収益事業と事業性
[2006年12月06日(Wed)]
この2日間、日経新聞に「マイクロソフト 揺れる大国」として、マイクロソフトの苦戦ぶりが出ていますね。
昨日の記事には、ビルゲイツの情熱がソフトの開発から慈善活動に移っていっているというようなことがでていました。
確か今日は、マイクロソフトとシーズが共同でNPOのIT支援をするというプログラムを発表するイベントがあったように記憶しています。ビルゲイツの情熱は、日本のNPOのIT支援にも広がっているようですね。
月曜日にNPO支援東京会議で法人税の収益事業課税について話をするので、収益事業課税がどのような考え方に基づいているのか、いくつかのパターン分けができないか、考えています。
前回は「収益性」の話をしましたが、今回は「事業性」の話をします。

1.なぜ「事業性」が問題になるか?
「収益事業」というからには「事業」といえるものに課税する、逆に「事業」と言えない規模のものには課税しないという考え方が収益事業課税にはあるようです。
歴史的に言うと、収益事業課税は、有名なシャウプ勧告に基づいて、若干の修正を得て、昭和25年に創設されました。
その後、昭和32年に収益事業の課税の範囲に「人格のない社団等」が加わりました。この時に、収益事業の定義に「継続的に事業上を設けて行われるもの」が加えられました。
これは、人格のない社団(任意団体)といえども課税しないではいられない規模のものが出てきたので、人格のない社団等を収益事業に含めましたが、小規模な、事業とはいえないような団体まで課税の対象とはしないということを明らかにするために付け加えられたと解されています。
「税法上の収益事業は、「継続して・・・営まれるもの」であることがその要件の一つとされている。要するに、継続企業から生じた所得、すなわち「事業所得」について課税するという趣旨である
(「法人税基本通達逐条解説」 谷口勝司著 税務研究会出版局)」
つまり、NPOは、法人格の有無に関わらず、所得税法で言う「事業所得」のレベルのものに対して課税するのであり、「雑所得」のレベルのものには課税することは予定していないということです。
たまに、任意団体なら課税の対象にならないけれどNPO法人だと課税の対象になると思っている人がいますが、この考え方は間違いです。NPO法人化することで事業性がでてくるということで課税の対象になるということは考えられます。
2.事業所得と雑所得の違いは?
そうすると、事業所得と雑所得の違いはどう考えたらいいのか、ということですが、これには裁判例があります。
平成10年6月23日の東京地方裁判所の裁判で、もともとのテーマは、ある個人が絵画の売買をした場合に、それが譲渡所得になるか、雑所得になるか、ということでした。
その裁判の中で、譲渡所得でないとすれば、事業所得なのか雑所得なのか、ということで、下記のように裁判官は述べています。
事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得を言うものと解されるところ、ある所得が事業所得に当たるか否かを判断するに当たっては、当該所得が社会通念上「事業」というに値する規模・態様においてなされる営利性、有償性、反復継続性を持った活動によって生じる所得か否かによって判断すべきであり、右の場合において「事業」というに値する規模・態様においてなされる活動といえるかどうかは、自己の計算と危険においてする企画遂行性の有無、その者の精神的肉体的労務の投入の有無、人的・物的設備の有無、その者の職業・経験及び社会的地位等を総合的に判断すべきである。
@ 原告は○○研究所の代表取締役であるほか7社の役員である
A 本件絵画の売買に係る事務に関し、従業員の雇用はなく、これに従事しているのは
○○研究所の社員であり、その者に対し右事務に従事したことに対して
給与等の支払はされていない
B 原告は右事務のための画廊等の店舗を有せず、絵画の保管については
○○研究所の倉庫を無償で借用している
C 本件絵画の売買先は、ほとんど特定しており、原告が本件絵画の売買のために
多くの労力や時間を費やしているということはない
少しわかりにくいですが、、雑所得とされる具体的な理由として、
@本人が他にもたくさん仕事を持っていること、
A専属の従業員がいないこと、
B倉庫は無償で借りていること、
C売買に多くの労力を費やしていないこと
といったところが挙げられています。
このレベルのものは「事業」とは言えないという判例です。
収益事業の一つの判断基準になるのではないかと思います。
昨日の記事には、ビルゲイツの情熱がソフトの開発から慈善活動に移っていっているというようなことがでていました。
確か今日は、マイクロソフトとシーズが共同でNPOのIT支援をするというプログラムを発表するイベントがあったように記憶しています。ビルゲイツの情熱は、日本のNPOのIT支援にも広がっているようですね。
月曜日にNPO支援東京会議で法人税の収益事業課税について話をするので、収益事業課税がどのような考え方に基づいているのか、いくつかのパターン分けができないか、考えています。
前回は「収益性」の話をしましたが、今回は「事業性」の話をします。
人気ブログランキングに参加しています。ベストテンに復活しました!!ありがとうございます。
下記のバナーに応援クリックお願いします。
下記のバナーに応援クリックお願いします。

1.なぜ「事業性」が問題になるか?
