NPOの決算(3)前払金
[2007年05月01日(火)]
先日から、NPOの決算について書いています。
期中に現金出納帳や預金出納帳しか記帳していない場合に、決算でなにをしたらいいのか?ということについて述べています
1回目は未収入金、2回目は未払金でした。
いずれも、収支計算書に1年間の活動を反映させ、NPOの資産、負債としてどのようなものがあるのかを貸借対照表や財産目録に反映させるために計上するものでした。
今日は、3回目で「前払金」「前払費用」について述べたいと思います。
これも、ほぼ同じ趣旨で、収支計算書に1年間の活動を反映させるためのものです。
前払金や前払費用がどのようなものであり、どのように経理すればいいのか、前払金と前払費用の違いなども触れていきたいと思います。

1. 前払金、前払費用とは
前払金、前払費用とは、お金はすでに支払っているのだけれどそのサービスはまだ受けていないようなものをいいます。
例えば、3月決算のNPOで、セミナーの会場費は前払になっていて、3月中に支払っているが、セミナー自体は4月になってから開催するような場合です。
このような場合に、「会場費」を支払った時点の「支出」としてしまうと、収支計算書に決算までにまだ活動していない事業の支出が計上され、活動の実態を表さなくなります。
逆に翌期は、4月に開催されたセミナーの収入だけ計上され、セミナーの会場費は3月に支払っているため計上されず、おかしいことになってしまいます。
前払金になりやすいものとして、他に出張旅行代などがあります。チケットを事前に予約することが多いからです。
2. 会計処理
前払金がある場合の会計処理としては、2つ考えられます。
(1) 支払ったときに「前払金」「前払費用」とする
現金出納帳や預金出納帳から会場費などを支払ったときに、勘定科目を「会場費」とせずに「前払金」とする方法です。
(2) 決算で「前払金」「前払費用」に振替える
現金出納帳や預金出納帳から支払ったときは勘定科目を「会場費」としますが、決算振替え仕訳で、振替伝票などで、仕訳を切る方法です。
(借方)(前払金)×××円 (貸方)(会場費)×××円
などとします。
簿記の知識がない人には少し難しいかもしれません
3. 翌期の処理
会場費を「前払金」とした場合には、4月になって、実際に支払ったときには、現金出納帳や預金出納帳の記帳は「会場費」とせずに「前払金」とします。
もし、支払ったときに「会場費」としてしまうと、翌期にもまた収支計算書に「会場費」が計上されてしまい、おかしいことになります。
「前払金」という資産がなくなった、という意味で「前払金」とします。簿記の知識がない人は間違いやすいところですので注意してください。
4. 前払金と前払費用の違い
前払金と前払費用という言葉を使っていますが、厳密には意味が違います。
前払費用とは、「継続的に受ける役務提供(サービス)で、すでにお金は支払っているが、まだサービスは受けていないもの」です。
前払費用の典型的なものは「家賃」です。
家賃は通常、4月分の家賃は3月末に支払いますよね?
つまり、3月の支払った時点では「前払費用」になるのです。
他に、前払費用になりやすいものに損害保険などの「保険料」があります。
保険も、前払ですよね。
ただし、「ボランティア保険」などで、単発のイベントに掛けられるものは、「継続的に受けるサービス」ではありませんので「前払金」になります。
そして、「前払費用」については、1年以内の前払は法人税法でも支払った時点で損金(経費)になることが認められているので、法人税の申告があるところも含めて、支払ったときに「支出」に計上しても差しさわりがないでしょう(長期の保険などは例外です)。(参考:法人税法基本通達2-2-14)
「家賃」のように毎月でてくるようなものは、わざわざ「前払費用」とすることは実益もあまりありません。
会場費や交通費は、「継続的に受けるサービス」ではありませんので、「前払金」となり、法人税法上も支払時の損金(経費)とすること認められていません。
5.「前払金」や「前払費用」がなぜ資産になるのか?
