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早川理恵子博士
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米領サモアからツナ缶工場がなくなるとサモア独立国に海底通信ケーブルが敷かれる話 [2012年06月30日(Sat)]
風が吹くと桶屋が儲かる話の太平洋シリーズ第4弾。

 以前、米領サモアのツナ缶工場が自由貿易の波を受け閉鎖されたことによって、そこで働いていた多くのサモア独立国の人々が職を失い、サモアは経済的関係を西に位置するニュージーランド、豪州に合わせるため日付変更線や車の走る方向まで変えた話をしました。

 2009年とちょっと古いのですが、このツナ缶工場がなくなったおかげで、サモア独立国に海底通信ケーブルが敷かれてブロードバンドで世界中に繋がった話をしましょう。



 米国が「鳥のウンチ島法」まで策定して展開した拡張主義時代。苦労して手に入れた東サモアであった。冷戦時代も共産主義から太平洋を守るため苦労して米国の影響下に置いた東サモアであった。パンゴパンゴ湾は南太平洋一の良港と言われており、1942年には日本軍の潜水艦が攻撃をしている。
 しかし、米国はこの島に、長年ろくな支援をして来なかった。冷戦終結以降はその存在さえ忘れていたのではないだろうか?

 米国から受けた恩恵は、米国本土より安い労働賃金を認め、特別な税制で企業誘致を支援する、という内容であった。
 結果、米国資本のツナ缶工場会社が利益をむさぼり、労働の機会はお隣のサモアの人々に。地元米領サモアへ落ちたお金は米領サモア経済の自立を助けなかった。米領のマリアナ諸島と同じ状況だ。

 ツナ缶工場の閉鎖が決まった2007年、トギオラ・トゥラフォノ知事は米国内務省に訴えた。内務省は、米領サモア始め、米国の旧植民地領を管理する省である。
 米国は何もしてくれないじゃないか、ツナ缶工場はろくな結果ではなかったし、閉鎖されてしまう。私達はどうすればいいのか?
 海底ケーブルを敷いて通信の環境を改善し、経済を支えたい、と訴えた。
 この訴えが功を奏し、予算が付いてハワイと米領サモアが海底ケーブルで結ばれる事になった。
 (上記米国内務省の予算会議議事録8頁辺りに書いてある事をかなり意訳しました。)
 使用するケーブルは、ハワイとニュージーランドを結んでいたもので2007年に廃棄された中古品である。

 元々親戚、お友達の独立国サモア(ドイツ領からニュージーランドの統治を経て独立)がこの話を耳にしたのか、米領サモアが打診したのか、背景はわからないが、米領サモアまで海底ケーブルが来るのであれば200キロしか離れてないサモアまで敷いてよ、という話になった。
 それで目出たくサモアもブロードバンドで世界につながったのである。2009年の話だ。 

 東サモアとハワイが同じ米領だったから実現した話かもしれない。米領サモアが米国から受けた恩恵はこの海底ケーブル位じゃあないだろうか。離島振興とか、旧植民地の離島に対するユニバーサルサービスを、米国は怠ってきた。
 そんなに米国が邪険に扱うのであれば日本と自由連合(米国式ではなく国連基準のNZ式)を締結したらどうか?米領サモアはグアム同様まだ政治的地位が確定していない。トギオラ・トゥラフォノ知事とは面識がない訳ではない。今度打診してみよう。
"PATRIOT GAMES Island voices in a sea of contest" [2012年06月26日(Tue)]
 バヌアツにある研究所- Pacific Institute of Public Policy から太平洋島嶼国を巡る米中競争を島の視点で見たレポートがこの6月に出た。
 ミクロネシア地域協力による海上監視活動が成功例としてあげられている(下記引用)。
島嶼国は軍隊が出てくるより、島主導の地域協力と法施行を歓迎、と理解してよいだろう。日本財団と笹川平和財団がやってきていることである。

(引用)”Another area increasingly discussed is joint maritime surveillance, whereby countries come together to coordinate the patrolling and enforcement of territorial waters. The idea of a multi-country coast guard has been suggested amongst the Micronesian states in the north Pacific. ”


 "PATRIOT GAMES Island voices in a sea of contest"
http://www.pacificpolicy.org/wp-content/uploads/2012/06/D21-GEO-120607r.pdf
4頁に満たない量。

