2011年03月22日(Tue)
募金団体の手続き
先日書いた、「義援金と支援金の税務上の扱い」の記事で、「義援金については、その募金が、義援金配分委員会などに、拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、地方公共団体に対する寄附金に該当するものとされます」ということを書きました。
そして、その結果、「義援金は、受入れ団体が手続きをとっていれば、法人は全額経費扱いできるし、個人は寄付金控除の対象になる」 ということを書きました ところで、この「受入れ団体(義援金の募金を受け付ける団体)がとる手続き」とはどのようなものなのでしょうか? 手続きをとったとして、募金をした人に発行するのは領収書なのでしょうか、預り書なのでしょうか? 募金をした人は、確定申告で寄付金控除を受ける場合に、何を添付すればいいのでしょうか? このような疑問があるので、前回の記事でもご紹介した 国税局内の事務運営指針である 募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて と、 この震災に際して国税庁が納税者向けに発行した 東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に関する税務上の取扱いについて の2つを参考にしながら、どのような取扱いになるのか見ていくことにします なお、この記事は、23年3月18日時点の法定等に基づいて作成しているものですので、その後変化があるかもしれませんので、ご了承ください また、上記2つの文章を参考にしており、私自身が手続きをしたわけではありませんので、実際に手続きをされた方から情報を頂ければ嬉しいです |
1. 義援金について
募金団体が受入れる募金には、大きく分けると、被災者へ直接渡される「義援金」と、現地で被災者支援を行う機関やNPOへの「活動支援金」に分かれます 今回の扱いは、あくまで、「義援金」を募金団体が受入れる場合に、募金団体がどうしたらいいのか?という話で、「活動支援金」の話ではありませんので、ご了解ください 義援金と活動支援金 2. 義援金の受入れ団体 税制上優遇される義援金は、次のような団体から義援金です @国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等 A日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの B社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」として直接寄附した義援金等 C上記以外で、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの そして、今回問題にしているのは、Cの義援金です AとBは、特別な手続きをとるまでもなく、国又は地方公共団体へ最終的に拠出される義援金として認定されているそうです。 しかし、C(NPOなどが募集する義援金はこれに該当する)については、手続きを踏まないと、国又は地方公共団体に拠出される義援金とはされず、寄付をした人は、税務上有利な取り扱いを受けることができません。 3. 受入れ団体がとる手続きは 義援金の募金団体が寄付金控除などを受ける義援金に該当するためには、「募金団体が受ける義援金等が、最終的に国や地方公共団体に拠出されるものであることが新聞報道、募金要綱、募金趣意書等で明らかにされており、そのことが税務署において確認できること」が必要になります 税務署において確認を受けるとは具体的にどんなことをいうのでしょうか 「募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて」のその部分を抜粋して要約みます @ 募金団体の主たる事務所が所在地を所轄する税務署の個人課税部門に行く なお、税務署の所在地については、下記を参照ください 国税局・税務署を調べる A 税務署は、募金団体から照会があった場合には、募金要綱、募金趣意書等により、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等に対してきょ出されることが明らかであるかどうかを確認した上で、地方公共団体に対する寄附金に該当することになる旨を回答する。 また、これと併せて、次の事項について確認を行うものとする。 イ 募金団体の名称、代表者名、所在地 ロ 募集した義援金等の受付の専用口座等 ハ 募集した義援金等のきょ出先等 ニ 募金要綱、募金趣意書の有無等 (注) その義援金等が地方公共団体に対する寄附金であることを明記した募金要綱、募金趣意書のあることが望ましいが、募金団体が募金要綱や募金の趣旨等を新聞紙上等で広く一般に周知している場合は、これを確認することにより募金要綱、募金趣意書の有無の確認に代えて差し支えないものとする。 ホ 預り証等の発行の有無等 (注) 義援金等の受付の専用口座へ振り込む場合を除き、地方公共団体に対する寄附金である旨を明記した預り証等を発行することが望ましいが、募金活動終了後に新聞紙上に募金者の氏名等を掲載することとしている場合には、その旨を確認することにより預り証等の発行の有無の確認に代えて差し支えないものとする。 B募金活動を終了した場合には、手続きを行った税務署に対して義援金配分委員会等が受領したことを証する書類の写し及び収支報告書を提出すること。 (注) 収支報告書を新聞紙上に掲載すること等により広く一般に周知する場合は、これにより収支報告書の提出に代えて差し支えないものとする。 4. 寄付者へ発行する書類は 寄付者へ発行するのは、義援金の場合には、募金団体の領収書ではなく、「預り証」です。義援金は、募金団体への募金ではなく、あくまでも義援金配分委員会等へ拠出するものであるからです ただし、募金者が確定申告を受ける場合には、改めて赤十字社や義援金等配分委員会から領収書をもらう必要はなく、募金団体の預り証を添付すればいいということです。 預り証には、たとえば 「上記金額をお預かりしました。お預かりした義援金は、○○(例えば「日本赤十字社の東北関東大震災義援金口座」と記載します)に拠出いたします。 (注)この預り証をもって、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号の「国又は地溝公共団体に対する寄付金」に該当することの証明としてお使いいただけますので、大切に保管してください」 のように記載するといいでしょう <参考> 義援金に関する税務上の取り扱いFAQ Q9 (注)日本赤十字社や中央共同募金会の「東北関東大震災義援金」への寄附を郵便振替で行った場合には、郵便窓口で受け取る半券(受領証)をもって寄附したことを証する書類として差し支えありません。
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