NPOの消費税の計算
[2006年11月01日(水)]
このブログでは、会計研修会などででた質問をとりあげて詳しく解説していきたいと思っています。
先週の土曜日に葛飾市民活動支援センターで会計講座をしてきましたが、その時に受けた消費税についての質問です。
「私たちの団体は収入のほとんどが会費収入で、消費税はかかりません。しかし、備品などを購入しているので、支払には消費税がかかっています。このような場合には、支払った消費税は戻ってこないのでしょうか?」
これは消費税の仕組みがよくわかっている、非常に鋭い質問です。また、NPOの消費税の特例計算でもある特定収入に係る消費税の計算にも関係してきます。
今回は、この質問を取り上げて、
1回目で、消費税の還付申告の仕組みを説明し(これは税理士にはおなじみの話です)、
2回目で、「特定収入に係る消費税の特例」という税理士でも非常に苦手とする分野について、簡単なパターンで説明をすることにします。
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1. 消費税の仕組み
消費税は売上(収入)に係る消費税から仕入(支出)に係る消費税を控除して、差額を税務署に納付することになっています。
例えば、消費税がかかる収入が10,500,000円のNPOで、消費税が係る支払い(支払いの中でも給与のように消費税が係らない支払いもある)が8,400,000円であったとすれば、500,000円―400,000円=100,000円を税務署に納付することになります。
簡易課税制度という、収入に係る消費税だけから納付する税額を計算する簡単な計算方法もありますが、今回は簡易課税制度については考慮しないことにします。
<まとめ>
納付する消費税=売上(収入)に係る消費税ー仕入(支出)に係る消費税
2. 消費税の免税制度
ただし、消費税は、基準期間(基本的に2期前)の消費税が係る収入(これを「課税売上高」といいます)が1000万円以下である場合には納める必要がありません。
今期ではなく、2期前で判定するのは、今期が始まる段階で消費税を納めることになるかどうかがわかっていないと困るからです。例えば、18年4月1日〜19年3月31日までの事業年度であるNPOについて、18年4月1日段階で消費税が課税されるかどうかがわからないと困り、それには今期の売上で判断することは不可能です。前期の売上についても、通常、売上の集計が終わるのは決算から1〜2ヶ月後ですから、18年3月期の課税売上で判定することもできないわけです。従って、2期前(基準期間)の課税売上で判定します。
それでは、2期前(基準期間)がない設立1年目や2年目のNPO法人はどうなるかというと、無条件で消費税の免税事業者(消費税を納める必要がない事業者)になります。3期目のときに、1期目の課税売上で、消費税が課税されるかどうかが判定されます。
<まとめ>
<消費税は2期前の課税売上高が1000万円以下だと申告する必要がない
従って、2期前がない設立1期目、2期目はその期の収入に関わらず消費税の申告は不要
3. 消費税の還付を受ける場合
1期目と2期目は無条件で免税事業者です。しかし、考えてみれば、免税事業者ということは、消費税を支払うこともない代わりに、還付になることもないのです。免税事業者の意味は、消費税の申告を税務署にしない事業者という意味だからです。
消費税は場合によっては、還付になることがあります。消費税の計算は「売上(収入)に係る消費税―仕入(支出)に係る消費税」です。売り上げに係る消費税よりも仕入れに係る消費税のほうが多ければ、消費税は還付になります。しかし、もし、このような還付の状況になっていても、1期目と2期目は黙っていれば免税事業者ですから(3期目以降も、基準期間の課税売上高が1000万円未満である場合には免税事業者)、何もしないと、還付の状況になっていても、還付が受けられないのです。
このような場合にどうするかというと、「課税事業者選択届出書」というものを税務署に提出して、「私は本来免税事業者ですが、わざわざ消費税の申告義務がある課税事業者になります」という届出をするのです。
<まとめ>
免税事業者が消費税の還付を受けるには「課税事業者選択届出書」の提出が必要
