NPOの役員報酬(法人税)
[2007年01月31日(水)]
私の事務所は12,1月が1年で一番忙しくなります。
1月も今日で終わりで、少しホッとしているところです。
もっともこれから確定申告が始まりますけれど。
今年は「電子申告」(e-Tax)というのも少しやっているので、これもまた最初はちょっと大変です。
慣れるときっと楽になるのでしょうね。
ちなみに電子申告は、今までは住基カードをとらないとできませんでしたが、今年から住基カードをとらなくてもできるようになりました。
政府もなんとか電子申告を普及させようと必死です。
NPOの方も取り組んでみてはいかがでしょうか。
さて、1月29日に行われたNPO支援東京会議の定例勉強会について振り返っています。
テーマはNPOの人件費で、今日は、その2回目です。
NPOの人件費で問題となるのは、NPOの役員に対する人件費と、職員又はボランティアに対する人件費でした。
まずNPOの役員に対する人件費について、前回は、NPO法でいう役員報酬をどう考えるのかをみてきました。
今回は、法人税法で損金算入の条件となる役員給与をどう考えているのかをみていくことにします。

1. 法人税法では何が問題になるのか
法人税で問題になるのは、役員に対して支払う給与が損金(経費)になるかどうか、ということです。
法人税の申告をしているNPOにとっては、役員に対する人件費が損金に算入される(つまり、法人税を計算する上で経費にできる)かどうかは、大問題です。
従って、どのような場合に役員に対する人件費は損金として認められるのか、あるいは認められないのかをしっかりと把握しておくことが必要になります。
2. 役員給与に関する税制改正
役員給与に関しては平成18年度の税制改正で、扱いが変わりました。
詳細はここを参照ください。
簡単に言えば、役員給与は以下の場合に限り損金に算入されることになりました(役員退職金は含まれません)
@ 毎月同額の給与を支払う場合(定期同額給与)
A 所定の時期に確定額の給与を支払うことにつき事前に届け出る場合(事前確定届出給与)
B 有価証券報告書の記載に基づき利益に連動して給与を支払う場合(利益連動型給与)
Bの、利益連動型給与については、NPOが有価証券報告書を作成することはありえませんので関係がありません。
Aの事前確定届出給与とは、例えば、3月決算のNPOで、6月に社員総会を開くような場合に、その社員総会で、その年の7月及び12月に役員に賞与を支払うと決定し、それを税務署に職務執行開始の日又は期首から3ヶ月以内のいずれか早い日までに届け出るような場合です。
つまり、@の定期同額要件を満たしていなくても損金に算入できる例外ということになります。
もちろん、NPO法人にも事前確定届出給与は可能ですが、けっこう面倒です。
それほど多くのNPO法人が事前届出をするとは思えません。
事前届出をしない限りは、@の「定期同額要件」を満たしている場合に限り役員給与は損金になるということになります。
これがNPOの実務に非常に影響を与えそうです。
それでは次に、そもそも「何が役員給与にあたるのか」ということを見ていきます
3. 法人税法上の役員
法人税法では「使用人兼務役員」という定義があります。
「使用人兼務役員」とは、名前のとおり、役員の業務と使用人の業務を兼務している人のことです。
前回述べたように、NPOでも理事でありながらヘルパーの仕事をしている人がたくさんいます。
この「使用人兼務役員」に対して支払う「使用人分の給与、賞与」については、基本的に損金算入が認められており、2.で述べた定期同額や事前確定は関係がありません。
しかし、問題は、法人税法でいう「使用人兼務役員」がNPOの感覚でいう「使用人兼務役員」と違うのです。
法人税法でいう「使用人兼務役員」の定義は以下のとおりです
使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する人をいいますが、次のような役員は、使用人兼務役員とはなりません。
1 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
2 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
3 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
4 取締役(委員会設置会社の取締役に限る)会計参与及び監査役並びに監事
以下省略
ここで問題なのは「代表理事」「専務、常務などの地位を有する役員」「監事」は使用人兼務役員になれないというところです。
つまり、「代表権のある理事」や代表権はなくても「専務理事」「常務理事」「監事」などは、法人税法上「使用人兼務役員」になれないということです。
「使用人兼務役員になれない」ということは、これらの人に支払う給与は、事前届出をしていない限りは、定期同額要件を満たしていない限り損金にならないということです。
法人税法上「使用人兼務役員」にならないと、賞与や残業代、歩合給などは、損金にならない(事前届出をしている場合を除く)のです。
4. NPOとしての対策
上記を受けて、NPOとしての対策です。
「理事長」「常務理事」「専務理事」(これらの人を「表見代理」と呼びます)などが法人税法上は使用人兼務役員になれないというのは、どうしようもありません。