「収益事業」というからには「事業」といえるものに課税する、逆に「事業」と言えない規模のものには課税しないという考え方が収益事業課税にはあるようです。
歴史的に言うと、収益事業課税は、有名なシャウプ勧告に基づいて、若干の修正を得て、昭和25年に創設されました。
その後、昭和32年に収益事業の課税の範囲に「人格のない社団等」が加わりました。この時に、収益事業の定義に「継続的に事業上を設けて行われるもの」が加えられました。
これは、人格のない社団(任意団体)といえども課税しないではいられない規模のものが出てきたので、人格のない社団等を収益事業に含めましたが、小規模な、事業とはいえないような団体まで課税の対象とはしないということを明らかにするために付け加えられたと解されています。
「税法上の収益事業は、「継続して・・・営まれるもの」であることがその要件の一つとされている。要するに、継続企業から生じた所得、すなわち「事業所得」について課税するという趣旨である
(「法人税基本通達逐条解説」 谷口勝司著 税務研究会出版局)」
つまり、NPOは、法人格の有無に関わらず、所得税法で言う「事業所得」のレベルのものに対して課税するのであり、「雑所得」のレベルのものには課税することは予定していないということです。
たまに、任意団体なら課税の対象にならないけれどNPO法人だと課税の対象になると思っている人がいますが、この考え方は間違いです。NPO法人化することで事業性がでてくるということで課税の対象になるということは考えられます。
2.事業所得と雑所得の違いは?
そうすると、事業所得と雑所得の違いはどう考えたらいいのか、ということですが、これには裁判例があります。
平成10年6月23日の東京地方裁判所の裁判で、もともとのテーマは、ある個人が絵画の売買をした場合に、それが譲渡所得になるか、雑所得になるか、ということでした。
その裁判の中で、譲渡所得でないとすれば、事業所得なのか雑所得なのか、ということで、下記のように裁判官は述べています。
事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得を言うものと解されるところ、ある所得が事業所得に当たるか否かを判断するに当たっては、当該所得が社会通念上「事業」というに値する規模・態様においてなされる営利性、有償性、反復継続性を持った活動によって生じる所得か否かによって判断すべきであり、右の場合において「事業」というに値する規模・態様においてなされる活動といえるかどうかは、自己の計算と危険においてする企画遂行性の有無、その者の精神的肉体的労務の投入の有無、人的・物的設備の有無、その者の職業・経験及び社会的地位等を総合的に判断すべきである。
@ 原告は○○研究所の代表取締役であるほか7社の役員である
A 本件絵画の売買に係る事務に関し、従業員の雇用はなく、これに従事しているのは
○○研究所の社員であり、その者に対し右事務に従事したことに対して
給与等の支払はされていない
B 原告は右事務のための画廊等の店舗を有せず、絵画の保管については
○○研究所の倉庫を無償で借用している
C 本件絵画の売買先は、ほとんど特定しており、原告が本件絵画の売買のために
多くの労力や時間を費やしているということはない
少しわかりにくいですが、、雑所得とされる具体的な理由として、
@本人が他にもたくさん仕事を持っていること、
A専属の従業員がいないこと、
B倉庫は無償で借りていること、
C売買に多くの労力を費やしていないこと
といったところが挙げられています。
このレベルのものは「事業」とは言えないという判例です。
収益事業の一つの判断基準になるのではないかと思います。
【法人税の最新記事】









