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早川理恵子博士
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安倍首相の太平洋訪問に向けて(5)ミクロネシア3国 自由連合協定の将来 [2014年02月24日(Mon)]
ホノルル出張では本当にタイミングよく多くの方に会う機会があった。

ミクロネシア三国と米国の自由連合協定を管理するのが米国内務省- Department of Interior
米国が出したコンパクトマネーがちゃんと使われるようミクロネシア3国及び米領のグアム、サイパン、サモア、バージン諸島の担当官等をトレーニングしたり、当該国の経済調査までする。実際は"Graduate School"というところに内務省が委託している。

古い知人はこの事業の責任者だ。
ワシントンD.C.でコンパクトマネーの課題について調査した成果を発表してきたばかりだという。
2023年にコンパクトマネーが停止する予定の、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島はその日に備えて信託基金を2004年から積み立てている。しかし目標にはほど遠い。
しかも、様々な試算の結果、信託基金が整ってもグローバル経済の影響で収益は一定しないどころかマイナスになる可能性も明るみに。
なお、コンパクトマネーが現在保留されているパラオの方だが、議会承認にも得ているが予算が確保できない、というのが理由だそうだ。
削減を進める米国連邦予算。新たな予算措置は基本的にしない方針。必要な経費は外から得て来るか、他の事業を潰すか、という選択しかないそうである。噂だが,このままコンパクトマネーの凍結が続けばパラオは公務員削減を強硬するしかない、とも聞く。


さて、友人の話。詳しい資料はウェッブに出ているから、という事で後は自分で勉強しろ、という事のようだ。
その資料が下記である。


A Decade of Economic Performance in the Freely Associated States:
Comparing and Contrasting Outcomes for the Federated States of Micronesia, Republic of the Marshall Islands and the Republic of Palau from FY03 to FY13

EconMAP Presentation: January 14, 2014, Washington, DC
http://www.pitiviti.org/initiatives/economics/presentation.php


パワーポイントのグラフでまとめた発表資料はわかりやすい。

各国の経済状況と、信託基金を含む政策面、そして将来の見通しの3点から、各国の状況をまとめている。
(以下数字はグラフからの概算なので引用しないで下さい。各国毎に約100頁のレポートがまとめられています。サマリーしか読んでいません。)

ミクロネシア連邦(FSM)、マーシャル諸島(RMI)、パラオ(ROP)。この中で一番経済的に健全なのがパラオ。
国民一人当たりのGDPは、FSM $2,500 RMI $3,200 ROP $11,000 とパラオが飛び抜けている。

パラオは観光産業が伸び、2009年から2012年の4年間に、年間$30 millionから$42 millionと急成長。
他方FSMもRMIも観光産業はほとんどない。

ちなみに人口は大ざっぱに FSM 10万人、RMI5万人 、 ROP2万人 である。
この他に3人に一人は米国に住んでいる。

RMIは漁業権収入が2009-2012にかけて$3million から$10millionと3倍以上伸びている。
3カ国中一番大きなEEZを抱えるFSMも$20millionから$30millionへと大きく伸びている。
ROPは$1−3millionとほぼ横ばい。
この伸びは漁業資源管理枠組みのナウル協定による新政策の成果だと思う。


次に信託基金。
1980年代からROPは準備していたようで、2024年の目標$294Millionの目標に対し2013年には$180millionに達している。
FSMは2023年の目標基金$1.68billionに対し、2013年時点では$411millionなければならないところ、$306million.
RMIは2023年の目標基金$745millionに対し、2013年時点で$213millionなければならないところ$194million

RMIは不足分を台湾からの資金援助で埋めたりもしているようだ。
要は米国のコンパクトマネーが切れる9年後に向けたRMIとFSM の信託基金準備は予定を遥かに下回っているだけでなく、パラオに比べ観光産業等の外貨獲得産業がない両国はもっと深刻である、ということだろう。

友人は、こんな不安定な信託基金に国家運営が頼っていいのだろうか、とつぶやいていた。
米国は戦後70年もやってきたのだ。援助疲れもあるであろう。


昭和17年若干32歳の大蔵事務官が南洋庁の予算主査を務めていた。
Pacific Ocean Communityの主唱者でもある、大平正芳元総理である。
ここは日本の出番のような気もするのですが、どうでしょうか?

