障害者自立支援法と法人税
[2008年03月31日(月)]
先日、やまぐち県民活動支援センターで講演をしたときに障害者自立支援法に関係する法人税の取り扱いについて質問を受けましたが、うまく答えられませんでした
ブログで回答をするお約束でしたので、書きたいと思います
なお、下記の回答は、NPO会計税務専門家ネットワークのメーリングリスト上で、税理士・公認会計士の岩永清滋氏が回答されたものをベースにして私が少しアレンジしています。
NPO会計税務専門家ネットワークは、NPOを支援しようとする全国の会計税務の専門家のネットワークです。
メーリングリストにより、NPOの会計税務に関する情報を共有したり、会計税務に関する議論を行うことによりメンバーの知識やスキルの向上を目指しています。
今回のような難しい問題について、メーリングリスト上で議論ができ、読むことができます
専門家の社会貢献として、NPOの支援に意欲をお持ちの専門家(資格の有無は問いません)は、ぜひとも、御参加ください。
入会案内はここを参照ください
1. NPO法人の収益事業
NPO法人は、法人税法の「収益事業」を営んでいる場合に限り法人税が課税されます。
収益事業とは「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう」(法人税法第2条13号)と定義されています。
つまり、
@政令等に定める33(20年度税制改正で34になる予定)の事業のいずれかに該当すること、
A継続的に行われる事業であること、
B事業場を設けて営まれる事業であること、
の3つの要件の1つでも欠けていれば収益事業ではない、ということになります。
そして、自立支援法の事業を営むNPO法人は、AとBは通常満たしていますので、@の政令で定める33事業に該当するかどうかが法人税が課税されるかどうかの分かれ目ということになります
2. 自立支援法の2つの体系
障害者自立支援法は大きく2つの事業から構成されています。
@ 個々の障害のある方の障害程度や勘案事項を踏まえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」
A市町村が、利用者の方の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」
です。
そこで、「障害福祉サービス」と「地域生活支援事業」のそれぞれに分けて法人税の課税をどう考えていけばいいのかを見ていくことにします
3. 障害者福祉サービス事業
障害者福祉サービス事業は、介護保険事業とよく似た国の法定事業であり、この部分は、「医療保健業」として収益事業該当と考えざるをえないと思われます。
平成15年に「支援費サービス事業に係る法人税法上の取扱いについて」という厚生労働省から国税庁への照会がありました
内容は、
@ 支援費サービス事業については、実費弁償的な性格を有する行政からの委託費ではなく、サービスの対価としての施設訓練等支援費又は居宅生活支援費及び利用者負担によってまかなわれることとなる。
A これらのサービスは、障害者に対して介護等の提供を行う対人サービスである。
こうした障害者は、医療保健面でのケアを必要とするのが通例であることから、医療と密接な連携がなされており、実際面において、これらは、居宅介護計画の策定過程等を通じて確保される。
といったことから、支援費サービス事業は医療保健業に該当するという内容のものです
この回答は国税庁の見解であり、法律ではありませんが、裁判をしない限りは覆すのは難しいように思います。
4. 地域生活支援事業
地域生活支援事業は、相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具給付、移動支援、地域活動支援センターなどがあり、市町村が実施主体でNPO法人などに補助又は委託する形となっています。
大幅に地方(特に市町村)にゆだねられており、極端に言えば市町村ごとに制度が違う可能性があります。
こちらは原則として個別に検討せざるを得ないのではないかと考えます。
一番NPOで多いのは、地域活動支援センター事業ではないかと思います。
今までは補助金で運営されており、課税されたことはなかったと思われます。これが市区町村から委託の形になった場合にどうなるのか?ということです。
これについては、障害者自立支援法が最近できた制度であり、判例も事例回答もありませんので、参考意見ということでご了解ください
地域活動センター事業は、収益事業に該当しないのではないかと考えます
理由としては
@ 補助事業としている自治体が多く、そもそも請負事業ではない
A 仮に補助金の方が実費より多い場合は返還規定があるのが通常で、そもそも剰余の出
る余地がなく収益事業とは言えない
B 仮に委託契約方式をとっている場合でも、Aと同様の内容になっている
C 実費弁償事前確認制度をとる余地もある
D 補助事業とされている団体には課税されていない
E 障害者に特有の施策であり、収益事業の基本となる「営利企業との競合性」もない
といったところです
なお、地域活動センター事業でも、生産活動部分(いわゆる作業収入部分)は、収益事業に含まれないものとして、「その事業に従事する身体障害者等がその事業に従事する者の総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの」(法人税法施行令第5条第2項)がありますので、収益事業とはなりません
<参考> 収益事業の例外措置
