NPOの決算(7)敷金、礼金
[2007年05月12日(土)]
NPO法人の決算についてみています
1回目は未収金
2回目は未払金
3回目は前払金
4回目は前受金
5回目は減価償却
6回目は在庫
でした
今回は、敷金、礼金など、事務所などを新規に借りたときにまとめて支払っているお金をどのように会計処理をしていけばいいのかについてみていきます。
1. 敷金、礼金とは
事務所などを新規に借りたときにまとめていろいろな支払いをします。
内訳は、大きく分けると3つではないでしょうか?
1つめは、その月、あるいは翌月の家賃
2つめは、契約書で解約時に返還されることになる(あるいは修繕費などと相殺される)お金
3つめは、家賃以外で、契約時に支払われ、返還されることがないお金
2つ目を通常「敷金」といい、3つめを「礼金」などといいます。
地方によって名称は違いますが、ここでは「家賃」「敷金」「礼金」とします。
2. 敷金、礼金の貸借対照表上の扱い
敷金や礼金は貸借対照表上どのようにあつかうでしょうか?
敷金が資産であることは間違いありません。
解約時に返還されるものであるから、お金を貸しているのと同じ状況です。
一方、礼金は、返還されませんから、通常の感覚で言えば資産とは考えないでしょう。
ところが、営利企業の企業会計では、これを「資産」と考えることがあります。
なぜでしょうか?
3. 礼金は法人税法上「繰延資産」となる
新しく借りた事務所の敷金が50万円、礼金が50万円であったとします。
敷金は貸付金のようなものですので敷金50万円が資産なのは異存のないところでしょう。
一方、礼金ですが、50万円支払った礼金の効果は果たして今期の分だけに及ぶのか?と法人税では考えるのです。
減価償却のところで述べたように、減価償却の対象となる資産は、お金は今期に支払ったとしても、何年にもわたって使われるので、1年間の経費にせずに、何年間にもわたって経費にしていくために、減価償却という手段をとります。
礼金もその意味では同じです。
お金は今期に支払っても、事務所は何年にもわたって使われるので、1年間の経費(法人税法の「損金」)にせずに、一旦支払った金額は「資産」としたうえで、何年間かにわたって償却(「繰延資産償却」)をしていきます。
償却の期間も法人税法で定められており、基本的に5年、ただし、契約による賃借期間が5年未満の場合で、契約を更新するときには再び権利金などの支払をすることが明らかであるときは、その賃借期間となります。
詳しくはここを参照ください。
ただし、支出金額が20万円未満のものについては、少額不追求で、支出事業年度の損金(経費)とすることが認められていますので、実務上もわざわざ資産に計上することはしないと思われます。
<まとめ>
敷金→資産に計上。償却もしない
礼金→
(1)法人税の申告をしている場合
20万円以上の場合、資産に計上した上で5年あるいは賃借期間で償却
20万円未満の場合、資産に計上せず、支出時の経費
(2)法人税の申告をしていない場合
資産に計上する必要は基本的にない
4. 経理方法(敷金)
経理方法としてはどうしたらいいでしょうか?
