寄付金控除の仕組み
[2008年08月01日(金)]
個人がNPO法人に寄付をする場合について、いくつかのパターンに分けてどのような税金上の扱いになるのかを見ていくことにします
前回のまとめは
@認定NPO法人へ寄付
→寄付金控除を受けるため、その年の所得税が減る
将来、亡くなったときの相続税の負担額も減る
ただし、現物寄付の場合にはみなし譲渡で課税される可能性あり
A認定でないNPO法人へ寄付
→その年の所得税には影響しない
将来、亡くなったときの相続税の負担は減る
みなし譲渡で課税される可能性あり
ということでした。
つまり、生前にNPO法人へ寄付をする場合には、認定を取っているかどうかの違いは、「寄付金控除を受けることにより、その寄付をした方のその年の所得税が減るかどうか」ということでした
ところで、「寄付金控除」により所得税が減るという仕組みですが、NPOの方に充分に理解されているとは思えません。
この寄付金控除の部分をもう少し詳しく見ていきたいと思います
寄付金控除のことを理解するには、まずは所得税の計算体系を理解しないといけませんので、所得税の計算体系を理解した上で寄付金控除の効果を考えていきます
1. 所得税の計算体系
所得税の計算体系は大雑把に言うと以下のような感じです
@ 収入金額から必要経費などを引いて、所得金額を求めます
個人事業者であれば、収入金額から必要経費を引いて事業所得金額を求めます
給与だけをもらっている人については、給与の収入から、給与所得控除額という必要経費相当分を引いて給与所得の金額を求めます
A 所得金額から所得控除額を引いて課税所得金額を求めます
所得控除とは、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除等で、この中に寄付金控除が含まれます
B 課税所得金額に税率を乗じて算出税額を求めます
税率は、課税所得金額が
195万円までは5%
330万円までは10%
695万円までは20%
900万円までは23%
1800万円までは33%
1800万円超は40%
です
C 算出税額から住宅取得控除額や源泉徴収税額を引いて、納付する金額または還付される金額が算出されます
年末調整などでは通常、算出税額よりも源泉徴収税額(毎月の給与から控除されていた金額)が多いので、還付されます
この話の中で、重要なのは、「寄付金控除などの所得控除額を引いた後に税率を乗じている」ということです
このことは何を意味しているか?というと、寄付金控除の効果は、「寄付金控除の金額×税率分」であるということです
次に、寄付金控除についてもう少し詳しく見ていくことにします
2. 寄付金控除
寄付金控除とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人、認定NPO法人などに対し、寄付金(これを特定寄付金といいます)を支出した場合には、所得控除を受けることができる制度です
寄付金控除の金額は、「次のいずれか少ない金額 − 5千円」です。
イ その年に支出した特定寄附金の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額
総所得金額の計算は複雑ですが、給与所得のみの人は給与収入-給与所得控除額(サラリーマンの必要経費相当額)です。
つまり、その年に認定NPO法人などに1万円を寄付したら、1万円-5千円=5千円が通常ですが、年間の給与収入が500万円の方は、給与所得控除が154万円ですので、給与所得は346万円となります
他に所得がなければ、346万円×40%=138万4千円となります
例えば、150万円を寄付しても、138万4千円-5千円=137万9千円が寄付金控除の金額と言うことになります
いっぺんに多額の寄付をする場合には、意外と注意が必要です。
3. 寄付金控除の効果
次に、寄付金控除の効果(寄付をしたことによりどれだけ税金が減るのか)ということをみていくことにします
所得税の税率は
課税所得金額が
195万円までは5%
330万円までは10%
695万円までは20%
900万円までは23%
1800万円までは33%
1800万円超は40%
でした。
つまり、その人の所得金額によって、適用される税率は異なってきます
大雑把に言うと、その方の適用される税率×寄付金控除額が、その方の減少する所得税です
税率20%の方が、認定NPO法人に寄付を10万円して、寄付金控除を9万5千円受けたら、その効果は、9万5千円×20%=1万9千円ということになります(所得金額によってもう少し低くなることもあります)
