its economy and marine reserves. How will this impact the fishing industry?
theguardian.com, Wednesday 26 March 2014 18.15 GMT
http://www.theguardian.com/sustainable-business/palau-sharks-ban-commercial-fishing-tuna-industry

まずはAmerican Tunaboat Associationのexecutive director,Brian Hallman氏の見解。
「全く科学的根拠がなく、回遊魚のマグロの管理は国際管理でやるしかないし、もうやっているんだ。」

PEW財団のMatt Rand は
「海洋保護以外にも経済的効果も望め、世界的海洋保護活動の中でも先見的。」
このMatt Randよく知っている。PEW財団は豪州のビリオネラーと並ぶ軽薄短小、無責任な自称環境保護、と私は認識している。この事は苦い経験と共に別の項で書きたい。

それからちょっと驚く発言がNOAAのMichael Tosatto
「僕国務省じゃないからはっきり言えませんが、米国がパラオの拠出している支援金(自由連合協定の事)。米国のマグロ船まで追い出したらその支援にも影響するんじゃないの?」
この発言にはレメンゲサウ大統領キッパリ答えている。「小国の海洋保護活動を、米国が報復するような事はしないと信じている。」そりゃそうでしょう。NOAAのMichael Tosattoさんの発言。本音かもしれないが、外交センスゼロ。NOAA大丈夫?


何はともあれ、このガーディアンの記事はそこら辺の無知な、話題集めのメディアに比べてバランスが取れていると思う。
そして、何はともあれ、人口2万人の小さな島の大統領のラディカル発言が世界を動かしている事は間違いない。
日本は元祖軍産”学”複合体 [2014年03月27日(Thu)]
民主党オープンフォーラム「近現代史研究会」で”第一次世界大戦後のアジアにおける国際政治体制”というテーマの講演があるという。講師は三谷太一郎教授。ご近所の方からの情報。
「第一次世界大戦」当方の今年のテーマである。

講演は第一次世界大戦後のワシントン体制を中心に展開された。
当方の関心はもっぱら第一次世界大戦前後のミクロネシア諸国を巡ってだったので、中国のナショナリズム、国際金融体制とウォールストリートなどの話は、絵が一機に広がったような気がして面白かったし、勉強になった。


<日本は元祖「軍産学複合体」>
質疑応答では三谷講師から「軍産複合体」は日本が先駆けていた、しかも軍産だけでなく学も入った「軍産学複合体」であった、という話はちょっと驚いた。で、早速グーグルで探すと東京大学のサイトにあった。

帝国大学工科大学の時代(明治〜大正時代)
一つは明治の初めに開校した工部省(現在の経済産業省にあたる)の附属学校である工科大学校で、明治13年(1880年)には造船学の授業が開始されました。もう一つは東京大学理学部に明治17年に置かれた造船学科です。
明治19年3月、この二つの学校は合併されて帝国大学工科大学となり、両造船学科もこれに編入されまし た。明治の初め、蒸気船は工業技術の粋を集めたものであり、その設計・建造にたずさわる技術者の育成に大きな力が注がれました。

東京大学大学院 環境海洋工学専攻http://www.naoe.t.u-tokyo.ac.jp/history/history-j.htmlから

ここに海軍や三菱重工のよなうな産業界が加わっていたのであろう。
富国強兵の時代でった。そうでなければ日露戦争で勝てる訳がない。確か日本は英国に次ぐ世界第二位の海軍力を持った時期があったのではなかったか?

<海洋管理と軍事産業>
軍事産業に関してはパラオのEEZ監視を巡り、ドローンや衛星等、ライブで生でそのやり取りを見る機会に遭遇した。その売り込み姿勢はすごい。この軍事産業、なんだかパラオのEEZなんてどうでもよく、自分たちの利益優先、といイメージを植え付けられてしまった。そしてそこには産官学がしっかり組み込まれているし、産業界には元軍人、元沿岸警備隊、という人も多い。天下りなんて当たり前。
「産官学」がいいのか悪いのかはあまり重要な議論ではないような気がしている。要はこれが実際に海洋管理に役立つがどうかだ。

