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1つのパンから暮らしを見つめる やるじゃん!なひと 伊藤幸男さん [2010年12月19日(Sun)]

 大田区大森に小さなパン屋を構えて7年。「POLKADOT(ポルカドット)」店主、伊藤幸男さんは、パンを通じて、生命や暮らしについて問題提起をし続けています。
 店内にはナマケモノやジュゴンの形のパンが並び、壁には生物多様性についてのポスターがあります。食とは本来、生命をいただくこと。他の生命のおかげで自分達が生きている、その「おかげさま」こそが生物多様性であり、それをもっと多くの人に感じてほしい、と伊藤さんは言います。ジュゴンは単に基地排除の象徴なのではなく、ジュゴンの生きられる環境が、人間にとってもベターなのです。

 伊藤さんは他のパン屋と協力して、憲法9条を守る「9ぱんや」としても活動しています。「戦争をしている場合ではない」という伊藤さん。「戦争は最大の環境破壊。軍隊に使うお金があったら、そのお金をそれぞれの国が困っている人のために使ってほしい。それを実現できるのが、憲法9条」。ナマケモノの形のパンには、戦争をナマケる、という意味も込められています。

(アースデイマーケットにて (右)伊藤幸男さん)

 団塊の少し後の世代の伊藤さんは、若い頃に学生運動や安保闘争を経験。ベトナム戦争の悲惨さにも触れ、「怒りからは何も生まれない」と感じたそうです。パン屋に勤めながら、生命を支える食の大切さにも気づきました。今、お店に並ぶパンはすべて、燻蒸の心配がない国産小麦と、天然酵母を使ったものです。

 工業的に純粋培養された通常の酵母に比べ、天然酵母は増える力もパンを膨らませる力も弱くゆっくり。しかし純粋培養の酵母と違い、微量に共存する乳酸菌など他の菌のおかげで、複雑なうま味が醸し出されます。小さなパンの中にも、生物多様性が生きているのです。

 身の回りにモノがあふれ、自動販売機やコンビニなど、望めばたくさんの食べ物を簡単に得ることができる現代。しかし私達は、食べ物をそんなにたくさん早く食べる必要があるのでしょうか。伊藤さんは、ブッダの「足るを知れ」という言葉を教えてくれました。モノの豊かさを追い求めると対立も生まれます。私達は、もっと自分達に合った「ちょうどいい」生活を探すべきではないでしょうか。
(「だんだん」朝市にて)
 伊藤さんはそのために、区内の他のお店や福祉作業所などとも連携して、「スロースローマーケット」を展開しています。蓮沼の自然食品のお店、「だんだん」からの無農薬野菜を自分のお店でも売るなど、それぞれが少しずつ連携することで、モノのつながりだけではない、人のつながりを作りたいと考えています。

 スロースローマーケットの連携で、毎月第1日曜の「だんだん」朝市、第2土曜の「油揚げ」朝市でも、POLKADOTのパンを買うことができます。小さなパンを通じて、暮らしのことを少し考えてみるのもいいのではないでしょうか。 【小川明日香】

POLKA DOT(ポルカドット)
場所 東京都大田区大森西6-2-1
電話 03-5471-5281
営業 9:00〜19:00 (日曜・祝祭日定休)

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ポルカドットは2011年6月7日に閉店しました。
「周りにお店ができたし人の流れも変わった。時代の流れかな」
閉店の理由をそう語る伊藤さん。
パン屋業は終わるものの、希望があれば焼き方を教えたり、食や地域の活動にも関わり続けていくそうです。(2011年6月情報追加)

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