パパの木
[2013年06月03日(Mon)]
「パパの木」を見ました。
あまり一般受けはしないかもしれないけど。
現に封切り二日目でガラガラだったし。
だけど、私が求めていた映画だった。
透明感のある、ウソのない作品。
目の前で家族を亡くした一家が少しずつ再生していく。
夫亡き後、人生の目的を見いだせない母と、父親の魂が宿る大きな木に話し掛ける幼い娘。
パパは、長期間にわたる仕事が終わり、妻のドーンたちが待つ自宅に戻る途中、
娘シモーンを荷台に乗せたまま、心臓発作が原因でこの世を去ってしまう。
最愛の夫を亡くしたドーンは虚脱状態に陥り、前を見ることができない。
この世で一番幸せだった家族。
ある日突然すべてが変わってしまった。
そんなある日、8歳のシモーンは庭の大きなイチジクの木と対話を始める。
大きな巨木に父を感じ始めたのだ。
ま、ここからのストーリーははしょりますが。
これまで家族を見守っていた庭の巨木が、まるで意識があるかのごとく、
家を包み込むように、その根や枝を張り巡らし始めたのです!
おかげで家はすごいことになっていくのですが。
木には魂が宿る、とか、とくにこんな巨木!
映画を見ていると、精霊の存在を信じてしまいます。
パパの木だと信じるシモーンが、ハンストのごとく木の上で寝起きするところ。
本当にかわいいし、うらやましくなる!
子供にはきっと木の声が聴こえるんだろう。
作品は父を夫を失い、その一人一人の思いを1年間を追いかけていくのだが。
大嵐が襲い、パパの木は倒され、そして家もつぶされ、
なんとか掘り出した?車で母親と4人のこどもたちは街をでる。
行くところもない。住むところも。どこに向かうのかも。
だけど、母の顔にもう悲壮感はない。そんなラストシーンだった。
倒された木も、絶望する人間も、同じ。同じ自然。
もうだめ、もう生きていけない。もう降参!
そうつぶやいても、人は再生していくのかな。
こうして、また立ち上がっていく強さにあふれているのかな。