<第一次世界大戦から学ぶもの>
我々は歴史から学ばなければならない。南洋統治という日本が太平洋へ大きく踏み出した第一次世界大戦後の歴史は、今また安倍総理の太平洋訪問を控え、日本がどのような政策を取るべきか、という当方のquestionにもつながる。そこには米豪日の共通認識としての中国もあるし、世界の共通認識としての漁業資源や海洋環境管理もある。
三谷講師のポイントは現在の「国際政治の多極化に適合した国際政治秩序の理念の必要性」であり、それは第一次世界大戦後の、即ちワシントン体勢の歴史から学ばなければならない、という事だ。

<追記>
明治から昭和の軍事費の統計があった。
帝国書院のウェブ https://www.teikokushoin.co.jp/statistics/history_civics/index05.html
軍事費(第1期〜昭和20年)
1894年日清戦争の時、前年度の27.1%から69.4%に跳ね上がっている。
日露戦争の1904年。47.9%から87.9%と約2倍。
そして第一次世界大戦の1914年、33.5%から35.6%これはほぼ同じ。
フィジー大統領のパラオ入り [2014年03月20日(Thu)]
images-2.jpeg

フィジーのRatu Epeli Nailatikau大統領とパラオのレメンゲサウ大統領

1月の笹川会長との面談では、トンガやパプアニューギニアの事も聞かれ、今後も情報発信を続けるよう励ましていただいた。
安倍首相訪問の予定されているパラオの事ばかり書いているが、フィジーもいよいよ選挙迫り,パプアニューギニアは難民問題で豪州と揉めており、キリバス、ツバル、マーシャル諸島はキングタイドで島が海水で覆われ、書くべきニュースは絶えない。

そんな中で、またもやパラオになってしまうが、フィジーのRatu Epeli Nailatikau大統領がパラオに入っているとのニュースが。パラオの後はグアムを訪問予定だそうだ。
今回のフィジー大統領のパラオ訪問は初めての事であるという。
パラオとフィジーの関係、特に観光・農業・漁業分野の強化が合意されたとのこと。

<関連記事>
Fiji looks to formalize relations with Palau
http://www.fbc.com.fj/fiji/18492/fiji-looks-to-formalize-relations-with-palau

Fiji President encourages partnership with Palau
http://www.islandsbusiness.com/news/palau/4930/fiji-president-encourages-partnership-with-palau/


太平洋島嶼国といえば太平洋の十字路と言われたフィジー共和国。
西洋列強がオーストラリア、ニュージーランドの植民地化を進めるために、捕鯨のために、船の燃料の供給地として、飛行機の燃料の供給地として、そして海底通信ケーブルの経由地として必要だった島である。技術が発展し、供給地、経由地の必要性はもうなくまりましたね。
それから英国の植民地としてサトウキビ畑のために連れられてきたインド人が人口の半分を占める。これが後々民族問題に。
英国は植民地化を進めるにあたってトンガの影響が強い(フィジーはトンガの植民地でもあった。)東の酋長と結託し植民地化を進めた。これが後々東と西の権力争いに。

それから、それから、サモア、ナウルに続き1970年にフィジーを独立に導いたカミセセ•マラ閣下は、太平洋諸島フォーラムも創設し、地域のリーダーとして活躍された。
1988年笹川平和財団が主催した太平洋島嶼会議にも出席。その際笹川会長にUPSNet支援を打診したのはカミセセ•マラ閣下で、これが現在の日本のODA支援になった。

フィジーは2006年のクーデター以来、豪NZからの制裁と太平洋諸島フォーラム及び英連邦から閉め出されてきた。その間中国始め BRICS 等との関係を強化。日本との直行便も香港に取って代わられしまった。
そして太平洋諸島フォーラムから閉め出されてもフィジーはめげなかった。Pacific Islands Development Forum(PIDF)を創設し、地域との連携強化を図ってきた。

先々週、長年の制裁を課して来た豪州のビショップ外相がフィジーを訪ねバイニマラマ暫定首相と和解したニュースは、二人が握手した写真と共に大きく扱われた。しかし、フィジーは10年近く続いた豪NZの制裁によって逆に豪NZがなくてもやっていける、という自信を強めたのではないであろうか?逆に豪NZを見限る事によって世界には多くの友人(中国、アラブ諸国、ロシア等々)がいる事を認識したのではないだろうか?

