実は、この12月15日から、ヘルメットの着用が義務化されたのです。ドライバーはもちろんのこと、後部座席に乗る人も同様です。バイクタクシー(セ・オム)の場合も、ドライバーはお客用のヘルメットを準備しなくてはなりません。
交通事故がそんなに多いのかは、旅人の目には明らかではありませんが、目的はなんであれ、そこは警察の権力の強い社会主義国です。みんな一斉に着用して対応しています。
昨年の2月以来、久々に訪れたサイゴン(ホーチミン市)。空港まで迎えに来てくれた友人が、バイクではなく、タクシーに乗り込んだため、「なにごと?」と思っていたら、車内で話してくれたのは、そんな事情でした。
ベトナム人は、基本的に「歩かない」人たちなので、ちょっとした距離でも、バイクやタクシーで移動します。このままでは、今回はタクシー代がかさむな、と直感した私は、友人のバイクに乗せてもらうため、ヘルメットを買うことにしました。
着用義務化の直前ほどではないのでしょうが、まだまだヘルメット屋は繁盛している様子です。ベトナムでは、同じ業種の店は並んで軒を連ねることが多く、ニューワールドホテルのそばのヘルメット屋通りで、メタリックピンクに花柄をあしらったヘルメットを220,000ドン(約1,600円)で購入しました。
もともと頭がデカイうえに、髪が伸びていて窮屈だったため、床屋をやっている友人の兄に散髪してもらい、ベトナム人風に刈り上げたところで、いざ装着しました。
友人も、ヘルメットの着用には、まだ慣れないようで、かぶると頭が熱くなったり、痛くなったりするようです。
路上のメシ屋にすわって麺をすすりながら、「男の人は、セットしている髪型がくずれるから、ヘルメットを外した後、髪を整えるのよ。ほら」と、ヘルメットを片手に、もう一方の手で髪の毛をかき上げるしぐさの男性を見つけては、笑ったりしました。
ヘルメットの着用義務化も大きな変化ですが、2000年から毎年1回、サイゴンを訪れて定点観察しているなかで、いろいろと変わってきたことがあります。
成田空港からの直行便の開設・増設、ビザの免除、タン・ソン・ニャット空港の新ターミナルオープン、都心の一等地では小さな商店が減り、大型のショッピングセンターにリニューアル、警察の取り締まり強化によるモノ売りの子どもたちの激減などです。
また、私が家族待遇をしてもらっている、友人の一家でも、子どもたちの成長に合わせて稼ぎ手が増え、少し大きな家に引っ越しました。また、結婚や出産が続き、甥や姪が増えました。
特に嬉しかったのは、一家の一番上の姉と、いつも私をバイクに乗せてくれていた近所の男性が、昨年結婚したことです。あいにく、都合がつかず、結婚式には出席できなかったのですが、今回、お祝いを渡すことができました。すでに男の子も生まれ、郊外で暮らしています。
国もまちも、そして、親しい人たちも、変わっていく年月の流れ。もし、7年前、いまのように、路上のモノ売りが厳しく取り締まられていたら、知り合うこともなかったであろう、ベトナムの家族。
クリスマスに沸く真新しいヘルメットの洪水を眺めながら、そんなことを感じた「サイゴンの休日」でした。
サイゴンの中心街は、暑くても、クリスマスムード一色。
週末は、バイクがひしめき合って、すごい人出だった。