もし実際に税務署と議論になった方などがいらっしゃればコメントいただけるとうれしいです

ブログで回答をするお約束でしたので、書きたいと思います
なお、下記の回答は、NPO会計税務専門家ネットワークのメーリングリスト上で、税理士・公認会計士の岩永清滋氏が回答されたものをベースにして私が少しアレンジしています。
NPO会計税務専門家ネットワークは、NPOを支援しようとする全国の会計税務の専門家のネットワークです。
メーリングリストにより、NPOの会計税務に関する情報を共有したり、会計税務に関する議論を行うことによりメンバーの知識やスキルの向上を目指しています。
今回のような難しい問題について、メーリングリスト上で議論ができ、読むことができます
専門家の社会貢献として、NPOの支援に意欲をお持ちの専門家(資格の有無は問いません)は、ぜひとも、御参加ください。
入会案内はここを参照ください
1. NPO法人の収益事業
NPO法人は、法人税法の「収益事業」を営んでいる場合に限り法人税が課税されます。
収益事業とは「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう」(法人税法第2条13号)と定義されています。
つまり、
@政令等に定める33(20年度税制改正で34になる予定)の事業のいずれかに該当すること、
A継続的に行われる事業であること、
B事業場を設けて営まれる事業であること、
の3つの要件の1つでも欠けていれば収益事業ではない、ということになります。
そして、自立支援法の事業を営むNPO法人は、AとBは通常満たしていますので、@の政令で定める33事業に該当するかどうかが法人税が課税されるかどうかの分かれ目ということになります
2. 自立支援法の2つの体系
障害者自立支援法は大きく2つの事業から構成されています。
@ 個々の障害のある方の障害程度や勘案事項を踏まえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」
A市町村が、利用者の方の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」
です。
そこで、「障害福祉サービス」と「地域生活支援事業」のそれぞれに分けて法人税の課税をどう考えていけばいいのかを見ていくことにします
3. 障害者福祉サービス事業
障害者福祉サービス事業は、介護保険事業とよく似た国の法定事業であり、この部分は、「医療保健業」として収益事業該当と考えざるをえないと思われます。
平成15年に「支援費サービス事業に係る法人税法上の取扱いについて」という厚生労働省から国税庁への照会がありました
内容は、
@ 支援費サービス事業については、実費弁償的な性格を有する行政からの委託費ではなく、サービスの対価としての施設訓練等支援費又は居宅生活支援費及び利用者負担によってまかなわれることとなる。
A これらのサービスは、障害者に対して介護等の提供を行う対人サービスである。
こうした障害者は、医療保健面でのケアを必要とするのが通例であることから、医療と密接な連携がなされており、実際面において、これらは、居宅介護計画の策定過程等を通じて確保される。
といったことから、支援費サービス事業は医療保健業に該当するという内容のものです
この回答は国税庁の見解であり、法律ではありませんが、裁判をしない限りは覆すのは難しいように思います。
4. 地域生活支援事業
地域生活支援事業は、相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具給付、移動支援、地域活動支援センターなどがあり、市町村が実施主体でNPO法人などに補助又は委託する形となっています。
大幅に地方(特に市町村)にゆだねられており、極端に言えば市町村ごとに制度が違う可能性があります。
こちらは原則として個別に検討せざるを得ないのではないかと考えます。
一番NPOで多いのは、地域活動支援センター事業ではないかと思います。
今までは補助金で運営されており、課税されたことはなかったと思われます。これが市区町村から委託の形になった場合にどうなるのか?ということです。
これについては、障害者自立支援法が最近できた制度であり、判例も事例回答もありませんので、参考意見ということでご了解ください
地域活動センター事業は、収益事業に該当しないのではないかと考えます
理由としては
@ 補助事業としている自治体が多く、そもそも請負事業ではない
A 仮に補助金の方が実費より多い場合は返還規定があるのが通常で、そもそも剰余の出
る余地がなく収益事業とは言えない
B 仮に委託契約方式をとっている場合でも、Aと同様の内容になっている
C 実費弁償事前確認制度をとる余地もある
D 補助事業とされている団体には課税されていない
E 障害者に特有の施策であり、収益事業の基本となる「営利企業との競合性」もない
といったところです
なお、地域活動センター事業でも、生産活動部分(いわゆる作業収入部分)は、収益事業に含まれないものとして、「その事業に従事する身体障害者等がその事業に従事する者の総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの」(法人税法施行令第5条第2項)がありますので、収益事業とはなりません
<参考> 収益事業の例外措置
もし実際に税務署と議論になった方などがいらっしゃればコメントいただけるとうれしいです









国税庁でしっかり見解を示してもらえないのでしょうか?