あなたは、ぼくに偏見を抱かせてしまいました。 [2018年03月20日(Tue)]
(55)
あなたがイギリス人の支援などという話をなさったので、ぼくはあなたに対して、自分と対立的な立場に立っている人なのではないかという偏見を抱いてしまいました。だから、どうかここで話題を変えていただけないでしょうか? 「ぼく」というのは急進的民族主義者の若者、「あなた」は編集長(ガンディー)です。「イギリス人の支援」というのは、ガンディーの「私たちが彼らに対して公正であるならば、その私たちが自治に向かって進んで行くのを彼らはきっと支持してくれるでしょう」という発言を指しています。 この若者は、「自治・独立を目指すインドにとって、イギリス人は、それを阻もうとする敵だ」と考えています。だから、そのイギリス人との協力を口にするガンディーに対して、「この人は、敵であるはずのイギリス人と友好的な関係を持とうと言っている。ということは、この人も親英派なのだろうか? 敵の味方だということは、自分にとってはこの人も敵対する立場なのだろうか?」というような疑念を抱いてしまったのだと思われます。 しかし、この青年は頑固な所もありますが、柔軟性も案外持っています。ここで直ちに対話を打ち切ろうとするのではなく、「話題を変えましょう」と提案するのです。どのように話題を変えるのかと言えば、前の部分で具体的に示されていたように、「一体どうすればぼくたちが自治を獲得することができるのか?」です。 イギリス人についての見解の相違については棚上げしておいて、共通のテーマとなりそうな問題について相手の意見を求めているのです。まさに、「小異を捨てて大同につく」の態度ですね。 この申し入れに対して、ガンディーは・・・ |