目的信託と税制改正
[2006年11月21日(火)]
NPO会計税務専門家ネットワークの岩永さんから、「今、政府の税制調査会で、信託法の改正に伴う税制改正で、新たに創設される目的信託の課税問題が議論になっている」という情報をいただきました。
この方面にまったく疎かったので、どのようなことなのか、少し勉強をしてみました。以下に、何が問題になっているのかをまとめました。
勘違いがあるかもしれませんが、その場合にはご指摘ください。
1.信託制度について
(1)信託制度とは?
企業や個人などの「委託者」が自己の財産を「信託財産」として、信託銀行などの「受託者」に引渡し、受託者が一定の目的に従って、投資家や個人などの「受益者」のために財産の管理・運用・処分をする仕組みです。
(2)公益信託とは?
公益信託とは、委託者から託された財産を、信託会社などが定められた公益目的に従うことで、公益目的を実現する制度です。自然保護や学費助成などの公益目的に限って認められていました。
(3)目的信託とは?
今回の信託法で新たに創設される「目的信託」とは、公益目的に限らず、財産の使い道だけを決めて、受益者(特定の誰の役に立つのか)を決めずに信託する方法です。
例えば、「音楽好きの人が、自分の財産を地域の音楽家の育成に充てたい」という目的をもって信託会社に委託をし、信託会社はその財産を具体的に誰とは定めずに、未来の音楽家の育成のために使うといったようなものです。
この目的信託が創設されることによって、個人の遺産処分などの選択肢が広がり、NPOにとっては、「自然災害被災者の救済ボランティア支援」などで設定された「目的信託」によって、信託の受益者となる道が広がることが期待されています(シーズNPOWEBニュース 18.2.16)。
2.現在の信託制度の税制
現在の信託制度については、公益信託のうち、「特定公益信託」または「認定特定公益信託」と言われている、主務大臣の証明又は認定を得た信託に対してのみ相続税課税や寄附金税制について優遇措置があります。
3.目的信託の創設により何が問題になっているか?
目的信託の創設により問題となっているのは、遺言により目的信託が設定された場合に相続税を課税するかどうか?ということのようです。
信託法の改正により新たに創設される目的信託は、相続により相続人は「委託者の地位を承継しない」ことになります。
例えば、被相続人(亡くなる人)が遺言で「この預貯金は目的信託を設定して地元の音楽家の育成に使ってくれ」としたら、その財産の元々の委託者である被相続人の地位を相続人が承継しないわけですから、その目的信託を設定した預貯金(目的信託)は、相続財産とならないわけです。
つまり、法律どおり解釈すれば、目的信託として設定した部分は相続税の課税対象からはずれることになり、今までの特定公益信託と同じような状況になります。
しかし、税制調査会では、「目的信託」は、公益にとどまらず、「自分の死後に自宅を記念館として公開」「遺したペットの飼育」といった「目的」も認めるということから、財産隠しに悪用されることも懸念されているので、相続税課税の方向(本来相続財産でない目的信託を相続財産に合算する)で議論が進められているということです。
5.相続税課税だとどのようになるのか?
それでは、「目的信託」が相続財産とみなされて、相続税の課税の対象となると、どのようなことになるのでしょうか?極端な例で考えれば、被相続人が、自分のもっている財産をすべて目的信託を設定したら、相続人は自分の財産はまったく相続をしていないのに、相続税を支払わなければいけない、ということになってしまいます。
そんなことがそもそも可能なのか?もし目的信託が相続財産に組み込まれるようなことになると、せっかくの目的信託の活用がぐっと制限されてくるのではないか、という懸念があります。
私もこの目的信託については知りませんでしたが、NPOにとってはとても魅力的な制度であるし、お金の流れを大きく変える可能性があるもののように思いました。税制によってせっかくの制度の活用が制限されてしまっては何のための改正なのか、という感じがします。
この方面にまったく疎かったので、どのようなことなのか、少し勉強をしてみました。以下に、何が問題になっているのかをまとめました。
勘違いがあるかもしれませんが、その場合にはご指摘ください。
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(1)信託制度とは?
企業や個人などの「委託者」が自己の財産を「信託財産」として、信託銀行などの「受託者」に引渡し、受託者が一定の目的に従って、投資家や個人などの「受益者」のために財産の管理・運用・処分をする仕組みです。
(2)公益信託とは?
公益信託とは、委託者から託された財産を、信託会社などが定められた公益目的に従うことで、公益目的を実現する制度です。自然保護や学費助成などの公益目的に限って認められていました。
(3)目的信託とは?
今回の信託法で新たに創設される「目的信託」とは、公益目的に限らず、財産の使い道だけを決めて、受益者(特定の誰の役に立つのか)を決めずに信託する方法です。
例えば、「音楽好きの人が、自分の財産を地域の音楽家の育成に充てたい」という目的をもって信託会社に委託をし、信託会社はその財産を具体的に誰とは定めずに、未来の音楽家の育成のために使うといったようなものです。
この目的信託が創設されることによって、個人の遺産処分などの選択肢が広がり、NPOにとっては、「自然災害被災者の救済ボランティア支援」などで設定された「目的信託」によって、信託の受益者となる道が広がることが期待されています(シーズNPOWEBニュース 18.2.16)。
2.現在の信託制度の税制
現在の信託制度については、公益信託のうち、「特定公益信託」または「認定特定公益信託」と言われている、主務大臣の証明又は認定を得た信託に対してのみ相続税課税や寄附金税制について優遇措置があります。
3.目的信託の創設により何が問題になっているか?
目的信託の創設により問題となっているのは、遺言により目的信託が設定された場合に相続税を課税するかどうか?ということのようです。
信託法の改正により新たに創設される目的信託は、相続により相続人は「委託者の地位を承継しない」ことになります。
例えば、被相続人(亡くなる人)が遺言で「この預貯金は目的信託を設定して地元の音楽家の育成に使ってくれ」としたら、その財産の元々の委託者である被相続人の地位を相続人が承継しないわけですから、その目的信託を設定した預貯金(目的信託)は、相続財産とならないわけです。
つまり、法律どおり解釈すれば、目的信託として設定した部分は相続税の課税対象からはずれることになり、今までの特定公益信託と同じような状況になります。
しかし、税制調査会では、「目的信託」は、公益にとどまらず、「自分の死後に自宅を記念館として公開」「遺したペットの飼育」といった「目的」も認めるということから、財産隠しに悪用されることも懸念されているので、相続税課税の方向(本来相続財産でない目的信託を相続財産に合算する)で議論が進められているということです。
5.相続税課税だとどのようになるのか?
それでは、「目的信託」が相続財産とみなされて、相続税の課税の対象となると、どのようなことになるのでしょうか?極端な例で考えれば、被相続人が、自分のもっている財産をすべて目的信託を設定したら、相続人は自分の財産はまったく相続をしていないのに、相続税を支払わなければいけない、ということになってしまいます。
そんなことがそもそも可能なのか?もし目的信託が相続財産に組み込まれるようなことになると、せっかくの目的信託の活用がぐっと制限されてくるのではないか、という懸念があります。
私もこの目的信託については知りませんでしたが、NPOにとってはとても魅力的な制度であるし、お金の流れを大きく変える可能性があるもののように思いました。税制によってせっかくの制度の活用が制限されてしまっては何のための改正なのか、という感じがします。








