NPO法人と収益事業(5)
[2007年04月16日(月)]
NPO法人の収益事業(法人税が課税される事業)について書いています。今回が最終回です。
今までの話は
@ NPO法人は「公益的な事業を行っているから」ではなく「利益を分配しないから」法人税が原則非課税である(詳細はここを参照)
A しかし、営利企業と競合する事業については「市場競争の公平性」のために課税することとしている(詳細はここを参照)
B 収益事業の定義として
(1) 継続して行う事業であること
(2) 事業場を設けて行う事業であること
(3) 政令で定める33の事業のいずれかに該当するものであること
の3つを定めている
C 政令で定める33事業を収益事業とした趣旨は、役所が、個別法人が営利企業と競合するかどうかを判断することが物理的に難しいので、営利を行う団体や個人が営むと思われる事業を限定して列挙した(詳細はここを参照)
今回は、収益事業のもう一つの要件である「継続して、事業場を設けて行う事業」を収益事業とした理由をみていきます。

1. 収益事業の定義
政令で定める33事業のいずれかに該当する場合に収益事業とすることとした理由は前回見ました。
しかし、33事業に該当していても「継続して事業場を設けて行う」という要件に該当しなければ、収益事業とならず法人税は非課税です。
この「継続して事業場を設けて」という要件はなぜ付されているのでしょうか?
2. もともと「継続して事業場を設けて」という要件はなかった
法人税の収益事業課税の規定は、以前に述べたように昭和25年のシャウプ勧告に基づいて作られたものです。
それ以前は社団法人や財団法人などの公益法人はすべての事業が非課税でした。
しかし、昭和25年に制定された収益事業の定義には、この「継続して事業場を設けて」という文言は入っていませんでした。
なぜこの文言が入るようになったのでしょうか?
3. 人格のない社団等の課税に伴って導入された
昭和32年に人格のない社団等(いわゆる任意団体)も法人とみなして法人税を課税する規定ができました。
任意団体だと法人税が非課税で、NPO法人にすると課税されると思っている人がいますが、これは間違いです。
任意団体かNPO法人かによって法人税の課税上に違いはありません(把握されやすいかされにくいかの違いだけです)。
任意団体に課税するようになったのが昭和32年なのです。
それ以前は任意団体は非課税でした。
任意団体に課税されるようになった理由は、課税しないわけにはいかない大規模の任意団体で営利企業と競合する事業を行う団体がでてきたからです。
任意団体にも課税することとなった時に、同時に「継続的に事業場を設けて」という文言が追加されたのです。
4. 事業的規模の団体にのみ課税する趣旨
この時代(昭和32年)に任意団体として活動していた団体などほとんど小規模だったでしょう(逆に、NPO法人はありませんから、社団法人や財団法人はそれなりの規模であったと思われます)。
任意団体にも課税することとなったときに、このような小規模団体も33事業に該当するものを行っている場合には課税されるのか、という疑問が生じたわけです。
そこで、このような零細な事業まで課税しないことをはっきりとさせるために「継続して事業場を設けて」という要件が付されたわけです。
つまり、「継続して事業場を設けて」という条件が付されている理由は、継続安定して行われる事業にのみ課税するという趣旨であり、所得税で言う「事業所得について課税する」という趣旨であるとされています
(「法人税基本通達逐条解説」 谷口勝司著 税務研究会出版局)
5. まとめ
「NPO法人といっても利益がでているのなら課税されるのは当然だ」という風潮がありますが、現在の税法ではこの考え方は誤りです。
利益が出ているから課税するのではなく営利企業との競走上不公平になるから課税するのです。
公益法人課税の権威の武田昌輔先生は、下記のように述べられています。
それ自体の規模等から見て、いわゆる「事業」に該当しない程度のものは除外すべきであると考える。公益法人等の収益事業の課税の目的から見ても、この「収益事業」概念は、本来の課税目的から目に余るものを中心として課税すべきものと考える。」
(詳細 公益法人課税 武田昌輔著 P29)
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今までの話は
