次回の低学年例会、『チップとチョコ』はわたしの大好きな人形劇団ひぽぽたあむの作品です。
どんなお話なんだろうと劇団HPの作品紹介をのぞいてみました。
「けんかもしたりするけれど、いつもふたりは助け合って突き進みます。まわりのおとなたちが見守る中、小さいふたりは自分たちで考え、行動をおこすのです。見ている人たちもきっと応援してくれることでしょう。」
作品紹介の最後に添えられたこの言葉が、とても永野むつみさんらしいと思いました。私は永野さんの講演会を2回聞いています。一回は幼児から小学校低学年保護者むけ。一回は思春期編でした。永野さんは、子どものことを大好きで、それはただ好きというのではなくて、子どもという時期を尊重し、その発達過程の素晴らしさを愛し、大事にしたいと心から思っておられる方だと思います。「小さいふたりは自分たちで考え、行動をおこすのです。」小さいふたりなのにです。「見ている人たちもきっと応援してくれることでしょう。」これこそ、子どもが心から望んでいることではないでしょうか。大人が決めた事じゃなくて、誰かが考えたことじゃなくて、小さいふたりが考えたことを行動にうつすのです。そのとき、周りの大人たちは決して目を離していません。ちゃんと見守っています。でも、じゃまはしません。自分たちで決めた事を実行する。それはもうすでに小さい人たちには冒険なんです。冒険は子どもを成長させます。でも冒険は危険です。だから周りの大人たちはちゃんと見ています。危ないときには助けてあげられるように。見ているだけじゃなくて、応援してくれるのです。
これは、永野さんからの、私たち母親へのメッセージではないでしょうか。おやこ劇場へのメッセージでもあります。子どもたちが自分で考え、実行したいと思っているとき、それを見守ろう、応援しようと言っておられるのではないかと私は受け取ったのです。
ひぽぽたあむの人形劇は、本当に色がきれいで、すみずみに心配りがされていて、美しい完成された世界です。余分な刺激や驚きはありません。こういうものを幼児には見せてあげてほしいと心から思います。人形たちの心の動きが私のなかの子ども時代の記憶につながって、胸がしめつけられるような気持ちになります。
終わった後に、人形たちが子どもたちに握手をしてくれます。内緒だけれど、この人形たちは劇で使うものではなく、子どもたちとふれあいをするための専用の人形です。劇でつかう人形が汚れたりこわれたりすることなく、しかし、人形劇の世界をいっしょに生きて、お友達になった子どもたちが、存分にふれあえるようにという気配りなのです。そういう細かな気配りがすみずみにほどこされていて、たとえるなら超一流の旅館のおもてなしのような、プロの仕事なのです。
ぜひ、お友達にも『チップとチョコ』での入会をおすすめしてください。わかる人だけわかればいいのです。でも、誘わなければなにも始まりません。あと1カ月。たくさんの小さなお友達が『チップとチョコ』を楽しんでくれるといいなと思います。