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2007年01月23日(Tue)

田中弥生先生の講演U
 土曜日にNPO事業サポートセンターで行われた田中弥生先生の「NPOが自立する日〜行政の下請化に未来はない」の2回目です。

 今回は、NPOで行政からの委託が増えることでどのような問題があるのかを中心にしています。

 収入を「民間資金収入」「公的資金収入」という分け方をすることは非常に新鮮でした。
 この考えを私もぜひ会計の中にも取り入れていきたいと思っています

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男の子:田中先生の主張は、NPOが自立するためには行政の下請けになってはいけないということですが、なぜそのような考えを持つようになったのですか?

笑顔:NPOの自立を考えるフォーラムで、パネリストになりました。
 ディスカッションの後の質疑応答で、ディスカッションとの内容に関係がなく、行政からの委託料が安い、あるいは行政との関係に不満という声が噴出しました。

 また、2005年にはNPOにアンケート調査を行いました。
 収入規模が500万円以上のNPOを対象としましたが、寄附の総額が30万円未満であるNPOが45%でした。

 寄付をしたりボランティアをすることで市民性を創造するというNPOの理想像から、現在のNPOははずれているということがわかりました。

男の子:寄付が少ないとすると、事業収入が多いということですよね。それが問題あるでしょうか?

笑顔:本来事業の事業収入の割合が全体の62%を占めています。
 問題はその事業収入の中味です。

 事業収入の相当部分が公的資金(行政からの委託や補助金)ではないか、と考え、アンケートの2次調査を行いました。
 収入合計に対する民間資金(会費、寄付金、民間助成金)と公的資金((本来事業収入+その他収入)×行政委託率+行政補助金)の割合を調査しました。
 その結果、公的資金に依存しているNPOが非常に多いということがわかりました。

男の子:業種による偏りはあるのですか?

笑顔:保健、医療は公的資金の依存の割合が高くなります。
 一方で、国際協力関係は民間資金の依存割合が高くなります。
 国際協力などはNPO法ができる前、法人格を持たない時代から活動をしていた団体が多く、行政に依存していないところが多いようです。

男の子:公的資金の割合が多くなるとどのような問題がありますか?

笑顔:イギリスでは、一時期、NPO(チャリティ団体)への行政の委託が進み、委託文化となってしまいました。
 その結果、理事は行政のチェック役のようになってしまいました

 行政からの委託に頼ると、行政からの契約が切れても、雇用を守る必要などから組織を小さくできず、また別の委託先を捜す、という状況になってしまいます。
 これを「委託のバッチワーク」といいます。

 行政からの委託が増えることで、その組織の社会的な意義よりも事業体としての維持・存続が優先されてしまいます。

 使命よりも組織維持、自主事業よりも委託となってしまうのです。


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