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【メディア掲載】金融経済新聞:「とうしんプロボノプロジェクト2014」2014年8月11日 [2014年08月11日(Mon)]


みなさん、こんにちは。コミュニティ・ユース・バンクmomoの斉藤です。

 本日発行の金融経済新聞(8/11号)の特集記事において、金融機関とNPO、ソーシャルビジネスについて取り上げられました。東濃信用金庫さんとmomo代表木村のインタビューが掲載されていますので、抜粋してご紹介させていただきます。

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(本文抜粋)

急増するNPO、ソーシャルビジネス
10年で3倍、5万法人に
金融機関はどう向き合うべきか


 非営利組織「NPO」の活動が広がっている。里山の環境を守りたい、子どもたちが安全に暮らせる街を作りたい、高齢者にバランスのとれた弁当を届けたい、親の介護で学んだ経験を活かしたい、障がい者の就労を支援したい。その目的はさまざま。阪神・淡路大震災を機に特定非営利活動促進法(NPO法)の法制化が進み、地方の財政難とともに舞台が拡大、NPO法の認証を受けた法人は今年4月末で4万9,000を超えた。この10年で3倍にも膨らんだ勘定だ。法人格の付与や税制メリットだけでなく、ソーシャルビジネスは操業や雇用につながるとして政府はNPOの信用保証制度活用を近く解禁する。これに対して金融機関は「ボランティアに金融は馴染まない」、「創業以上にリスキー」などと及び腰。実際、東日本大震災をめぐって復興支援金をだまし取ったり、原発事故賠償金を不正請求するNPOも明るみになった。果たしてどう向き合うべきか。支援に積極的な地元の信用金庫を取材した。

東濃信金
目標は中間支援機関 課題解決を探る


 「NPO法人とどう付き合っていくべきか明確な回答が見つかったわけではありません。模索している真っ只中にいるのです」。こう話すのは東濃信金のシンクタンク「とうしん地域活力研究所」の酒井隆信副所長だ。
 もともと地域活力研究所は経済レポートの発信や、新規事業の立ち上げを応援する創業支援、外部機関との連携を含めて中小企業の販路拡大や経営戦略の立案などを通じて地域活性化に結びつけようと4年前に発足した。
 そんな中、酒井副所長、隈元智子さん、渡辺武さんの3人がこの4月、他部署から地域活力研究所に配属された。本来、地域活力研究所の本丸は本部内にある。ところが3人は、本部とは少し距離を置いた営業店の隣接スペースに居を構えた。市原好二理事長の意向を受けての人事だ。目的はNPO支援。オープンにはされていないため、仮称「NPO支援グループ」と呼んでいる。
 「金庫内でも十分に知られてはいませんが、地域貢献に直結する仕事であり、やりがいは大きい」と酒井副所長はきっぱり。
 岐阜県内のNPO法人は4月末時点で認定法人を含め759を数える。東海4県では愛知県に次ぐ規模。法人格を持たないソーシャルビジネスやコミュニティービジネスをカウントすればこの数倍には膨れるだろう。
 中小企業支援は地域の課題解決によって地域住民に豊かな生活を提供することにある。共存共栄は信用金庫の理念でもある。「NPOも自治体では手の届かない地域の困り事に黙ってはいられない人が、何とかしなければという思いで立ち上げるのです。NPOも信金も根源は同じです」と隈元さん。地域の困り事を解決していくNPO団体を支援していくことも対象になるはず。東濃信金はそう考え、3人もの人材を専門に貼り付けた。その判断は重い。
 彼らはまず地域のNPO法人を知ることから始めた。実際にエリア内のNPOを訪問し、どんな悩みを抱えているのか、自分たち金融機関ができる範囲は何かを探る活動を続けている。
 NPOの台頭に対して金融機関は新たな融資市場と見立てる向きもある。それもひとつの回答だ。だが、NPO支援グループが目指しているのは中間支援機関。
 「立ち上げから運営、課題解決までNPOの悩みに対して我々が持っているネットワークを活かし支援する。個人で解決できる範囲はどうしても狭くなります。例えば、新たな分野に業務を広げる、その分野に精通した人材を探してくるといったことでバックアップできるのではないか。もちろんその中にファイナンスのニーズがあれば金庫内の担当部へもつなぎます」と酒井副所長。
 口コミや支店を通じて相談事が舞い込んでいる。実際にNPO法人化を進めようと二人三脚で考案中。近く自らの存在を明らかにし、仮称から卒業する計画だ。

