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2011年07月25日(Mon)

なでしこJAPANと寄付税制
なでしこJAPAN。盛り上がっていますね


うちの5歳の娘が、「なでしこJAPAN」が盛んに連呼されているので、「なでしこやるから見て?」と言って、頭をなでて、おしっこのまねをするので、「なにそれ?」と聞くと、「なで(お)しっこ」と言って笑って大うけでした

なかなかセンスあるなあとちょっと親バカです


さて、今日のある番組で、なでしこJAPANの中心選手の宮間選手が所属する、なでしこリーグの岡山湯郷ベルクラブのことが紹介されていました


このクラブ、「NPO法人岡山湯郷Belleクラブ」というNPO法人が運営主体で、番組では収支報告も紹介されていました


コーナーの最後に、司会の人が、「こういうクラブに税金が投入されるのであれば、僕は文句はない」というようなことを発言されていました


6月に導入された新寄付税制は、このような、行政などが支援先を決め、税金を投入するという発想を変え、市民一人一人が支援する先を決定していくという動きを加速させるためのものです。


今、大きく変わろうとしている支え合いの考え方を、なでしこリーグの話から見ていきたい
と思います


あくまでも個人的な意見ですので、ご了承ください



1. 国の税金の投入


なでしこJAPANが女子ワールドカップで優勝し、盛り上がり、一方で選手がJリーグなどと比較するとあまりに格差のある待遇であるということを知ると、「もう少しなんとかならないものか」とみんなが感じていると思います


今回の優勝を受けて、代表選手の強化費などが強化されるのは、当然ありだと思います


しかし、クラブ経営まで国の税金で補助しようというのは、筋違いではないかと思います


なでしこJIAPANは優勝してこれだけ盛り上がっていますが、他にも同じような待遇のアマチュアスポーツはいくらでもあります。


どのようなアマチュアスポーツは補助して、どのようなものは補助しないのか、オリンピックのメダルが目的と考えれば、ある程度の戦略は考えられますが、日々のリーグの運営にまでそれを国などが国民から集めた税金を投入しておこなうというのは無理があるし、どのようなことに公的なお金を注入するかということを、お上が決めるという発想がちょっと古いのではないか、と思うのです



2. 補助金での投入


番組でNPO法人岡山湯郷Bellクラブの収支計算が紹介されていました


見ると、美作(みまさか)市からの補助金が2千万円以上あり、全体の収入の3割以上を占めていました


つまり、このクラブは、市から補助を受けて、なんとか運営が成り立っているというのが現状です


市がみんなでクラブを支えていると言えるわけですが、補助金頼みはかなり怖い。


どこの自治体も財政状態が苦しい中で、美作市が女子サッカーリーグというなかなか日のあたらないスポーツを支援してきているのは素晴らしいことですが、しかし、補助金の基は市民の税金ですので、出せる金額にも当然限界がありますし、急になくなってしまうことだってあり得なくはありません。


美作市が補助金でクラブを支えるということ自体は否定するものでもないですが、これからはむしろ、税金で徴収されたものを行政なり議会なりが必要に応じて配分先を決めるという形よりも、市民一人一人(ここでいう市民は美作市の市民というよりもっと広い意味の市民)が、自分たちの意思で支援していく先を決めていこうという形の方が望ましいのではないか、と思うのです


そういう社会を後押しするにはどうしたらいいのか、というところからでてきているのが、6月に成立した改正NPO法であり、新寄付税制ではないか、と私は理解しています


3. 寄付税制について



新しい寄付税制では、もし岡山湯郷Bellクラブが、認定NPO法人になると、このクラブに寄付をした人が、寄付をした金額の最大50%が還付されることになります(正確には足切り2千円があるので、50%にはならない)


番組では、司会の方が、リポートで、クラブの置かれている状況に愕然として、「1000万円くらい自分で出してもいいかも」みたいなことを言っていました


新しい寄付税制は、こういう動きを促進するためのものです



そして、このような形でクラブを支援したら、その支援した分のお金を税金から引いてくれますよ、ただし、全額税金から引いてしまうと、それはもはや寄付とは言えなくなってしまうので、最大で半分引けるようにしますよ、というものです。


1000万円出したら、最大で500万円(正確には499万9千円)、国や地方公共団体が寄付者に補助しますよ(確定申告で還付されるなどの形で)、という制度です


つまり、税金経由で支援するのではなく、自分自身の意思によって一部ではあるが税金の使途を決めることができるという制度です


そして、このような措置を受けられるのは、NPO法人であれば、認定NPO法人というものになる必要があります


認定NPO法人になるには、多くの市民に支えられているということが重要であると考え、パブリックサポートテスト(どれだけ一般市民に支援されているか)を認定のための最大の判断指標にし、その要件に、「3,000円以上の寄付者が年平均100人以上いる法人」が加わりました


多くの人から支援を受けて、そのことで認定をとり、さらに支援されやすい環境を作って、さらなる支援を市民から得ていく、それが新しい寄付税制の目指しているものではないかと思います


来年4月からは、今現在では多くの支援を受けていないNPOでも一時的に認定をとれる「仮認定制度」も導入されます


なでしこリーグの盛衰も、スポンサー契約や入場料をどれだけ確保できるかということも大きいと思いますが、それ以上に、どれだけ多くの市民、とくに地域に密着した市民から支援を受け続けることが出来るか、そういう仕組みを作れるか、ということが大きいのではないか、と思います


税金で支援しようなどとは考えない方がいいと思います


岡山湯郷Bellクラブの寄付金収入は、番組でちらっと見えた範囲では、170万円くらいで、補助金の10分の1以下でした


これが逆転するようなことがあったら素晴らしいな、と思います


4. 寄付金について


蛇足ですが、認定NPO法人で言う「寄付金」とは、「寄付金」という名目であるかどうかは問いません


任意性(お金を出すかどうかは出す側が決められる)があり、反対給付がない(お金を出したからと言って見返りがない)ことが条件です


今回のようなスポーツ団体であれば、「サポーター会員制度」の会費のような形でも構いません(正会員=議決権のある会員の会費は寄付金ではない)


ただし、サポーター会員になると、試合の観戦料が無料になるなど、会費とNPOが提供するサービスに関連性が強いと寄付とはならない可能性もあるので注意が必要です


ぜひ、岡山湯郷Bellクラブにも、他のクラブにも、いろいろな制度を利用して、たくさんのサポーターを集めて欲しいと思います


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