支出時にどのような処理をするかによって2つに分かれます。まず「敷金」についてみていきます
(1) 「敷金支出」を収支計算書に計上する場合
支出時に「敷金支出」などとした場合には、収支計算書の支出の部に敷金の支出額が計上されます。
しかし、貸借対照表には「敷金」は計上されません。
そこで、貸借対照表に「敷金」を計上するために、決算時に以下のような仕訳を行います
(借方)(敷金)(貸方)(敷金増加額)
この仕訳は、支出時に行っても構いません。
いわゆる「一取引二仕訳」と言われている仕訳です。
「敷金増加額」という科目は、複式簿記の知識がある人にはわかりにくいですが、貸借対照表にも収支計算書にも反映されません。
「正味財産増減計算書」と言われるものに反映されますが、この計算書は提出義務はありません。
(2)「敷金支出」を収支計算書に反映しない場合
敷金支出を収支計算書に反映しない場合とは、収支計算書を損益計算書と同じように考える方法です。
専門的にいうと、「資金の範囲」を「正味財産」とする方法です。
この場合には、支出時の勘定科目を「敷金」として、貸借対照表に計上して、それで終わりです。
決算時に改めて仕訳を計上する必要はありません。
簿記の知識がある人にはこの方法のほうがなじみやすいと思います。
ただし、敷金の支出額が収支計算書に出てきませんので、注意が必要です。
<まとめ>
「敷金支出」を収支計算書に計上する場合
→決算時に貸借対照表に「敷金」を計上する仕訳が必要
「敷金支出」を収支計算書に計上しない場合
→支出時に「敷金」とすれば、決算時の仕訳は不要
5. 経理方法(礼金)
次に礼金についてみていきます
(1) 「権利金」を貸借対照表に計上する必要がない場合
礼金は通常「権利金」として会計上計上します。
法人税の申告がない場合あるいは申告があっても礼金が20万円未満である場合には、資産に計上する必要はありませんので、支払い時に「権利金支出」として、決算時の仕訳は必要ないでしょう。
敷金のように貸借対照表に計上する必要はないからです。
(2)「権利金」を貸借対照表に計上する必要がある場合
法人税の申告の必要があり、権利金を貸借対照表に計上する必要がある場合には、支出時に「権利金」として資産に計上します。
そして、決算時に「権利金償却費」あるいは「繰延資産償却費」として収支計算書に償却費分だけを計上します。
仕訳は
(借方)(権利金償却費)(貸方)(権利金)などという感じです。
翌期以降も、権利金が0円になるまで同じ仕訳が必要になります。
「権利金支出」として収支計算書には支出額全額を計上し、法人税申告上の損益計算書には償却費分だけを計上するという方法も考えられますが、難しすぎるので、ここでは省略します。
<まとめ>
(1)礼金を貸借対照表上に計上しない場合
(法人税の申告がない場合、20万円未満の場合)
→支出時に「権利金支出」(「地代家賃」などでも可能)として計上。
決算時の仕訳は必要なし
(2)礼金を貸借対照表に計上する場合
→支出時に「権利金」として資産に計上、
決算仕訳で権利金償却費を計上
1回目は未収金
2回目は未払金
3回目は前払金
4回目は前受金
5回目は減価償却
6回目は在庫
でした
今回は、敷金、礼金など、事務所などを新規に借りたときにまとめて支払っているお金をどのように会計処理をしていけばいいのかについてみていきます。
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事務所などを新規に借りたときにまとめていろいろな支払いをします。
内訳は、大きく分けると3つではないでしょうか?
1つめは、その月、あるいは翌月の家賃
2つめは、契約書で解約時に返還されることになる(あるいは修繕費などと相殺される)お金
3つめは、家賃以外で、契約時に支払われ、返還されることがないお金
2つ目を通常「敷金」といい、3つめを「礼金」などといいます。
地方によって名称は違いますが、ここでは「家賃」「敷金」「礼金」とします。
2. 敷金、礼金の貸借対照表上の扱い
敷金や礼金は貸借対照表上どのようにあつかうでしょうか?
敷金が資産であることは間違いありません。
解約時に返還されるものであるから、お金を貸しているのと同じ状況です。
一方、礼金は、返還されませんから、通常の感覚で言えば資産とは考えないでしょう。
ところが、営利企業の企業会計では、これを「資産」と考えることがあります。
なぜでしょうか?