コミュニティ・ユース・バンクmomo
木村真樹代表理事に聞く
地域への眼差しを深めよ


 地域のより身近な課題の解決に取り組むソーシャルビジネスの存在が見直されている。金融機関はどう向き合っていくべきか、姿勢が問われている。愛知・岐阜・三重の東海3県で資金供給を通じてソーシャルビジネスを応援するコミュニティ・ユース・バンクmomoは地域金融機関との連携を強調する。木村真樹・代表理事に話を聞いた。
 Q.NPOは約5万件と急増している。しかし団塊世代の受け皿として一時的にもてはやされているだけでは。
 A.伸びは鈍化していくだろう。日本の人口が減っていくのだから法人の設立自体も減るのは当たり前だ。でも超少子高齢人口減少社会の中で、課題解決は今後確かな地域のニーズになっていくはずだ。税金で公共サービスを維持できなくなる。NPOは法人格を表わす言葉というよりも営利を目的としていない組織であり、法人格の有無や形態で論じる時代ではなくなる。
 Q.信用保証協会によるNPO融資が話題を集めている。
 A.ひとつの後押しにはなる。しかし保証協会に融資の可否を判断できるかどうかは疑問だ。そうなると対象は介護や福祉などの高齢者ゾーンの制度事業に絞られるのではないか。果たしてNPOへの融資が広がるか疑問に感じている。
 Q.momoはNPOに融資を行っている。
 A.融資期間は3年以内。上限500万円まで。融資金利は2.5%(つなぎ融資は2%)の仕組みで、これまで50件・1億2,000万円を民間金融では困難なソーシャルビジネスやコミュニティービジネスに融資した。デフォルトはない。貸してからがスタートと考え、関係性を作りながらフォローをする。金融機関でいうリレバンだ。ただ2件のリスケ事案がある。ともにつなぎ融資で、事業を最後までやり遂げられなかったケースだ。
 Q.momoレンジャーという変わった部隊がいる。
 A.大学生を含めた20〜30代の若者たちで組織された30人ほどのボランティアスタッフで、momoの最大の経営資源と思っている。販売支援やマーケティングなどニーズに応じて手助けしてくれる。資金が満たされたらすべて解決ではない。本人がそれが問題と考えNPOを立ち上げても、地域はその問題を知らない。特に創業期の孤独感は相当だ。若者たちは経験値がないからアドバイスはできない。ただどんなコンテンツが望まれているのか知るためにいろんな手立てを考え、視野を広げることができる。応援団は励ましになり、お金以上にmomoレンジャーの力を借りたいという事業者は多い。
 Q.金融機関はソーシャルビジネスとどう向き合えば良いのか。
 A.NPOやソーシャルビジネス支援の旗を上げただけでは溝は埋まらないからだ。地域の課題を自分の問題ととたえ地域へ眼差しを深めていかなければ目利きだって発揮できない。地域金融機関はその地域で生き抜くしかない。だから地域金融機関には可能性を感じている。事業化に向けたビジネスアドバイスや財務分析は金融機関が優れている。わたしたちは地域課題に挑み始めた人たちの社会性を保証できる。それぞれのフィールドで役割分担し、互いに連携を進めていきたい。
【活動報告】2014年8月6日(水)第1回定例ミーティング [2014年08月06日(Wed)]

 みなさん、こんにちは。今夜から始動しました、定例ミーティング(第1回)の様子をお伝えします。
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 まず、きそがわ日和チームの活動内容を報告します。

(執筆:小田)
 今回私たちが担当する「きそがわ日和実行委員会」さんは、美濃加茂市の太田宿を拠点とし、アートを通じて太田宿の魅力を再発見しようと活動している団体です。その実行委員会は、太田宿で自家焙煎コーヒー店を営む篠田様、そしてご自身もアーティストとして活動を行う奥様を中心に運営しています。

 篠田様ご夫妻は、愛知県の出身、在住ということもあり、里山、木曽川に囲まれ、昔の趣を残す太田宿を非常に新鮮に感じられたそうで、そういった魅力を市民の方にもっと誇りを持ってほしいという思いのもと、本活動を始められたそうです。

