有償ボランティアの税務(2)
[2007年09月10日(Mon)]
先日、有償ボランティアの源泉税について書いたところ、このブログでもコメントをいただいている岩永さんからご意見を頂きました。
そのご意見などを反映しないが、もう一度有償ボランティアの源泉税について考えていきたいと思います。
有償ボランティアをはじめ、決算でやるべき事項、NPO法人の法人税の基本的な考え方など、9月12日に行われるNPO事業サポートセンターのNPO会計中級講座でも取り上げたいと思います
1. 何が問題か
有償ボランティアで問題になるのは、
@ 給与になるのか、報酬になるのか、単なる実費弁済か
A 給与になるとして源泉所得税の月額表が適用されるのか、日額表が適用されるのか
B 日額表が適用されるとして、甲欄が適用されるのか、乙欄が適用されるのか
ということでした
2. 給与になるかどうか
給与になるか、報酬になるか、単なる実費弁済であるかは事実認定です
(1) 指揮命令があるかどうか
(2) 時間的・場所的に拘束されているかどうか
(3) 旅費その他の費用の負担がされているかどうか
(4) 対価の計算がどうなっているか
などを総合判断して決めるということでした。
通常は給与になると思いますが、NPOはボランティアの人を紹介するだけで、ボランティアの人が自分の責任で、例えば各家庭を訪問し子育て支援をして、事故があったときの責任もボランティアが負うようなものであれば、給与ではなく報酬ということも考えられるかもしれません。
また、交通費などの実費分だけを負担するのであれば、そもそも給与でも報酬でもなく、非課税になります。
3. 月額表か、日額表か
給与であるとして、月額表を使うか、日額表を使うかですが、
基本的な考え方は以下のとおりです
@ 日給、時間給で計算されている場合には、基本的に日額表を使う
A ただし、月にまとめて支払うなどの形態をとっていれば、月額表が適用される
有償ボランティアの場合には、ほとんどが日給又は時間給で計算されていると思われますので、一月分をまとめて支払うという支払い方法をしていない限りは日額表が使われると思われます
4. 甲欄、乙欄、丙欄のいずれかか
日額表を使うとして、次に問題になるのが、日額表の甲欄を使うのか、乙欄を使うのか、丙欄を使うのか、ということです。
甲欄と乙欄は明らかで、他に仕事をしていない人で、扶養控除等申告書を提出していれば甲欄が適用され、それ以外は乙欄が適用されます。
問題は、丙欄の適用があるかどうかです。
丙欄になれば、日額9,299円以下は源泉税が0円になるため、有償ボランティアの場合には、源泉税はほぼ必要がないということになるからです。
*日額表の源泉税額表はここを参照ください
(1) 丙欄の適用があるかどうか
丙欄は、日給又は時間給で給与が定められているほか、
@ 雇用契約の期間があらかじめ定められている場合には、2か月以内であること。
A 日々雇い入れている場合には、継続して2か月を超えて支払をしないこと。
が条件になっています
例えば、NPO法人が年に数回行うバザーなどにボランティアの人に参加してもらって、いくらか報酬を支払うような場合にはこれが適用されるのは問題ないでしょう。
問題は、登録制のボランティアなどで、活動実績は少なくても、長期間にわたるような場合です。
その場合に、
@「雇用契約の期間が2ヶ月以内と言えるのか」
A「継続して2ヶ月を超えて支払いをしないと言えるのか」
ということが問題になります
@ については、登録ボランティアを雇用契約とは言えないという解釈は考えられますが、ちょっと微妙な感じもします
A については、例えば、月に2,3回の支払いがあるものを「継続して支払いをしている」とされるのかどうか、通達もありませんし、これも微妙です。
(2) 丙欄がなぜあるのか
そもそも丙欄日雇い労務者を念頭においた規定です。
日雇いということは他に所得がなく、仕事もない日も多く、月に20日も働けないと思うのです。
月に平均10数日程度であれば結局税金はかからないという逆算から日額表が決められているのではないかと思います。
もちろん日給が少ないところからさらに税金をとるとその人の生活も困るという政策的配慮もあるのでしょう。
従って、NPOの有償ボランティアでも、主婦や学生のように所得がない人については、同じような状況ですが、会社員や年金生活者については、必ずしも丙欄を適用するのがいいのか、という問題も出てきます。
確定申告で還付のチャンスがあるのであれば、税務署は乙欄を主張することはありえます。
乙欄とされてしまうと、源泉税がかなりの金額になり、それをNPOが負担しなければいけないという事態が生じることになりかねません。
(3) 対策
対策としては、以下のことが考えられます
@ 年に数回のイベントなどで有償ボランティアに支払う報酬は給与所得の丙欄と考えて問題はないでしょう
A 登録ボランティアなどで、回数は少なくても、継続的に支払うような場合には微妙ですので、事前に税務署に詳細な状況を説明し、丙欄の適用が可能かどうか、確認を取っておいたほうがいいでしょう
B 月にまとめて支払うような場合には、月額表になりますので、丙欄の適用はありません。