3. 礼金は法人税法上「繰延資産」となる
新しく借りた事務所の敷金が50万円、礼金が50万円であったとします。
敷金は貸付金のようなものですので敷金50万円が資産なのは異存のないところでしょう。
一方、礼金ですが、50万円支払った礼金の効果は果たして今期の分だけに及ぶのか?と法人税では考えるのです。
減価償却のところで述べたように、減価償却の対象となる資産は、お金は今期に支払ったとしても、何年にもわたって使われるので、1年間の経費にせずに、何年間にもわたって経費にしていくために、減価償却という手段をとります。
礼金もその意味では同じです。
お金は今期に支払っても、事務所は何年にもわたって使われるので、1年間の経費(法人税法の「損金」)にせずに、一旦支払った金額は「資産」としたうえで、何年間かにわたって償却(「繰延資産償却」)をしていきます。
償却の期間も法人税法で定められており、基本的に5年、ただし、契約による賃借期間が5年未満の場合で、契約を更新するときには再び権利金などの支払をすることが明らかであるときは、その賃借期間となります。
詳しくはここを参照ください。
ただし、支出金額が20万円未満のものについては、少額不追求で、支出事業年度の損金(経費)とすることが認められていますので、実務上もわざわざ資産に計上することはしないと思われます。
<まとめ>
敷金→資産に計上。償却もしない
礼金→
(1)法人税の申告をしている場合
20万円以上の場合、資産に計上した上で5年あるいは賃借期間で償却
20万円未満の場合、資産に計上せず、支出時の経費
(2)法人税の申告をしていない場合
資産に計上する必要は基本的にない
4. 経理方法(敷金)
経理方法としてはどうしたらいいでしょうか?
支出時にどのような処理をするかによって2つに分かれます。まず「敷金」についてみていきます
(1) 「敷金支出」を収支計算書に計上する場合
支出時に「敷金支出」などとした場合には、収支計算書の支出の部に敷金の支出額が計上されます。
しかし、貸借対照表には「敷金」は計上されません。
そこで、貸借対照表に「敷金」を計上するために、決算時に以下のような仕訳を行います
(借方)(敷金)(貸方)(敷金増加額)
この仕訳は、支出時に行っても構いません。
いわゆる「一取引二仕訳」と言われている仕訳です。
「敷金増加額」という科目は、複式簿記の知識がある人にはわかりにくいですが、貸借対照表にも収支計算書にも反映されません。
「正味財産増減計算書」と言われるものに反映されますが、この計算書は提出義務はありません。
(2)「敷金支出」を収支計算書に反映しない場合
敷金支出を収支計算書に反映しない場合とは、収支計算書を損益計算書と同じように考える方法です。
専門的にいうと、「資金の範囲」を「正味財産」とする方法です。
この場合には、支出時の勘定科目を「敷金」として、貸借対照表に計上して、それで終わりです。
決算時に改めて仕訳を計上する必要はありません。
簿記の知識がある人にはこの方法のほうがなじみやすいと思います。
ただし、敷金の支出額が収支計算書に出てきませんので、注意が必要です。
<まとめ>
「敷金支出」を収支計算書に計上する場合
→決算時に貸借対照表に「敷金」を計上する仕訳が必要
「敷金支出」を収支計算書に計上しない場合
→支出時に「敷金」とすれば、決算時の仕訳は不要
5. 経理方法(礼金)
次に礼金についてみていきます
(1) 「権利金」を貸借対照表に計上する必要がない場合
礼金は通常「権利金」として会計上計上します。
法人税の申告がない場合あるいは申告があっても礼金が20万円未満である場合には、資産に計上する必要はありませんので、支払い時に「権利金支出」として、決算時の仕訳は必要ないでしょう。
敷金のように貸借対照表に計上する必要はないからです。
(2)「権利金」を貸借対照表に計上する必要がある場合
法人税の申告の必要があり、権利金を貸借対照表に計上する必要がある場合には、支出時に「権利金」として資産に計上します。
そして、決算時に「権利金償却費」あるいは「繰延資産償却費」として収支計算書に償却費分だけを計上します。
仕訳は
(借方)(権利金償却費)(貸方)(権利金)などという感じです。
翌期以降も、権利金が0円になるまで同じ仕訳が必要になります。
「権利金支出」として収支計算書には支出額全額を計上し、法人税申告上の損益計算書には償却費分だけを計上するという方法も考えられますが、難しすぎるので、ここでは省略します。
<まとめ>
(1)礼金を貸借対照表上に計上しない場合
(法人税の申告がない場合、20万円未満の場合)
→支出時に「権利金支出」(「地代家賃」などでも可能)として計上。
決算時の仕訳は必要なし
(2)礼金を貸借対照表に計上する場合
→支出時に「権利金」として資産に計上、
決算仕訳で権利金償却費を計上