日本の政治家が太平洋島嶼国の政治家に遠く及ばない件 [2012年06月25日(Mon)]
日本の政治家は、太平洋島嶼国の政治家のセンスには遠く及ばない、と常々感じている。
サモア独立50周年を前に米中の対太平洋支援合戦を巡って、サモアの首相がオーストラリアラジオのインタビューに答えている。
この位のジャブは平気で出すのだ。
太平洋での米国の悪評はケネディとベスト&ブライテストの遺産だ。


"It’s all rubbish, some three years ago I was asked (by a US envoy) to have a meeting at the meeting of the Forum in Australia, and he asked me whether we would like the United States to do some projects for us. I said I do not know whether you are joking! We’ve asked the Americans many times but you never do anything for Samoa, so I’m wasting my time on you. All I can read very clearly is that you are only interested in areas where fighting - wars are fought.And I know why. So that it will help your industries, your war machines, but you’re not interested in the Pacific because it is peaceful. And I know also you’ve promised many times the other islands in the Pacific for help, you really have been paying lip service to us."

Prime Minister Sailele interviewed by Radio Australia (http://bit.ly/LugkQm)
Good News Out of Rio+20: Six Heads of State Commit to Invest in Nature [2012年06月22日(Fri)]
 なにやら、先々週の国連海洋法制定30周年記念式典に引き続き、笹川陽平会長は星野さんの監視をかいくぐってRio+20まで行かれたようである。
 豪州のギラード首相やインドネシアのユドヨノ大統領と並んで海洋管理を語っている。民間団体からの出席は日本財団だけである。
 「言い出したら誰も止められません。」パラオで聞いた通訳の平野さんのお言葉だった。

 この会議を主催しているのがNature Conservancy。米国で誕生した国際環境NGO。
 このブログで時々紹介し、2008年に笹川太平洋島嶼国基金が主催した海洋環境会議の主要参加者でもある「ミクロネシアチャレンジ」の設立と支援をして来ている団体だ。
 リオのこの会議で各国の首脳が「ナントカチャレンジ」と言っているのは、NCが全て支援してきた協力枠組み。そしてミクロネシアが元祖、お家元なのである。

"Good News Out of Rio+20: Six Heads of State Commit to Invest in Nature"
Today, bold commitments were made to preserve natural resources that provide livelihoods, food, protection from natural disasters and other benefits to people

記事はこちらから。
http://www.nature.org/newsfeatures/pressreleases/good-news-out-of-rio20-six-heads-of-state-commit-to-invest-in-nature.xml
『京都 影の権力者たち』読売新聞京都総局 [2012年06月20日(Wed)]
『京都 影の権力者たち』読売新聞京都総局
講談社 1994年

 本との出会いは、人のそれと同じように様々である。
 この本との出会いは不思議な巡り合わせだった。
 昨年暮れに京都の錦を歩いていたら、脇道の喫茶店の前に本が山高く積まれていたのを見つけ横に逸れた。「ご自由に御持ち帰りください。店主」とあった。
 その中から2冊、いただいて行くことに。その一冊が『京都 影の権力者たち』である。

 京都はよそ者に冷たい、京都人は口と腹が違う、と読んだり聞いたりしていた。しかも「腹はどす黒い、でっせ。」と他所から来た京都在住の方々は一様に口を揃える。観光地「古都」とのイメージとは相当かけ離れた風景だが、何やら思い当たる事も無きにしも非ず。
 この本はそんなオモテからは見えない京都の一面を教えてくれる。
 
 公家さん、茶人、花街関係者、僧侶、室町の商人を対象に書いているのだが、相手が相手だけに筆が鈍っているようにも思う。書けない事実も多々あるのだろうな、と想像しつつ読むのも面白い。
 京都ではこれらの影の権力者たちを書く事はタブーなのだそうだ。そのタブーにあえて挑んだ本である。

 遊女を愛し、悪党をも組織した天皇の歴史は京都に滞在すると至るところで感じる。この本を読むと現在も文化、経済、宗教、政治、遊美の世界も巻き込んだ巨大利権集団を組織しているようにも見える。皇室の私有財産についても、私は何も知らない。
 地球の裏側では清教徒革命で殺され、弾圧され、復活した英国の国王(娘のご先祖様でもある。)の存在がある。これとの比較も面白いかもしれない。

 隆慶一郎著の『花と火の帝』(講談社文庫)は小説だが、これも面白かった。
米国国防省予算−サンダーバード [2012年06月18日(Mon)]
まさか、音大を出て、米国国防省長官のスピーチや国防省の予算会議をじっくり聞く事になるとは、思わなかった。
年間6,500人の退役軍人自殺者、同性愛問題、パネッタ長官も手こずるペンタゴンの巨大官僚組織と軍産複合体。
これらのあらゆる要素を絡ませて見ていかないと、単純に「中国の脅威、中国への牽制」と片付けるのは逆に危険ではないか?