「前払金」や「前払費用」は貸借対照表や財産目録の「資産」に計上されます。
「未収金」が「資産」というのはわかりやすいのですが、「前払金」が「資産」というと、違和感がないでしょうか?
「前払費用」など「費用」というくらいですから、「負債」と考えたほうがいいような感じがします。
「資産」と「費用」というと、逆のもののようなイメージがあります。資産というとプラスのイメージで、費用というとマイナスのイメージの感じがします。
しかし、簿記では「資産」と「費用」は親戚なのです。
なぜなら、いずれも、すでにお金は支払っているものです。
簿記(営利企業の会計)では、お金は支払っており、今期の収益に貢献しているものを「費用」とし、お金は支払っているけれど、まだ今期の収益に貢献していないものを「資産」とするのです。
車などの固定資産を考えてもらえればわかりやすいです。
車を購入すると、「資産」に計上します。
それは、車を購入しても、その車は1年間の収益だけに貢献するのではなく、何年間もの収益に貢献するから、1年間の「費用」とせずに「資産」とするのです。
そして、今期の収益に貢献した分だけを「減価償却」ということで「費用」にしていきます。
(NPO法人が減価償却をすべきかどうかはここを参照)
「費用」は今期の収益に貢献した部分であり、「資産」は「今期の収益には貢献していないが来期以降の収益に貢献していく部分」のことなのです。
例えば「簿記の資格をとると一生の資産になる」などと言うことがあると思います。これなどは「簿記」という資格が「将来の収入を生み出す」という意味で「資産」と使っているのですよね。
「前払金」や「前払費用」は、来期以降の収益(NPOの場合には「活動」と考えたほうがいいかもしれません)に貢献していく部分だから「資産」に計上すると考えます。
4月のセミナーの「会場費」はお金は支払っているのだけれど、今期の活動には関係せず、来期の活動に貢献するものであるから「資産」と考えます。
<A href="http://www.ziyu.net/" target="_blank"><IMG SRC="http://pranking5.ziyu.net/img.php?waki01" alt="ブログパーツ" border=0 width=35 height=11></A>
期中に現金出納帳や預金出納帳しか記帳していない場合に、決算でなにをしたらいいのか?ということについて述べています
1回目は未収入金、2回目は未払金でした。
いずれも、収支計算書に1年間の活動を反映させ、NPOの資産、負債としてどのようなものがあるのかを貸借対照表や財産目録に反映させるために計上するものでした。
今日は、3回目で「前払金」「前払費用」について述べたいと思います。
これも、ほぼ同じ趣旨で、収支計算書に1年間の活動を反映させるためのものです。
前払金や前払費用がどのようなものであり、どのように経理すればいいのか、前払金と前払費用の違いなども触れていきたいと思います。
人気ブログランキングに参加しています。
下記のバナーに応援クリックお願いします
下記のバナーに応援クリックお願いします

1. 前払金、前払費用とは
前払金、前払費用とは、お金はすでに支払っているのだけれどそのサービスはまだ受けていないようなものをいいます。
例えば、3月決算のNPOで、セミナーの会場費は前払になっていて、3月中に支払っているが、セミナー自体は4月になってから開催するような場合です。
このような場合に、「会場費」を支払った時点の「支出」としてしまうと、収支計算書に決算までにまだ活動していない事業の支出が計上され、活動の実態を表さなくなります。
逆に翌期は、4月に開催されたセミナーの収入だけ計上され、セミナーの会場費は3月に支払っているため計上されず、おかしいことになってしまいます。
前払金になりやすいものとして、他に出張旅行代などがあります。チケットを事前に予約することが多いからです。
2. 会計処理
前払金がある場合の会計処理としては、2つ考えられます。
(1) 支払ったときに「前払金」「前払費用」とする
現金出納帳や預金出納帳から会場費などを支払ったときに、勘定科目を「会場費」とせずに「前払金」とする方法です。
(2) 決算で「前払金」「前払費用」に振替える
現金出納帳や預金出納帳から支払ったときは勘定科目を「会場費」としますが、決算振替え仕訳で、振替伝票などで、仕訳を切る方法です。
(借方)(前払金)×××円 (貸方)(会場費)×××円
などとします。
簿記の知識がない人には少し難しいかもしれません
3. 翌期の処理
会場費を「前払金」とした場合には、4月になって、実際に支払ったときには、現金出納帳や預金出納帳の記帳は「会場費」とせずに「前払金」とします。
もし、支払ったときに「会場費」としてしまうと、翌期にもまた収支計算書に「会場費」が計上されてしまい、おかしいことになります。
「前払金」という資産がなくなった、という意味で「前払金」とします。簿記の知識がない人は間違いやすいところですので注意してください。
4. 前払金と前払費用の違い
前払金と前払費用という言葉を使っていますが、厳密には意味が違います。
前払費用とは、「継続的に受ける役務提供(サービス)で、すでにお金は支払っているが、まだサービスは受けていないもの」です。
前払費用の典型的なものは「家賃」です。
家賃は通常、4月分の家賃は3月末に支払いますよね?