「紙のカテドラル」その2 [2014年02月23日(Sun)]
先週訪ねたクライストチャーチにある紙のカテドラル。
ニュージーランド人に見て来た事を伝えたら、「そう。」と言って口をつぐんでしまう。
なんか変だな、鯨が原因か?と思ったらこのカラテドラル、コントロバーシャルなカテドラルなんだそうだ。

どのようにコントロバーシャルなのか?
まずは教会が市や信者の意見を無視して進めた事。
加えて市が年間の維持費(約2千万円)を供出拒否。
そして、議員が教会を最高裁に訴えた。理由は古い聖堂を閉鎖する事を教会が勝手に決めたから。

日本人が関わったから、とか、紙だから、というのが理由ではないようなのでホットしたが、復興の美談、というわけもなかったようで残念である。

それにしても古い聖堂を建て替えるには、資金も時間もかかるだろうから、仮設聖堂を受け入れてもいいのではないか、と思うがどうでしょうか?
日本のお寺や神社だったらどうであろうか?被害の規模も、経済力も日本とニュージーランドは違うので簡単に比較できないとは思うが。
復興、みんなの意見が合致する、ということはなかなか難しいのだろう。

追記
坂茂氏が制作した紙の教会は震災後の神戸にもあった。
こちらは募金一千万円で後はボランティア。クライストチャーチの方は総額4億円位かかったそうだ。この金額も教会を批判する要因の一つであるという。
神戸の紙の教会は、2005年震災のあった台湾に寄付されたという。
「虎屋」の羊羹と2000年の友人 [2014年02月21日(Fri)]
toraya-omokage.jpg

やっぱり、黒砂糖羊羹は虎屋


年明けの笹川会長との面談でお土産をいただいた。
「虎屋」の羊羹と『隣人・中国人に言っておきたいこと』
実はこの本は出版されてすぐ自分で購入し読んでいた。でも笹川会長に持ってますからいりません、とは言えず、そのままいただいて電車の中で再読した。

いつもながらの軽快な文章で読みやすいが、内容は重い。
中国が2000年の友人である、とか共産主義は日本が紹介したとかいうのは頭に残っていたが、天安門事件の経済制裁解除は笹川会長が動いていたのは、残っていなかった。
こういう話が英語でサッサッと出てくるようになりたい。

ここ最近、米豪NZの知人、友人から、「中国と日本は嫌い合っているのよね。」とゾッとする事を言われる事が多々ある。その度にああ、これは白人の情報操作、共謀、オフショアバランス戦略であると気づき「日本と中国は2000年の付き合いなんです。」と応えている。

本当に中国と日本は嫌い合っているのだろうか?
新年は京都にしばらく滞在したのだが、どこに行っても中国人なのである。
道を歩いていても、バスの中も、寿司屋も、ラーメン屋も、かに道楽、も。
中国人は日本が好きなのだ。でなければ、こんなに来ないでしょう?

ところで、いただいた「虎屋」の羊羹。
許容可能な値段ではないため食べる機会が十年以上なかった。
おいしかったです。笹川平和財団の職員の皆さんと分けさせていただきました。
この羊羹も室町時代に中国からの輸入された。虎屋さんも室町時代の創業。
オリジナルは字のごとく羊の肉を煮たもの。
それが日本の禅僧によって小豆の羊羹に。
そしてこの甘い羊羹も他の文化と同じように、日本から中国に逆輸入されたそうだ。



カプランの最近の中国分析が興味深い
Why Is China Really Provoking Its Neighbors?
By Robert Kaplan, February 13, 2014
http://www.realclearworld.com/articles/2014/02/13/why_is_china_really_provoking_its_neighbors.html
 
「地政学を英国で学んだ」に要約があります。
ロバート・カプランによる中国の戦略分析
歌を歌って楽しく過ごす人生 [2014年02月20日(Thu)]
「開発」の議論を旅している。
人間開発ー 早く言えば理想のお婿さん選び「三高」と同じレベルの議論だ。

1に背が高い。(栄養が行き届いている)
2にお給料が高い。(雇用に恵まれている)
3に学歴が高い。(教育の機会がある)