それでは、普通の人はどれくらいの税率になるのか?というと、
家族構成(扶養控除や配偶者控除などが違ってきます)や社会保険料や医療費などどれくらい支払っているのかなどによってだいぶ違ってきますが、ものすごく大雑把に言えば、
給与収入が500万円前後だと、5%か10%、給与収入が1000万円の人だと、20%か23%の方が多いと思われます。
そうすると、給与収入が500万円で税率10%の人が認定NPO法人に1万円の寄付をしても、その効果は(1万円−5千円)×10%=5百円です。
正直、5百円のために確定申告をするかと言えば、どうでしょう・・・
高額所得者ではない方で、少額の寄付を受ける方に「認定NPO法人になったので、寄付金控除が受けられます」と言っても、税金的にはあまり訴える力はないのではないか、と思います
逆に、給与所得が1000万円で税率が20%の人が100万円寄付をすれば、(100万円−5千円)×20%=199,000円確定申告で戻ってきます。
これはだいぶ訴える力があります
さらに、高額所得者で、税率が40%の人だと、398,000円確定申告で戻ります
私の経験からしても、高額所得者は税金には非常に敏感です。
また、今年から地方公共団体が条例により指定した認定NPO法人に個人が寄付をした場合、住民税にも寄付金控除が適用される仕組みができました。
この適用が受けられる場合には、より効果が大きくなります。
4.まとめ
以上から考えると、認定NPO法人取得に対するアプローチの仕方は、高額所得者と普通の人、少額の寄附者と多額の寄付をする人では違ってくるのではないかと思います。
少額の寄附者や高額所得者でない人に「認定NPO法人により税金上のメリットがある」という話をしても、あまりピンとこないのではないかと思います。
そのような人には「認定NPO法人は国税庁が公益性がある団体だと認めた法人である」という、信用面のことをアピールするほうがいいのではないかと思います
逆に、高額所得者は税金に敏感であるし、多額の寄付をした場合にはその効果は非常に大きいので、この層には、税金のことを積極的にアピールするのがいいのではないかと思います。
前回のまとめは
@認定NPO法人へ寄付
→寄付金控除を受けるため、その年の所得税が減る
将来、亡くなったときの相続税の負担額も減る
ただし、現物寄付の場合にはみなし譲渡で課税される可能性あり
A認定でないNPO法人へ寄付
→その年の所得税には影響しない
将来、亡くなったときの相続税の負担は減る
みなし譲渡で課税される可能性あり
ということでした。
つまり、生前にNPO法人へ寄付をする場合には、認定を取っているかどうかの違いは、「寄付金控除を受けることにより、その寄付をした方のその年の所得税が減るかどうか」ということでした
ところで、「寄付金控除」により所得税が減るという仕組みですが、NPOの方に充分に理解されているとは思えません。
この寄付金控除の部分をもう少し詳しく見ていきたいと思います
寄付金控除のことを理解するには、まずは所得税の計算体系を理解しないといけませんので、所得税の計算体系を理解した上で寄付金控除の効果を考えていきます
1. 所得税の計算体系
所得税の計算体系は大雑把に言うと以下のような感じです
@ 収入金額から必要経費などを引いて、所得金額を求めます
個人事業者であれば、収入金額から必要経費を引いて事業所得金額を求めます
給与だけをもらっている人については、給与の収入から、給与所得控除額という必要経費相当分を引いて給与所得の金額を求めます
A 所得金額から所得控除額を引いて課税所得金額を求めます
所得控除とは、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除等で、この中に寄付金控除が含まれます
B 課税所得金額に税率を乗じて算出税額を求めます
税率は、課税所得金額が
195万円までは5%
330万円までは10%
695万円までは20%
900万円までは23%
1800万円までは33%
1800万円超は40%
です
C 算出税額から住宅取得控除額や源泉徴収税額を引いて、納付する金額または還付される金額が算出されます
年末調整などでは通常、算出税額よりも源泉徴収税額(毎月の給与から控除されていた金額)が多いので、還付されます
この話の中で、重要なのは、「寄付金控除などの所得控除額を引いた後に税率を乗じている」ということです