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豪州のビショップ外相とフィジーのバイニマラマ暫定首相


旧宗主国の影響を離れ、島嶼国の道を、即ちPacific Wayを進むためにフィジーが創設した太平洋諸島フォーラムは創設者のフィジーを追い出し、豪NZに乗っ取られた形だ。フィジーは再び、今度は豪NZも除いたPIDFを創設し、パラオの参加も呼びかけた。
島嶼国間の外交が大きく動来だしたような気がする。

太平洋諸島フォーラム、以前は「南」がついていました。これを取ったのは1999年にフォーラム総会を主催したパラオのナカムラ元大統領です。御本人から伺ったので間違いないでしょう。強硬に反対したのが豪NZ。これもナカムラ大統領から直接伺いました。豪NZ米の島嶼国への関与、というか干渉、これもパラオ、フィジーの共通認識かもしれません。
この7月にはフォーラム総会がパラオで再び開催される。ここに安倍首相が招待されている。
パラオが赤道の北と南を結ぶ役割をまた示すかもしれません。
ケリーのお父さん [2014年03月19日(Wed)]
娘の友人のお母さんとお茶をした。

文化の違いを色々話している最中に、
「ねえ、日本では友達の親をどう呼ぶの?」
「んんん、ケリーちゃんのお父さん、とか、ナオミちゃんのお母さん、とか。苗字か名前を親は呼ぶけど、子供は呼ばない、と思う。」

こういう事はいざ聞かれると自信がない。

白人社会で大人から、リエコ、リエコ、と呼ばれるのもなんかムズムズするが、ガキからリエコ、リエコと呼ばれと大分慣れたとはいえ、反射的にむっとしてしまう。
白人社会も一昔前は友達の親をファーストネームでは呼ばなかったようで、ミセス・ケネディ、とかミスター・チャーチル、と呼ばせていたらしい。

で、なんで娘の友人のお母さんがこんな質問を私にしたか、というと、我が家の娘が御邪魔した際に「ケリーちゃんのお父さん、すみませんが。。」と話しかけるようで、これに違和感を感じたお父さんが「リエコの娘、わかったよ。。」と返しておちょくっているのだそうだ。

日常の何気ない文化の違い、意識すると面白い。

アボット政権 ー トヨタの次はドローン? [2014年03月18日(Tue)]


4月7日来日予定のトニー・アボット、オーストラリア首相の動向を調べていたら興味深い記事が見つかった。

南オーストラリアの選挙を目の前にし、アボット首相が米国からドローンの購入を決定した事を発表。南オーストラリアに対しドローンの管理運営のために100ミリオン豪ドル以上のインフラ投資が、そして新たな職も生まれる、という朗報。モチロン選挙対策。

Defence to buy Triton unmanned aerial vehicles to be housed at Edinburgh
MARCH 13, 2014, THE ADVERTISER
http://www.adelaidenow.com.au/news/south-australia/defence-to-buy-triton-unmanned-aerial-vehicles-to-be-housed-at-edinburgh/story-fni6uo1m-1226853062965

New drone fleet will deliver $100m boost to South Australia, Abbott says
the guardian, Thursday 13 March 2014
http://www.theguardian.com/world/2014/mar/13/new-drone-fleet-will-deliver-100m-boost-to-south-australia-abbott-says


選挙対策もありますが、この南オーストラリア、12月のホールデンの現地生産撤退に続き、2月にトヨタの撤退がアナウンスされ、1万人以上の失業者が生まれると言われている。しかし、アボット政権打つ手なし、という窮地に追いつめられた背景もある。


