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2011年03月04日(Fri)

NPO法改正案骨子
今、NPO法の改正が検討されているのはご存知でしょうか?


改正が検討されている内容は、大きく分けると


@ 現在のNPO法の改正




A 現在、税法の中で規定されている認定NPO法人制度を、大きく内容も変更したうえで、NPO法の中に取り込む


の2つです


2月26日に行われた全国知事会議で、NPO法の改正する法律案の骨子(案)が示されました


今後、この案をベースにして、NPO法の改正が急ピッチで検討されてきます


このNPO法の改正案の骨子について、どのようなものか、解説することにします


今日は、@の現在のNPO法の改正のところを中心に、改正案の骨子の前半部分を見ていきます


なお、資料は、下記からダウンロードできます


資料4−2 特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案・骨子(案)


また、資料の「P」と書いてある項目は「ペンディング」の項目で、これから詰めていく項目です


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特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案・骨子(案)



第1.総則


1.目的の改正


(第3等の改正内容を踏まえて、所要の改正を行う)


<解説>


NPO法の第一条の法の目的を、他の改正内容が確定した段階で調整するということのようです



2.活動分野の追加「P」



<解説>


活動分野の追加が検討されているようですが、まだペンディング項目です。



なお、「特定非営利活動法人」「特定非営利活動法」という題名及び名称の変更も検討されていましたが、この骨子には出てきていません




第2.特定非営利活動法人の認証制度



1.所轄庁の変更


2以上の都道府県に事務所を置く法人の所轄庁を、内閣総理大臣(内閣府)から主たる事務所の所在地の都道府県知事(1の政令市の区域内のみに事務所を有する法人にあっては、指定都市の長)とする


<解説>


とっても大きな改正。


現在は、2つ以上の都道府県に事務所があるNPO法人は内閣府が所轄庁になっているが、これが、その主たる事務所のある都道府県にすべて変わるということ。


既存のNPO法人で内閣府認証のところは、すべて影響を受けます


おそらく東京都所轄のNPO法人が激増することが予想されます




2.認証制度の柔軟化及び簡素化


(1)認証審査期間の柔軟化


認証審査期間について、条例により2か月以内の期間を定めることができるものとする。


<解説>


現行4カ月の認証期間は長すぎるので、2か月に短縮してほしいという要望が出ていましたが、すべての所轄庁が2カ月で対応するのは難しいということで、「条例によって認証審査期間の短縮を認めることを可能にする」という書きぶりになりました


効果は、どれだけ採用してくれる所轄庁があるかによりますね



(2)社員総会の決議の省略


一般社団法人等に認められている「みなし総会決議」(社員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき、社員総会の決議を省略できる。)をすることができるものとする。


<解説>


これはうれしい。


(3)代表理事制の導入


特定非営利活動法人は、定款によって、理事の中から代表理事を定めることができるものとする。



(4)定款変更の際の届出事項の拡大


所轄庁の認証を受けなければ定款の変更が効力を生じないとされる場合を見直し、所轄庁への届出のみでよいとされる場合を拡大する。


(例)事業年度に関する事項、解散に関する事項等


<解説>


これもうれしい。


現状、定款の内容を少し変えただけで、所轄庁の認証を受けるために4カ月待たされるというのは、NPO法人の機動性に問題を生じています


(5)解散公告の簡素化


解散時における債権者への債権の申出の催告についての公告の回数を、「3回以上」から「少なくとも1回」に簡素化することとする。


<解説>


現行法は、NPO法人が解散するためには、公告を3回以上しなければいけないというちょっと異常な状態で、解散が非常にしにくくなっています



3.認証法人に対する信頼性向上のための措置の拡充


(1)認証後未登記団体の取消し


所轄庁は、団体が認証を受けた日から6か月を経過しても設立の登記をしない場合は、認証を取り消すことができることとする。


<解説>


現行法では、所轄庁の認証を受けた後に登記をしていないNPO法人がけっこうあるそうです


法律的には登記をして法人は成立しますので、認証されているのに法人としては存在しないという変な状態があり、これを解消しようとするものです





(2)「収支計算書」の改正、財産目録の撤廃、貸借対照表の区分経理の撤廃「P」


<解説>


私も深く関係している会計基準関係です。


昨年の7月20日に、民間主導で策定されたNPO法人会計基準をベースにして、大激論中です。


具体的に、NPO法の改正として議論されているのは、


@「収支計算書」を損益計算書型の計算書(NPO法人会計基準では「活動計算書」)へ変更していくこと(経過措置は設けられると思います)


A財産目録を廃止すること


Bその他の事業を行っている場合に、貸借対照表の区分経理までは法律で強制しないこと


の3つです。


また、今後、認定NPO法人を所轄することになる予定の地方自治体からは、認定NPO法人に適用する適切な会計基準を作成することが要望として挙がってきています。




(3)情報開示の充実 所轄庁が事業報告書等の謄写に応じなければならないこととする等、情報開示手段を充実させることとする。



<解説>


NPO法では、情報公開が非常に重視されていますが、現在は、法律上は、所轄庁が公開しているNPO法人の事業報告や会計報告などは、コピーができないそうです。


それはいくらなんでもナンセンスなので、改正が予定されています。


また、現在、新しい公共の関連で、「NPOの情報開示・発信基盤に関するワーキンググループ」で、NPO法人の基本情報をフォーマット化して、インターネット上に公開する方向で議論が進んでいます。



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NPO法の改正は、議員立法で、国会議員と行政府および民間が協働して進めています。


民間側も参加し、現場の声を吸い上げて作られているところがこの法律の特色です


民間側の窓口になっているのが「NPONGOに関する税・法人制度改革連絡会」で、この活動の中心になっているのが、「NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」です。

その活動状況は、日々、「NPOWEB」のツイッターで報告されています


NPOWEB ツイッター


このような、純粋な民間側に立った法案の提案などアドボカシー活動にかかる人件費は、行政からは出ません(行政からお金が出てしまっては、独立性が保てなくなってしまいます)。


すべて民間の寄付などでこのような運動が展開されています


この資金が現在、非常に足りなくなっており、シーズが継続的に活動していくことが困難な状況になってきています


私も、このような活動は、民間公益活動を推進していくうえでは、絶対に必要なものだと思って、いろいろな形で支援をしています


民間主導でこのような動きを実現していくためにも、多くの方のご支援をお願いします


支援のお願い




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コメント
はじめまして、ランキングから来ました。
これからもいろいろ参考にさせていただきたいと思います。
Posted by: きゅー  at 2011年03月04日(Fri) 10:44