こんなクダラナイ議論に人生を費やすのはイヤだな〜、と段々思えてきた。


タヒチで聞いた話。
とても優秀な青年がいた。そう、世の中には勉強もしないのにやけに優秀な人がいる。
まわりから推薦され、フランスのソルボンヌ大学に即入学。
本人の意思で数ヶ月で戻って来たという。
戻って来て、日長一日ギターを片手に歌を歌って過ごしているんだそうである。
今彼はどうしているのだろう?後悔はしていないだろうか?
末は博士か大臣か、にもなれた人物であろう。でも興味なかったのよね。
わかるわ。

私も今日はピアノをゆっくり弾こう。



Origins of Development and Int'l Cooperation [2014年02月20日(Thu)]
1月に書いたメモ。博論の一部。
開発の起源を国際連盟規約22条に求めたもの。そして矢内原著『帝国主義研究』で指摘されていた批判を加えた。矢内原のベルサイユ会議の批判ももっと入れこみたいし、もう少し書き加える必要があるので、Not For Citation

This is only memo. Not For Citation
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The study of Economic Development emerged after the Second World War. The European Recovery Program, so called the Marshall Plan in which the United States supported the European countries after the Second World War (1947 to 1949) is one of origins of international cooperation. However, this assistance scheme was undertaken by so-called “developed” countries of Europe and the United States. Yet the possible origin of development between “developed countries” and “developing countries” or “colonial countries” and “colonized countries”, could be read much earlier in the Covenant of the League of Nations as the result of Versailles Peace conference where Woodrow Wilson introduced “Self Determination” for former colonial territories.

“To those colonies and territories which as a consequence of the late war have ceased to be under the sovereignty of the States which formerly governed them and which are inhabited by peoples not yet able to stand by themselves under the strenuous conditions of the modern world, there should be applied the principle that the well-being and development of such peoples form a sacred trust of civilisation and that securities for the performance of this trust should be embodied in this Covenant.
The Covenant of the League of Nations, ARTICLE 22.

This article tells us a lot about the origin of “development”. For example, the statement such as “peoples not yet able to stand by themselves under the strenuous conditions of the modern world,” shows that colonial countries saw the peoples of colonized territory as not being capable of standing by themselves under modern, which meant colonial countries values of the world. Furthermore, this article claimed that development for the people of colonial territories should “form a sacred trust of civilization”. Here again we can see a unilateral perception namely “civilization” from colonial countries to colonized countries. Yanaihara described this arrangement as “rational exploitation” from “irrational exploitation” under the colonial administration. (Yanaihara, 1948)
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安倍首相の太平洋訪問に向けて(4)自由連合について語ろう! [2014年02月18日(Tue)]
<ヒーゼル神父>
ホノルル出張では大きなボーナスがあった。
今はニューヨークに滞在するイエズス会のヒーゼル神父が偶々ホノルルを訪問されていたのである。
ヒーゼル神父は50年以上ミクロネシアの教育、社会問題に身を捧げてきた。
会話のテーマは広かったが、一つは自由連合協定の事である。
「リエコ僕は誤解していた。自由連合とは外交と安全保障に関与する、という事ではないんだね。」
50年の経歴のある神父様の修正は重い。もうこの言葉を聞いただけで神に感謝した。


<またまた自由連合>
このブログでも何度も取り上げている自由連合協定。戦後、国連が合意した脱植民地化の3つの選択の一つ。1)独立国になるか、2)どこかの国に統合されるか(旧宗主国である必要はない。)3)もしくはどこかの国と自由連合を締結するか。
自由連合とは外交と安全保障に関与する事が前提ではない。目的は脱植民地。民族自決。
自由連合という政治形態を国連に提案したニュージーランド政府は現在クック諸島、ニウエと自由連合を締結しているが、外交、安全保障その他、依頼があれば支援する、という程度。
ところが冷戦時代、ソ連と米国を挟む太平洋に位置するミクロネシアが米国と制定した自由連合協定は、はっきり言えば米国の安全保障を守るための連合。これと引き換えにコンパクト・マネー(協定援助金)がセットされている。

