33事業の意味
[2007年04月09日(月)]
NPO法人の「収益事業」、つまり法人税が課税される事業とはどのような事業なのかについて書いています。
今までの話(1回目はここ、2回目はここ、3回目はここを参照)は、
@ NPO法人は「公益的な事業を行うから」ではなく「利益の分配を行わないから」原則非課税であること。
A しかし、「営利企業と競合する事業」は「市場競争の公平のため」に課税する
という話でした。
そして、法人税を課税する事業を「収益事業」として
(1) 継続して行う事業であること
(2) 事業場を設けて行う事業であること
(3) 政令で定める33の事業のいずれかに該当するものであること
の3つのいずれにも該当するものととしています。
しかし、「営利企業と競合する事業に課税する」という趣旨と、上の3つの要件がどのようにつながるのでしょうか?
今回から、収益事業の3つの要件が定められた背景について述べていきます。
今日は、このうち(3)の「政令で定める33の事業のいずれかに該当する」というのはどのような背景から来ている話なのかを見ていきます。
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法人税を課税する事業の要件の1つは「政令で定める33の事業のいずれかに該当するもの」です。
政令で定める33事業とは以下のものです
(1)物品販売業 (2)不動産販売業 (3)金銭貸付業 (4)物品貸付業 (5)不動産貸付業 (6)製造業 (7)通信業 (8)運送業 (9)倉庫業 (10)請負業 (11)印刷業 (12)出版業 (13)写真業 (14)席貸業 (15)旅館業 (16)料理店業その他の飲食店業 (17)周旋業 (18)代理業 (19)仲立業 (20)問屋業 (21)鉱業 (22)土石採取業 (23)浴場業 (24)理容業 (25)美容業 (26)興行業 (27)遊技所業 (28)遊覧所業 (29)医療保険業 (30)技芸教授業 (31)駐車場業 (32)信用保証業 (33)無体財産権提供業
ここに定める事業に該当していなければ収益事業にはならない(該当していても、他にも要件があるので、必ず収益事業になるとは限らない)ということです。
従って、NPO法人に法人税が課税されるかどうかの判定にあたっては、NPO法人が行う事業がこの33事業のいずれかに該当するかどうかは重要になってきます。
しかし、なぜ33事業に該当しなければ非課税で、該当すると課税の可能性があるなどという話になったのでしょうか?
原点は「営利企業と競合する事業に課税する」という話であったはずです。
2.シャウプ勧告の提言
公益法人等(NPO法人や財団、社団法人、社会福祉法人など)に法人税が課税されるようになったのは、いつ頃からかご存知でしょうか?
戦前は公益法人等はすべて非課税でした。
公益法人等に課税すべきことを言い出したのは、有名な「シャウプ勧告」です(シャウプ勧告についてはここを参照)。
「シャウプ勧告」で、
「公益法人の中にはきわめて営利的な色彩の強い事業を営んでいるものがあり、法人税非課税による他との不公正な競争上の利益を与えられている実情にある」とされ、そのような公益法人は課税すべきであるという主張がされました。
そして、「シャウプ勧告」が提言したのは、
「法人税の免除を行う権限を大蔵省に与え、その資格を3年ごとに審査して免税証明書を大蔵省が交付する」
という方法だったのです。
つまり、大蔵省(今の財務省)が、公益法人の行う事業が営利企業との間で不公正な競争になっていないかを判断し、そのような状態になければ法人税は課税しない旨の証明書を交付するというやり方です。
この方がわかりやすくないですか?
3.33事業が定められた理由
ところが、大蔵省がこの方法を拒否したのです。
「時間と労力を考えると、いちいち審査するのは無理です」というわけです。
そこで、次善の策として、昭和22年に現在の事業税に移行して廃止された旧営業税法において課税営業として特掲されていた29業種をそのまま法人税法上の収益事業として規定したのです。
一つ一つの法人の行う事業を事前に精査できないので、S22年まで、「営業税」として課税されていた事業については営利性があるということで、これと同じ事業を行っている公益法人は営利企業と競合するから課税しようと考えたわけです。
それが順次拡大していって、現在の33事業になっています。
33事業とは、営利を目的とする団体が行うと思われる事業を限定して列挙したものなのです。
<参考>
S25.1.27 参議院大蔵委員会
「・・・(大蔵省が免除申請書を交付する方法は)到底その仕事は難しいものと考えますので・・・物品販売業とか製造業とか、そういう業種を政令ではっきり規定いたしまして・・・」
大蔵省主税局調査課「所得税・法人税制度史草稿」266項
「元来、公益法人が営利的事業を行うのは、その本来の目的たる公益事業を遂行する上のやむをえない手段たるべきであって、公益法人の行う営利的事業が本来の事業遂行を賄ってなお余りあるという段階に至ると、それは公益法人の行う営利的事業としては行き過ぎであるともいえるし、一般の営利法人の行う事業との間に、一方は法人税が非課税であり一方は課税されるという関係から著しい不権衡を生ずるに至った。そこで、公益法人に対する法人税課税問題が擡頭するに至ったのであるが、その課税法人として個々の公益法人の事業の内容によりその事業が非常に公共性が強いときはたとえ収益事業を行っても課税せず、また公共性に乏しいときはその事業の全部に対し課税するという方法も考えられた。しかしすべての公益法人についてその事業を精査し、公共性の強弱を判定することは事実上不可能に近いので、改正税法においてはすべての公益法人を一律に課税法人とし、その収益事業から生ずる所得に対してのみ法人税を課税することとし、次に掲げる法人をその範疇に取り入れたのである
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