@ NPO法人は「公益的な事業を行っているから」ではなく「利益を分配しないから」法人税が原則非課税である(詳細はここを参照)
A しかし、営利企業と競合する事業については「市場競争の公平性」のために課税することとしている(詳細はここを参照)
B 収益事業の定義として
(1) 継続して行う事業であること
(2) 事業場を設けて行う事業であること
(3) 政令で定める33の事業のいずれかに該当するものであること
の3つを定めている
C 政令で定める33事業を収益事業とした趣旨は、役所が、個別法人が営利企業と競合するかどうかを判断することが物理的に難しいので、営利を行う団体や個人が営むと思われる事業を限定して列挙した(詳細はここを参照)
今回は、収益事業のもう一つの要件である「継続して、事業場を設けて行う事業」を収益事業とした理由をみていきます。
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1. 収益事業の定義
政令で定める33事業のいずれかに該当する場合に収益事業とすることとした理由は前回見ました。
しかし、33事業に該当していても「継続して事業場を設けて行う」という要件に該当しなければ、収益事業とならず法人税は非課税です。
この「継続して事業場を設けて」という要件はなぜ付されているのでしょうか?
2. もともと「継続して事業場を設けて」という要件はなかった
法人税の収益事業課税の規定は、以前に述べたように昭和25年のシャウプ勧告に基づいて作られたものです。
それ以前は社団法人や財団法人などの公益法人はすべての事業が非課税でした。
しかし、昭和25年に制定された収益事業の定義には、この「継続して事業場を設けて」という文言は入っていませんでした。
なぜこの文言が入るようになったのでしょうか?
3. 人格のない社団等の課税に伴って導入された
昭和32年に人格のない社団等(いわゆる任意団体)も法人とみなして法人税を課税する規定ができました。
任意団体だと法人税が非課税で、NPO法人にすると課税されると思っている人がいますが、これは間違いです。
任意団体かNPO法人かによって法人税の課税上に違いはありません(把握されやすいかされにくいかの違いだけです)。
任意団体に課税するようになったのが昭和32年なのです。
それ以前は任意団体は非課税でした。
任意団体に課税されるようになった理由は、課税しないわけにはいかない大規模の任意団体で営利企業と競合する事業を行う団体がでてきたからです。
任意団体にも課税することとなった時に、同時に「継続的に事業場を設けて」という文言が追加されたのです。
4. 事業的規模の団体にのみ課税する趣旨
この時代(昭和32年)に任意団体として活動していた団体などほとんど小規模だったでしょう(逆に、NPO法人はありませんから、社団法人や財団法人はそれなりの規模であったと思われます)。
任意団体にも課税することとなったときに、このような小規模団体も33事業に該当するものを行っている場合には課税されるのか、という疑問が生じたわけです。
そこで、このような零細な事業まで課税しないことをはっきりとさせるために「継続して事業場を設けて」という要件が付されたわけです。
つまり、「継続して事業場を設けて」という条件が付されている理由は、継続安定して行われる事業にのみ課税するという趣旨であり、所得税で言う「事業所得について課税する」という趣旨であるとされています
(「法人税基本通達逐条解説」 谷口勝司著 税務研究会出版局)
5. まとめ
「NPO法人といっても利益がでているのなら課税されるのは当然だ」という風潮がありますが、現在の税法ではこの考え方は誤りです。
利益が出ているから課税するのではなく営利企業との競走上不公平になるから課税するのです。
公益法人課税の権威の武田昌輔先生は、下記のように述べられています。
それ自体の規模等から見て、いわゆる「事業」に該当しない程度のものは除外すべきであると考える。公益法人等の収益事業の課税の目的から見ても、この「収益事業」概念は、本来の課税目的から目に余るものを中心として課税すべきものと考える。」
(詳細 公益法人課税 武田昌輔著 P29)
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