過去10年、鉱山産業が好調で、製造業が伸びず、豪ドル高も加わって輸出産業が痛手という典型的オランダ病のオーストラリア。トヨタ撤退の後はドローンがとって替わろうというのか?
自動車産業がなくなれば守るべき産業ではなくなり、自動車関税の廃止もあり得る。豪州は日本から年間1兆円程度の自動車を輸入している(ウロ覚えです)。現在詰めに入っている日豪EPA交渉の牛肉関税とも関係して来る。
自動車と牛の駆け引きにドローンが登場、という構図だろうか?そしてこのドローンが太平洋の違法操業監視に?もしそうであれば、興味深い構図だ。

但し、豪州は国防予算も含め国家予算が縮小される中で、数千億円単位のドローン購入費をどうするかまだ見通しは立っていないようだ。中国からの鉄鋼需要がこれ以上伸びない事もあり、豪州の鉱山業は頭打ちとのこと。
まさか、ドローン購入を日本に負担しろ、なんて事はないでしょうが。。


以前何度か書いた、オーストラリアの鉄鋼王にしてビリオネラーさんのドローン。パラオの違法操業監視を巡る話題作りには役立ったと思うが実効性はゼロ、と当方は判断している。ネガティブな情報はあまり出せませんが、ポジティブな面を言えば、”無差別殺人”のレッテルを貼られているドローんが広大な太平洋の海洋監視に役立つかもしれない、という人々の理解と関心を引いた事であろう。


追記
キャンベラのASPIがこの1月から無人偵察機関連で多くのペーパーを出している。多分今回のアボット首相の決定と関連しているのだろう。ざっとしか目を通していないが、前向きな内容だと思う。軍事関係も無人機もまだまだよくわかりません。

The decline in USAF fighter capability and the unmanned future
8 Jan 2014
By Malcolm Davis
http://www.aspistrategist.org.au/the-decline-in-usaf-fighter-capability-and-the-unmanned-future/

Towards an unmanned air combat capability (part 1)
30 Jan 2014
By Peter Layton
http://www.aspistrategist.org.au/towards-an-unmanned-air-combat-capability-part-1/

Towards an unmanned air combat capability (part 2)
10 Feb 2014
By Peter Layton
http://www.aspistrategist.org.au/towards-an-unmanned-air-combat-capability-part-2/

Drone strikes in a multipolar world
17 Feb 2014
By Rosalyn Turner
http://www.aspistrategist.org.au/drone-strikes-in-a-multipolar-world/

Unmanned aerial systems−where to for Australia?
10 Mar 2014
By Katherine Ziesing
http://www.aspistrategist.org.au/unmanned-aerial-systems-where-to-for-australia/


第45回太平洋諸島フォーラム年次総会の進捗 [2014年03月06日(Thu)]
45th-PIF-logo_03.jpg


毎年行われる太平洋諸島フォーラム総会。
今年は日本の首相が参加する「かも」しれない、しかも日本との、財団との関係が深いパラオでの開催となれば、その進捗が気になる。

豪州からは30人の代表団が予定され、米国のケリー長官の参加が昨年よりも真剣に検討されている、とオバマ大統領に近い方からの情報を得た。やっぱり安倍総理の太平洋諸島訪問のニュ−スは米豪に大きな刺激を与えたに違いない。

パラオのテレビ局オセアニアTVのニュースによると、
16カ国プラス関係諸国、NGO、メディア含め、参加者は数百名。パラオのホテル446室が確保された。
肝心のテーマは“The Ocean: Life and Future”。ロゴも上記に決定。パラオの国旗に使用されているカラー、黄色と青が基調だ。
このテーマがこれから一年のフォーラムの主要アジェンダにもなる。来年福島開催が予定されている太平洋島サミットにも無関係とは言えない。今年9月サモアで開催されるThe 3rd International Conference on Small Islands Developing States にもつながるテーマだ。


日程は7月29日から8月1日の4日間。

Tuesday 29 July 2014
Smaller Islands States Leaders Meeting

Wednesday 30 July 2014
45th Pacific Islands Forum Plenary Session

Thursday 31 July 2014
Forum Leaders Retreat

Friday 01 August 2014
26th Post-Forum Dialogue Partners Plenary Session

安倍首相の太平洋訪問に向けて(6)小さな島国のEEZは誰が守るのか? [2014年03月04日(Tue)]
昨年、琉球大学が主催した「島と海」のシンポジウムでは、発表する機会もいただき、あらためて小さな島国が大きなEEZを保有、管理する権利と義務について考える機会があった。
年明けの寺島常務との面談では、太平洋の広大な海がほぼ全域、島々が点在する事によってどこかのEEZになっており、太平洋を通行する際はこのEEZを通らなければならない、という御指摘があった。

