あなた方馬鹿がかわいそうだからです [2017年11月08日(Wed)]
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「わたしが無理をするのも、あなた方馬鹿がかわいそうだからです。わたしがそうでもしなければ、あなた方はいつまでたっても馬鹿のままでしょう。・・・ 立派な紳士に化けた老悪魔は、頭脳労働の価値をイワンに認めさせようとして、「頭で働く方がずっと難しい。時には頭が割れそうになることもある」と言ったのですが、「それだったら、頭なんか使わないで手や背中を使って働けば良いではないか」と反論されてしまいます。 しかし、ここで引き下がるわけにはいきません。彼は、どうしても自分を正当化したかったのです。それで紳士が持ち出したのは、「どうして困難な頭脳労働を敢えて自分がするのかと言うと、それはあなたたちのためだ」という論理です。 「あなたたちは遅れています。あなたたちは不幸です。私たちは、あなたたちより優れた方法を知っています。それを、あなたたちのために私たちは教えてあげます。そうすれば、あなたたちは幸せになれます。これは、あなたたちのためを思って、親切心から言うのです。いいですか、私が教える通りにしてくださいね。そうすれば、あなたたちはきっと幸せになれます。きっとあなたたちは私たちに感謝することになります・・・」 それは、かつて文明国の人たちが、未開な社会の人々に向かって言った言葉と似ているかもしれません。それはもしかすると、この物語のように悪魔の誘いだったのかもしれません。 ・・・ |