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ばぱなかま

私たちは広島県は福山市のとある地域で学習支援を目的としたNPO団体です。「真の学力はお金で買うものではない!」をモットーに、地道に日々の学習をしている子どもたちを応援しています。
普段は学習塾を運営しています。そして隙あらば(?)イベントを企画実行!さてさて今日は何が起こりますやら・・・


難題に立ち向かいます。 [2016年06月15日(Wed)]
今、私たちは大きな課題を突きつけられています。それは「不登校の小学生たちをいかに登校できるようにするか」ということです。

実際、これまでも多くの不登校の子どもたちを主に中学生を中心に進学支援してきました。その活動については、このブログにもたびたび紹介してきました。だからこの課題を見て「何を今さら」と思われる方もいるかと思います。

しかし、今回の不登校はさらに複雑で深いものなのです。

これまでに対応してきた子どもたちは、自分の意思で行動できる年齢であり、親も(ひとり親、ふたり親に限らず)子どもの養育に関心を持ち、不登校である我が子について悩んだ末にヴァパウスに行き着いた事例でした。しかし、今回の課題は、親がネグレクト(育児放棄)、またはそれに近い状態の子どもたちです。

ヴァパウスは、家庭環境に左右されない学習の場を平等に提供することを目的として立ち上がり、今回課題になっているような子どもたちについても、地域の力で育てていくような地盤作りを目指してきました。ただその活動に大きな壁となったのが、課題になっている対象の子どもたちの発見です。地域でそういう子どもたちがいるかもしれないとわかっていても、民間団体ということや、ご近所付き合いがそもそも途絶えている家庭であることが多いことで、なかなか確信に至らずそれ以上のことができない状態でした。

行政との連携についても検討し、教育委員会に掛け合いましたが、「特定の団体の肩を持つようなことになりかねない」ということでヴァパウスの活動が取り上げられることはありませんでした。唯一繋がったのが生活福祉課で、もともと福祉課がされていた貧困家庭の子どもたちの学習支援において、ヴァパウスで見た方が良いような子どもたちを紹介してもらうという形で連携できました。しかし、こちらもヴァパウスに通うまでに至るケースがなかなかなかったのが現状です。

このように、今一歩踏み込んだ活動がなかなかできなかった中、今回、スタッフの1人である私が生活福祉課所属の家庭教育支援員として動くようになりました。支援員の仕事は、家にこもりがちで学校に行くことができていない小中学生に登校できるよう促すことです。併せて保護者の方にも教育についての指導もしていきます。あくまで市福祉課の業務なので、ヴァパウスの活動と分離して考えなければなりません(と、言われました。)が、少なくとも今後ヴァパウスで活動していく中でネックとなっている部分の方針を考える上でとても貴重なものです。何度となくヴァパウスが試みて失敗した行政との連携についても解決の糸口を見つけるいい機会です。本当は一番最初にヴァパウスが成功事例を作りたかったのですが、そんなエゴを言っている場合ではない!ヴァパウスが行政と地域の支援団体との繋ぎの役になればいい!と、今は思っています。

少し話はずれましたが、そのような経緯で、最近いろんなお宅を訪問して子どもたちのおかれいる状況を見てきました。

そこで見えてきたのは、親が子どもを学校へ送り出せない(送り出さない)現実。学校に行くことについて(最低限の知識を身につけることについて)の重要性を感じていない親が子どもを社会から遠ざけてしまっている現状です。校区外の学校へ通わせるために親の送迎が必要なのに、それをしない。親が夜勤から帰って朝寝てしまっていて子どもを朝起こしてご飯を食べさせて学校へだすことができない。ひとり親で、そかもその親が病気や障害を持っていたりして、頑張ってはいるものの子どもたちの面倒を見きれていない。子どもの夜更かしを容認して、朝、起きないでいるのをそのままにしている…そんな家庭が少なからずあります。

私たちは、不登校自体は悪いものであると考えていません。不登校も選択肢の一つであると考えています。ただ、元々通っている状態の子が選択肢として不登校というカードを持つのと、学校に行く概念が全くない状態での不登校は少し種類が別です。

学校にさえ来てくれれば…と、学校の先生たちは言います。しかし、なかなかこうした子どもたちは学校に来ないし、来たとしても少ない時間なので、当然学力はつきませんし、年齢相応の能力も養うことができない状態にあります。彼らが大人になった時、仕事につくことができず、生活保護家庭となるのは目に見えています。まさに貧困の連鎖が生まれるもとになっているのです。

この問題の根本原因のひとつは親にあります。子どもに対する親のマネジメント力が弱いためにおこるものです。こうした子どもたちをいかにして学校に通わせるか。いかにして親に理解をしてもらうかがとても大きな問題となっているのです。どんなに今子どもに関心を持っていなくても、その点を改革していかなければ解決への一歩が踏み出せないと思っています。

大人になる上で必要な学びを子どもたちに受けてもらうことは、ひいては社会の基礎を養っていくものでもあります。ですからこれは社会全体で解決していかなければならないですし、そのためにはご近所や地域でそうした家庭の親や子どもをフォローしていく体制を作るべきだと考えます。

ただ、その体制を作るのも、その体制のもと活動していくのもどのようにしていけば良いのか…なかなかに難しい問題です。

しばらくはこの難題に、個人的に試してみたいことをいろいろと試してみたいと思っています。
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