一方で、NPOによっては、定款で代表者の定めをおかず、理事全員に代表権があるということになっているところがあります。
このような場合には、仮に表見代理でなくても、全員の理事が「使用人兼務役員」になれず、これらの理事に支払う給与は法人税法上は全額が「役員給与」になってしまいます。
これは避けたいところです。
従って、まず定款を確認していただき、「理事長は本法人を代表する」といった趣旨の条文が入っていることを確認する必要があります。
もし入っておらず、全員代表になっているとしたら、定款を変更して、代表者を理事長に限定することをお奨めします
(もちろん、全員代表にすることに積極的な意味をもっていれば別です)。
5. 注意点
今までの話は、あくまでも「法人税法上損金に算入されるか」という視点での話です。
勘違いをしてもらってはいけないのは、「理事長や常務理事に残業代や賞与を支払ってはいけない」ということを言っているのではないということです
(賞与については利益分配の疑いがあるものは避けるべきです)。
法人税の申告の必要がないNPOなどは、今までのことはあまり気にする必要がないかもしれません。
NPO法で禁止しているのは、役員の3分の1以上に役員報酬を支払うことと、利益の分配をすることです。
6. まとめ
以下、まとめです
NPO法
<問題となる点>
役員の3分の1以上に役員報酬を支払ってはいけない
利益の分配は禁止されている
<役員報酬とそれ以外の給与の考え方>
役員という職務に対する報酬は役員報酬と考え労務に対する対価は職員に対する給与と同じであると考える
<注意点>
実質的な利益分配になるような役員賞与や家賃、外注費などは禁止
法人税法
<問題点>
損金(法人税法上の経費)となるかどうか
<役員給与とそれ以外の給与の違い>
役員給与とされると、定期同額要件または事前確定届出をしていない限りは損金にならない。
役員給与でなければそのような規制はうけず、基本的に損金になる
<どのような場合に役員給与となるか>
代表権のある理事や表見代理については、使用人兼務役員となれず、役員に対する給与は全額「役員給与」となる
<注意点>
定款で「全員代表」の定めになっている場合には、平理事も含めて役員に対する給与は全額「役員給与」になる
1月も今日で終わりで、少しホッとしているところです。
もっともこれから確定申告が始まりますけれど。
今年は「電子申告」(e-Tax)というのも少しやっているので、これもまた最初はちょっと大変です。
慣れるときっと楽になるのでしょうね。
ちなみに電子申告は、今までは住基カードをとらないとできませんでしたが、今年から住基カードをとらなくてもできるようになりました。
政府もなんとか電子申告を普及させようと必死です。
NPOの方も取り組んでみてはいかがでしょうか。
さて、1月29日に行われたNPO支援東京会議の定例勉強会について振り返っています。
テーマはNPOの人件費で、今日は、その2回目です。
NPOの人件費で問題となるのは、NPOの役員に対する人件費と、職員又はボランティアに対する人件費でした。
まずNPOの役員に対する人件費について、前回は、NPO法でいう役員報酬をどう考えるのかをみてきました。
今回は、法人税法で損金算入の条件となる役員給与をどう考えているのかをみていくことにします。
人気ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします

1. 法人税法では何が問題になるのか
法人税で問題になるのは、役員に対して支払う給与が損金(経費)になるかどうか、ということです。
法人税の申告をしているNPOにとっては、役員に対する人件費が損金に算入される(つまり、法人税を計算する上で経費にできる)かどうかは、大問題です。
従って、どのような場合に役員に対する人件費は損金として認められるのか、あるいは認められないのかをしっかりと把握しておくことが必要になります。
2. 役員給与に関する税制改正
役員給与に関しては平成18年度の税制改正で、扱いが変わりました。
詳細はここを参照ください。
簡単に言えば、役員給与は以下の場合に限り損金に算入されることになりました(役員退職金は含まれません)
@ 毎月同額の給与を支払う場合(定期同額給与)
A 所定の時期に確定額の給与を支払うことにつき事前に届け出る場合(事前確定届出給与)
B 有価証券報告書の記載に基づき利益に連動して給与を支払う場合(利益連動型給与)
Bの、利益連動型給与については、NPOが有価証券報告書を作成することはありえませんので関係がありません。
Aの事前確定届出給与とは、例えば、3月決算のNPOで、6月に社員総会を開くような場合に、その社員総会で、その年の7月及び12月に役員に賞与を支払うと決定し、それを税務署に職務執行開始の日又は期首から3ヶ月以内のいずれか早い日までに届け出るような場合です。
つまり、@の定期同額要件を満たしていなくても損金に算入できる例外ということになります。
もちろん、NPO法人にも事前確定届出給与は可能ですが、けっこう面倒です。
それほど多くのNPO法人が事前届出をするとは思えません。
事前届出をしない限りは、@の「定期同額要件」を満たしている場合に限り役員給与は損金になるということになります。
これがNPOの実務に非常に影響を与えそうです。
それでは次に、そもそも「何が役員給与にあたるのか」ということを見ていきます
3. 法人税法上の役員