そのご意見などを反映しないが、もう一度有償ボランティアの源泉税について考えていきたいと思います。
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有償ボランティアをはじめ、決算でやるべき事項、NPO法人の法人税の基本的な考え方など、9月12日に行われるNPO事業サポートセンターのNPO会計中級講座でも取り上げたいと思います
1. 何が問題か
有償ボランティアで問題になるのは、
@ 給与になるのか、報酬になるのか、単なる実費弁済か
A 給与になるとして源泉所得税の月額表が適用されるのか、日額表が適用されるのか
B 日額表が適用されるとして、甲欄が適用されるのか、乙欄が適用されるのか
ということでした
2. 給与になるかどうか
給与になるか、報酬になるか、単なる実費弁済であるかは事実認定です
(1) 指揮命令があるかどうか
(2) 時間的・場所的に拘束されているかどうか
(3) 旅費その他の費用の負担がされているかどうか
(4) 対価の計算がどうなっているか
などを総合判断して決めるということでした。
通常は給与になると思いますが、NPOはボランティアの人を紹介するだけで、ボランティアの人が自分の責任で、例えば各家庭を訪問し子育て支援をして、事故があったときの責任もボランティアが負うようなものであれば、給与ではなく報酬ということも考えられるかもしれません。
また、交通費などの実費分だけを負担するのであれば、そもそも給与でも報酬でもなく、非課税になります。
3. 月額表か、日額表か
給与であるとして、月額表を使うか、日額表を使うかですが、
基本的な考え方は以下のとおりです
@ 日給、時間給で計算されている場合には、基本的に日額表を使う
A ただし、月にまとめて支払うなどの形態をとっていれば、月額表が適用される
有償ボランティアの場合には、ほとんどが日給又は時間給で計算されていると思われますので、一月分をまとめて支払うという支払い方法をしていない限りは日額表が使われると思われます
4. 甲欄、乙欄、丙欄のいずれかか
日額表を使うとして、次に問題になるのが、日額表の甲欄を使うのか、乙欄を使うのか、丙欄を使うのか、ということです。
甲欄と乙欄は明らかで、他に仕事をしていない人で、扶養控除等申告書を提出していれば甲欄が適用され、それ以外は乙欄が適用されます。
問題は、丙欄の適用があるかどうかです。
丙欄になれば、日額9,299円以下は源泉税が0円になるため、有償ボランティアの場合には、源泉税はほぼ必要がないということになるからです。
*日額表の源泉税額表はここを参照ください
(1) 丙欄の適用があるかどうか
丙欄は、日給又は時間給で給与が定められているほか、
@ 雇用契約の期間があらかじめ定められている場合には、2か月以内であること。
A 日々雇い入れている場合には、継続して2か月を超えて支払をしないこと。
が条件になっています
例えば、NPO法人が年に数回行うバザーなどにボランティアの人に参加してもらって、いくらか報酬を支払うような場合にはこれが適用されるのは問題ないでしょう。
問題は、登録制のボランティアなどで、活動実績は少なくても、長期間にわたるような場合です。
その場合に、
@「雇用契約の期間が2ヶ月以内と言えるのか」
A「継続して2ヶ月を超えて支払いをしないと言えるのか」
ということが問題になります
@ については、登録ボランティアを雇用契約とは言えないという解釈は考えられますが、ちょっと微妙な感じもします
A については、例えば、月に2,3回の支払いがあるものを「継続して支払いをしている」とされるのかどうか、通達もありませんし、これも微妙です。
(2) 丙欄がなぜあるのか
そもそも丙欄日雇い労務者を念頭においた規定です。
日雇いということは他に所得がなく、仕事もない日も多く、月に20日も働けないと思うのです。
月に平均10数日程度であれば結局税金はかからないという逆算から日額表が決められているのではないかと思います。
もちろん日給が少ないところからさらに税金をとるとその人の生活も困るという政策的配慮もあるのでしょう。
従って、NPOの有償ボランティアでも、主婦や学生のように所得がない人については、同じような状況ですが、会社員や年金生活者については、必ずしも丙欄を適用するのがいいのか、という問題も出てきます。
確定申告で還付のチャンスがあるのであれば、税務署は乙欄を主張することはありえます。
乙欄とされてしまうと、源泉税がかなりの金額になり、それをNPOが負担しなければいけないという事態が生じることになりかねません。
(3) 対策
対策としては、以下のことが考えられます
@ 年に数回のイベントなどで有償ボランティアに支払う報酬は給与所得の丙欄と考えて問題はないでしょう
A 登録ボランティアなどで、回数は少なくても、継続的に支払うような場合には微妙ですので、事前に税務署に詳細な状況を説明し、丙欄の適用が可能かどうか、確認を取っておいたほうがいいでしょう
B 月にまとめて支払うような場合には、月額表になりますので、丙欄の適用はありません。
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