<残された期限は9年>
RMIとFSMのコンパクト・マネーが切れるのが9年後の2023年。自由連合はどちらかが止めると言うまでは継続。しかしコンパクト・マネーは切れるんだそうである。その日のために信託基金を設置したのがどうもうまく行っていないらしい。

やっぱり独立国家としてやっていけません。どこかの国に統合されます。というのも一つの選択肢。もしくはインターネット整備をしてオフショア金融や、カジノ経営で国家運営を、という手もある。
ここ数年議論されてきたのが、違法操業で巨大な損失をしている漁業資源の管理運営の改善。
上記の3つの選択肢、どれにしろどこかの大国か、巨大国際企業、ビリオネラー、もしくは怪しいシンジケートの支援がなければでない話だ。


<戦略的太平洋支援を>
安倍総理の太平洋訪問。日本の新たな戦略的太平洋への関与を示す機会ではないか。
それは現在のステータスクオ、即ち米豪(NZ仏も)を中心とした太平洋の安全保障経済体制を支援し強化するものでなければならない。
特に日本との関係が深いミクロネシア地域においては米国が築いてきた体制を支援し(悪いところは改善し、良いところは伸ばす)、日米同盟の強化につなげることが肝心だ。ミクロネシア海域は日本の海洋安全保障にも一致する。

ミクロネシア諸国にとっても民族自決の維持と福祉の向上に自由連合の枠組みは外せない。
ミクロネシア3国と米国の自由連合はコンパクト・マネーの他に航空協定、通信協定、海洋環境管理、移民等々、ミクロネシアと米国の社会システムを切っても切り離せない状況にしている。この中で日本がどこを肩代わりできるか、もしくは共同で支援すべきか、戦略的支援を検討する機会である。

<米国も期待>
ヒーゼル神父からフォローのメールが来た。
「日本がミクロネシアと米国の自由連合をテーブルに上げることは非常に意味があると思う。」
米国内にはミクロネシア、西太平洋軽視の大きな勢力があるようだ。ホノルル出張ではヒーゼル神父だけでなく、何人かの米国政策関係者から日本の関与を期待する声をいただいている。









ラッドってこんな奴だったとは知らなかった件 [2014年02月17日(Mon)]
豪州の元首相ケビン・ラッド氏。
親中派として有名。日本の2000年の友人である中国と太平洋の新参者でもある(アボリジニーは5万年の歴史がありますが。)豪州が仲良くなる事は良い事である、位に思っていた。


1988年太平洋島嶼国の首脳を中国に紹介したのは笹川平和財団である。
天安門事件の後、G7に経済制裁を解除するよう働きかけたのは笹川会長である。
さらに日中の軍人交流を推進したのも笹川会長である。
(詳しくは笹川陽平著『隣人・中国人に言っておきたいこと』をご参照ください。)

ところがこの親中のケビン・ラッド氏がこんなけしからん奴だったと知ったのは年末の事である。
イギリスのThe International Institute for Strategic Studiesに招かれたラッド氏。"China's impact on regional and global order"というテーマでスピーチをした。
この中の下記の部分。
日本の1985-1945の台頭は非平和的で、現在の中国の台頭は平和的、??? と述べています。

ラッド氏は第一世界大戦中、自国を守ったのが日本である事を勿論ご存知ないのだろう。

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In the Chinese conceptual world, ‘peaceful development’ is seen as the means by which to effect the realisation of the Chinese dream.

This concept of ‘peaceful development’ is designed to assuage China’s neighbours and other international partners that China’s rise will only be obtained by peaceful means.

This formulation is in turn also designed to specifically contrast with the non-peaceful rise of Japan over the half century from 1895-1945.