4.消費税の還付を受ける具体的なパターン
具体的に私が関った例で話をすると、新しく個人事業者でペンションを始めた人がいたのですが、1年目は売上はほとんどありません。しかし、ペンションを建てるのに5000万円ほどかかりましたので、消費税を250万円くらい支払いました。黙っていれば、免税事業者で、消費税を納める必要もない代わりに還付も受けられません。そこで「課税事業者選択届出書」を提出して、申告をし、250万円の還付を受けました。消費税には「減価償却」という考えはありませんので、このようなことがおこりうるのです。もし申告をすれば250万円の還付を受けられたのに、申告をしなかったために受けられなかったとすれば、大変なことです。
このように、消費税還付になる状況がおこるのは、通常、輸出業者か、多額の設備投資をした場合です。輸出商品は免税なのですが、日本での仕入には消費税が係っているので、輸出業者は通常、「課税事業者選択届出書」を提出し、消費税の還付を受けます。設備投資については、具体例で述べたとおりです。
<まとめ>
輸出業者や多額の設備投資をした場合には消費税は還付になる
5. 会費や寄附金中心のNPO
ここで最初の質問に戻ります。会費や寄附金、補助金収入などは消費税がかかりません。そうすると、会費や寄附金中心のNPOは収入には消費税がかからず、支出には、いろんなものを買ったときに消費税を支払っているので、今までの理屈からすると、「、免税事業者であっても、課税事業者選択届出書」を提出すれば、消費税が還付になる、ということになるのです。だからこの質問は鋭いのです。
じつは、営利企業についてはこれがそのまま言えるのです(もっとも会費や寄附金中心の営利企業があるとは思えませんが)。しかし、NPO法人(任意団体も基本的に同じ)は税法上「公益法人等」とみなされて、「特定収入にかかる消費税の特例」(消費税法60条)の適用を受けて、この理屈は通じなくなるのです。
次回は、この「特定収入に係る消費税の特例」とはどのようなものかをみていきます。
<まとめ>
NPOは会費や寄付金、補助金などが多いため、消費税の計算に特例がある
↓
次回のテーマ
先週の土曜日に葛飾市民活動支援センターで会計講座をしてきましたが、その時に受けた消費税についての質問です。
「私たちの団体は収入のほとんどが会費収入で、消費税はかかりません。しかし、備品などを購入しているので、支払には消費税がかかっています。このような場合には、支払った消費税は戻ってこないのでしょうか?」
これは消費税の仕組みがよくわかっている、非常に鋭い質問です。また、NPOの消費税の特例計算でもある特定収入に係る消費税の計算にも関係してきます。
今回は、この質問を取り上げて、
1回目で、消費税の還付申告の仕組みを説明し(これは税理士にはおなじみの話です)、
2回目で、「特定収入に係る消費税の特例」という税理士でも非常に苦手とする分野について、簡単なパターンで説明をすることにします。
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消費税は売上(収入)に係る消費税から仕入(支出)に係る消費税を控除して、差額を税務署に納付することになっています。
例えば、消費税がかかる収入が10,500,000円のNPOで、消費税が係る支払い(支払いの中でも給与のように消費税が係らない支払いもある)が8,400,000円であったとすれば、500,000円―400,000円=100,000円を税務署に納付することになります。
簡易課税制度という、収入に係る消費税だけから納付する税額を計算する簡単な計算方法もありますが、今回は簡易課税制度については考慮しないことにします。
<まとめ>
納付する消費税=売上(収入)に係る消費税ー仕入(支出)に係る消費税
2. 消費税の免税制度
ただし、消費税は、基準期間(基本的に2期前)の消費税が係る収入(これを「課税売上高」といいます)が1000万円以下である場合には納める必要がありません。
