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そのうちお腹がへってきました [2017年11月20日(Mon)]
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 そのうちお腹がへってきました。ところが馬鹿たちは、紳士が頭でもって手よりもうまく働けるのなら、パンなんか頭でちょいと手に入れられるものと思い、櫓の上にパンを持っていってやることなど気づきもしませんでした。



 立派な紳士に化けた老悪魔は、「どうしたら働かないで生きて行けるか」を語り続けます。恐らく、「頭を使って働けば、体を使って働くより多くのお金を得ることができる。そして多くのお金を持っていれば、何でも好きなものを好きなだけ手に入れることができるのだ」なんて話したのでしょう。
 しかしよく考えてみると、この考えには大きな誤りがあることに気付きます。そうです。いくらお金が手に入っても、お金を食べることはできないのです。
 正確に言えば、こうなのです。「頭を使って働く人は、体を使って働いた人の生産物によって生きることができる」「頭脳労働をする人が生きていくためには、彼らを養っていくだけの余剰生産の担い手が必要である」ということなのです。
 だから、いくら頭脳労働を推奨したとしても、肉体労働をする人がこの世からいなくなったら、頭脳労働をする人だけでは決して生きてはいけないのです。「頭脳労働をしてたくさんのお金が得られれば、生きるために必要なものは何でも手に入る」と考える人は、「では、もしも世界中の人々が頭脳労働をするようになったら、一体誰が農作物を生産するのか、誰が料理をするのか、誰が衣服を作るのか、誰が家を建てるのか・・・そういうことに思いを巡らせはしないのでしょうか?
 お店に行けば食べ物があり、お金さえ持っていけばその食べ物と交換してくれる。それは、決して永遠不滅の真理ではありません。そういう状況が仮にあったとしても、それはまさに偶然に、一時的に、そうなっているだけなのかもしれません。ちょっと何かのバランスが崩れれば、あるいは何かの条件が変動すれば、頭脳労働によってお金を手に入れることが不可能になってしまうことだって大いにあり得るのではないでしょうか?
 さて、この後、一体どんな展開になるのでしょうか?
 ・・・
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