This concept is not only to provide comfort to the international community that China will only prosecute what is described as a ‘win-win’ strategy; it is also designed to deal with China’s own strategic imperatives.
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安倍首相の太平洋訪問に向けて (3) ゲダイ メイト! [2014年02月16日(Sun)]
2008年に笹川平和財団が開始したミクロネシア海上保安事業。我々のイニシアチブを歓迎する米国とは対照的に強いリザベーションを示したのがオーストラリア。

在ミクロネシアの豪州大使からは
「日本がミクロネシアの海洋安全保障ですって! 日本語をミクロネシアの海上法執行官に教えたどうかしら?日本の違法操業を取り締まるために必要よ。」
あの時、第一次世界大戦で豪州NZを守ったのは日本海軍である事を知っていたら、応酬できたのに今思い出しても悔しい。

キャンベラの外交官からは
「なんでミクロネシアで海上保安事業を始めたわけ?(当方から過去の経緯を説明) あなたのせいね。豪州政府が今まで築いてきた秩序を壊されたくないのよ。余計な事はして欲しくないわ。」
日本の一民間財団にパラノイア的反応を示す豪州政府の太平洋政策はそんなレベルか、と逆に哀れに感じた。


先週、久々にキャンベラを訪問。
安倍首相のパラオPIF出席や太平洋訪問の可能性に豪州政府がどのような反応を示すか、1月のホノルル出張よりも大きな不安を抱えてキャンベラに入った。結果を先に言うと「日本はアジアのベストフレンド」とのアボット首相の言葉は単なる外交辞令ではないと思えるような、今までにないような歓迎、友好ムードであった。
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(私もこんな雰囲気でキャンベラで迎えられました。手は握られていませんが。。)

シドニーのシンクタンクでその理由を伺った。
背景にはジョン•ハワード元首相の影響があるのでは、とのこと。アボット首相はハワード政権下で閣僚を務めた。よってハワード時代の人材が周りに配置されている。特に外交分野の人材は親日派であったハワード政権の影響があるのではないか、との事であった。
そういえば、ミクロネシアの海上保安事業が開始した2008年は極端な親中を掲げたラッド政権時代であった。
ジョン•ハワード氏。昨年11月に旭日大綬章を受賞している。日本政府もこのような背景を十分認識しハワード・アボット政権との信頼関係を確実にしているのでは?

2014年4月のアボット首相来日に続き7月に安倍首相の豪州訪問が予定されている。そして7月末に2人でパラオ(PIF総会)入り、という筋書きか。

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(在豪州秋元大使から旭日大綬章を授与されるハワード元首相)

今回お会いした豪州外務省、国防省、政策研究所の方達は、気持ちが悪いくらい友好的であった。
思わずホンネが出てしまった。
「イヤー、本当の事を言いますと、2008年からキャンベラに通っていますが、当初強い反発があり、こんな歓迎されたのは初めてです。」
「本当ですか?我々は、前のグループと違いますから。」

2014年は日豪海軍協力の100周年記念にあたり、日豪の新たな海洋協力をスタートする格好の年である。本件は、さすがに国防省は把握していたが、多くのオーストラリア人(日本人も)忘れている歴史である。

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ANZACをヨーロッパまでエスコートした「伊吹」


日本人建築家、坂茂による「紙のカテドラル」 [2014年02月14日(Fri)]
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オーストラリア出張の帰途、乗り継ぎのためニュージーランド、クライストチャーチに一泊。
以前、雑誌で見た日本人建築家、坂茂氏による「紙のカテドラル」がホテルの近くにあるとのことだったので、空港へ向かう前に足を運んだ。

地元の人だけでなく、海外からの観光客も足を運ぶようで、神父様が玄関口に立ち、訪問者を歓迎。質問はなんでもどうぞとのこと。早速インタビュー。

当方「なぜ、日本人建築家を選んだのですか?」
神父様「教会のスタッフの一人が茂をウェッブで見つけてコンタクトしました。彼は無償でこの教会を設計してくれるとの事だったので、依頼したのです。」
当方「地元の方や見学者の反応は?」
神父様「大方、良い反応です。ただ高齢者は昔のスタイルの方がよいと言っています。この場所は特別で隣に崩壊したCTVビルがあり、犠牲者の祈りを捧げる広場が目の前にあるのです。そしてコンサートや公共の集会場所としても、貴重な場所なのです。」


CTVビルは語学学校があった、日本人の犠牲者も多く出たビルである。

教会の写真は坂氏のウェッブに掲載されている。
「Cardbord Cathedral / 紙のカテドラル」
http://www.shigerubanarchitects.com/works/2013_cardboard-cathedral/index.html