つまり、3月の支払った時点では「前払費用」になるのです。
他に、前払費用になりやすいものに損害保険などの「保険料」があります。
保険も、前払ですよね。
ただし、「ボランティア保険」などで、単発のイベントに掛けられるものは、「継続的に受けるサービス」ではありませんので「前払金」になります。
そして、「前払費用」については、1年以内の前払は法人税法でも支払った時点で損金(経費)になることが認められているので、法人税の申告があるところも含めて、支払ったときに「支出」に計上しても差しさわりがないでしょう(長期の保険などは例外です)。(参考:法人税法基本通達2-2-14)
「家賃」のように毎月でてくるようなものは、わざわざ「前払費用」とすることは実益もあまりありません。
会場費や交通費は、「継続的に受けるサービス」ではありませんので、「前払金」となり、法人税法上も支払時の損金(経費)とすること認められていません。
5.「前払金」や「前払費用」がなぜ資産になるのか?
「前払金」や「前払費用」は貸借対照表や財産目録の「資産」に計上されます。
「未収金」が「資産」というのはわかりやすいのですが、「前払金」が「資産」というと、違和感がないでしょうか?
「前払費用」など「費用」というくらいですから、「負債」と考えたほうがいいような感じがします。
「資産」と「費用」というと、逆のもののようなイメージがあります。資産というとプラスのイメージで、費用というとマイナスのイメージの感じがします。
しかし、簿記では「資産」と「費用」は親戚なのです。
なぜなら、いずれも、すでにお金は支払っているものです。
簿記(営利企業の会計)では、お金は支払っており、今期の収益に貢献しているものを「費用」とし、お金は支払っているけれど、まだ今期の収益に貢献していないものを「資産」とするのです。
車などの固定資産を考えてもらえればわかりやすいです。
車を購入すると、「資産」に計上します。
それは、車を購入しても、その車は1年間の収益だけに貢献するのではなく、何年間もの収益に貢献するから、1年間の「費用」とせずに「資産」とするのです。
そして、今期の収益に貢献した分だけを「減価償却」ということで「費用」にしていきます。
(NPO法人が減価償却をすべきかどうかはここを参照)
「費用」は今期の収益に貢献した部分であり、「資産」は「今期の収益には貢献していないが来期以降の収益に貢献していく部分」のことなのです。
例えば「簿記の資格をとると一生の資産になる」などと言うことがあると思います。これなどは「簿記」という資格が「将来の収入を生み出す」という意味で「資産」と使っているのですよね。
「前払金」や「前払費用」は、来期以降の収益(NPOの場合には「活動」と考えたほうがいいかもしれません)に貢献していく部分だから「資産」に計上すると考えます。
4月のセミナーの「会場費」はお金は支払っているのだけれど、今期の活動には関係せず、来期の活動に貢献するものであるから「資産」と考えます。
<A href="http://www.ziyu.net/" target="_blank"><IMG SRC="http://pranking5.ziyu.net/img.php?waki01" alt="ブログパーツ" border=0 width=35 height=11></A>








