NPOの会計処理方法(2)
[2007年03月15日(木)]
前回のブログで、NPOの会計を難しくしている理由のうち最大のものの一つが旧公益法人会計基準の影響を受けていることではないか、という話をしました。
内閣府の手引きが旧公益法人会計を前提にできており、市販のNPO会計の本も、基本的にこの旧公益法人会計を前提にして書かれているものがほとんどです。
今日は、なぜ旧公益法人会計が現金主義会計や企業会計とは違う難しい処理をするのか、その理由を述べていきたいと思います。
内閣府の手引きが旧公益法人会計を前提にできており、市販のNPO会計の本も、基本的にこの旧公益法人会計を前提にして書かれているものがほとんどです。
今日は、なぜ旧公益法人会計が現金主義会計や企業会計とは違う難しい処理をするのか、その理由を述べていきたいと思います。
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旧公益法人会計の会計の目的は「予算対比をすること」です。
旧公益法人会計では、事業体を以下のように考えます
@ 総会が最大の意思決定機関であり、そこで次年度の事業計画と予算計画が算定される(収支予算書が作成される)
A 総会で事業遂行を委託された理事は、その計画に沿って事業を行う
B 事業年度終了後の総会で、理事が事業計画及び予算計画通りに実行したのかどうかを報告する(予算対比の収支計算書が作成される)
つまり、会計報告は、予算計画でたてられた予算どおりに実行したのかどうかを報告することが最大の目的になるわけです。
財産を託された理事が、予算どおりに実行したことを報告する手段が会計報告であり、そのことによって理事の受託責任が解除されると考えられるのです。
2. なぜ現金主義では不都合なのか?
それではなぜ予算対比をするには現金主義の収支計算書では不都合なのでしょうか?
具体例で考えていきます(3月決算を前提とします)
@ 年間計画の中に、大規模なセミナーを開催する計画がありました。
A このセミナーを計画通りに3月に実行しました。
B セミナーの参加費収入はその場で徴収したので、3月分の収入に計上されています
C ところが、セミナーの会場の会場費や講師代は、4月になってから支払うことになっています
このような場合に、現金主義の収支計算書だと、セミナー収入は収入の部に計上されますが、セミナーの会場費や講師代は支出の部に計上されません。
予算を作成するときは、当然、セミナーの収支をそれぞれ予算計上するでしょう。予定通りセミナーを実施したにもかかわらず、会場費や講師代が支出の部に計上されないと、予算対比ができなくなってしまうのです。
従って、予算対比をするには、あくまでも実施ベース(発生主義)で、収入、支出を計上する必要があるのです。
予算対比の収支計算書を作成するためには
実施はしたがお金は入金されていないものも収入に計上→未収金計上
実施はしたがお金は支払っていないものも支出に計上→未払金計上
3. なぜ企業会計方式では不都合なのか?
実施ベース(発生主義)は、企業会計と同じ方式です。
では、旧公益法人会計方式のどこが企業会計方式と違うのでしょうか?
ざっくりといえば、固定資産と借入金の扱いが違います
ここでは、固定資産について、予算対比をするにはなぜ企業会計方式では困るのかを見ていきます。
企業会計では、固定資産(ここでは減価償却資産を前提にします)は、購入時には資産に計上し、価値の減少に伴って、減価償却とルールに従って順次費用にしていきます。
つまり、購入というお金の動きではなく、価値の減少という事実に基づいて、一定のルールで費用にしていきます。
これは、毎期の利益を正しく計上するために行われるものです。
ところが、予算対比をするには、固定資産をこのような方法で処理することには問題があるのです。
なぜなら
@ 企業会計方式では、購入時に支出に計上されません。
A しかし、予算を立てる際には、「今期はこのような固定資産を購入します」というこ
とを予算計上する必要があります
B 決算では、この予算どおりに固定資産が購入されたのかどうか?あるいは予算にない固定資産の計上がなかったのかどうかを明らかにします。
C もし企業会計方式では、予算になかった固定資産が購入されてもわからない可能性があります(少なくともわかりにくくなります)
予算対比をするためには
固定資産は購入時に支出の部に計上する
借入金は借入時には収入の部に、返済時には支出の部に計上する
→現金主義で会計処理をする
4. まとめ
旧公益法人会計基準は、ざっくりといえば、固定資産や借入金は現金主義、未収金や未払金は発生主義で処理する方法です。
これは予算対比をするために必要なやり方でした。
しかし、この方法は、会計処理としては大変難しくなるのです。
というのも、企業会計方式(複式簿記)は、貸借対照表と損益計算書が同時に作成できるというところに素晴らしさがあるのですが、この方式だと、貸借対照表と収支計算書が同時に作成できないのです。
そこで、「一取引二仕訳」や「正味財産増減計算書」などという、一般の人にはまったくなじみのない会計処理や計算書類がでてきて、多くのNPOの会計担当者を悩ませているのです。
次回は、この難しい処理をしてでもNPOは旧公益法人会計方式を採る必要があるのかを考えてみます。