クライストチャーチの大地震は2011.2.22
その約2週間後、2011.3.11に東北大地震があった。

日本とNZをつなぐもの。豊かな自然とその自然災害への対応。
あまり日本のメディアは取り上げていないようなので、微力ながらこのブログで紹介したい。

シーシェパードの件はレクイエムの向こうに、雑音のように消えて行くような気がした。



関連記事
Quake-proof cathedral made of cardboard unveiled
Updated 14:14 19 August 2013 by Michael Slezak
http://www.newscientist.com/article/dn24058-quakeproof-cathedral-made-of-cardboard-unveiled.html#.Uv4s2BZ849c

「紙のカテドラル」その2
https://blog.canpan.info/yashinomi/archive/897
安倍首相の太平洋訪問に向けて (2) ヒラリー長官、キャンベル国務次官補はどこに? [2014年02月10日(Mon)]
年明けの寺島常務との面談は奥も幅も広い内容で、改めて貴重なお時間をいただいた事を感謝しています。
その中で、寺島常務が指摘されていた事。
「島の人とやり取りしながら、同時に米豪NZ仏の姿を見る。米豪NZ仏の人たちと太平洋の事を語りながら島の人の立場に立つ。」
広大な太平洋、“主権国家”太平洋島嶼国が管轄していると単純に理解してはいけません。西洋列強の勢力地図が被さっています。
太平洋の島の仕事を始めてすぐに気づいたのがこの事。島嶼国相手に事業をしているようで、実は米豪NZ仏が相手。米豪NZ仏と協議しながら島嶼国の“主権”を意識する。これが奥義。
寺島常務は笹川太平洋島嶼国基金運営委員長であり、改めて太平洋島嶼国の奥義を知る方と仕事ができる事を感謝しました。

<ホノルルに飛ぶ>
年末に産経に掲載された安倍総理の太平洋訪問。誤報でもなく、確実に検討されている様子。
2014年、安倍総理が訪問を検討しているというパラオは米国の裏庭。即ちパラオとの関係という視点と同時に米国との関係をどうするか、という事です。
70年前、ニミッツ司令官が日本から奪い取ったパラオ。冷戦期、米国の戦略的地域として自由連合協定を締結しているパラオ。裏庭であるはずのパラオに米国の大統領どころか国務長官でさえ訪ねたことはないはず。そこに日本の首相が訪ねる、という事に米国はどのような反応を示すか。
2008年に始まったミクロネシア海上保安事業は日米関係をどう動かすかという事です。
羽生会長との面談でこの件を再度確認。急遽ホノルルに飛ぶ事となりました。

<ヒラリー長官、キャンベル国務次官補はどこに?>
ホノルルでは国務省、国防省、国家安全保障省、内務省と主要な連邦政府機関の関係者と会う事ができました。
自分たちの即ち米国の縄張りに、しかもPIFメンバーでもない日本がプレゼンスを示す事に対する多少の反発、抵抗を予想していましたが、面談者全員が安倍総理のパラオPIF出席の可能性、太平洋島嶼国訪問が検討されている事にポジティブな驚きと興奮を示し、積極的に協力したい、との反応を得ました。
このような前向きの反応の背景には、数年前に「太平洋の世紀」とうたって華々しく島嶼国を訪ねたクリントン長官、キャンベル国務次官補の頃から一転し、ケリー長官始めワシントンD.C.の太平洋に対する関心が一機に冷えてしまった現状を懸念するハワイ・グアムで現場を預かる担当者としての期待があるように見受けられました。
昨年のマーシャル諸島で開催されたPIF年次総会では、ケリー長官出席が最終段階で見送られ、主催国マーシャル諸島政府は面子を潰された形になったという裏話も聞けました。

<ダウンアンダーの国へ>
日本の太平洋進出に異常に神経を尖らせる国があります。オーストラリアです。
北太平洋のミクロネシア地域は米国の縄張りのはずですが、PIFメンバー国でもあり太平洋全域にPPBPを展開する豪州は明らかに日本のプレゼンスを気にしています。他方、経済力も軍事力もあらゆる面で力を失いつつある豪州の影響力は、ある方に言わせれば目も覆わんばかりの哀れさである、とのこと。

今キャンベラに向かう途中。タスマン海上空です。

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