800px-Exclusive_Economic_Zones_World_Pacific-centric.png

この図をると太平洋島嶼国のEEZがあたかも豪州NZの防壁となっているようにも見える。
(図をクリックすると拡大できます。)


EEZは主権国家が黙って授かるモノではなく、自ら申請し獲得するモノだ。権利でもあるが、EEZを守るという義務も発生する。
EEZの議論が盛んだった70年代、主権国家となっていた太平洋島嶼国は3カ国だけ。独立を目の前にしていたのは数カ国。フィジー以外は広大なEEZを保有、管理する事に積極的ではなかったようだ。
 
<70年代前に独立した島嶼国>
Samoa (1962).
Then Nauru (1968),
Fiji (1970),

<70年代に独立した島嶼国>
Papua New Guinea (1975),
Tuvalu (1978),
Solomon Islands (1978),
Kiribati (1979).

では誰が押したのか?この広い太平洋を防壁にしたいのはNZ豪ではなかったか?だからこそ島嶼国のEEZ確立と共に豪州はPPBPの事業を立ち上げたのでないであろうか?ここら辺はまだ想像で確証は得ていない。


ところで小さな島国はそのEEZを管理する義務を遂行しているのであろうか?
以前弊ブログに書いた、人口一人当たりのEEZである。琉球大学のシンポジウムでは、海上保安庁の参加者の方から、人口以外にGNPでも比較する必要を指摘いただいたがまだやっていない。
人口一人当たり東京ドーム半分のEEZ「しか」ない日本と、人口一人当たり650個分ものEEZを抱えるパラオ。経済力は日本の方が大きい事は数字を出すにも及ばないであろう。即ち先進国日NZ豪とパラオなどの島国のEEZ管理能力は下記の数字から読み取れる違いよりはるかに大きい。

人口一人当たりのEEZを東京ドームで測ると
(下記の数字はざっと計算しただけなので、引用しないでください。イメージを掴む範囲で参照いただければ幸いです。)

半分強―日本
10個分―オーストラリア
20個分―ニュージーランド
580個分―ミクロネシア連邦
650個分―パラオ共和国
720個分―キリバス
760個分―マーシャル諸島

正直に言って太平洋島嶼国が自力でその広大なEEZを管理する事は不可能である、と言わざるを得ない。


それでは、太平洋の島嶼国に対し、管理できなのだからEEZは放棄しないさい、と言ったらどなるであろうら?太平洋に今度は巨大な公海が誕生する事になる。
この公海とEEZの違いは何か?誰の者でもない公海であれば魚取り放題、海底資源も開発し放題。(厳密にはそうでないと思いますが。)EEZを制定した海洋ですらIUUだらけなのである。
そしてパラオのレメンゲサウ大統領が指摘するように、島嶼国のEEZの資源を主に消費するのは大国なのだ。

公海にして国際的に管理する方向を探るか?島嶼国の主権下において管理する方向を探るか?
法執行が容易なのでは後者であろう。
しかし、相当な支援をする必要がある。しかも主権国家の法執行権に介入する可能性もあり諸刃の刃にもなりかねない。政治的なバランスも必要だ。

島嶼国が支援を望んでいる事も事実だ。
米豪の裏庭であるはずの太平洋で、冷戦終結以降海洋の管理は殆ど行われていない。中国の脅威ばかりがメディアで取り上げられているが、それより脅威なのは漁業資源の枯渇だ。そして、太平洋の島々をステップストーンにして行われている人身売買、麻薬取引、密輸、密航等々で、これは太平洋周辺国、即ち米日豪NZを最終目的地としている。

安倍総理のアジア太平洋外交と海洋外交。日本の役割を改めて期待したい。