法人税法では「使用人兼務役員」という定義があります。
「使用人兼務役員」とは、名前のとおり、役員の業務と使用人の業務を兼務している人のことです。
前回述べたように、NPOでも理事でありながらヘルパーの仕事をしている人がたくさんいます。
この「使用人兼務役員」に対して支払う「使用人分の給与、賞与」については、基本的に損金算入が認められており、2.で述べた定期同額や事前確定は関係がありません。
しかし、問題は、法人税法でいう「使用人兼務役員」がNPOの感覚でいう「使用人兼務役員」と違うのです。
法人税法でいう「使用人兼務役員」の定義は以下のとおりです
使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する人をいいますが、次のような役員は、使用人兼務役員とはなりません。
1 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
2 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
3 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
4 取締役(委員会設置会社の取締役に限る)会計参与及び監査役並びに監事
以下省略
ここで問題なのは「代表理事」「専務、常務などの地位を有する役員」「監事」は使用人兼務役員になれないというところです。
つまり、「代表権のある理事」や代表権はなくても「専務理事」「常務理事」「監事」などは、法人税法上「使用人兼務役員」になれないということです。
「使用人兼務役員になれない」ということは、これらの人に支払う給与は、事前届出をしていない限りは、定期同額要件を満たしていない限り損金にならないということです。
法人税法上「使用人兼務役員」にならないと、賞与や残業代、歩合給などは、損金にならない(事前届出をしている場合を除く)のです。
4. NPOとしての対策
上記を受けて、NPOとしての対策です。
「理事長」「常務理事」「専務理事」(これらの人を「表見代理」と呼びます)などが法人税法上は使用人兼務役員になれないというのは、どうしようもありません。
一方で、NPOによっては、定款で代表者の定めをおかず、理事全員に代表権があるということになっているところがあります。
このような場合には、仮に表見代理でなくても、全員の理事が「使用人兼務役員」になれず、これらの理事に支払う給与は法人税法上は全額が「役員給与」になってしまいます。
これは避けたいところです。
従って、まず定款を確認していただき、「理事長は本法人を代表する」といった趣旨の条文が入っていることを確認する必要があります。
もし入っておらず、全員代表になっているとしたら、定款を変更して、代表者を理事長に限定することをお奨めします
(もちろん、全員代表にすることに積極的な意味をもっていれば別です)。
5. 注意点
今までの話は、あくまでも「法人税法上損金に算入されるか」という視点での話です。
勘違いをしてもらってはいけないのは、「理事長や常務理事に残業代や賞与を支払ってはいけない」ということを言っているのではないということです
(賞与については利益分配の疑いがあるものは避けるべきです)。
法人税の申告の必要がないNPOなどは、今までのことはあまり気にする必要がないかもしれません。
NPO法で禁止しているのは、役員の3分の1以上に役員報酬を支払うことと、利益の分配をすることです。
6. まとめ
以下、まとめです
NPO法
<問題となる点>
役員の3分の1以上に役員報酬を支払ってはいけない
利益の分配は禁止されている
<役員報酬とそれ以外の給与の考え方>
役員という職務に対する報酬は役員報酬と考え労務に対する対価は職員に対する給与と同じであると考える
<注意点>
実質的な利益分配になるような役員賞与や家賃、外注費などは禁止
法人税法
<問題点>
損金(法人税法上の経費)となるかどうか
<役員給与とそれ以外の給与の違い>
役員給与とされると、定期同額要件または事前確定届出をしていない限りは損金にならない。
役員給与でなければそのような規制はうけず、基本的に損金になる
<どのような場合に役員給与となるか>
代表権のある理事や表見代理については、使用人兼務役員となれず、役員に対する給与は全額「役員給与」となる
<注意点>
定款で「全員代表」の定めになっている場合には、平理事も含めて役員に対する給与は全額「役員給与」になる









最初の質問ですが、税法上は、月額3万円でも給与であることに変わりはないので、労務の対価として不定期な支払いは役員給与になると思われます
2つ目の質問は、すでに給与を支払っている人にコンサルタントのようなことをしてもらったとしても、それは給与の一部と考えられます。普通の会社でも、従業員が会社の業務で、コンサルタント的なことをしたから、その部分を給与とはしないということはないと思われます
給与を支給していなければ、実態判定ですが、内容からして給与ではなく、業務委託料などの外注費になることもありえると思います
質問ですが、なんでも質問箱にしていただければ助かります
http://www.npoweb.jp/modules/bluesbb/topic.php?top=1
また、人件費については
http://npoatpro.org/jinkenhi.pdf
に詳しく出ています