 私自身、美術が好きで瀬戸内トリエンナーレや愛知トリエンナーレといった、昨今、各地で行われているアートイベントに足を運ぶことが多いのですが、恥ずかしながら、きそがわ日和さんの活動、また太田宿という場所が、美濃加茂にあることも正直、今回お話を伺うまで知りませんでした。他のメンバーは可児、美濃加茂在住の者も多いので、太田宿を知るだけではなく、中には花街として栄えていたころの太田宿を知るメンバーもおり、今回のミーティングではそういった話題でも盛り上がりました。

 お話を伺う中で、街をキャンバスに自由な芸術活動を行うと同時に、収益を得なければならないという難しさを抱えてみえることや、活動が街(地域)にどれくらいの影響を与えているのかを知りたいといった、今回の参加した理由ともなる意見を伺うことができました。

 まずは現況把握。次回のミーティング前にメンバーで太田宿にお邪魔したいと思います。私は初めて太田宿にお邪魔するので非常に楽しみです!

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 (執筆:黒岩)
 昨年度に引き続きプロボノに参加することになった黒岩です。昨年は恵那市の「NPO法人えなここ」の課題解決チームで参加をしましたが、今年は恵那市の「NPO法人恵那市坂折棚田保存会」(以下「坂折棚田」)のSROI測定に関わることになりました。

 第1回目のミーティングということであり、当金庫のプロボノと坂折棚田さんのスタッフが始めて顔を合わせました。坂折棚田さんから、理事長の田口譲さんと事務局の久保田旭さんに参加していただきました。また、ピー・エス・サポートの村田元夫さんにアドバイザーとして加わっていただきました。
 
 まずSROIの測定うんぬんの前に、坂折棚田のことを知らなければ話が始まらないとのことで、田口さんより坂折棚田設立までの経緯と現在取組んでいる活動についてお話をいただきました。

 坂折棚田が結成されたのは、1999年に全国棚田100選に坂折棚田が選ばれたことがきっかけです。2003年に全国棚田サミットが坂折棚田で開催され、06年7月に恵那市坂折棚田保存会が発足しました。08年11月にはNPO法人成りし現在に至っています。400年の歴史がある坂折の棚田を守るため、棚田中心とする自然環境の保全と棚田地域農業の活性化を目指して活動しています。

 田口さんは、棚田がある風景は日本の古き良き原風景であり、自然環境と一体で後世に伝えていきたい。そのために、もっと多くの人に棚田ある風景の大切さや良さを知って欲しい。もちろん、棚田で生産されるお米にも価値がありますが風景としての価値を感じて欲しい。これはお金に代えられない価値であり、今回この活動に参加したのはこの価値をなんとか算出して多くの人に伝え、将来的にはこの補助金頼りの状況から脱却したいと考えているとのことです。

●事業内容(坂折棚田が主催する事業は数多くあります。)
1.棚田景観保全事業
 @坂折棚田石積み塾
 A棚田ビオトープ
 B棚田体験学習
 C坂折棚田屋敷なごみの家等管理及び運営
 D棚田通信の発行(季刊)
2.都市農村交流事業
 @棚田オーナー制度
 A棚田コンサート
 B棚田フォトコンテスト
 C棚田カレンダー作成
 D棚田年賀状作成
3.棚田ブランド開発事業
 @棚田米販売
 A農産物販売
4.文化伝承事業
 @歴史、民族講習等研修

 これから、どの事業の価値を測定するのかを決定し、その事業にかかわっているステークホルダーを特定しなければなりません。本来であれば全ての事業に対して価値を算出するべきですが、限られた時間の中で成果を出さなければなりませんので、事業を限定してSROIを測定することにしました。

 田口さん、久保田さんとの協議の結果、現在メインとして展開している棚田オーナー事業は、補助金から脱却するためにも今後さらに拡充する方向であり、高いSROIが測定されれば事業拡大にも役立つことが期待されるため、今回のSROI測定の対象事業とすることになりました。

 坂折棚田さんをもっと良く知るために8月30日(土)に現地を訪問することにしました。また、次回のミーティングまでに棚田オーナー制度はどのような社会的な影響があるのか、またその影響の対象となるステークホルダーをどう想定するのかを考えてくることにしました。
 
 まだ、活動が始まったばかりですが、今回のミーティングはこの活動の成功を予感させるような内容の濃いものだったと思います。着地を見据えたスケジューリングが必要であるとの意見もあったため、次回のミーティングでは議論したいです。

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