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2017年01月25日(Wed)

非営利徹底型の一般社団法人、一般財団法人
一般社団法人、一般財団法人は、法人税法上は、NPO法人等と同様に収益事業課税が適用される「非営利型法人」と、株式会社などと同様に全所得課税型が適用される「非営利型以外の法人」に分かれます。

このうち、「非営利型法人」については、さらに「非営利徹底型法人」と「共益活動型法人」に分かれます。

今回は、このうち、「非営利型徹底法人」の要件について詳しく見ていくことにします。

非営利型法人について、より詳しいことを知りたい方は、「Q&A 一般社団法人・一般財団法人の会計税務ハンドブック」(清文社)をお読みください。





1. 非営利徹底型法人の要件


非営利徹底型法人とは、次の@からCのすべてを満たしている法人を言います。

@  剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。

A 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること。

B 上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1,2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人または団体に特別の利益を与えることを含みます)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。

C 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること。



非営利徹底型法人の趣旨は、以下のように説明されています。

「非営利徹底型法人という類型は、剰余金の分配を行わず、残余財産の帰属先が公益的な活動を行う法人等に限定され、さらに役員給与などによる実質的な利益分配が行われる恐れも排除されているような法人について、必ずしも利益を獲得する活動を行うとは限らないと評価できることから、利益を獲得すると想定される活動、すなわち収益事業を行う場合に限り課税関係を生じさせることが適当であるとの観点に立って設けられたものです」(財務省主税局『平成20年改正税法のすべて』292頁)。


上記の要件を満たしていれば、特段の手続きを踏むことなく、非営利徹底型法人となります。

また、上記の要件のうち1つでも該当しなくなったときには、特段の手続きを踏むことなく、非営利型法人以外の法人になります。


2. 剰余金の分配と残余財産の帰属

要件の@とAは、いずれも定款における形式要件です。

 一般社団・財団法では、社員又は設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは効力を有しないものとされています(一般社団・財団法第11条2項)。

 一方で、一般社団法人、一般財団法人を解散するときに、清算法人の社員総会等の決議によって、残余財産を社員又は設立者に帰属させることが認められています。

 そのような場合には、非営利の要件である「残余財産の分配をしない」ということが徹底されているとは言えません。
 
非営利が徹底している条件として、定款に以下の事項を定めることを求めています。

・社員又は設立者以外の者に対しても剰余金等の分配を行わない旨があらかじめ定款で定められていることを前提にしていること

・解散時の残余財産の処分についても公益的な活動を行う法人等に帰属することが担保されていることを前提にしていること


例えば、以下のような記述が定款に必要です。

(剰余金の非分配)
第○条 この法人は剰余金の分配は行わない。

(残余財産の処分)
第○条 この法人が解散等により清算するときに有する残余財産は、社員総会(評議員会)の決議により、国、地方公共団体もしくは公益社団法人、公益財団法人又は公益認定法第5条第17号に掲げる法人に贈与するものとする。



 このような記述がない定款も、一般社団法人、一般財団法人としては可能ですが、非営利徹底型法人にはなれませんので、共益活動型法人でなければ、全所得課税が適用されます。


3. 理事の3分の1要件

 要件のCとして、「理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること。」があります。

一般財団法人の場合には理事は3人以上いなければいけませんが、一般社団法人に置かなければならない理事は、1人又は2人以上とされており(一般社団・財団法第60条1項)、一般社団法人の場合には理事が1人又は2人ということも考えられます。

 この場合に、「各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること。」という要件はどう考えればいいのでしょうか?

 理事が1人又は2人の場合には、理事とその親族等である理事の合計数が理事の総数に占める割合は常に3分の1を超えることになります。

 例えば、理事が2名(親族同士ではない)とした場合には、1/2>1/3になりますので、3分の1を超えることになります。

 つまり、一般社団法人の場合には、最低でも理事が3人以上いないと、この要件をクリアできないため、非営利型法人になることができません。


国税庁 法令解釈通達の趣旨説明 1-1-11

 それでは、理事が突然辞めて、理事の3分の1要件を満たさなくなってしまった場合に、直ちに全所得課税の非営利型法人以外の法人になるのでしょうか。

 その場合には、相当の期間内に理事の変更を行うこと等により、再度要件に該当していると認められるときは、継続して要件に該当しているものとして取り扱うことができることとされています。


 理事の3分の1要件の趣旨として、以下のように説明されています。

 「各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること。」という要件は、実質的な面においても利益を獲得することを予定しない法人であることの要件として、事業を運営するための組織の適正性が維持されている必要があることから、理事に定める特殊関係者の割合が制限されています。(財務省 主税局 平成20年『改正税法のすべて』293頁)


4. まとめ

 一般社団法人、一般財団法人は、定款に剰余金の分解や残余財産の帰属についての定めがない場合でも法人として設立することはできます。

 また、一般社団法人は理事が2人以下でも設立できます。一般財団法人は理事が3名以上必要ですが、3名が親族どうしてあっても設立はできます。

 従って、非営利徹底型の要件のことを考えずに設立してしまい、後から非営利徹底型法人に該当しないことが分かった場合に、非常に困ったことになる可能性があります。

 会費や寄付金などの収入がある場合には、非営利徹底型法人に該当しないことで、これらの収益に法人税が課税されてしまいます。

 私も、法人が設立されてから関与した法人で、定款を見ると、非営利徹底型の要件を満たしていなかったため、慌てて要件を満たす定款に変更したことがあります。

 このような場合には、法人の会計年度の途中であっても、非営利型以外から非営利型に移行した段階で、法人税の申告が必要になります。

 私も経験しましたが、かなり面倒ですので、設立前に、定款や役員構成などをしっかりと検討したうえで設立することをお勧めします。

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