お金のために善行をしたとしても、それは善行とは言えない。 [2019年06月13日(Thu)]
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良い行いをした人は、その褒賞としてより多くのお金を受け取る権利があるのでしょうか? しかし、もし仮に彼らがお金のためにした仕事が国益の増進につながるものであったとしても、果たしてそれは「良い行い」と言えるのでしょうか? ガンディーの弁護士批判の続きです。今、問題になっているのは、弁護士が受け取る報酬の高額さです。 (454)では「弁護士が他の労働者よりも国に大きな利益をもたらしているのだとすれば、それは具体的にどのような貢献なのでしょうか?」と彼は疑問を呈していました。ここではさらに、「仮に弁護士が社会に大きな利益をもたらしているとしよう。しかし、自分の金儲けのためにやった仕事が結果的にいくらかの社会貢献になったとしても、それは動機が不純なのだから『良い行い』とは言えないのではないか」とガンディーは議論を進めています。 「しかし、経済活動に対する報酬と善悪は関係ないではないか」と思う人もいるでしょう。ところが、彼にとっては道徳と切り離された経済活動は考えられないのです。後に彼は「七つの社会的罪」というものを指摘して強く批判しましたが、その中には「道徳なき商業(Commerce without Morality)」というのも入っています。 けれでも、お金儲けのために道徳を軽視したり無視したりするようになったのは近代社会の全般的な傾向だと思われます。それなのになぜ、彼はこのように弁護士ばかりを激しく批判するのでしょうか? ・・・ |