今期ではなく、2期前で判定するのは、今期が始まる段階で消費税を納めることになるかどうかがわかっていないと困るからです。例えば、18年4月1日〜19年3月31日までの事業年度であるNPOについて、18年4月1日段階で消費税が課税されるかどうかがわからないと困り、それには今期の売上で判断することは不可能です。前期の売上についても、通常、売上の集計が終わるのは決算から1〜2ヶ月後ですから、18年3月期の課税売上で判定することもできないわけです。従って、2期前(基準期間)の課税売上で判定します。
それでは、2期前(基準期間)がない設立1年目や2年目のNPO法人はどうなるかというと、無条件で消費税の免税事業者(消費税を納める必要がない事業者)になります。3期目のときに、1期目の課税売上で、消費税が課税されるかどうかが判定されます。
<まとめ>
<消費税は2期前の課税売上高が1000万円以下だと申告する必要がない
従って、2期前がない設立1期目、2期目はその期の収入に関わらず消費税の申告は不要
3. 消費税の還付を受ける場合
1期目と2期目は無条件で免税事業者です。しかし、考えてみれば、免税事業者ということは、消費税を支払うこともない代わりに、還付になることもないのです。免税事業者の意味は、消費税の申告を税務署にしない事業者という意味だからです。
消費税は場合によっては、還付になることがあります。消費税の計算は「売上(収入)に係る消費税―仕入(支出)に係る消費税」です。売り上げに係る消費税よりも仕入れに係る消費税のほうが多ければ、消費税は還付になります。しかし、もし、このような還付の状況になっていても、1期目と2期目は黙っていれば免税事業者ですから(3期目以降も、基準期間の課税売上高が1000万円未満である場合には免税事業者)、何もしないと、還付の状況になっていても、還付が受けられないのです。
このような場合にどうするかというと、「課税事業者選択届出書」というものを税務署に提出して、「私は本来免税事業者ですが、わざわざ消費税の申告義務がある課税事業者になります」という届出をするのです。
<まとめ>
免税事業者が消費税の還付を受けるには「課税事業者選択届出書」の提出が必要
4.消費税の還付を受ける具体的なパターン
具体的に私が関った例で話をすると、新しく個人事業者でペンションを始めた人がいたのですが、1年目は売上はほとんどありません。しかし、ペンションを建てるのに5000万円ほどかかりましたので、消費税を250万円くらい支払いました。黙っていれば、免税事業者で、消費税を納める必要もない代わりに還付も受けられません。そこで「課税事業者選択届出書」を提出して、申告をし、250万円の還付を受けました。消費税には「減価償却」という考えはありませんので、このようなことがおこりうるのです。もし申告をすれば250万円の還付を受けられたのに、申告をしなかったために受けられなかったとすれば、大変なことです。
このように、消費税還付になる状況がおこるのは、通常、輸出業者か、多額の設備投資をした場合です。輸出商品は免税なのですが、日本での仕入には消費税が係っているので、輸出業者は通常、「課税事業者選択届出書」を提出し、消費税の還付を受けます。設備投資については、具体例で述べたとおりです。
<まとめ>
輸出業者や多額の設備投資をした場合には消費税は還付になる
5. 会費や寄附金中心のNPO
ここで最初の質問に戻ります。会費や寄附金、補助金収入などは消費税がかかりません。そうすると、会費や寄附金中心のNPOは収入には消費税がかからず、支出には、いろんなものを買ったときに消費税を支払っているので、今までの理屈からすると、「、免税事業者であっても、課税事業者選択届出書」を提出すれば、消費税が還付になる、ということになるのです。だからこの質問は鋭いのです。
じつは、営利企業についてはこれがそのまま言えるのです(もっとも会費や寄附金中心の営利企業があるとは思えませんが)。しかし、NPO法人(任意団体も基本的に同じ)は税法上「公益法人等」とみなされて、「特定収入にかかる消費税の特例」(消費税法60条)の適用を受けて、この理屈は通じなくなるのです。
次回は、この「特定収入に係る消費税の特例」とはどのようなものかをみていきます。
<まとめ>
NPOは会費や寄付金、補助金などが多いため、消費税の計算に特例がある
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