みんなに頭で働く方法を教える [2017年11月12日(Sun)]
(308)
そこでイワンは、立派な紳士がやって来て、みんなに頭で働く方法を教える。そして頭で働けば、手で働くよりもっと仕事ができるから、みんな教わりにやって来るように、という布告を国中に出しました。 イワンは、この国の王様なのです。それで、「立派な紳士が頭で働く方法を教えてくれるから聞きに来るように」と国民たちに案内します。ただ、この前の(307)で指摘したように、イワンと紳士の間には重大な認識の食い違いが存在します。 イワンは、手足や背中などの体を使ってしている仕事を、頭でもできるのだと思っているようです。どうやら、頭脳という意味ではなく、頭部という意味で理解しているのです。そのことを紳士は気付いているのかどうかは分かりません。 ただ、彼としては人々に頭で働く方法を教え、それによって自分が彼らの心を支配しやすくなればいいと思っているのです。単純なイワンがあっさり話に乗ってくれたので、きっと「しめしめ、気が変わらないうちに・・・」という気持ちなのでしょう。そうなのです。立派な紳士の正体は、実は老悪魔だったのです。 それはともかく、人のいいイワンの国の人たちは、布告を聞いてきっと何の疑いもなく集まって来たでしょうね。 ・・・ |