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ブックレットはなぜ必要か
ブックレットがなぜ必要か
篠原
私たち障害のある子を持つ親の一番の心配事、不安は何でしょう。
日々の暮らしの中で、心配事、不安はたくさんあります。それは障害のない子を持つ親も同じで、子供を育てていくのには不安でいっぱいな世の中です。
私たち障害のある人の親には、そういうすべての親が持つ不安に加えて、子供に障害があることで背負っている様々な不安があります。その不安のもっとも大きなものが「親亡き後」ではないでしょうか。
今年度、豊川市知的障害者育成会では、「with or without You」を制作いたしました。このブックレットの副題は「継続する支援のためのブックレット」といたしました。
自分のことを他者にうまく伝えることが苦手な障害のある本人が、ライフステージが変わって、支援する人や環境などが変わっても、継続した支援が受けられるように、とりわけ「親亡き後に、障害のある本人が困ることを少しでも減らしたい」ということがこのブックレットを制作した目的です。
親亡き後が来る前でも、このブックレットに書き込む内容は必要です。しかし、ブックレットに書き込む内容は、あまり考えたくない内容ですね。考えたくないと思うのは、それが夢や希望のない、暗い、考えたくない内容でしかないことだと、潜在的に頭の中で決めつけているからでもあり、だからこうして育成会などの活動をしていこうという原動力にもなっているわけです。
障害を持つ子の親であれば誰もが感じていることですが、年を重ねてライフステージが変わっていく障害のある本人への支援が、現状ではケアマネジメントのもと行われているとはとても言えず、ライフステージ事に切り分けられて継続性があるとは言い難い現状があります。
そのため、私たち親も、ライフステージ毎に切り分けられて受ける支援に振り回され、障害のある本人の人生を俯瞰して見通すことができないことを余儀なくされています。切り分けられた中で、「障害のある本人を支える」という視点よりも、それぞれの機関が連携のない状態でそれぞれの部分の支援を担う、という部分部分に切り分けられた現状では、結果として本人には混乱が、親と本人は目先のことしか見ない、考えない状態に陥れられ、それが生涯続いてしまいます。
継続されない、連携しない支援による本人の混乱を少しでも減らすことは、本人にとって大変重要な課題です。その解決のためには、障害のある本人に生まれてからずっと本人に寄り添っていて、親権を持つ(持っていた)親が、親の思いよりも本人の思いに寄り添った上で、本人に関するあらゆる情報を言語化しておくことが、親として、もっとも重要な仕事であると考えます。
最後に、私たちが忘れてはならないのは、障害があることで生きにくさを抱えているのは、障害のある本人である、ということです。
確かに、我が子に障害があることで、親たちは己の人生、自己実現をあきらめて生きている、という方がほとんどだと思います。これから先、親たちが障害のある我が子のことにとらわれず、自身の人生と向き合ったり、自身の自己実現を考えられるような時代が来るためには、障害のある本人の、障害が理由で抱えている生きにくさがすべて取り払われないといけません。すべて取り払われるなどということは、現状を考えると、本当に夢物語のような話ですね。私たちが生きているうちには叶わない夢かも知れませんが、それはひとつひとつ実現していって近づいていかないといけない夢です。そのために、今を生きている私たちは、あきらめずに、ひとつひとつ実践していくことが大切だと考えます。
私たち親は障害のある本人に最も身近なところで寄り添う支援者、理解者でなければならないのです。支援者、理解者になるためには、子どもが障害を抱えている分だけ、私たち親は、普通の親よりも知るべきこと、学ぶべきことは多いのです。私たちが意識をあげない限り、私たちの障害のある子が親亡き後も人権が守られて幸せに暮らせる世の中は来ません。ひとりでも、そこに気づいてくれる仲間が増えることを願って、このブックレットを贈ります。



