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戦争のときだって、こんなひどい話はありゃしない [2017年03月23日(Thu)]
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 小悪魔はぷんぷん怒りました。《あの馬鹿め、おれの尻尾を切ったうえにどこまでも苦しめやがる。戦争のときだって、こんなひどい話はありゃしない。なにしろあん畜生、夜(よ)の目(め)も寝ないんだから手に負えることぢゃないや。よし、それなら麦の堆(つか)の中にもぐって、みんな腐らしてやろう》



 小悪魔が「今度こそ」という悲壮な決意で燕麦畑に行ってみると、なんとイワンは夜のうちに燕麦の刈り入れを済ませてしまっていたのでした。「夜の目も寝ずに」とは、「夜も寝ないで。一晩中起きて」という意味だそうです。
 小悪魔は激怒します。「戦争の時だって、こんなにひどい話はない」というのだから大変なものです。でも、イワンは決して小悪魔をひどい目に遭わせようとしているわけではありません。それどころか、小悪魔の存在にさえ気付いていないのです。彼はただ、自分の仕事を勤勉にしているだけなのです。小悪魔の尻尾を切ったのだって、草刈り鎌を振り回しているうちに起こってしまった事故なのでした。
 しかし、小悪魔の執念もなかなかです。彼は、それでも諦めずに再度イワンに挑戦するのです。次は、麦の堆の中に潜って腐らしてやろうと企むのです。
 堆という字に「つか」とルビを振っています。「つか」は、一般的には「塚」と表記します。周囲の地面より、こんもりと丸く盛り上がった場所を指す言葉です。ここでは、麦を堆積させて出来た山なので、「堆」の字を当てているのでしょうね。
 ・・・。
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