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2019年01月06日(Sun)

小規模法人用の会計基準を作らなかった理由
Q:NPO法人には小規模な法人がたくさんありますが、小規模な法人用の会計基準はないのですか?


A:NPO法人会計基準の策定時に、小規模法人用の会計基準を作成するかどうかについて議論がありましたが、小規模法人用の会計基準を別に作ることはせずに、1つの会計基準の中で小規模法人に配慮した仕組みを作ることにしました。


NPO法人会計基準の策定時の最大の問題は、小規模法人に対してどのような対応をするのか、ということでした。

NPO法人の半分は事業規模が500万円以下の法人です。

100万円以下の法人も2〜3割あります。

このような小規模な法人に難しい会計基準を作成しても、それが普及するとは思えません。

そこで、小規模法人用に簡易な会計基準を作る、という方法も考えられます。

例えば、小規模法人は収支計算書と財産目録を作成すればいいこととするような方法です。

しかし、NPO法人会計基準では、そのような小規模法人用の会計基準を作成するという方法は採用しませんでした。

小規模法人用の会計基準を作らなかったのは、以下のような理由からです。


@ 小規模法人用の会計基準を作ってしまうと、NPO法人には2種類の会計書類があり、会計報告の利用者としてはとても不便であること

A 法人によっては、規模が大きくなるに従って会計基準を変えることになり、それは継続性の点からも望ましくないこと

B 簡易な基準と一般な基準をどこで線を引くのか、ということが難しいこと

C 簡易な基準を作ると、どうしても、多くの法人が簡易な基準を採用しがちになってしまうこと

D NPO法人会計基準は、「NPOの信頼性の向上」を目的にしていますので、NPOの信頼性の向上のために、簡易な基準があるということは、逆行することになること


そこで、NPO法人会計基準では、会計基準を小規模な法人をベースにして、そこに積み上げていく形で会計基準を作ることにしました。

具体的にどのような方法を取ったのかは、次回に説明します。


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