このことは何を意味しているか?というと、寄付金控除の効果は、「寄付金控除の金額×税率分」であるということです
次に、寄付金控除についてもう少し詳しく見ていくことにします
2. 寄付金控除
寄付金控除とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人、認定NPO法人などに対し、寄付金(これを特定寄付金といいます)を支出した場合には、所得控除を受けることができる制度です
寄付金控除の金額は、「次のいずれか少ない金額 − 5千円」です。
イ その年に支出した特定寄附金の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額
総所得金額の計算は複雑ですが、給与所得のみの人は給与収入-給与所得控除額(サラリーマンの必要経費相当額)です。
つまり、その年に認定NPO法人などに1万円を寄付したら、1万円-5千円=5千円が通常ですが、年間の給与収入が500万円の方は、給与所得控除が154万円ですので、給与所得は346万円となります
他に所得がなければ、346万円×40%=138万4千円となります
例えば、150万円を寄付しても、138万4千円-5千円=137万9千円が寄付金控除の金額と言うことになります
いっぺんに多額の寄付をする場合には、意外と注意が必要です。
3. 寄付金控除の効果
次に、寄付金控除の効果(寄付をしたことによりどれだけ税金が減るのか)ということをみていくことにします
所得税の税率は
課税所得金額が
195万円までは5%
330万円までは10%
695万円までは20%
900万円までは23%
1800万円までは33%
1800万円超は40%
でした。
つまり、その人の所得金額によって、適用される税率は異なってきます
大雑把に言うと、その方の適用される税率×寄付金控除額が、その方の減少する所得税です
税率20%の方が、認定NPO法人に寄付を10万円して、寄付金控除を9万5千円受けたら、その効果は、9万5千円×20%=1万9千円ということになります(所得金額によってもう少し低くなることもあります)
それでは、普通の人はどれくらいの税率になるのか?というと、
家族構成(扶養控除や配偶者控除などが違ってきます)や社会保険料や医療費などどれくらい支払っているのかなどによってだいぶ違ってきますが、ものすごく大雑把に言えば、
給与収入が500万円前後だと、5%か10%、給与収入が1000万円の人だと、20%か23%の方が多いと思われます。
そうすると、給与収入が500万円で税率10%の人が認定NPO法人に1万円の寄付をしても、その効果は(1万円−5千円)×10%=5百円です。
正直、5百円のために確定申告をするかと言えば、どうでしょう・・・
高額所得者ではない方で、少額の寄付を受ける方に「認定NPO法人になったので、寄付金控除が受けられます」と言っても、税金的にはあまり訴える力はないのではないか、と思います
逆に、給与所得が1000万円で税率が20%の人が100万円寄付をすれば、(100万円−5千円)×20%=199,000円確定申告で戻ってきます。
これはだいぶ訴える力があります
さらに、高額所得者で、税率が40%の人だと、398,000円確定申告で戻ります
私の経験からしても、高額所得者は税金には非常に敏感です。
また、今年から地方公共団体が条例により指定した認定NPO法人に個人が寄付をした場合、住民税にも寄付金控除が適用される仕組みができました。
この適用が受けられる場合には、より効果が大きくなります。
4.まとめ
以上から考えると、認定NPO法人取得に対するアプローチの仕方は、高額所得者と普通の人、少額の寄附者と多額の寄付をする人では違ってくるのではないかと思います。
少額の寄附者や高額所得者でない人に「認定NPO法人により税金上のメリットがある」という話をしても、あまりピンとこないのではないかと思います。
そのような人には「認定NPO法人は国税庁が公益性がある団体だと認めた法人である」という、信用面のことをアピールするほうがいいのではないかと思います
逆に、高額所得者は税金に敏感であるし、多額の寄付をした場合にはその効果は非常に大きいので、この層には、税金のことを積極的にアピールするのがいいのではないかと思います。









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