（６０９）
　自治というのは決して夢のようなものではありません。それが実現するかどうかは、まったく私たち次第なのです。それをじっと座って待っていようなんて考えるべきものではありません。
　


　「自治とは何か」についてのガンディーの話の続きです。
　「自分自身を統治することが自治である」というのが、この言葉に与えられた彼の定義です。このような自治のとらえ方は早い段階から何度も暗示されていたのですが（例えば（３９））、ここでいよいよ明確に表現されたのです。
　そう考えれば、もちろん「自治」の実現は各自の内面的な問題です。だから、「私たちが隷属状態に陥っていることをインド全体のせいにするのは間違っている（６０６）」と述べられていたのです。
　だとすれば、強大なイギリス帝国の軍事力に対抗しなくても、政治運動の大きな盛り上がりを待たなくても、ひとりひとりの努力によって「自治」は実現できるのです。だから、「それは自分たち次第だ」と彼は述べるのです。（原文では、「それは私たちの掌の中にある」と書かれています）しかし、決してそれは容易なことではないのですが・・・