と言っても、まだ米国国防問題の入り口に立ったばかりでよくわらない。
知り合いの米国退役軍人にこの予算会議の事を「どう思う?」と聞いてみた。
「DD(X), CV(X), LCS, F-22, F-35, FCS, MV-22, etc etc
こういうお馬鹿なプロジェクトを中止すればいいだけどね。」

このアルファベットと数字はなんだろう?暗号機密では?
ドキドキしながらウェッブに入れてみた。
なんだか昔見たテレビ番組「サンダーバード」を思い出してしまった。

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パネッタ長官が語るLGBT [2012年06月16日(Sat)]
シャングリラ対話でのスピーチ以来、パネッタ長官とイノウエ議員の言動に注目しておりますが、このスピーチもいいなー、と素直に思いました。

シーシェパードを歓迎しないフィジー暫定政権 [2012年06月14日(Thu)]
フィジーの海洋保護活動を支援しようとフィジー政府とコンタクトをしたシーシェパードは、フィジー暫定政府から歓迎しない、との対応を受け驚いている。

シーシェパードのサメ保護活動責任者ジュリー・アンダーセンは、違法活動は行っていないし、フィジーの海洋保護区支援を、ガラパゴスで成功したように支援したい、と語る。

現在フィジー政府が世界最大のサメ保護地区を制定するかどうか検討中で、シーシェパードにとってはエキサイティングなニュースであり、是非保護活動を支援したい、とも述べ、代表団をフィジーに送るともている。

(関連ニュース)
Fiji interim government says Sea Shepherd group not welcomehttp://www.rnzi.com/pages/news.php?op=read&id=68806

Anti-whaling group denied entry to Fiji
http://www.fbc.com.fj/fiji/2579/anti-whaling-group-denied-entry-to-fiji

You are not welcome, Govt tells activists
http://www.fijisun.com.fj/2012/06/11/you-are-not-welcome-govt-tells-activists/


中国も北朝鮮も受け入れるフィジーだが、シーシェパードだけはお断り、とは頼もしい。
Panel discussion to commemorate the thirtieth anniversary of the opening for signature of the United Nations Convention on the Law of the Sea (UNCLOS) [2012年06月14日(Thu)]
笹川陽平会長がスピーチをされた国連海洋法制定30周年記念式典のビデオ。
会長のスピーチは7分辺りから。
日本語のスピーチはこちらから。

イノウエ議員の真珠湾攻撃と国防予算公聴会 [2012年06月14日(Thu)]
ダニエル・イノウエ議員のメッセ−ジ。
米国人には受け入れ難い事実かもしれないが、米国は、ハワイは日本の攻撃に準備をしていた、と。
3年前、2009年のビデオのようだが、パネッタ長官にしても、太平洋戦争が米国にとってなんであったのかを述べていることは重要だと思う。
当時少年、青年であった2人の人生を大きく変えた事は違いない。
イノウエ議員はCommittee on Appropriations国防予算小委員会の議長である。

先日開催された6月13日の米国国防費予算公聴会も重要。
FY 2013 BUDGET OVERVIEW HEARING
STATEMENT OF SENATOR DANIEL K. INOUYE
http://www.inouye.senate.gov/news/press-releases/fy-2013-budget-overview-hearing
ビデオも既に公開されている。51分辺りからの質疑応答が興味深い。
退役軍人が80分ごとに自殺している。戦争犠牲者の25倍。年間6500人。
この他に、耳が聞こえなくなったり、手足がなくなったり。イノウエ議員も片腕を戦争で失った。
http://www.appropriations.senate.gov/webcasts.cfm?method=webcasts.view&id=08e51d6c-4a32-4fa4-b09c-a006fa63c976

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